MCAP-CR
多自由度バスレフ型スピーカーシステムの研究開発
物理モデルに基くシミュレーションソフトウェア開発




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11/02
アンプ改造の設計ミス
11/09
Stereo誌 -スピーカープレゼント当選
11/14
プログラミング の再開
11/25
英国ロイヤルオ ペラとナショナルオペラ
11/28
プログラミング 進行中
11/29
初期デバグ完 了!
12/01
見えてきた課題
12/03
C++コンパイ ラ
12/05
シミュレーショ ン結果一部公開
12/10
Tangband のW5-1880
12/11
ミューズの方舟 2011
12/14
PC故障/シミュレーション進行中
12/16
FFTWライブ ラリ
12/24
多重共鳴管の試聴
12/26
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2011/11/02

アンプ改造の設計ミス

11月6日は、『集まれ!塩ビ管スピーカー』のオフ会なので、ミスがないかシステムをチェックした。
ゲイン調整は、最大と最小だけ計算して安心していたが、角度とゲインの対照をラフにでも作ろうかと思い、計算してみて驚いた。ゲインつまみは最大付近で調 整代があるだけで、少し左に回しただけで、殆ど最小ゲインになってしまう。これでは調整が殆どできない。自分の設計ミスであることがわかった。

そこで、ゲイン調整用の可変抵抗を30kΩから2kΩに変更して調整代を稼ぐことにした。最小ゲインの値は元の設計より大きくなるがそれでも、最大 7.8dBゲインを落とすことができる。これだったら、1kΩの可変抵抗を直列に繋ぐだけで良かった。バカだなあ。

とりあえず、システムはこれで完成したので、11月6日が楽しみになった。

2011/11/09

Stereo誌-スピーカープレゼント当選


先月末から個人的にはいろいろなことがあって大変なところだった。そん な中で、いいことがいくつかあった。

今週は『集まれ!塩ビ管スピーカー』のオフ会で楽しめたし、先月のStereo誌のコンテスト表彰式で、浅尾さんのスピーカープレゼントに応募したら当選 してしまった。

スピーカー自体は先週の土曜に配達されたのだが、忙しくてそのまま置いてあった。

梱包は簡易的で、ユニット部分に段ボールを被せ、その他はエアキャップで巻いただけであった。これで大丈夫かな、と思っていたら、アレアレ...

梱包を解いたところで、ツィーターが落ちた!

????と思い、よく見ると、フルレンジのFF165WKもビスが外れている。

何で???

こんなことはあり得ない、と絶句した。

幸い、ユニットには傷は付いていないので、何とかなりそうだ。

角は、写真のように潰れていた。

音には関係ないから、まあいいか.....

外れていなかったもう片方もチェックすると、やはり、木ねじが全部緩々だった。

どうしてか分からない。運送によってネジが緩むとは考えられない。ネジが全部緩むほどの状態なら全体が相当なダメージを受けるはずだ。

今回のダメージは、角の1箇所だけで、他にはダメージは見られない。

修理のために、木ね じを外してみた。

木ねじの孔は全部緩かった。締めても締まらないほど緩い。というか、木ねじの役割を果たしていない。

何度も外して調整したんだな、やっぱりプロの仕事は大変なんだ。と感心しながら、修理を開始した。自作している自分にとっては大した修理ではない。

爪付ナットでも付けようかとドリルで孔を拡げたところ、板厚を超える深さの孔になった。孔の向こうは補強の桟が入っていた。これでは、爪付ナットは使えな い。

しょうがないので、孔を5.5mmに拡げて、M4の鬼目ナットを捩じ込んだ。鬼目ナットは綺麗に入った。

これで大丈夫、とひと安心と思ったら、ツィータフランジの孔にM4が入らない。M4と思い込んでいた自分が馬鹿だった。

しょうがないので、裏から、M3のフランジナットを嵌め込んで、何とか留まった。

フルレンジのほうは、M4の鬼目ナットで全然問題なかった。

爪付ナットより鬼目ナットのほうが良いのかもしれないと思った。



修理後は、写真のように、ツィータ、フルレンジとも問題なく付いた。

オリジナルの状態よりしっかりしていると思う。

しかし、疑問に思ったのは、試聴のときの取付状態である。ユニットはゆるゆるにしか付いていなかったはずで、本来の性能が発揮されたとは思えない。

そんな状態で試聴したのだろうか?

