Project MCAP-CR 多自由度バスレフ型研究所 Multiple-Degree of Freedom Bass-Reflex Laboratory |
何を信じるか |
2014/03/18 |
アンプのウォーミングアップは終わらない |
2014/02/19 |
アンプ試験(3) |
2014/02/08 |
アンプ試験(2) |
2014/02/02 |
アンプ試験(1) |
2014/01/30 |
アンプ試験の準備 |
2014/01/25 |
大山さんのアンプ比較レポート |
2014/01/09 |
ゼロよりマイナスのほうが悪い |
2012/12/31 |
オーディオ的な良い耳 |
2013/05/19 |
ブランドは聴覚に影響する |
2013/06/28 |
オーディオ(音響工学といったほうが良いでしょうが)は物理学が元になっています。
音楽を楽しむのに物理知識が必要か、と問われればそうではありませんが、ある程度は知っていたほうが良いように思います。
物理といっても、本質的に必要なのは、小学校で教わったオームの法則が最重要なのはいうまでもありません。
高校(中学だったかな?)では、キルヒホッフの法則も教わりますが、自作をしないのであれば、こちらは使わなそうです。
そして重要なのが、三角関数です。三角関数は、高校1年の数学で教わるのですが、そこにとどまらず、物理を扱ううえで、必ず使います。
移動する波動の関数での表し方は誰でもが覚えているでしょうか?
意外にそうではないかもしれません。
こういったことも、オーディオマニアになって、位相のウンチクを述べるには、必要になってきます。
私は、多自由度バスレフ型スピーカーを開発するにあたって、ニュートンの運動方程式を使っていますが、趣味だけならそこまでする必要もないでしょう。
しかし、システムの重量がどうだとか、ウンチクを述べるには、やっぱり運動方程式も必要になってしまいます。
その他に、電磁気学とか、知っていれば役に立つ知識は、たくさんありますが、本当の基本は、オームの法則と、三角関数ではないかな、と思います。
これだけしっていれば、怪しい理屈に翻弄されることはないと思っています。
あと、知っておくと役に立つのは統計学でしょうか。
高校の数学?で勉強する範囲です。オーディオとは違いますが、怪しいものに惑わされないためには、すごく役に立ちます。
先日、DIY Audioというサイトのフォーラムを読みました。
前から思っていたのですが、自分の力では、読みこなせない内容がほとんどです。
『お前の英語力がないからだろう』といわれそうですが、どうも、英語力の問題とは思えないのです。
もちろん、文脈から類推できる主語を省略していたり、発音を元に、新たな綴りを表現したり、とそういう難しさもあります。
でも、DIY Audioは、決して、英米の人だけが参加しているわけではありません。
英語が母国語でない人も参加しています。やっぱり、英語力の問題か?いや、違うと思います。
オーディオフリークの使う言葉は、日本語でも、理解できないということを、最近、つくづく思います。
なんか、物理や数学ではないのです。特定の世界に住む人しか理解できない文学表現なのです。
こうなると、もはや、言語の問題ではありません。
確か、1993年のことだったと思います。
当時、米国のピッツバーグというところに住んでいました。
テレビ放送は、当然英語だけだったのですが、突然、国際チャンネルが始まりました。
その枠に、1日2時間位、日本語の番組がありました。
『やった!』と思い、番組を見ていました。野球の選手が話しています。
『??????』何を言っているか全然分からない...これじゃ英語と変わらないな....
その少し後、帰国しました。電車の中で、女の高校生が話している。
『何語????』よく聴いてみると、日本語なのですが、話の内容は、さっぱり分からない...
オーディオフリークの議論を眺めていて、こうした記憶が蘇ってきました。言葉の問題ではないのです。
技術的な論議には、科学知識が必要です。しかし、誤った科学知識に基いた議論では、議論になりません。
自分の経験を元することは必要としても、元の理屈が合っていないと、オハナシになりません。ところが、それで会話が成立している....
すごく抽象的で、何のことか理解不能な文になってしまいました。
要点をまとめると、『物理や数学のような、万国に通用する共通語で話しましょう』と思うのです。
そして、分からないことは、分からない、といいましょう。
知識はゼロでも良いのです。
問題は、誤ったマイナスの考え方。
あり得ない理屈を元に議論を展開するのは、かなり良くないことです。
ううん、このあたりも具体的に書きたいな...
