MCAP-CR
多自由度バスレフ型スピーカーシステムの研究開発
物理モデルに基くシミュレーションソフトウェア開発




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日記アーカイブ(2010年11- 12月)

11/01
バランス伝送とアンプの出力の疑問
11/03
バランス伝送とBTLアンプの問題/FF57BKとW2-802SE
11/04
居間のシステムの見直し
11/07
2008年を思い出して
11/13
久しぶりの"CON GIOIA"/Thuderbirdを使ってみた/読者の方々に御礼
11/14
ビスの振動対策/イタリアから
11/21
QNDR新型製作開始/Fostexスピーカーコンテスト作品
11/23
Fostexスピーカーコンテスト表彰式/QNDR新型塗装
11/24
QNDR新型の塗装は一旦終了
11/28
QNDR新型完成
12/04
Con Gioiaの仕上
12/06
ミューズの方舟大会での曲目選び/QNDRのトラブルシューティング
12/07
ミューズの方舟コンテスト2010に向けて
12/11
明日はいよいよ発表
12/13
やっと終わったミューズの方舟コンテスト
12/14
最近購入したCD
12/19
今年の総括
12/23
技術の進歩?
12/25
Stereo誌1月号の付録
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2010/11/01

バランス伝送とアンプの出力の疑問

 自 分のメモ代りに書いていた日記も量が増えて見にくくなってなったので、前回分からインデックスを付けてみた。インデックスを付けることで、多少見やすく なったかもしれない。しかし、せっかくインデックスを付けたのだから、まとめて読めるよう、今回からは、新しい日記が下になるよう順序を変更した。上から 下に書くと、続けて読むのに便利と思う。ブログではないので、読みやすさを重視する。

 内容がこれだけでは面白くないので、週末に考えていたことをメモしてみた。

 10月24日には、居間でも自作スピーカーシステムを使用できるように、AccuphaseのP-350を居間のシステムに組み込んでみた。プリアンプ は、 SiemensのEurophonに合わせて作ったというCrescent(伊藤喜多男さんのブランド)のRA 1501-Aという製品である。このプリアンプは、全てバランス入出 力になっているので、バランス入力のないアンプを使いたくはなかった。P-350はバランス入力が付いているので丁度良かった。

 ところが、一昨日ずっと音を鳴らしていて気になったことがあった。

  まずは、バランス伝送につ いての疑問である。P-350をステレオで使うときは、出力はブリッジ接続になっていない。出力がアンバランスなのに入力をバランスにする意味はあるのだ ろうか?入力信号の半分はどこに行ったのか?また、バランス伝送のほうがノイズに強いというが、どの程度ノイズに強いのか?良いなら何故全部バランス伝送 にしないのか?これはコストだけの問題だろうか?

 バ ランス伝送のほうが圧倒的に良いのは、接続にキャノン(XLR?)を使っていることである。キャノンは引っ張っても抜けないので、間違いが少い。それに対 してRCAは簡単に抜ける。グレードが高くてもゆるゆるのプラグがあったりする。信頼性は非常に低い。何故、BNCを使わないのだろうか?BNCならコス トは大して上がらないと思うのだが。

  次に、アンプの出力の適正値についての疑問である。AccuphaseのP-350は、出力が150W×2と強力である。しかし、実際には、1/100W から数W程度で使用することが多いと思う。特に、ダイナミックレンジの低い音楽ソースでは、せいぜい1Wが最大使用出力ではないだろうか。このような出力 でP-350を使うということは、1%以下の能力で使うことになる。これは、レースカーを耕運機のような速度で走らせるようなものである。これでは力を発 揮できないばかりか、却って制動能力が悪くなるかもしれない。産業用の計器でも、フルスケールの1%程度のレンジでは、相対誤差が大きくなるのが普通であ る。自分は、このアンプを非常に過酷に使っているとも云える。