木ねじは、何度か外すと確かに緩むが、2,3回の取外しではここまで緩むことはない。恐らく、下孔が大き過ぎたのだろう。その証拠に、下孔は、補強の桟に まで達していた。

まあ、せっかく頂戴したのだから、楽しまない手はない。


修理が完了したところで、早速、居間で試聴した。

適当なスタンドがないので、円柱形も木材を3点接地して床に置いた。

最初は、イマイチな音がしたのだが、1時間もすると、真価が発揮されてきた。

印象は、市販品と肩を並べる音。自作では、仲々この味は出せない。滑らかで、大人しく、刺激的な音は出さない。フラットな特性を感じさせる素直な音であ る。

フルレンジにもネットワークが入っているのかと思ったが、同封されていた記事のコピーを読むと、ツィータにだけ12dB/Octのネットワークがあるだけ で、フルレンジの方は、スルーになっている。

プロが設計すれば、Fostexのフルレンジでも、こんなに癖のない音が出せるのか、と感心してしまった。

音楽の友社さん、どうも有難う御座いました。


2011/11/14

プログラミングの再開

プログラミングの勉強を始めた という日記を書いてから既に2年以上が過ぎていた。分かりやすいところから先に手を付けてしまうので、仲々進まなかったが、まとまった時間が出来たので、 再開することにした。

目指すプログラムは、バスレフシステム のシミュレーションに 記載した内容を、多自由度バスレフに拡張することである。式は出来ているのだが、実際にシミュレーションプログラムを作って実行してみなければ、疑問は解 けそうにない。プログラミングは仕事ではないので、追い迫られることもなく、ついつい先延ばしになっていた。怠けていたのは、プログラミング言語という障 壁があったためである。

自分は、もともとプログラムが専門ではないので、FORTRAN言語で、学校の研究用プログラムを書いた程度の経験の他は、Excel VBAで集計プログラムを書く位のことしか経験したことがなかった。米国に留学していたときには、手軽に入手可能なC++コンパイラを使って簡単なプログ ラムを書いたりもしたのだが、FORTRANよりは使い勝手が悪く感じていた。

現在は、Windowsベースでは、Borland C++ Compiler 5.5(BCC32)が、Linux系では、GCCコンパイラが無償で使用できる。MicrosoftもGUI付きのVisual C++を配布している。自分はGUIには興味がないので、GCCとBCC32使用する。多少違うが、大きな問題ではない。GCCを使用しておけば、 Linuxで使用できるので一般的である。

最初にLinuxベースで、勉強を始めた。エディタには、定番のviを使用する。viは、愛想悪く見えるが慣れてくると使いやすい面もある。viエディタ で、書籍のサンプルプログラムを打込み、GCCでコンパイルする。疑問に感じたところを変更し、再びコンパイル、実行を繰り返すとだんだん理解してくる。

今日は、行列の掛け算のプログラムを書くところまで出来た。途中で、プラットフォームをWindowsに変更したら、viエディタで書いたプログラムの改 行が全部繋がってしまっていた。改行コードが違うのでしょうがないが、プログラムが短いので修正は大した手間ではなかった。

慣れてくるとC言語が身近に感じられるようになった。計算プログラムだけだったら、FORTRANもC++も不要な感じだ。この調子だと、Cだけで行けそ うである。

課題はまだまだ残るが、順調な出足だろうか。何とか今月中には、標準MCAP-CRのシミュレーションを実行したい。研究に終わりはないなあ。

2011/11/25

英国ロイヤル・オペラとナショナルオペラ

こんなことをしている余裕はないはずなのだが、11月16日から23日までロンドンに旅行した。自分の身の丈に合わないマンダリン オリエンタル ホテル と英国航空のプレミアムエコノミークラスは随分快適だった。また、幸運にも、ロイヤル・オペラとナショナルオペラでの公演を特等席で鑑賞することができ た。

Royal Operaは、日本でも有名なオペラ座でロンドンのコヴェント・ガーデンに本拠地を置く。訪れたのは11月18日で、演目はベッリーニの『夢遊病の女』 だった。
座席は、最前列の中央向かって右側という特等席を入手できた。日本では絶対に入手不可能な席である。チケットは、110ポンドなので、現在の為替レートで は、13,000〜14,000円というところである。日本での引越し公演だったら10万円近いかもしれない。
席からは、舞台だけでなく指揮者とオーケストラの動きを見え、息遣いまで感じることができた。普通は舞台の歌手にばかり注意が行くのだが、指揮者は、オー ケストラに最上級の配慮をしているのが分かった。曲目は渋かったが、演奏が素晴らしく、この公演を聞いたところで、もう帰っても良いくらいに思った。

