MCAP-CR
多自由度バスレフ型スピーカーシステムの研究開発
物理モデルに基くシミュレーションソフトウェア開発




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日記アーカイブ(2010年7- 8月)

07/03
NDRもどきシステム
07/04
NDRもどきシステム (DU080x4-NDR-a) - その2
07/07
スピーカー再生技術研究会の立上に苦 労
Stereo誌7月号
NDRもどきシステム(DU080x4-NDR-a)−その3

07/09
スピーカー再生技術研究会第一回公開 オフ会決定
07/11
Quasi-NonDimensional Radiation (QNDR)システム
07/17
関東三土会
07/18
QNDRシステムを広い部屋で聴いてみて
07/19
スピーカー再生技術研究会のウェブサ イトをオープン
不思議な掲示板
問題のありそうなサイトを読むとき

07/24
FE83En用新システムの製作
07/25
FE83En用新システムの製作-2
07/27
公開オフ会の下見を予定
08/01
FE83En用新システムの製作-3
08/03
FE83En用新システムのエージング
08/07
ワックス仕上の実験
FE83En用新システムのエージング-2

08/08
吸音材
08/11
ブログを始めてみました
08/22
楕円形のホール
08/29
FE83En用新システムの仕上
 

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2010/07/03

NDRもどきシステム








 今日は、NDRもどき システムを製作するために、FosterのFF80BKを購入した。2本は前もって買ってあったので、今日は6本を買ってきた。ついでにミューズの方舟ス ピーカーコンテストで受付けられたときに使用するFE83Enも、2本購入してきた。

 FF80BKは、1500円弱、FE83Enは3000円弱と倍半分の価格差がある。

 FE83Enは、音が良いと評判が良く、一時は品切れしてたほどの人気モデルである。

 FF80BKは、Fostexの親会社の製品だが、評判は聞いたことがない。

 FF80BKは、 FE83Enと比べると、見た目は安っぽいが、マグネットのサイズは同等で、フレームの剛性は、むしろ高い。また、フランジの裏側には、パッキンが貼り付 けられているので、音漏れが少く、工作も楽である。

 音の直接比較は出来ていないが、製造コストは殆ど変らないのではないかと思う。

 NDRもどきシステムは、ユニットを片チャンネルで4本使うので、価格の差は大きい。FE83Enのような高級モデルを使用する気にはならないので、 FosterのFF80BKを使用した。このFF80BKは、特に悪いところはなく、むしろ好ましい音がするようである。

      今回製作したNDRも どきのシステムは、前面に2本のユニットを使い、後面に、別の2本のユニットを左右に向けて使う。

 前面のユニットは、直接音を受持つ1本のユニットを2本に分けたもの、後面のユニットは、内面に向けたものが、モノラル成分を受持ち、外側に向けたもの がステレオ成分を受持つという構成である。

  接続方法は、前面の2本をシリーズ、後面の2本をシリーズ、そしてこれらをパラレルに接続するシリパラにする予定であったが、気が変って、シリーズに繋 がった部分の中間を夫々ショートした、パラシリのように繋いだ。大して意味がある訳ではないが、何となくやってみたものである。

  前面の2本は、直接音を受持つということであるが、実際には、前面の中央に向いた前面の2本だけでもステレオになり、前面中央の外側向きの2本は、間接音 を受持つような気もする。しかし、前面のユニットの音圧が後面よりも高くないと、音が引っ込むという話もあったので、このようにしたものである。

 スピーカーユニットが四角柱の4面に付いているので、後面も左の写真のようである。

 四方に分散する音響信号は、擬似点音源のような動作をするようである。

 音場は独特で、体全体が音に包まれるような雰囲気を出す。

 Audio BASIC50号の飛行機の録音では、飛行機の騒音と、環境騒音の鳴らし分けが見事である。お寺の鐘の音も良いが、背面の音圧が高過ぎるのか、周りがビリ ビリしてしまう。振動板の実効径は、12cmなので、Fostexの16cmに近い口径になるが、前面に大きな振動板があるのとは異り、音像が肥大化 することはなく、同時に小口径では難しい、音の厚みの表現も得意である。メリットは大きいのではないかと思う。

 これがNDRとして動作 しているのかどうかは不明であるが、雰囲気は良く出ていると思う。今日のところは、吸音材などの調整が完了していないが、もう少し鳴し込んでから、今月 の、手作りアンプの会関東三土会に持参しようかと考えている。正直云って、自分だけでは、NDRというシステムの評価が難しい感じがする。



2010/07/04

NDRもどきシステム (DU080x4-NDR-a) - その2


 昨日突貫工事で組立てたNDRもどきのシステムである、DU080x4-NDR-aを聴いている。

 突貫工事だったので仕上が粗く、ダクトの接合もずれていたりしてかなりヘタクソになってしまった。ラッカースプレーを1度塗りしただけなので、表面もざ らざらしており、綺麗とは云い難い。

  完成直後は粗さが耳に付いたが、暫く聴いているうちに、音に透明感が出てきた。音場は、通常の2チャンネルステレオとは異り、ホールトーンのような独特の 響が付加される。付加された響は、教会音楽や室内楽等では特に広い音場になり、実在感を与える。たった6畳の、しかも物がたくさんある狭い空間なのに、擬 似的に付加された間接音成分が空間の雰囲気を与えている。聴く場所を左右にずらしたり、立ったり座ったりしても、音像はあまり崩れない。光陽電気に通っ て、開発者の河野さんから直接教えを受けた松さんに聴いて頂かなければ評価しにくいが、自分としては、これでNDRの特徴が十分に出ているのではないかと 思う。