オーディオの似非科学には、似非科学と分かって付き合いましょう。
オーディオ機器に思い入れがあるのはいいことだと思います。
趣味なのですから、大切にしたい。
しかし、一方現実には、懐事情は大抵の人にあります。
お金を無限に投資することは出来ません。
自分には、数百万円なんて、無限の投資に見えるし、数千円でも大切に使いたい。
そして、少ない投資で満足な結果が得られれば、すごく得をした気になります。
少額投資を積み上げると結構な額にはなりますが、まあ、それは、実験の結果を得た満足と引き換えにしましょう。
ブラインドテストの結果に対して、『耳の良いグループと耳の悪いグループとを分けただけだ』というような意見を目にします。
こういう意見を見ると、いろいろな意味で考えてしまうのですが、ここでは、良い耳について考えてみましょう。
目が良いか悪いかは、視力という測定方法があります。
自分の視力は、子供の頃は2.0でしたが、いまは0.1を下回っています。
これは、遠方での視力の分解能を測る試験の結果で、数字は大きいほうが優れています。
逆に、目のすぐ近くでは視力の低い人のほうが分解能が高かったりするので、何とも評価しにくいですが、とりあえず客観的な評価が可能です。
耳については聴力検査を実施しますが、健康診断では、合否に分けるだけで、数値化はしていないようです。
数値化するのであれば、各周波数に対しての、最低音圧を計測できれば、ある程度数値化できそうです。
ただし、視力検査と違って、ノイズが入り込みやすいので、微妙なところでの優劣の判定は難しいと思います。
視力の検査なら、考え事をしていてもなんとかなりますが、聴力の検査だと、検査項目が終わっていたりしそうです。
こうした、音波以外のノイズも無視できないと思います。
ですから、現状では、聴力の限界性能検査を実施ししても不確かさが大きそうです。
視力の検査と違って検査機器の校正も大掛かりになりそうです。
オーディオマニアが耳が良いという場合の定義は、漠然としているようです。
目の前にある機器の違いを講釈できたり、内容不明の音楽ソースのちょっとした違い(本当にそれがあるかどうかも不明でも)を指摘したりできると、
『耳がいいね』といったりします。
こうした耳自慢を集めてブラインドテストをした結果は見たことがないので、本当に耳が良いのかどうか分かりませんが、
耳自慢の人は、知識自慢と共通するところがあるようです。
結果が悪ければ、『他の機器が悪い』、『ソフトが悪い』、『部屋が悪い』、『セッティングが悪い』、『ケーブルが悪い』などなど、
反論が多様なので、こうした人達の耳を測定するのは不可能でしょう。
ブラインドテストでは、最大の武器である知識自慢を利用できないので、耳自慢の人の人には不利なテストになります。
そのため、試験用の装置には、何千万円もかけなかればならず、耳の良い人の試験は、実質的には不可能といって良いでしょう。
実際に、機器のちょっとした違いを気にする人は、ブラインドテストを好まないようです。
一般的に耳の良し悪しの違いには、知識の有無が関係します。
再生音楽でも生演奏でも、知識がある人は、聞き所を心得ているので、一般の人には分からないような違いが明確にわかります。
特に実際に楽器を演奏する人は、その楽器についての知識が深いので、説明を聞くと驚くことしきりです。
しかし、これは、耳の良し悪しとは違うように思います。
このように耳の良し悪しは、とらえどころがなく、このことは、音の善し悪しの評価が難しいのと同じような感じがします。
ブランドは大事ですね。
空港の免税品コーナーでは、効果なブランド品が並んでいます。
自分は興味ありませんが、女の人などは、効果なブランド品が好きだったりします。
ブランドが付くと、デザインと品質に保証が付いた感じがします。
ブランドとはそういうものです。
オーディオ全盛期の1970~1980年代には、日本の大手家電メーカーがオーディオ事業に参入しました。
東芝、日立、NECなど、それまで音響機器に縁のなかった大メーカーがオーディオ事業に乗り出しました。
大手メーカーの技術は素晴らしく、どれも、他には真似できないような優れた製品が出ました。
しかし、事業の調子はよくなかったようです。
新規参入者の多くは撤退していきました。
国産の大手家電メーカーなんて、品質に特別保証が付いたような感じがしますが、オーディオマニアの心はくすぐらなかったようです。