English National Operaは、実のところ知らなかったのだが、調べていて見つかったので、チケットを購入した。最初に間違って、Royal Operaと同じ日のチケットを買ってしまったが、親切に2日後の公演のものに変更してもらった。英語で講演するという独自スタイルのもので、あまり期待 していなかったのだが、聞いてみたら相当なハイレベルだった。こちらは前から3列目で中央セクションの舞台に向かって左側というこれも特上席が95ポンド という割安な価格だった。
曲 目は、チャイコフスキーの『エフゲニ・オネーギン』で曲が良いだけでなく演奏も舞台も素晴らしかった。これを聞いて2日前の興奮も忘れるほどだった。歌手 は、多分有名どころではないが、上記のロイヤル・オペラでの出演者と同等以上の出来栄えだった。オーケストラも素晴らしい。
暫く前に、プラハ国立歌劇場の日本公演を聞いて期待はずれだったが、有名でない英国ナショナルオペラが逆に期待を裏切ってくれたのが印象的だった。

どちらも前方の席だったので、ホールの音は分かりにくかったが、音に不満は全くなかった。素晴らしい音響だったのではないかと思う。そして、どちらも最高 のパフォーマンスだったと感じた。英国の音楽のレベルは高いのだと実感した日々だった。

2011/11/28

プログラミング進行中

標準型MCAP-CRのシミュレーションプログラムが進んできた。

最も単純なプログラムのコンパイルが成功して、質点の変位の値が出力されるところまで来たのでもう少しだ。今のところ、変位の値がおかしいので、途中の計 算にミスがあるものと思う。

デバグを進める中で、プログラムの途中に出力コマンドを置き、どこまで進んだのか確認しながらの作業である。それでもデバグにはかなりの時間がかかる。
流体力学の数値シミュレーションを思い出す。そのときは、証明されたプログラムを元に進めていたのでプログラムの変更だけで済んだが、今回は、アルゴリズ ムを含めて全てゼロからのスタートである。ここからが正念場かもしれない。苦しくもあるが楽しい。
先週は、Linuxをインストールして延命していたPentium Dのパソコンが壊れてしまったので、今は、手持ちで最も新しいAthlon?X2 245eの2.9GHzに8GB RAMを搭載したWindows7 64bitパソコンを使用してBorland C++ Compiler 5.5でプログラム開発を進めている。このPCに、VMWare Playerを使用して、OpenSUSE11.3-64と同12.1を動かしているので、gccでの確認も実施している。

Visual C++ Express 2010も使ってみたが、GUIを憶えるのが面倒だし、コマンドラインで実行しても、エラーメッセージが不親切なので使い物にならない。それに、C++ は、Cが使えるはずだが、Cのプログラムの拡張子をcppにしてVisual C++のコンパイラを使用してコマンドラインで実行すると、変な警告が出る。Microsoftは、同社だけの世界に引きずりこみたいようで、自分の趣向 に反する。同じく無償で提供されているのBorland C++コンパイラとgccコンパイラでは全く問題が出ないので、こちらを使用するほうが良さそうだ。

今実施しているシミュレーションプログラム開発は、基礎式の開発から含めてのスタートなので、いわゆるプログラマーの仕事とは随分違う。研究所の仕事その ものを趣味としてやっている感じだ。自分が本質的に適していることを見付けるのが30年遅かった...日本では『後悔先に立たず』と云うが、英語では、 "Never be too late."とも云う。遅くなっても継続が大切だと思う。

2011/11/29

初期デバグ完了!