 FosterのFF80BKは、かなり綺麗な音である。8本のユニット代は、両チャンネル合わせて11,760円、板やスプレー 缶、端子、ボンド、紙やすり等の費用を合わせても2万円しないシステムであるが、メインとして使っても良い音に仕上がった。主観を書くと嘘っぽくなるので 書かないが、これだったら20畳位の広い部屋でも十分に使えるシステムだろう。AV用にも適合する。

 DU080x4-NDR-aのエン クロージャーは、副空気室が2つの標準型MCAP-CRで、簡易計算での共振周波数は、70、98、138、188Hzの4点であるが、Audio BASIC付録CDのオルガンを聴くと、実際にはローエンドは35Hz位まで出ているようである。計算が合わない理由はこれからの研究課題としても、レン ジが広く、透明感がある音は、かなりの高級システムのように聞こえる。ユニットをFE83Enにすれば更に良くなるかもしれないが、FF80BKでも 十分な感じがする。

 現段階では、快心作と評価したいシステムなので図 面を載せておきます。

2010/07/07

スピーカー再生技術研究会の立上げに苦労

  皆様のご理解とご協力によって、研究会を立ち上げたのはいいのですが、連絡のためのYahooグループの設定がなかなか理解できない状態です。ウェブサイ トも構築中ですが、まだ、コンテンツがありません。研究会にご入会頂いた皆様には大変申し訳御座いません。只今勉強中です。
 
Stereo誌7月号

  このページをお読み頂いている方の中にも複数冊購入した方もおられると思う。自分はとうとう4冊目を購入してしまった。1冊目はAmazonで予約購入、 2冊目は大阪出張時に購入、3冊目は職場近くの書店(川崎市)で売れ残っていたものを購入、そして今日は、仙台出張時に、駅にある書店で最後の1冊を見付 けて購入した。勿論読みたい訳ではなく、付録が目的である。未だに一組も作っておらず音も聴いたことは無い。しかし、評判が良いので、音場型に挑戦するの にもってこいの感じがする。音場型のNDRもどきシステムは、同じ製造元FosterのFF80BKで作っており、これは気に入って使っている。これを更 に小さく作れば、更に音場感が良くなるかもしれない。このような楽しみがあるのも良いと思って購入してしまったのだが、本体のほうは不要である。 Stereo誌は、長岡先生が亡くなってからは殆ど購入することが無かった。おまけ欲しさに4冊も購入するとは我ながら現金である。

NDRもどきシステム(DU080x4-NDR-a)−その3

  昨日、このシステムで、TELARCの録音を聞いてみた。マゼル指揮クリーブランド管弦楽団のチャイコフスキーのCD(CD-82002)である。 TELARCのCDは一聴すると素晴らしい音に聞こえる。しかし、このスピーカーシステムでは、音場感が悪いばかりか、歪っぽく聞こえてしまった。

 TELARC のCDは、全部で10枚持っている。この中に、マゼル指揮ピッツバーグ交響楽団の『ワルキューレ』第一幕(CD-80258)がある。録音データを見る と、収録場所はハインツホール、1990年の10月に録音されたということになっている。自分は、1993-94年にピッツバーグに住んでおり、このホー ルで、このオーケストラの演奏を何度も聞いている。勿論、マゼル指揮の演奏会が一番多かった。同じ曲は聞いたことがないのだが、この録音の音と、実際聴い た生の音とは全く違うと感じる。自分はハインツホールの音響が好きではない。いろいろな席で聞いた経験があるが、どの席で聞いても、耳に突き刺さる音だっ た。それが、このTELARCでは、随分ワーグナーらしくくすんだ音で録音されている。とても同じ演奏者が同じホールで録音したものとは思えない差になっ ている。一体どのように録音したのだろうか。このCDをこのシステムで聴いてもやはり、上記のチャイコフスキーと同じでいまひとつである。

 TELARC があまりに変なので、これもピッツバーグ在住時にカトリック教会の小ホールで聞いた、アノニマス4の"The Lily & The Lamb" (HMU 907125)というCDを聴いた。こちらは、音場感が抜群で、伴奏なしの女声がホールに響いている。声も綺麗で、ヴォリウムを上げても煩くならない。

 NDRというシステムは、録音の差に敏感なようである。



2010/07/09

スピーカー再生技術研究会第一回公開オフ会決定


 会場探しに奔走していましたが、会場と日程が決定しました。開催は、9月23日(木・秋分の日)、文京区のア カデミー湯島、視聴覚室で実施します。

 ここに至るまでの経緯は、日記にも書いてきたように簡単ではありませんでした。最も難しいのが、会場探しでした。

  民間の会場を借りれば可能であったかもしれませんが、10万円出しても借りることは出来ません。そこで、文京区の施設をあたって砕け散り、その後、新横浜 のラポールが借りられそうだということで、登録したものの、優先団体が予約した後は、殆ど空きがない状態です。そんな中で、諦めていた文京区の施設を見る と、偶々、9月23日に、アカデミー湯島の視聴覚室が1日占領可能でした。もっと良い施設は、当然のことながら優先団体に占領された状態でした。早速副会 長の松さんと相談して決定しました。

 アカデミー湯島は、会場の下見も出来ていない状態ですので、どこかで借りて確かめてみたいと思います。丁度良さそうな日程が空いたら、小オフ会の案内と して研究会のメーリングリストで連絡します。

 ともかく、会場と日程が決まったのは大きな収穫でした。タイムスケジュールは概ね以下の通りです。

9:00〜12:00 スタッフでセットアップ
13:30〜17:00 イベント
18:00〜 有志で打上

 現時点では、内容は決まっていないので、研究会のメーリングリストで話合った後に、詳細は追ってご案内します。会場の定員は54名ですので、入りきれな いことはないと思います。ゆくゆくは大きな会を開ければとも思いますが、道程は長そうです。