メーカー側にしても、思ったほど販売が伸びなかったのでしょう。
普通の家電とは違うマーケットでの勝負だったので、販売ノウハウもなかったかもしれません。
その当時は、20万円でも十分高級品でした。
それだけ、オーディオ製品のマージンは低かったと思います。
いまになってみると、大手メーカーの文化は、オーディオマニアの文化に合っていなかったのかなと思います。
1970年台は、まだ、製品ごとにスペックが違いました。
アンプの歪率も、0.1%を超えるものもあったし、S/N比も70~80dB位だったと記憶しています。
ですから、スペックを上げてゆくことは課題のひとつでした。
大手メーカーは、技術力で勝負したいと思っていたでしょう。
CDが発売された頃には、スペックの差はあまりなくなっていました。
そうすると、性能に対する技術の勝負ではなくなってしまいます。
同じ性能のものをいかに安く作れるか、というコストの勝負になります。
しかし、オーディオ市場においてはそれも誤った戦略だったでしょう。
スペックが同じようになると、次は、印象度の勝負になります。
おそらく、いまも当時も、ブランドが最も印象を決定付ける要素だったと思います。
音工房Zの大山さんのメールマガジンにローコストアンプの聴き比べの記事が出ました。
5台全てを自腹で購入したそうです。
ローコストとは云っても、1台2万円前後しますので、10万円以上の出費です。
このことが何故すごいのかというと、スポンサーがいないことです。
オーディオ雑誌は、スポンサー収入で成り立っているので、記事は、殆どが広告だと思って間違いありません。
スポンサーのいうことは悪く書けるはずがありません。
これは、オーディオに限らず、新聞やテレビ番組も同じです。
ですから、記事を読むには、背景を知っているほうが良いのです。
ところが、大山さんの記事は、スポンサーがいないのですから、そのまま読めば良いのです。
もちろん記事を書いた本人の嗜好のフィルタが掛かっていますから、それは、記事の中で読み解きましょう。
内容については、ここで書くわけにはいきませんので、そこに書いていない話題について触れてみましょう。
記事を読んだ方は気付いたと思いますが、最も重要なことは、順位を付けなかったことです。
つまり、これらの機種の間には、差をつけるような質の差を感じなかったということです。
こう思って、Stereo誌のベストバイを読むと、どうでもいいような点差しか付いていないことに気付くでしょう。
評論家の先生も、あまり外れたことは書けないということです。
では、何がいちばん大切でしょうか。
大山さんは、最初にスペックを比較しています。
スペックの比較は、誰でもできるのですが、買ってみなければ分からない仕様もあります。
私は、ブログに書いた通り、大山さんの比較記事にあるリストの中の、ヤマハのA-S300を所有しています。
このアンプには、省エネの機能が付いています。
最初に、私は、この機能に悩まされました。
この機能がいったん働いてしまうと、リモコンでしか復帰出来なかったのです。
自分はリモコンはなるべく使いたくありません。
たとえば、リモコンのヴォリウムを肘とか、雑誌とかで押していたのに気づかないと、最大パワーでスピーカーを壊すこともあり得ます。
犬や猫を室内で買っている人などはさらに注意が必要です。
ヴォリウムをいっぱいに上げた状態で、音の出ていないソースから音の出ているソースに切り替えれば、間違いなくスピーカーを飛ばします。
リモコンにそのような危険が避けられない以上、完全に対策した状態でない限り使いたくないというのが本音です。
そこで取説を良く読むと、省エネ機能を背面のボタンで殺せることが解りました。
これでようやくリモコンなしで使えるようになりました。
大山さんのレポートもこの機能について触れています。
少しだけレポートの内容に触れておきましょう。
気になる表現が1箇所ありました。
パイオニアのA-10は、同じ音量にするために、ヴォリウムを30度程度大きく回さなければならないそうです。
大山さんのレポートには、カタログスペックでの出力の低さと関連付けて説明していましたが、ヴォリウムの角度と定格出力とは直接関係ありません。
定格出力が低くても、ヴォリウム小で爆音にすることは可能で、そのほうが喜ぶ人は多いと思います。