初期のデバグが完了し、何とか結果らしいものが出た!
副空気室が2室のMCAP-CRを想定したシミュレーションは纏まりそうだ。昨日は、ダクトの変位がゼロ担っていたのだが、計算式をひとつひとつ見直した ところ、重大な間違いが発見出来た。修正そのものは簡単だが、自分が作った基礎式を実行するプログラム作りは先例がないので厄介だと痛感した。
途中では、元の式が間違っていたのかと心配にもなったので、表計算ソフトで手計算(?)し、元の式の間違いではなく、プログラムのバグであることを突き止 めた。ゼロからのスタートとはこういうものなのだろう。
上のグラフは、ユニットの共振周波数(この場合165Hz)での、振動板とダクトマスの変位を5サイクル分計算したものである。大気開放側の2つのダクト でも動作が異なっているし、内部ダクトも夫々が逆相になっている。振動板の動作も、加振力とは位相が相当にずれている。

いろいろな周波数で検証してみて、何とか行けそうだという実感が持てたので、今後は、このプログラムの細かい問題を潰し、更には、自由度を増やして一般化 していきたい。

今のプログラムでは、1サイクルの周期を8ビット(256)で分割しているが、これで良いのか、もっと粗くて良いのか分からない。デジタル録音では、サン プリング周波数を上限周波数の2倍にしているが、これはそれよりずっと細かいので、細かすぎる気がしている。しかし、表計算ソフトを使用した、シングルバ スレフのシミュレーション計算は、実行に何十秒かかかったが、C++でコンパイルした結果を実行するのは一瞬である。この程度の計算なら30年前の8ビッ トパソコンでも出来そうである。

今日は、多自由度バスレフの解明に向けた記念すべき1日となった。

詳細を公表できるのは、もう少し先になりそうですが、シミュレーションが必要な方はご連絡ください。

2011/12/01

見えてきた課題

新たに開発した標準型MCAP-CRの動的特性計算プログラムプログラムは、今のところ大きな問題はないと思う。そこで、まずは更新頻度が寂しかった英語ページで簡単なレポートを公開してみた。このところ海外からの問い 合わせも減っているので、多自由度バスレフの海外への普及を目指しすことにした。日本語ページでの公開は、もう少し完成度を高めてからにしようと考えてい る。

このプログラムでいくつかの例を計算してみたところ、新たに課題も見えてきた。課題とは、下記のようなものである。

1.
結果の解釈が難しいこと
11月29日の日記にあるグラフを見て、物理的解釈出来る人は一体どれだ け居るだろうか。自分は、多自由度バスレフを手探りで開発してきているので、見たいポイントがわりあいはっきりしているが、それでも、8本の線(副空気室 3個の場合)を見てしばし考え込んでしまう。
2.
解析結果の検証に時間がかかること
パラメータの組合せは無限にあり、その中で、様々な周波数について検証し てゆかなければならない。シミュレーション計算を実行したところ、30Hz以下になると、1Hz違うだけで全く似ていないグラフになってしまう(このこと は、経験と一致する)。 
3.
今まで想定してきた設計方針に疑問が生じたこと
今 まで、MCAP-CRをバスレフの拡張として検討してきた。しかし、ポートに手を当てて実際の動作を検証すると、最も低い周波数で共振するはずの、大きな 空気室に付いた長いダクトではあまり風圧を感じなかった。今回のプログラムで確認すると、軽いダクトのほうが振幅が大きくなった。これは、上記の経験を裏 付ける結果である。

上記のような課題はあるものの、MCAP-CRの実用性については、実際のアプリケーションで既に証明されている。このプログラムでは、実験結果を検証す ることで、一般的な設計方法を確立してゆきたいと考えている。

このプログラムの一般公開の予定は今のところありません。試してみたい方には、使用条件についての合意書を交わしたうえで、ソースコードを提供しますの で、ご連絡ください。合意書の条件は概ね下記のようになります。

  1. プログラムの内容を理解して使用すること。
  2. バグを報告すること。
  3. バグその他の問題による不服の申立、損害賠償請求をしないこと。
  4. 第三者に開示しないこと(又貸しの禁止)。
  5. プログラムそのものまたはそこで得られた結果を商用に利用しないこと。
連絡先: mcapspeakers @ gmail.com   @の両側の空白は削除してください。 鈴木

2011/12/03

C++コンパイラ

MCAP-CRシミュレーションプログラムは大体使えそうな感じになってきたので、Visual C++ 2010 Expressというのを使ってみた。既に作成したプログラムをビルドしてみると、へんてこなエラーが出た。

1>simulation.cpp(1): warning C4627: '#include <stdio.h>': プリコンパイル済みヘッダーの使用を検索中にスキップされました
1>          ディレクティブを 'StdAfx.h' に追加するか、プリコンパイル済みヘッダーをビルドし直します