2010/07/11

Quasi-NonDimensional Radiation (QNDR)システム




  今日は朝4時前に起きてしまった。目的はサッカーワールドカップの三位決定戦を見るためだった。しかし、起きて チャンネルを回してみて、どこも放送していないことに気付いた...タコの占いが気になっていたのだが、愚かと云うしかない。馬鹿だった。こんな人が他に も居たのだろうか?居るわけ無いか。

 今日は、スピーカー再 生技術研究会副会長の松ヒトシさんが来られた。目的は、NDRも どきシステムを聴くためである。

 自室は狭いので、いつものように居間にセットする。それでもやはり狭いのが気になる。NDR風の効果を出すためには、後方が広く開いているほうが望まし い。しかし、最初はこれでやってみることにした。

 松さんは、効果のチェックのため、いろいろなジャンルのCDを持ってこられた。

 松さんはジャズがお好きなので、持ってこられたうちの1枚を聴いてみる。低音の出方は悪くない。

      続けて聴いていると、 どうも高域が詰まっている。音も引っ込んで感じるという。自分のCDを聴くとそのような感じがしないばかりか、むしろ高域が強く聞こえるのとは正反対の鳴 り方である。

 それでも、他のCDを聴いていく。松さんは、どうもしくりこない。松さんのメインシステムであるバ ンビーノと比べると、定位が明確でないという。

 このセッティングでは、後方にゆとりがなかったため、結局300mmほど手前に出して聴いてみると、少し改善されたが、どうもしっくりと来ない。

 次に、私のCDを聴いてゆくと、評価ががらっと変った。
  グレゴリオ聖歌を聴くと、雰囲気が抜群、聴き疲れしない音、と松さんの顔が緩んだ。更にソースを取り替えてゆく。松さんがお持ちではない、 AudioBASIC50号付録CDのアマポーラを聴くと、これは、ベースの音が分るし、楽器の位置も手に取るように分ると仰った。ソースによっては、い まひとつに感じたりもするが、録音によってはそのような問題はない。『この違いは一体何なんでしょうね』という結果になった。

 しかし、松さんは、DU080x4-NDR-aの守備範囲が広く、聴く位置を変えても殆ど違和感なく聴こえるという特徴には感心された。この特徴は他のシステムにない。ホールのようなところで鳴らせば効果抜群のシステムになる。

 ところが、このシステムはオリジナルのN.D.R.とは相当に違うのだそうだ。オリジナルは、松さんのブ ログに あるように、基本が三角柱で、正面はレベルが高め、背面は弱めで、しかも、フルレンジは使っておらず、背面にいたってはツィーターだけだったりするとのこ と。それでいて、定位は明確で、楽器の位置は手に取るように分るのだそうだ。DU080x4-NDR-aは、四角形断面で、前面にはそっぽを向いたフルレ ンジが2本、背面には、中心から45度ずつ振ったフルレンジが1本ずつである。このような構成は、今まで無かったのではないか、ということだった。これ は、NDRの流れを汲む新しい方式でもあるかもしれ ない。とりあえず、名前をQuasi-N.D.R.(QNDR)、または、Pseudo N.D.R.(PNDR)にしようと考えたが、QNDRのほうは、検索してもそれらしいものに引っ掛らないので、QNDRと命名することにした。

 これを読んだ方は、QNDR + MCAP-CRのシステムが良いのか悪いのかさっぱり分らないと思う。今日の結論だけ書くと、このシステムは凄く良 かった。オフ会で聴いて頂くのが楽しみである。


2010/07/17

関東三土会


 今日は第三土曜日ということで、手作りアンプの会の関東三土会に参加した。

 関東三土会は、毎月欠かさず行われている会で、常に20名前後の参加者がある。オーディオサークルとしては、最もメジャーな会だと思う。自分もナマクラ 会員である。

 三土会では、いつも、アンプやスピーカー等の試行錯誤の結果が発表されるので、とても参考になる。会員のレベルはとても高いと思う。スピカー技術研究会 も、少しでも近付ければいいと思うが、会長が自分では心許ない。

 自分の出し物は、QNDRシステムであった。ベテランの方々の集まりなので、N.D.R.についてご存知の方がおられることを期待していたのだが、残念 ながらご存知の方はいらっしゃらなかった。資料を 準備していったのだが、分りにくかったようだった。質問されたのだが、残念ながら、肝心なところは自分も良く分らない。『分らなくてスミマセン』というこ とになってしまった。図面はここに あります。

  しかし、音場が空間に拡がる様子は、混乱を招いてしまったようだった。同じ音を四方(三方?)に撒いているのに対して、モノラル成分とかステレオ成分とい うような説明が為されているので、内部で特殊な処理をしているのかと勘違いされた方もおられたようだった。それでも、参加者の方が場所を移動されて。サー ビスエリアの広さ、どこで聴いても大きな差が無いという特徴を実感されて、興味を持って頂いたようだった。

 会場は、40〜50畳位の洋 室で、十分な広さがあった。自宅で聞いたときの印象と比較すると、広い部屋のほうがずっと良い音に聞こえた。室内楽では、残響たっぷりのようなホールの響 きを感じることができた。鬼太鼓座を鳴らすと、雰囲気は出るものの、ローエンドを高めに切った設計のため、腹に来る感じは出なかった。低音感は、狭い自室 で聞いた感じと大差なかった。