そのようにしなかったのは、パイオニアの技術者の良心でしょう。
ヴォリウムを大きく回せるほうが音量調整が細かくでき、通常の使用が容易です。
個人的には、事前に知っていれば、そのようなアンプを選びたいと思います。
繰返しますが、注目すべき結果は、それぞれにほとんど差がわからなかったということです。
後から比較に加えた、LAXの付録アンプLX-OT3だけは差が分かったということは、このアンプが価格なりの性能ということでしょう。
LX-OT3は私も使用していますが、広告誌の付録として、あの価格は少し高すぎるのでは?というのが私の実感です。
市販ローエンドのコストはLX-OT3の10倍では済まないはずです。
アンプを作ってみると、最も高価な部品は、トランス、筐体、放熱器であることがわかります。
またプリアンプは意外に高価です。
LX-OT3にはどれも付いていません。
市販のローエンドアンプは価格に合わないほど高級仕様で安すぎるわけです。
LX-OT3の最大の売りは省エネ仕様でしょう。
これには、市販のプリメインアンプは、全く敵いません。
ながら聴きには、LX-OT3で十分です。
ということで、私もLX-OT3を使っています。
捨てるときに簡単なのもメリットのひとつと云えます。
で、何を書きたかったのかというと、本当にやってほしいのは、もっと高価な機器との比較です。
これは、議論の元になるので、秘密でしかできないと思いますが。
実は、私は上級機とローエンド機との違いの大部分は、回路と関係のないあるモノにあると想像しています。
それを実験してみたいと思っています。
大山さんがA-S300を処分しないでいれば、それが可能になりますが、やっても公開できないので、やらないほうがいいかもしれません。
このところオーディオとの付き合いを自粛してきましたが、そろそろ自分の疑問に思っていたことを実験しようと思います。
今回は、アンプがテーマです。
当たっているかどうかは分かりませんが、アンプの評価には、重大な観点が抜けているのではないかと思います。
自分がそうであるように、多くの人は、アンプの能力の1%を下回る使い方をしているのではないかと考えています。
自分の使っている出力は、平均では1Wを大きく下回り、平均では0.0x%位ではないかと思っています。
ところが、自分のメインアンプ、アキュフェーズのP-350は、片チャンネルで150Wもの出力があります。
これを購入した当時は、ある程度パワーがあったほうが瞬間的な負荷に対応できて良いのかと思っていたし、
セパレートアンプを使ってみたかった、という憧憬の動機もありました。
P-350を使い始めた当初は、それまで使っていたマランツのPM-80aというプリメインよりは随分良くなったように感じました。
今は、PM-80aは処分してしまっているので比較ができませんが、その後、こうした比較に疑問を感じるようになりました。
そこで、一昨年に、プリメインの中でも最も価格の低いグループにあるヤマハのA-S300というプリメインアンプを購入し、P-350と比較してみました。
すると、自分の耳では、差が分からないことがはっきりしました。
これは、製品の質に差がないという理由ではなく、アンプ本来の設計性能に対して正しく使用していないことが原因だと思います。
産業用機器を使用するときは、実使用において、設計仕様の100%で使用し、能力が不足することは珍しくありません。
ところがオーディオにおいては、ゆとりがあることがステータスのようになり、
ゆとりのないのはオーディオマニアの使い方ではない。
また、ゆとりこそが、高音質再生に絶対必要だ、という議論が見られます。
産業用機器を使用するときは、まったくこの逆で、適切な負荷で使わないと正しい性能を発揮しません。
産業用機器ではありませんが、1mm以下の厚さを測定するにはノギスやマイクロメータが必要で、100mの巻尺でこれを測ることはナンセンスです。
オーディオ機器については、これと真逆のことをやっていて、マイクロメータとして使用できる100mの巻尺を求めているのです。
150Wもの出力のあるアンプを0.0xWの出力で使って質を求める、というとんでもないことをやっている訳で、自分の浅はかさ加減を強く感じるのです。
さすがに、P-350をいじるのは勿体ないので、A-S300を実験台にしようと思っています。