このプログラムは、標準のライブラリだけを使っており、それだけで動くはずである。これにエラーが出るということは、ここでエラーが出なくなるよう修正し た場合、他のコンパイラでは使えなくなることを意味するのではないだろうか?プログラムは、数値計算部分を作っておき、ユーザーインターフェースを、開発 ツールで加えるものだと思っていたのだが、そうではないらしい。高価なMS Officeと無償のOpen Office (Libre Office)を比較する際に、『ほら画面が綺麗で、説得力があるでしょ』などと、本質以外の部分を強調するのと似ていると思った。何事も内容が最重要で あって、外見がどうだとかいうことは本質と関係ないはずである。

これは、一般のC++言語をVisual C++方言に変更しろということだろうか?汎用性を無くして『Microsoftを使え(買え)』というように読めたので、早々に撤退することにした。ひ とつの私企業に縛り付けられるなんて真っ平御免である。Visualナントカとこれに付随するものは全て削除してしまった。

2011/12/05

シミュレーション結果一部公開

こちらにレポートをアップしました。

2011/12/10

TangbandのW5-1880


昨日はスピーカー再 生技術研究会の忘年会で楽しいひとときを過ごした。

自分は普段あまり飲みに行くほうではないので、こういう会は楽しみである。スピーカー再生を題材にした話題等で盛り上がり、時間が経つのも忘れた。

研究会の会員でもあるOさんが、先日台湾のオーディオショーでTangbandの新型ユニットを仕入れてこられた。W5-1880というユニットで、以前からウェブには載っていたのだが、生産が間に合わなかったらしく、出来 立てほやほやということだった。

W5-1880は、ネオジウムの磁気回路を持ち、ペーパーコーンにアルミダイキャストフレームの高級品である。

自分は、同じく同社の5インチユニットW5-1611SAを態々ドイツから輸入したことがある。これもネオジウムマグネットを使用した強力版だったのだ が、ナイロンフレームが弱く、また、軽いので高級感には乏しかった。音は悪くなかったし、低域の駆動力も高かったので、MCAP-CRには好適であった。

W5-1880は、W5-1611SAを更に強力にした感じでバックロードホーンを想定したユニットと思う。

これをお預かりしたので、TR130cの箱に取り付けてみた。 TR130cに取り付けるためのサブバッフルは事前に準備しておいた。

大切なお預かりものなので、今回は、ファストン端子を使用してみた。


サブバッフルには、W5-1611SAを取付けて確認していたのだが、 端子が大きくて入らないので、左の写真のように、一部切欠きを入れたらすんなりと入った。

Tangbandのウェブにある取付穴の寸法は、いい加減なようなので、注意を要する。サブバッフルにはFostexのFE138ES-Rと同じ 125mm径の穴を開けてあった。TB社のウェブの情報では穴の大きさは良く分からないのだが、とりあえずは、125mmというのがおおよそ正解のよう だ。

準備万端のはずだったのだが、このような想定外の追加工もあり、取付には1時間とちょっとを要してしまった。

この箱に取付けて聞くW5-1880は素晴らしい。

中高域は綺麗だし、癖も殆ど感じない。ひょっとすると銅色のへんてこな被せ物で中高域の癖をとっているのかもしれない。FE138ES-Rとは違い、エー ジングなしで最初から綺麗な音を出している。

低域は、気張った感じではなく自然に力強い音が出る。箱の力と相俟って、32Hzのオルガンも楽々再生する。低域の再生能力は、Feastrexの NF5Exiterにも劣らない。

W5-1880は、新しい5インチの高級品として受け容れられていくと思う。今のところ日本では輸入されていないので個人輸入でなければ入手できないのが 残念である。



2011/12/11

ミューズの方舟2011

今日はお馴染みのミューズの方舟のコンテストを聴きに行った。
写真もとったのだが全部失敗してしまった。スローフラッシュモードになっていたのに気付かなかったのが原因でゆら〜とした画像になってしまった。