 ベテランの多い手作りアンプの会には、毎回緊張してしまう。 

 明日は朝早いので、打上げには残念ながら参加できず、残念だった。


2010/07/18

QNDRシステムを広い部屋で聴いてみて


 昨日三土会で、自分の作ったQNDRシステムを鳴らしてみてからいろいろと考えた。自宅に戻って狭い自室で聴いてみて分ったことがあった。

 第一は、QNDRシステムは広い部屋でなければ真価を発揮しにくいということだ。

  三土会の会場は、小学校の教室位の広さで、スピーカーシステムの後ろにも両側にも1m程度の空間があった。自室だと、スピーカシステムの後ろには 100mm程度離れてオーディオラックと別のスピーカがある。左右も200〜300mm程度しか空間がない。自室だと、前方の内側のスピーカユニットの音 以外はすぐに反射して散乱するのに対し、三土会の会場では、空間に広く分散した。このこととは、最初に掛けたヴィヴァルディの四季(VIVA! I SOLISTI ITALIANI; DENON 81757 8091 2)を聴いて強く感じた。広い会場だと擬似的な残響音が部屋中に拡がり、ホールで聴くような音になった。音像の定位もホールで聴くのと同様、不明瞭になっ た。この不明瞭さが、空間表現を作り上げていた。また、このときではなく、どなたか忘れたが『ステレオの音じゃない』という声も聞こえた。通常のステレオ 再生とは違う独特の表現になった。他のシステムは、ステレオの良い音だったのに対し、QNDRは、良い音だか何か分らないが、全然違う音だった。音という よりも、空間の表現というほうが正しいと感じた。

 第二は、QNDRは、低音の量感を増やすのに有利ということだ。

 三 土会の会場で、リストのピアノ協奏曲第一番(Alfred Perl:piano, Yakov Kreizberg: conductor, BBC Symphony Orchestra; OEHMS CLASSICS OC 316)を掛けた時に、ゆったりとした低域のゆとりを感じた。このQNDRシステムは、標準型のMCAP-CRをエンクロージャとして使っている。低域側 のローエンドは高めに切って、代わりに中低域の量感を上げるように設計している。このため、超低域の再生は出来ないが、通常問題になる低域はたっぷりあ る。しかも、指向性の低い低域が片側4本の全スピーカユニットから放射されるのに対し、高域は、中央前方のスピーカユニットからの直接音が支配的になる。 即ち相対的に、低音がたっぷりと聞こえるようになる。
 しかも、片側4本のユニットを使っているため、耐入力は1本の4倍になる。逆に云えば、ア ンプを同じ出力で使用するときには、1本あたりの入力は1/4しかないため、振幅は小さく出来、歪を小さくできる。更に、振動板面積が直径が2倍のものと 同等なので、この点でも、低音再生には有利である。しかも、振動板が小さく相対的に剛性が高いので、高次の振動モードにもなりにくい。

 第三は、QNDRは、オフマイクで録音されたソースの再生に強いが、オンマイクで収録された音源には弱いということだ。

  片側4本のスピーカユニットからは同相の同じ音が放射される。前方内側のユニットから放射される高音は直接耳に入ってくるが、その他のユニットから放射さ れる高音が遠回りして空間で合成されるため、直接音を打ち消す作用をする場合がある。オフマイク録音のソースは、元々間接音成分が多く収録されているた め、このような遠回りした音と直接音が空間合成されても悪影響が出にくいが、オンマイクで収録されているソースでは、遠回りした間接音が直接音の逆相成分 になり、直接音のレベルを低下させる作用が出やすいのではないだろうか。この現象は特に波長の短い高音域で出やすいはずである。これは聴感と一致してい る。

 以上のような長所・短所を踏まえて設置場所とソースを選べば、QNDRシステムは素晴らしい効果を発揮するはずである。QNDRはステレオ再生の形を変 えるシステムになるかもしれない。

 オリジナルのN.D.R.を聴いてみたいという欲求が強くなった。

2010/07/19

スピーカー再生技術研究会のウェブサイトをオープン


 気になっていたスピー カー再生技術研究会のウェブサイトをオープンしました。メーリングリストに登録頂いた会員の方には連絡済みですが、まだ、登録手続き を完了していない方は、ご連絡ください。

 会のウェブサイトには、未だ、研究成果がないので、QNDRについてのレポートを載せました。少し詳しく書いていますので、覗いてみてください。


不思議な掲示板

 オーディオ関係では、時々不思議な掲示板を見ることがある。掲示板単独で存在することは少く、大抵はどこかのウェブサイトの一部として伝言板や電子会議 場の役割を担っている。

 最近見た掲示板は、ある音楽関係者のウェブの掲示板のようだが、何故か、道場破りのような人が登場する。そこのサイトの主張が気に入らないからと云っ て、態々文句を云いに行くこともなかろうに、と思うのは自分だけであろうか。

 自 分だって、問題の大きなサイトがあることは承知しているが、態々文句を云いに行くことはない。文句を云うのは疲れるためである。このサイトに掲示板がな い、或いは、日記がブログになっていないのは、コメントに素早く対応するのが大変だからである。折角書いていただいたのに放置では申し訳ない。このため、 掲示板やブログではなく、メールでのご意見ご質問をお願いしている。頂いたメールに対しては、素早く対応しているつもりなので、何かありましたら、ご遠慮 なくメールでご連絡ください。


問題ありそうなサイトの情報を読むとき

  いろいろなサイトを見ていて、『問題が多いな』と思うことがある。自分は、自分のシステムについては、特に問題点を明記することが多いし、なるべく自画自 賛の表現を避けるよう心掛けている(それでも自画自賛のきらいがあることは否めないが)。リンクで紹介しているサイトは、自画自賛を避け、欠点も明確にす るように書かれている。この傾向は、特に、ベテランに多いようだ。

 面白いか面白くないかは別にして、自画自賛サイトを読むときは、理屈 を考えながら読むほうが良いと思う。長岡先生の記事も自画自賛のところがあったが、良く読んでみると、欠点についても書かれている。逆説的な言い方になる が、欠点が明確なもののほうが、利点が大きいのではないかと思う。また、問題がありそうなサイトほど面白かったりするのは、皮肉なのだろうか。