実験台とはいっても、回路には手をつけません。
しかし、一旦蓋を開けるとメーカー保証はなくなり、すべて自己責任になります。
自己責任とはいっても、もともと、このアンプは、材料費よりも安いので、壊れても使い道はいろいろとあります。
何をするかというと、内部の温度を測るだけです。
そのためにアマゾンに非接触式の温度計を注文しました。
明日入荷すると思うので早ければ、明日試験を開始できますが、実験そのものは、まる2日位かかるので、次の週までお預けでしょう。
オーディオマニアが見たら、おもしろくも何ともなく、蔑まれそうな実験ではありますが、
研究開発に携わっている人が見れば面白い実験になると思います。
すごく単純なことですが、多分、オーディオメーカーでは、今までに実験したことがない内容だと思います。
もしも実験していれば、今のようなオーディオ文化にはなっていなかったかもしれません。
温度計測で、方向性が出れば、少しいじってみたいと思います。
もちろん回路には手をつけません。
結果は公開できないと思いますが、親しい人とは結果を共有したいと思います。
放射温度計を購入したので、アンプの温度上昇の計測をしてみました。
実験に使用したのは、ヤマハのA-S300というローエンド機です。
A級動作ではないアナログアンプです。
出力は、片チャンネル60Wもあります。歪10%なら100Wまで出力します。
B級かAB級動作でしょう。
A級と比べるとアイドリング電流が小さいのでウォーミングアップには時間がかかると云われています。
今回は、この、ウォーミングアップの特性を知りたいので、好適なサンプルと云えます。
アンプの価格帯は幅が広く、AB級のアナログアンプでも実売価格3万円弱のローエンドから数百万円以上のものまであります。
こうしたアンプの差は何なのか。
価格差の大きな要因は、コスト差です。
アナログアンプは、高価な部品を使うので、特別な部品を使えばコストがそれだけ上がります。
販売数量の小さな高級アンプは、高級な部品をふんだんに使っていることが多いでしょう。
その他のコスト要因として、宣伝費と販売費用があります。
高級アンプは、店頭デモを聴き比較して買うのが普通なのでコストがかかります。
それに、壊れたら修理して使うので、サポート費用もコストに追加されます。
宣伝費用は、かなりのウェイトを占めるかもしれません。
それに対してローコストアンプは、一般部品を大量に一括購入し、宣伝費用も掛けずに売るので、かなり割安になります。
高級アンプとローコストアンプとの性能の差は、価格差とはかなり違っているはずで、
私は、ローコスト製品の価格に対するコストの掛け方に目を付けて選びました。
今回は、蓋を開けるので、メーカーからすれば、壊しているのと同じです。
温度計測のためには、不本意ながら上蓋を開ける必要があり、これによって、メーカーサービスは無効になります。
やむを得ませんが、知りたい欲求には勝てずに実施しました。
アンプの温度上昇を知りたい理由は、ウォーミングアップを効果的に実施したかったためです。
アンプは、スイッチを入れて暫くは、音が固く、耳が疲れます。
しばらく鳴らしていると、音が滑らかになるように感じるのですが、自分の所有するアンプは、
半自作品以外は、音質が安定するのにすごく時間がかかります。
というか、本当はウォーミングアップが永遠に終わらないのではないかと疑っています。
ですから、本当にウォーミングアップできているのか、ある程度定量的に検証したかったのです。
自分の使い方では、アンプの出力は、かなり音量が気になる状態でも平均すれば0.1W以下だと思います。
そんな出力で本当にアンプのウォーミングアップが進むのかも疑問だったし、
クラシック音楽のようにピアニッシモが長いと温度が下がってしまうのではないかという疑問もありました。
どの部分の温度が音に変化を与えるのかは更に追求が必要ですが、
電気抵抗だけ考えれば温度が低いほど抵抗が低いので、
アンプのユーティリティーとなる電源部分の温度変化は後回しにして、
増幅段であるパワーIC(計測したのは放熱器部分)の温度変化を観察することにしました。
そこで最初は、以下の2つの実験をしてみました。
前回に引き続き、アンプの温度上昇を計測をしてみました。
実験に使用したのは、ヤマハのA-S300というローエンド機です。
動作は、AB級動作でしょう。