今年は参加しなかったので気楽だった。コンテスト形式がいいような悪いようなと感じているのもあったし、ユニットが2ウェイというのもあり結局参加の申し 込みはしなかった。自分のポリシーは、作例から学ぶことであり、勝った負けたを競うことではない。多分ミューズの方舟のメンバーの方々も結果は仲間内の酒 の肴に する位の気持ちだと思うが結果ばかり気にするようになってしまうと健全ではなくなると思う。事実、投票結果がバラバラになるというのは、絶対的な評価がな いことの証明だと思う。それを『何票多かったからこれは優れてる』なんていう評価があれば、しらけてしまう。

上記のような議論があったのかどうかは知らないが、今年は方式が変更になっていた。昨年までは、総合賞というのがあったが今年は無くなった。評価基準が良 く分からないというのが理由だそうだ。"My Best Favorite"だったら分かるのだが、明確ではなかったので、何だかよく分からなかった。また、1作品に重複して投票するのも禁止になった。以前には 組織票なんていうのもあったらしいので、これは良い変更 だと思う。

結果はさておいて気になった作品があった。

会長前田さんは、バスレフポートの動作を制御しないのは良くないということで、磁気回路を持つスピーカーユニットをドロンコーンにして、そこに回路を追 加。共振制御式として小型化、高音質化の両立に成功した。会場の特性に合わせた音造りも見事だった。

カノン5Dの鈴木さんの共鳴管は、オーソドックスな構造ながら共鳴管の癖を抑えていて音が良かった。ネットワークの調整も見事。仕上げがいまひとつなのが 残念。

副会長の田中さんの作品は、前田さんお得意の広がり方がゆるやかなバックロードホーンで良い音を聞かせていた。以前に聞いた前田さんの感じとは少し趣が違 うように感じたのは気のせいか?

白須さんの作品はスワン型のバックロードに除電を施したもの。放射性ラジウムも使われているらしい。見た目はゲテもんだったが、音は良かった。音質部門の トップだったので、最後にも聞く機会があったが、そのときに聞いたくるみ割り人形がとても良い音だった。10cmでもここまでオーケストラの厚みが出せる のか。

自分が最も気に入ったのは、内野さんの作品で、5角形断面のエンクロージャー。内野さんは昨年のなめらか音道のバックロードも良かったが、人気がいまひと つだった。今年は、昨年よりは凝っていないが、箱の癖を感じさせない音で、低域の量感も十分だった。5角形断面というのは、ひとつの完成形なのではないか と思わせる逸品だった。今年は、評価も高かった。

全体的には楽しめるイベントだった。ミューズの方舟のみなさん、どうも有難う御座いました。

2011/12/14

PC故障

家族用PCが故障してしまった。
正確に云うと、焦げ臭くなったので、動作しているのを停止した。基板を調べてみても破裂した電解コンデンサが見付からなかったので、ニオイの元を鼻で突き 止めるべくトライしたところ、電源にニオイが付着していたので、電源を分解したがやはり該当箇所は見付けられなかった。不具合があるまま使い続けるのが嫌 なので、すっかり交換することにした。

筐体と電源は、先日故障して画面が出なくなったPentiumDマシンを使用した。アルミ製の高級ケースに大容量の電源が入っている。マザーボードは廃 棄、メモリは保管とした。CPUには、丸型の大型放熱器が付いているが丸型では他の用途に使えないので、CPUごと廃棄とした。

ハードディスクドライブは、タイの洪水で価格が上がっているので新たに購入せず、あるものを利用した。購入したのは下記の通りで、
M/B
ASRock 880GM-LE FX 5,280円
Ethernet, Sound, Graphic (Digital+Analog)ビルトイン
CPU
AMD Athlon II X4 615e
8,980円
2.5GHz Quad Core, 2MB Cache, 45W
RAM
ADATA 4GB x 2 = 8GB
2,680円
PC3-10600
合計で16,930円だった。

マザーボードはいちばん安いもの、CPUは低消費電力(45W)でいちばんコア数の多いもの、RAMはマザーボードに載せられる最大容量で安いものを選択 した。4コアのCPUに8GBのメモリで拡張ボード不要とは随分高性能になったと思う。古いPCを維持するための部品は入手しづらく手に入っても高価なの で、そっくり入れ替えるほうが得なようだ。

今回故障したPCは、64ビットながら古い製品でメモリが1GBしかなかった。これにOpen SUSE 11.3の64ビット版をインストールして使用していた。修理までは、以前使っていた隣のWindowsXPのマシンを使うよう家内に云ったら、使い方が 分からないと云う。Linuxに慣れるとWindowsである必要はなくなるようだ。