2010/07/24

FE83En用新システムの製作


      今日から、 FE83En用のシステムを作り始めた。設計図は完成していないのに、既に作り始めてしまった。現在は、板も全ては揃っていない。

 全体サイズは、下記の点を考慮して決めている。

  1. ロイヤルホームセンターのカット材に合わせる。
  2. クロネコヤマトの箱に入るサイズにする。

 ロイヤルホームセンターは、職場の近くにある。板の種類は少いが直線だけならかなり正確に切ってくれる。パイン集成材の定尺は、幅が200、250、 300、400、450、600、長さが450、600、910、1200、1820、厚みは全て18mmとなっている。

 幅は結構正確なので、同じ幅を多用するように設計し、長さだけ切ってもらう。今回は、200mm幅を基準にした。多少の誤差はあるが、何とか修正できる 範囲であった。

 クロネコヤマトは、箱を無料で配達して購入できるので、便利である。箱のサイズに合えば、持ち運びが非常に楽である。今回のシステムの仕上寸法は、 249幅×360高さ×236奥行きなので、クロネコボックス(10)サイズに入る。

 システムは、なるべく単純で作りやすい構造を考えた結果、AICC-CRで、副空気室を2個のものにした。標準型MCAP-CRの副空気室の仕切り板に 1インチの孔を開けただけである。1インチというのは、ホールソーのサイズである。

 今回特に考慮した点は、以下の通りである。

  1. 空気室の容量をなるべくたっぷりとる。
  2. 箱(板)の鳴きを抑えるために、フロントバッフル、天板、側板に角材で補強する。
  3. 作りやすい構造にする。
  空気室は、各4リットル前後で合計12リットル程度である。補強は、□24mmの栂材を使用するが、手持ちの栂角材が足りなかったため、一部は□30mm とした。MCAP-CR型の特徴である、仕切りが補強を兼ねる、という点に、更に、角材での補強を行うため、結構な強度になることを期待している。

 今週は、内部構造と、側板をのフレームまで製作し、次週にフロントバッフルとリアを取り付けて構造は完成する。

 余程変な音でなければどこかでお聞かせしたいと思います。小型の多自由度バスレフに興味のある方はお楽しみにしてください。図面は、完成してから公開し ます。


メーリングリスト登録完了

 昨日、ようやくスピーカー再生技術研究会のメーリングリストに登録を完了しました。方法が分らなかっただけですが、やってみたら意外に簡単でした。第1 回オフ会に向けて、メーリングリストを活用します。

2010/07/25

FE83En用新システムの製作−2


 昨日は、内部構造の接 着を終えたので修正に入った。

 左の写真のように、形は殆ど完成したように見える。しかし、パイン集成材というのは曲者で、製作中に寸法が変ってしまう。

 寸法が狂う理由にはいろいろあると思うが、最も大きいのは、ボンドの水分を吸うことによる膨張だろう。

 集成材は、部分により密度が違い、性質も違うので、元の寸法が同じであっても、伸び方が違う。

 折角寸法が同じになるように同一幅の板から切り出したのに、組立てると、左の写真のような誤差が出てくる。

 これは、自分の製作技術が低いというのも理由であるが、決してそれだけではない。前側で出っ張っている部分が後ろ側で引っ込んでいる訳ではないのであ る。

 こういう誤差は、鉋で荒削りした後に、60番の紙やすりで、接合部の段が無くなり、かつ、全体がなめらかになるように丁寧に修正する。

 小型のスピーカーなので、作業は比較的順調に進み、1時間程で、2本分の前面と後面の修正が完了した。

 触ってみて段を感じなければ概ね良好である。左の写真では、未だ段があるように見えるが、実際には殆ど分らないところまで修正された。

 誤差の修正後の写真を見ると、何となく綺麗になったように感じる。

 フロントバッフルと後面の板を入手していないので、今日はここまでの作業になる。

 残りの材料は、250mm幅×1820長の集成材で、これを、360mmの長さに4枚切ってもらう。

 面倒な穴開けを施し、ダクトを接着したうえで貼り合せると、工作は、概ね完成する。

 その後仕上げて音を出せるのは、いつになるかな...
 このスピーカーは、11月開催(予定)のミューズの方舟さんのスピーカーコンテストに持ち込む予定のものです。募集要項が発表された後すぐに申し込んだ ので、郵便が紛失していなければ、受付けられるはずです。

 今回は、コストとスペックをほどほどに押さえ、超低音を諦めた設計になっています。また、板の鳴きを抑えるための補強が施されているので、パイン集成材 でどこまで鳴らせるか楽しみでもあります。持った感じでは軽いので、塗装の厚塗り等が必要かもしれません。FE83Enをどこまで鳴らせるかな?


2010/07/27

公開オフ会の下見を予定


 9月23日(木・秋分の日/大安)に予定の公開オフ会に先立って、9月20日(月・敬老の日/友引)の午後に会場を借りた。下見のためである。このよう なイベントは初めてだし、会場の様子もウェブにある写真でしか分らないので、機材を運び込むための下見と、音出しを兼ねて借りることにしたものである。 13時〜17時半までの4時間半で、2,700円である。104平米もあることを考えると特に安い。民間の施設を借りると、1時間あたり7,000円位の 費用がかかる。

 会場は自宅から徒歩5分位なので近いが、機材を運ぶのは骨が折れる。下見当日は、比較的大きな音を出せるQNDRシ ステムを1組、簡易ヴォリウム付パワーアンプを1組、ポータブルCDプレーヤーを1組運ぼうと思っているが、1回で運ぶのははきつそ うだ。

 このページをお読みの方にお願いです。下見にお付き合い頂けるボランティアを募集します。正直言って、一人で音楽を聴いても4時間半ももたないし、広い 会場に一人だけでは切なすぎます。お手伝い頂ければ、別なシステムも運び込んでもう少し面白くなるかもしれません。場所は、湯島小学校に併設のア カデミー湯島・視聴覚室です。ご自身の作品を持ち頂ければ少し広い部屋で鳴らしてみることも可能です。ご興味がありましたらご連絡く ださい。連絡先は、
mcapspeakers @ gmail.com (左のアドレスにあるスペース2箇所を削除してください)です。

研究会のサイトは右記を ご参照ください。
残念ながら、未だ、内容は殆どありません。

会員も引続き募集しています。

入会はこちらまで!