前回は、無負荷状態の温度上昇と3W連続出力時の温度上昇について調べました。
その結果、無負荷(アイドリング)状態では、パワーICの温度が5℃位しか上昇しないことが分かりました。
今回は、前回の追試験を兼ね、1W、3W、5Wでの温度上昇を確認しました。
前回は、放熱器の温度を測ろうとしていましたが、今度は、パワーICの表面付近の温度も測りました。
いずれにしても誤差は出ますが、このほうが差がわかりやすかったためです。
前回は、各状態で1時間位様子を見ましたが、今度は面倒なので、1Wから順に出力を上げ、20~30分程度で
温度が定常に近くなったとしました。
その結果は、以下の通りです。
因みに室温は16℃だったので、夏場には、十数度加算する必要があります。
またも、アンプの温度上昇を計測をしてみました。
実験に使用したのは、同じくヤマハのA-S300というローエンド機です。
前回も放熱チューニングしましたが、今回は更にチューニングを強め、温度を高くしました。
放熱チューニングというのは、要は、温度が上がるようにする機械的な工夫です。
しかし、自己責任を理解できない人が真似しては事故の元なので詳細は書けません。
電気的な改造は一切しておらず、蓋を開けて、メーカー保証を無効にしたことを除けば、
簡単に元の状態に戻すことができます。
メーカーがこのような実験をしているかどうかは不明ですが、多分やっていないでしょう。
アナログアンプは、低インピーダンス負荷に対して、入力電圧を増幅するだけのものです。
デジタルアンプのように効率が良くないので、出力のエネルギにならない多くの部分が熱になります。
この熱を逃さずに、半導体の許容温度を超えると一発で破壊されます。
ですから、定格負荷でも十分に放熱できるようになっている訳です。
アマチュアでアンプを作る人は、メーカー製のような大きな放熱器を付けません。
大きな放熱器はそれだけ高価だし、限界試験をしないので、チップを焼切る心配はあまりありません
たとえ焼き切っても、自分で修理できるので、そんなに大きな放熱器でなくても困らないのでしょう。
今回実験台となった、A-S300には、2SC4468と2SA1695というパワートランジスタが対で使われています。
これは、Oさんに教えて頂いて、自分でも確認しました。
仕様書を見ると、150℃で壊れるようです。
そこまで温度を上げるわけにはいかないので、余裕をみて、
5W連続負荷でも表面温度が100℃に達しないようにしました。
今日は気温が低いので、夏場ではこれに十数度加算する必要があります。
実験を開始したときは、室温が13℃でしたが途中から暖房を入れ最後は21℃まで上がりました。
そして、左右の4つのチップのうちひとつは、5W連続出力時に表面温度が90℃を僅かに超えました。
まだもう少し大丈夫なのかもしれませんが、これ以上は危険と判断しました。
ということで、放熱チューニング実験はこれが最後です。
途中から室温が変わったので、以下の結果は計算が合いませんが一応記録のために書きます。
前回までは、ある程度定量的な検証が必要と思い、正弦波で一定出力のときの、パワーICの温度上昇を
検証してきました。
しかし、実際には、そういうウォーミングアップはしないので、今度は、実際に音を聞きながら
温度上昇を検証してみました。
放熱はノーマルの状態ではなく、放熱抑制のためのチューニングをした状態です。
写真を載せられないのが残念ですが、技術者の方は、文面から何をしたかを読取ってください。
技術者でない方は、真似すると事故になるので、私が何を問題と思ったかだけを情報としてください。
まず、最初にモーツァルトのヴァイオリン協奏曲を3曲鳴らしました。
大音量ではありませんが、賃貸アパートでは上下左右から苦情が出るくらいのレベルです。
ウォーミングアップもアイドリングもなしで、いきなり鳴らし始めました。
1曲終わっても、温度は5℃くらいしか上がりません。
3曲目に入っても、もうそれ以上温度が上がりません。
アイドリングの状態と大差ありません。
しょうがないので、放熱抑制材を追加しました。
それでも、温度は大差ありません。
大差ないというのは、音の大小によって温度が上下するので、実際の温度変化が分からないという程度の差しかない
ということです。
音楽を、少し平均出力が大きめと思われる、ピアノトリオに変更しました。