新しいマシンには、Open SUSE12.1の64ビット版をインストールしたが、データの入ったディスクを追加すると動きがおかしいので諦めて、VineLinux6.0の64 ビット版をインストールした。それでもやはりエラーが出ておかしいので、ハードウェアをチェックしたら、どうやらSATAのケーブルが悪いようだった。こ れだったら、SUSEのままで良かったが、面倒なので、Vineをそのまま使うことになった。両者の見た目は随分違うが、Firefoxブラウザしか使用 しない妻には使い勝手は変わらないようだ。管理者として見ると、VineよりSUSEのほうがずっと簡単である。一応これで家族用PCは復活することに なった。

自分は、開発用に、上記のマシンよりCPUのスペックが低いマシンを使っている。これにWindows7 Ultimate 64ビット版(リテール版)をインストールし、そこにVMWare Playerの仮想環境を構築してOpenSUSE12.1とVineLnux6.0(いずれも64ビット版)をインストールして使用している。何と便利 なことだろうか。


シミュレーション進行中

標準MCAP-CR型システムのシミュレーションは次の方向性が見えてきた。
正弦波を入力した時の振動板とダクトの空気の変位は数値解析出来たので、次のステップに進んでいる。今週は、正弦波だけでなく、ランダムノイズを入力でき るようプログラムを改造した。ランダムノイズを入力しても、振動系全体での固有の挙動が現れるはずである。これを実行したところ、固有の振動が明確になっ た。下の図のように高い周波数が振動系でカットされ、低い周波数だけが残った。

これは、MCAP-CRにランダムノイズを与え、0.1秒の間に、振動系の変位の加重和が変位するのを数値計算した結果である。例えばこの中に、小さな山 が約15個見える。ということは、150Hz前後の共振周波数があるようだ。また大きな波は2〜3個見える。これは、20〜30Hzの共振周波数があるこ とを示している。こうやって数えていても定量的な把握は出来ないので、これをフーリエ変換してみようと思う。丁度使用できるソフトが見付からないので、こ れも手作りになりそうだ。しかし、調べてみるとFFTアルゴリズムが難しい...

しかし、そこまで出来ると、周波数特性のシミュレーションが可能になる。これは実用的なツールになりそうだ。問題はアルゴリズムの理解が出来ていないこと だ。さてどうしようか。

2011/12/16

FFTWライブラリ

 標準MCAP-CR型のシミュレーション手法開発も大詰めになってきた。ここまでで達成できたことは、
 以上の2点は、何年もぼんやりと考えていたものだ。この1ヶ月半で何とかここまでは達成できた。しかし、ここまで出来ても計算の結果を評価す る手法とツールを確立しなければMCAP-CR型をはじめとする多自由度バスレフ型の実用化は出来ない。そこで、ここまでで実現できているランダム波入力 に対する応答出力をフーリエ変換することで、共振周波数をブロードに推定し更に、相対的な音圧を計算することで、周波数応答特性推定の実用化に繋げたい。 そこまでで、機械的特性の評価計算は概ね完成する。そこまで出来れば、次に入力を電流とするよう電気特性をカバーすることで、総合的な音響特性の評価が可 能になる。

 さて、ここで問題になるのはフーリエ変換のプログラミングである。フーリエ級数やフーリエ変換そのものを数式で理解するのはそれほど難しくないのだが、 それを離散化(DFT)して高速に計算するアルゴリズム(FFT)の説明を読んでいると頭が割れそうになる。それでも何とかしたいと、就寝前に参考書を読 むようにしているが、手元にはあまりいいものがないと思っていた。昨夜は、"NUMERICAL RECIPES"という良書を持っていることを思い出し、青い表紙の"in FORTRAN"を見つけた。本当は、赤い表紙の"in C"というのも持っているのでそちらが欲しかったのだが、狭い我が家では、書庫がなく見付けることが出来ず、FORTRAN用を読んだ。実質的には、 FORTRAN用もC言語用も中身は殆ど同じで、プログラム部分だけが異っているだけなので、要は足りた。概ねおさらいしたところで、気になってインター ネットで検索を始めたら、FFTWという無償のライブラリがあることを知ったので、これを使ってみようと思う。