2010/08/01

FE83En用新システムの製作-3

 FE83Enを使用し た新システムが一応組み上がった。

 通常は、箱を仕上げてからユニットを組付けるのだが、今回は、先ずこの状態で音を出してみた。ボンドが定常状態に乾くまで待ってから箱の表面処理をしよ うと思ったためである。

 完成寸法は、360H×250W×236Dで、底面にはφ15×5Hの脚が付いている。自宅用なら、水晶のブロックをインシュレータに使うので脚は不要 だが、ミューズの方舟さんの会場に持込む予定なので、置いてすぐに鳴らせるように3点の脚を付けたものである。

 音が鳴らせる状態になったのは昨夜だった。
  最初に音を聴いてちょっとしたショックを受けた。酷い音である。中高域は酷く歪んでおり、甲高く、低域の締らない音。どうしようもない音、聞くに堪えない 音、というのが最初の印象である。Fostexのユニットには、元々最初は酷いという傾向があったようだが、この音は、経験した中で1番目か2番目に酷い ものである。ESコーンになってからは、最初からそこそこの音が出るという情報もあったので、このような酷い音は想像していなかった。この生産ロットは外 れだったのだろうか?FosterのFF80BKが、最初からそこそこの鳴り方をしていたのに比べるととんでもない。初心者だったらその場で捨てるかもし れないほどの音である。Tangbandだったら、エージングゼロでも結構まともな音がするのとは対照的である。やはりFostex製はマニア向けの 難物なのだろうか。

 ユニットはエージングゼロ、箱も出来たてという状態で、音を評価してもしょうがないので、我慢しながらいろいろと聴いてみた。夜間なので当然音量は上げ られないが、2時間位聞いていたら少しは聴ける音になった。

  日が変って今朝聞いてみると、やはり酷い音から始まった。今日になってから合計4時間位聞いていたら、まあまあ聴ける音にはなった。しかし、 Tangbandに比べると汚い音で、耳が疲れる。吸音材を入れたくなるが、それは、エージングが済んでから判断することにした。

  今回は久しぶりにFostex用のシステムを作るので、箱は少し大きめにしている。また、ダクトも大きめで、最低域を欲張らず中低域を上げる設計にしてい る。それでも今の状態では低音が不足気味である。最低域も設計上は、60Hzまでだが、50Hzはそこそこ出ているようだ。32Hzは完全に空振り状態 で、これは、設計通りである。一般に重低音と言われる帯域は十分に出ている。

 時間とともに多少は良くなってきているが、好きな音ではない。エージングには何ヶ月かかるだろうか。これから暫くは、この音とお付き合いしなければなら ない。


2010/08/03

FE83En用新システムのエージング

  エージングと云っても、昨日夜遅くまで聴き、今日も23時近くから1時間程度聴いただけである。エージングには、Bobo Stenson Trioの"Cantando"を聴いている。ジャズには詳しくなく、CDは2枚持っているのに過ぎないが、このアルバムは耳に心地良い。ピアノは柔らか く録音されているし、シンバルを微かに叩いたり擦ったりする音が生々しく収録されているので、高音域の再現性のチェックに使用できる。また、ベースも適度 に入っているので、低域の出方も良く分る。音楽的にも嫌味が無く気に入っているアルバムである。

 わずか2日間のエージングで、音を出し 続けた訳でもないのに、結構聴ける音になってきている。最高の出来だと言われるFE83Enだけあって、かなり綺麗な音を出している。低音の不足感も無く なってきた。ユニットも箱もエージングが必要というのはその通りだと思う。箱は、硬い合板ではなく、柔らかい集成材なので、クリープして馴染んでくるのは 早いようだ。未だ100%の状態とは思えないが、2日でこれだけ馴染んできたのだから、11月までにはそこそこの状態になるかもしれない。Fostexは Tangbandに比べるとフレームが弱いが、音そのものが悪い訳ではないと思う。お買い得感はないが、市販のスピーカーシステムにはない素直で生々しい 音を聴けるところは魅力だと思う。

2010/08/07

ワックス仕上の実験


 FE83En用新シス テムの仕上は先に延ばすことにしたが、今回は経験のない仕上げ方をしようと思い、実験してみた。

 仕上に使うのは、住宅の床用ワックスで、アクリル樹脂系のワンピカという商品である。これは、9年前にこの住居を購入した際にオプションで追加した床仕 上用のワックスの余りである。放置されていたことに気付かなかったが、今年になって発掘された。

 長岡先生は、白木用のワックス仕上も良いと書かれていたので、一度試してみようと思っていたが機会が無かった。

  ワンピカの使い方は良く分らないが、布で擦り込むのでは中々進まなかったので、筆で染込ませるように塗ってみた。塗るのは簡単だが、安物の筆で試したので 細かい気泡が出来た。乾燥した後に触ると、気泡のせいで手触りが悪い。これを240番の紙やすりで剥がしてみたところ、元の木材のようになった。これで水 を吸い込まなければ良いと思ったのだが、水洗したら水を吸い込んだ。

