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9月4日は、スピーカー再生技術研究会のオフ会でした。
中野ZEROという立派な会場を借りることができました。
左記のようにチラシも置いて頂きました。
ここまでやったら気合が入らないわけはありません。
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発表は自分から。最初に挨拶をしなければならないこと、また、遅れ
を吸
収する目的から、最初でなければならないのです。
発表作品は、タモリ倶楽部で放送された。ペットボトルスピーカー。形式は、見た通りのMCAP-CR型。小さくて軽いのに、恐ろしく場所を食う。ゲテもん
工作実験室の松さんも認めるゲテもん中のゲテもんである。
今井さんに特性を測って頂いたら、4〜5メートル離れた位置で殆どフラットった。これには自分もビックリ。偶然とは云え、本当かなあ...
音は意外とまともで、見た目と音のギャップには、面食らった方もいらしたようだ。
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加藤さんは、リングダクトのダブルバスレフタイプ。リングの外側を
スパ
イラル構造にしたものとストレートのものと切り替えて比較できるよう、部品を準備してある。
スパイラル構造のもののほうが、癖が少なく上質な印象を受けた。これには裏話がある。
加藤さんが組立てたP-800の片側がどうしてもビビるということで、私が組立てたものに直前に交換した。このため半田付もなして、エージングゼロの状態
だったのは残念だった。少しピアノがざらついてしまったのはこのためだろう。
加藤さんは塩ビ管のMCAP-CR型も持ってこられた。写真がブレてしまってお見せできないのが残念である。副空気室が長かったので、少しパイプの癖を感
じた。パイプを空気室にする場合には、副空気室でに何らかの吸音処理が良いかもしれない。
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今井さんは、測
定機
材一式を持ってこられ、測定の実演を行った。
ボランティアとして差し出されたのが、金子さんの、密閉型スピーカーシステムである。
金子さんの作品は、内部にダクトを設けた密閉式である。これは、自分のDie Bremseのうまくいかなかった初期型と同じ構造である。
この構造は、自分では改良する事が出来なかったが、さすがに金子さん、十分な低音を自然に再生できる方式に磨き上げられた。
今井さんの実験台になって、良い音特性に調整したところ、低域は豊かになったが、逆に高域が甘くなってしまった。これは、バランスが低域よりにシフトした
ためだけではなく、振幅が大きくなってしまい、高域にドップラー効果の歪が出来たためではないかと思う。
金子さんの作品の特徴は、中高域が美しいことである。ゆとりのある空気室容量と、背面の傾斜だけでなく、内部のダクトが吸音効果を発揮しているということ
で、これは納得出来る。
内部の構造を見たりできるのも、この研究会ならではのこと(自慢しておきます)。4つの孔の先は全部別の部屋である。
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松
さんの、ASURAは圧巻である。長岡先生のヒドラの記事に感銘を受けて改良を重ねた。スピーカーユニットが全て外向きになったヒドラとは違い、ユニット
が内側を向いたりして、音源がどこか分からないようになっている。長岡式ヒドラを更に追求して追い込んだ最終形かもしれない。
まるでそこで実際に演奏しているかのような音。見事なカシュー仕上げでプロの作品を超える。
音は、まさに自作で行き着いたハイエンド作品である。市販したら1,000万円超の音と言って良い。世界初公開のこの音を聞いた人は得したと思う。
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西尾さんの作品は、ゴムでエンクロージャを自作している。
左は、Fostexの標準箱で、これも良いが、ゴムのエンクロージャで工夫した音のほうが心地良い。
レンジを欲張らず、自然な音を目指した西尾流である。
ご本人は、広い会場での音に、微妙な面持ちであった。いい音だと思うが、作った本人は、厳しい自己評価のようだった。
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大沢さん開発の多重共鳴管は会場にいた人々を驚愕させた。