それでも、ドラムが連続して鳴るところで少し温度が上がるくらいで、ピアニシモや、曲の変わり目では、
温度がすっと下がります。
最後は、これ以上不可能なところまで、放熱抑制材を追加しました。
するとようやく、数℃温度が上がりました。
それでも、パワーICの表面付近温度は30℃に届きません。
室温が14℃位だったので、夏なら40℃を少し超えるだろうところです。
今回試験したアンプは、前回と同じくヤマハのA-S300というローエンドプリメインアンプです。
実際に使うときの出力は、計測負荷のですが、温度の上がり方から推定すると、平均では、0.0xW以下
くらいでしょうか。
このアンプの最大出力は、60Wもあります。
実態は、スペックの数千分の一位の平均出力で使用しているということでしょう。
さて、音は、と云うと、それでも、放熱を抑制しない標準状態で使用したよりも少し、滑らかになった
ように感じます。
この効果の確認は、他の人も交え、無対策品と比較する必要があります。
今回分かったのは、使用中でも、ピアニッシモの部分や、曲の変わり目で温度が下がるということです。
つまり、温度の上昇要因よりも、放熱要因のほうが上回っているということです。
全てのアンプで同じとはいえませんが、殆どの場合、いくら鳴らしても、ウォーミングアップの効果は
ほんの少ししかないのではないでしょうか。
アンプのスペックや放熱設計はこれでいいのでしょうか?
アンプの放熱実験はしましたが、チューニングでは、オリジナルとの温度差が数℃しかないせいか
聞いて分かる程の差はありませんでした。こういうものは、気長に検証しましょう。
さて、STAP細胞の研究がすごいことになっていますね。
報道されている内容をどこまで信じればいいのか分かりませんが、
本当に盗用していたら、『コラ!』では済まないレベルです。
いろいろと事情があるのは理解できますが、仕切りなおしてしっかりと成果を上げてほしいと思います。
これを機会に、大学の指導も原点に帰ってほしいと思います。
日本の科学技術の底力は捨てたものではありません。
オーディオの世界では、常に意識しなければならない問題は、何を信じて良いのか、です。
科学技術の世界では、研究論文の発表の後に、多くの科学者が追試験を実施して、研究の真偽が審査されます。
しかし、オーディオの世界には、そもそも、研究論文が非常に少いのが実態です。
しかも、オーディオの研究に興味を持つ人が少いので、公的な追試験は、まず、期待できません。
純技術的な研究であれば、追試験やそれを元にした研究が可能ですが、
『音が良くなった』の類は、追試験も不可能な場合が殆どです。
そもそも『音が良い』の判断基準も十分に示されている訳ではないので、追試験以前の問題ですね。
オーディオ以外にも世の中を見回すと信じられないことがたくさんあります。
上に書いたように、科学技術論文でさえも、怪しい例が明るみにでてしまった訳なので、
人目を惹かない研究などは、何でもありなのかもしれません。
自分が最近気になっているのは、報道が最も信じられないという事実です。
昨年は、秘密保護法案で、報道の自由が保障されない、なんて、マスコミが騒いでいましたが、
マスコミは、自分に都合が悪いことは、報道しません。
ですから、国会審議など、どうでも良いところばっかり報道して肝心なところは、ニュースにしないわけです。
特定秘密を批判するマスコミが、知らせるべき内容を隠してしまうわけですから、報道なんて、信じるに足らないものです。
最近は、インターネットの普及が進み、頑張って調べれば、かなりのことが調べられるようになりました。
ですから、マスコミが何を隠したのか、そこもある程度は知ることができます。
今最も話題になっている、クリミア情勢にしたって、マスコミは、ロシアが悪いと大騒ぎしていますが、
民主的に選ばれた現政権を暴力で追い出したウクライナ暫定政府に正義があるのでしょうか?
なにが正義であるかは、事実を知った人が、それぞれ判断すべきことであり、マスコミが決めることではありません。
報道は、事実のみを伝えるべきであって、特定の方向に世論を導けると考えるのは、思いあがりです。
今後は、コンピュータリテラシーが上がり、尊大なマスコミは淘汰されていくのでしょう。
さて話を戻すと、信じられる情報というのは次の条件を満たす場合と考えています。