 このためもう一度重ね塗りをしたところ、左の写真のように多少手触りが良くなった。左が、ワンピカを塗ったもの、右が未処理のものである。木材は、ロイ ヤルホームセンターの表示では、『クリアパイン』と名の付いたものである。ゲテもんの松さ んに伺ったところではそのような松はないらしい。

 このような仕上にするか別な仕上にするか悩ましいところだ。

 再来週の休暇明けまで考えて、実際に作業をするのは、9月になってからにしようと考えている。そもそも直接塗るのが正しいのかどうかも分らない。

 9月と云えば、23日は、スピーカー再生技術 研究会の発表だが、未だ何も準備できていない。材料はあるにしても、ちょっと心許ないかな。松さんと会員の皆様に期待したい。



FE83En用新システムのエージング-2

 このシステムの音が出せるようになってから、1週間経過した。毎日心行くまで鳴らせるような恵まれた状況ではないが、それでも帰宅後深夜まで毎日1〜2 時間聴いてきた。音は落ち着いてきて、中高域の歪感も少くなってきた。低音の不足感もあまり感じなくなった。

 製作した当初は、今週仕上げようかと思っていたのだが、仕事がたまっているので、今週は引続きエージングを続けることにした。音が出てしまうと、気楽に なる。

 注意して聞いているポイントは、狙い通りの音になったかということである。狙った音は、以下の通りである。

  1. 中低域(100〜200Hz)を不足感なく鳴らす
  2. 60Hzまではそこそこのレベルを保つ
  3. 40Hzは聞こえる程度
  4. 中高域はFE83Enの素のままにする
1. は、音楽を聴いてもあまり良く分らない。少し薄いような感じもする。中高域が騒がしいので、相対的に低く聞こえるのかもしれない。2.と3.とは、 Audio Basic 50号の付録CDでオルガンの65Hz〜32Hzまで(トラック3)を収録してあるので、これを使って確かめた。42Hzまでは、そこそこのレベルで聞こ えるが、その下は倍音中心で、基音はあまり聞こえない。同CDのトラック4とトラック5にバッハの『主よ、人の望みの喜びよ』という曲が入っている。ト ラック5は、60Hz以下カットでその差を聴き比べられるようになっているので、これらを比較する差が良く分る。最低音の37Hzもほんの少しは感じられ る。とりあえず2.と3.は、目指した通りの音を達成しているようだ。4.は何もしないのでどうでも良いが、1.については気になるところなので、自分で 作成したテスト用のCDを聞いてみた。このCDはWaveGeneというフリーウェアを使って作成したもので、10kHz〜16Hzまでの単音やスィープ 信号などを収録してある。224, 200, 160, 125, 100, 80, 63, 50, 40Hzとスピーカーシステムに近い(300mm位)位置で順に聞いてゆくと、224〜125Hzは同じようなレベル、100Hzは低め、80Hzは 224〜125Hzと同等レベル、63Hzと50Hzは強め、40Hzはかなり弱めという印象であった。もう少し広い部屋だったら測定用のマイクロフォン を使って確かめても良いのだが、聴く位置で随分違うし、これとて定量的と呼べるかどうかは疑わしいので別な機会にしようと考えている。手作りアンプの会で は、測定プロジェクトが始まっているが、次回は参加できないので、取り残されてしまった。測定は、難しいので自分には全く自信がない。しかし、単音を聴い てどう聞こえるかというのは、ピンクノイズ等を環境騒音の中で鳴らして測るよりは良い面もあると思う。単音は、環境騒音から分離して聞こえるためである。 20Hzの単音は再生できないがピンクノイズを分析すると20Hzまでレベルが高いなどということはあり得ないのだが、耳を使わないとそういう間違いも しがちである。

音楽を聴くとソースによって自分でさえ評価がバラバラになるので、一般性はないと思う。やはり、聴くしか分らないのだろう か。自画自賛的な表現をすると、このサイズにしてはローエンドが伸びており、音像は小さく、音場は広く深く、細かい音も良く聞こえるシステムである。欠点 は100Hz付近の落込みだろう。フルレンジなので小型システムに調整不十分なスーパーウーファーを足したような不自然さはない。

2010/08/08

吸音材

 FE83En 用のシステムを聴いたときに、何気なくユニットのフレームを触ってみたところ、片側の振動が気になった。フレームを良く観察すると、振動した側だけ、パッ キンがはみ出していた。バッフル面との圧着が弱かったのかもしれない。はみ出していたパッキンを鋏でカットして戻すときに、折角なので吸音材を入れてみよ うと考えた。

 高級吸音材は手持ちが無いが、比較的柔らかい『タオルウェス』という布があったので、左右とも丸めて突っ込んでみた。試聴すると高音の張りが減退した感 じだった。しかし、同時に歪っぽい音も少くなっている。吸音材は、必要悪なのだろうか。

  絶対に吸音材を使わない人が居ることも知っている。しかし、吸音材なしの音を聴いて納得する訳でもなかった。あるところで、自分と同じメーカーの自分より 高級なユニットを吸音材なしで使った音も聴いた。そのとき、予め準備されたソースでは吸音材なしの欠点が分らなかったが、自分の持参したCDを聴いたら、 欠点が明確に現れた。自分のシステムでは吸音材を少量使っているのでそういうことはない。意地を張って、『...でなければならない』と主張するのは止め たほうが良いと思っている。これはそのような例だったと思う。何事も一長一短でどちらの方式が優れているとは云い難い。

 自分の新しいシステムは、しばらくこのまま聴いてみようと思う。仕上のために、ユニットを外すので、そのときは、吸音材を外すチャンスがある。吸音材 は、個人的には好きではないが、音の変化を楽しむ小道具には使えそうだ。