8cmユニットを小さなチャンバーに取付け、そこから一絞りして共鳴管を駆動する構造である。MCAP-CR構造を見て思い付いたとのことだが、この改良
は共鳴管の夜明けとも云うべきと思う。
8cmとは思えない大音量で、超低音を再生する。共鳴管の出口にぶら下がった紙は、大沢さんのご愛嬌で、共鳴の効果を視覚で確認するためのもの。動画でも
撮影したが、サイズが大きすぎるのでアップロードはできそうにない。
共鳴管構造や長さを検討して試作を重ねただけあって、殆どフラットな特性に感じる。見事と云うしかない。
ここまで大音量が出せるのは、共鳴負荷がしっかりかかっている効果か。
音に無理を感じさせないのは、バックキャビティが単純な箱ではなく、曲面になっている効果だろうか。
これを聞いて、共鳴管を作りたくなった人は多いと思う。
ポート切り替え式のMCAP-CRは実験には持って来い
で、
ゴム栓をしながら全面のポートを使ったり、背面のポートを使ったり切り替えてのデモとなった。
背面にはパイプが突き出ていて、そこに径違いソケットを付けたら、音が力強く変わるのは感じた。ホーン効果ではなく、ダクトの効率を上げるのに効いている
ようだ。
また、背面のダクトを全部繋いでAICC-CRにしたら、やはりAICC-CRの音になった。これは面白い。
さすがに大沢さん。
残念なのは、時間が不足して、木製共鳴管システムを聞けなかったことである。
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高橋さんは、タンデム駆動のISOBARIK方式にダブルバスレフ
の組
合せである。ダブルバスレフは、長岡式ではなく、副空気室が小さめのFostex式である。
ゲーム音楽用の安価なユニットを使いながら、ISOBARIKの効果で、小さな筐体に仕上がった。PSTで高域を落としてフラットな特性を狙ったが、自分
には、そのままの音のほうが好みだった。このあたりの好みは人それぞれで、自分と同じ意見の人は周りにはいなかったようだった。
仕上げのセンスも抜群で、高橋さんの今後の研究に期待したい
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手作りアンプの会でお馴染みの石田さんは、13cmのウッドコーン
フル
レンジをウーファーに使用した2ウェイである。中高域を落とすネットワークも凝っている。
流石にエキスパートに石田さんだけあって、市販品のような、市販品を超える音。自分のような素人が作ったネットワークの音は聞けたものではないが、エキス
パートの作品は歪みなくピュアな音がする。
ネットワークを外した音を聞くと、少し高域がザラザラと感じた。ネットワークを通したほうが明らかに良いというのは、とても勉強になった。
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最後は、復興支援のチャリティーオークションである。
会員内外から集まった、復興支援の供出品がずらりと並んだ。
出品数が多いので余りが出るか心配したが、全部捌けてしまった。
出品作の中には、マニア垂涎のFE88ES-RやFE108Sもあった。これらをヤフオクで買った人は、悔しがる超買得値で落札されていった。
超お得だったのは、松さんのASURAを、Stereo誌コンテストように設計変更したASURA?である。この見事な作品は、市販できないほどコストが
かかったモデルである。これを落とした方は一生自慢できそうだ。
チャリティー総額は、108,600円!
皆様どうも有難う御座いました。
送り先と、領収書は、後程研究会のサイトで公開します。
こういうのはいい企画かもしれないので、来年も出来たらやりたいと思う。
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オフ会が無事終了して最も大変だったのは後片付け。これは2回目な
がら
疲れた。
昨年は、片付け用の時間をたっぷりとっておいたのでゆっくり片付けられたが、代わりに、皆で話し込んでしまい、打上が遅れてしまった。
今年は、17時までしか借りられなかったので、16:30に閉会して必死に片付けである。17時には無事に明け渡すことができた。
そして疲れを流す慰労会。美味い酒だった。
今年は台湾からもお客さんを迎え、台湾支部が出来そうな勢いである。
アマチュアの研究成果万歳!
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