 開発者のコメントを読むとWindowsは使っていないので、UNIX環境でクロスコンパイルしてWindows用DLLを作ったそうである。 "Visual C++ is buggy. Get a real compiler and do not complain to us.(Visual C++はバグだらけなので、本物のコンパイラを使用せよ。そして、(Visual C++での問題について)我々に文句を言うな。)"というコメントには笑った。自分も『青い画面が出るようなWindowsのバグについてアプリケーショ ンにケチを付けるな』と主張したことが何度かある。こういう技術的問題は仲々理解してもらえないのである。

2011/12/24

多重共鳴管の試聴

今年ももうクリスマスイブになってしまった。今年ももう僅かだ。今年は個人的には難儀な年だったが、第2回のスピーカー研究会は大成功だったし、いいこと もたくさんあったので良い年だったのだと思う。

昨日は、Fさんと一緒に多重共鳴管の元祖Oさん宅を訪問した。

Oさん宅は、今年の最初のころに別な方と一緒に訪問している。また、Oさんには、研究会でも多重共鳴管を披露していただいたのでご存知の方も多いと思う。 Oさんのオーディオ趣味は、自分と似ていて、少しガラパゴス的なところもある。Oさんは、かつてバンド演奏をしておられたので、リファレンスは常に楽器の 音である。自分は小学校以来楽器の演奏には縁がないが、生の音を聞くことを第一としている。高級オーディオそ装置には詳しくないし、オーディオ装置の音を リファレンスにはしたくないところはOさんともFさんとも共通している。

Oさんの多重共鳴管は全部で3作品ある。第1号機は、オフ会で評判だったもの、第2号機は木材を使ってコンパクトにまとめたものでいずれもTB社の3イン チドライバを使用した2本管タイプである。第3号機は、3本管タイプでダイトーの4インチドライバを使用している。

1号機と2号機はどちらも既に聞いていたので、興味は3本管の3号機に集中していた。

3号機は、直管での折り返しの多いタイプである。Oさんは、この3本管タイプはあまりお気に召さないところがあるそうだが、最初に鳴ったときに、何ともい えない粒立ちの良さを感じた。この粒立ちの良さは音の輪郭をはっきりさせるように思った。また、音場感も3機種のなかでもっとも良い。今までに聞いたこと のない音の広がりである。

多重共鳴管の他の2機種その他のMCAP-CR型、メーカー製のシステムを組み替えたシステム等を聞かせて頂いたところFさんは、オフ会で発表されたポー ト切替式のMCAP-CR型が一番お気に入りということだった。楽器の生音と比較しながら調整されただけあって、どれも水準を越える見事な完成度だと思 う。

Oさんは、スピーカー再生技術研究会の研究成果として、多重共鳴管システムの設計方法を投稿して下さるとのことなので乞うご期待。

最後にOさんの発信器を使って共鳴周波数の実施した。最初に3本管の3号機をテストしたところ、高調波が多いのが気になった。高調波が基音に勝ってしまう ので響鳴の状況が良く分からない。その後、2本管の1号機で同じように試験したところ高調波は気にならなかった。両者の違いは、1号機が3インチのポリプ ロピレンコーンを使用しているのに対し、3号機は4インチの紙コーンを使用している。その振動板は、比較的浅い形状なので4インチででは剛性が足りないの ではないかと思う。紙コーンは、もう少しコーンの深さが必要なのかもしれない。

しかし、音楽信号では高調波とは気付かないかもしれない。それどころかクリアに聞こえたりする。聴感による評価はあてにならないものだと実感した。

それにしてもこれだけ高調波が混じっても音楽信号では分からなかったりするので、アンプの歪みなど耳では検知できないのではないだろうか。

Oさん、貴重な経験を有難うございました。

2011/12/26

日記をブログに移行

日記はFC2のウェブサイトに都度書いていたのだが、だんだん面倒になってきたのでブログに移行することにした。

調べてみると無料のブログはたくさんあった。いくつか見てみたがどれがいいのか良く分からない。結局、何となくexciteブログというのにした。

既に、英語のブログにGoogleのblogspotを使っているので、同じところは使わない。また、FC2もここで使っているので採用しなかった。 Yahoo!ブログも考えたが開設のしかたが良く分からなかったので...というような重要なような重要でないような理由である。

しばらくexciteブログを試してみようと思う。心配なのは、最重要な情報のあるウェブ更新が減ってしまうことだろうか。

新しいブログはここです



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