2010/08/11

ブログを始めてみました

 今日Gmailを開けたら何やら設定の変更を促されました。読んでゆくとブログのページに辿りついたので、始めてみることにしましたた。但し、内容は全 て英語にします。英語のページの更新は面倒なので、とりあえずブ ログで行くことにします。しかし、中身は殆ど空で、これからどうしようかと考えています。

 今週末から休暇のため暫く更新は休止です。研究会のオフ会で何をしようか考えならら休息をとることにします。

2010/08/22

楕円形のホール


先週は休暇をとって東 欧圏に旅行に行ってきた。あまりオーディオに関係のある旅ではなかった。

パック旅行の中に、ウィーンでの小さなコンサートが付いていた。このコンサートは団体旅行向けで、幾らするものか分らないが、様々な国の団体が来ていた。 左の写真のように小さなホールで、ピアノ、弦楽器、木管楽器、ソプラノ、テノールとバレエの演奏を行った。ステージは、1m弱の高さで、その上にピアノを 除く演奏者が位置する。

写真では良く分らないが、ホールはほぼ楕円形で、床と天井は平行である。小さなホールに椅子を並べ、約400人が鑑賞できた。

  演奏が始まって感じたのは、残響の極端な長さである。風呂屋で演奏するような感じで、残響が直接音に勝ってしまうので、ヴァイオリンは、独奏以外の旋律さ えも殆ど聞き取れない。最初はピアノも無いと思って聴いていたところ、何故ピアノの音がするのかと気付いて探したらピアノもあったという状態である。

 演奏者一人一人の楽器は間近に見えているのに分離しては聞こえない。オーディオマニアは、楽器のパートを分離して聞こえるようにするのだが、実際のホー ルではこのようなこともある。しかし、だからと云って音楽が悪いということもない。

 この音場は、QNDRでの再生音に良く似ている。QNDRは、このような状態で聞きたいという人には適していると思う。


2010/08/29

FE83En用の新システムの仕上

 暫く遠ざかっていた新システムの工作を再開した。この作品は、11月に行われる予定のミューズの方舟さんのコンテストに出品するためのものである。来月 には、研究会の初回オフ会もあり気付かないうちに忙しくなってしまった。

  先週は、この作品にちょっとした改造を施したFE83Eを付けてみた。この状態で暫く聞いており、結構気に入ったのだが、コンテストのルールは新型のEn を使うことが絶対条件なので、好き嫌いはともかくとして、FE83Enを使わなければならない。先週は、主空気室に油粘土を詰め込んで1.xリットル容量 を小さくしてみた。同じ条件ではないので効いたかどうかは分らなかったが、共振周波数は計算上は数ヘルツ高くなったはずである。

 昨日は、一旦粘土を取り外し、外装の仕上を実施した。仕上には、結局ウレタンニスを使用した。刷毛で下塗りした後にスプレーをするのが、大山さんの仕上指南ビデオの 方法なのだが手抜きをして、刷毛塗り工程を省いてしまった。しかし、流石に大山さんのビデオの通りにやった部分はいつになくスムーズに上手に出来た。大山 さんのビデオは、4,980円でダウンロード出来る。FE83Enを2本買うよりも安いというのは実に良心的と思う。工作のベテランは多分同じだと思う が、失敗する度にあれこれ購入してくるので、買ってきても結局使わなかったり、ほんの少し使って止めたりしたものがたくさんある。使えずに捨てたもの、失 敗して全部剥がしたものなどを含めると、ちゃんと計算したことはないが、数万円以上あるのではないだろうか。この4,980円を先に投資しておけば、こん なことはなかったはずだが、当時は大山さんが開業していなかったので止むを得ない。

 鉋で荒削りした後に、 #60の布やすりで段差を取り除き、#100で中仕上、#240で最終仕上を行った。また、ダクト内部も段差が無くなるよう#60で削った。書くこれだけ だが、電動工具を使わないので、これだけで4時間ほどかかり、筋肉痛になった。

 下地調整はせず、削った状態で掃除機をかけ、表面の埃を取り除いた後、ベランダに持ち込み、背面を粗塗装、底面は塗らなかった。市販品でもフロア型は、 背面や底面の仕上はしていない場合が多いと思う。

 続いて上面、正面、側面にスプレーを吹き付ける。大山さんのビデオでの注意事項のうちただひとつを守っただけで、塗装の垂れが殆ど発生しなくなった。

  自分が使用している、ロイヤルホームセンターのクリアパイン集成材は、みかけが今ひとつなので、写真の通り美しくはないが、もう少し木目の綺麗な集成材 だったら結構良くなったと思う。この材料は、粗密の差が大きいため、密の部分は綺麗に塗料が乗るが、粗の部分はざらざらである。

 改造を 施したFE83EからオリジナルのFE83Enに戻したときは、がっかりした。高域が荒れて煩い。とても気に入らないので、FE83Eに施したのと同じ改 造を施してみた。音は大分大人しくなったが見掛けが悪くなってしまった。FE83Eでは、改造したこと自体分らない程度の変化だったのだが、Enのコーン はEとは大分違うようだ。真似をする人がいるといけないので改造の詳細は書かないが、こんなことをやったらFostexファンが『FE83Enの良さを殺 す』と怒りそうな改造である。但し、ミューズの方舟さんのコンテストの条件として、ユニットの改造は自由なので、この点は問題ない。また、怪我するおそれ もない改造なので、失敗しても買い換えるだけである。

 このシステムには、未だモデル名を付けていない。副空気室が2つのAICC型で、ペットネームを"CON GIOIA"とした。イタリア語で、『喜んで』という意味である。自作の基本は『面白い』ことだと思うので、その基本通りに命名した。


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