 そこで、次は小出力のアンプを作ってみようか悩んでいる。現在は、ユニエル電子のPA-036(生産完了)というパワーアンプをメインに使っており、こ の性能に満足している。このアンプは先日のオフ会でも好評だった。そこで、今度は、更に出力の小さなPA-445と いう小型のステレオアンプ2台を夫々ブリッジ接続にして使えば、バランス伝送でもそのまま使えて便利かもしれない。出力も片側12Wと小さくなるので、良 い方向に向かうかもしれない。問題は、スペック上のローエンドが100Hzになってしまうことである。パワーICのスペックシートを見ると確かに 100Hzより下はレベルが低くなっている。しかし、小出力に拘るとそんなものかもしれないし、悩むところだ。

2010/11/03

バランス伝送とBTLアンプの問題

  自分に電気の知識があれば問題ないのだが、ユニエル電子のPA-445という単電源ステレオアンプをBTLアンプに改造して使おうという計画は中々具体化 しない。その理由は、BTLアンプとバランス入力の関係について、良く理解できていないためである。CrescentのRA 1501-Aがバランス伝送のプリアンプであるため、これから作りたいと思っているBTLアンプもバランス入力にしたいと思っているのだが、中々情報が得 られない。

LA4445の通常接続回路例(LA4445のデータ シートから)


LA4445のBTL接続回路(LA4445のデータ シートから)
 ユニエル電子のPA- 445というステレオアンプは、パワーICに山洋電気のLA4445を使用しており、左図上側の回路例にほぼ忠実に沿って設計されている。違いは、出力側 のキャパシタの容量が小さく、より高い周波数で切るようになっている点である。
  インターネットで情報を検索してみると、単電源のアンプでは、出力にDC成分が出るため、キャパシタでカットするらしい。このためローエンドが伸びないと いう。それに対して、BTL接続にすると、単電源であっても、DC成分がキャンセルされるので、出力側の キャパシタは不要になるとの記述があった(リ ンク)。納得いく説明である。
  ところが、LA4445のデータシートを見ると、"In bridge connection applications the output capacitor must be normally connected."と記述されており、左図下側の回路例でも、出力側にDCカット用のキャパシタが入っている。これでは、BTLのメリットのひとつが 得られない。

 更にもうひとつ困ったことが、左図下側のBTL接続例でも、入力がアンバランス伝送になっていることである。今迄に調べた 情報では、態々反転回路を入れて、アンバランス入力をバランス入力に変換している。折角バランス入力が得られるのに、これでは、半分しか使えないことにな る。5番に入力のマイナス側を繋ぐと何か不都合があるのだろうか?自分の知識の無さに嫌気がさ す。

 バランス出力のプリアンプのメリットを最大限に活かすにはどうしたらいいのだろうか...


FF57BKとW2-802SE

 コイズミ無線で、 FF57BKを8本購入してきた。1本1,100円で、合計8,800円であった。これらは、新しいQNDRシステムDU050x4aに使用する。FF57BKのスペック は、インピーダンス8Ω、周波数特性140Hz〜20kHz、f0は140Hz+/-28Hzとなっている。耐入力は定格で4W、最大で8Wとなっており 十分と思う。
 今回から、受容れ検査には導通+極性を調べることにした。FF57BKは8本全てに導通があり、極性は全て同じだった。
 ついでに、先日麻布オーディオで購入した外観不合格品ジャンクのW2-802SEの極性検査を実施したところ、こちらも全て極性が揃っていた。こちらは 1本980円とお得であった(合格品は2,480円)。これで、安心して2組のDU050x4aを製作できる。
  写真の左がFosterのFF57BK、右側がTangbandのW2-802SEである。W2-802SEは、ネオジウムマグネットを使った高級品で、 丸穴に取付けられるが、FF57BKは、端子部分を拡げなければならない。写真の通り、フランジサイズぎりぎりまでカットしなければならないので、空気漏 れが心配である。何とセンスの良い設計か。さすがFostexの親会社。
 また、FF80BKと違い、プラスチックのフランジカバーは付属していなかった。この点はケチ臭い。価格が1,100円と比較的安価なので止むを得ない か。ちょいと高過ぎる気もするが...音に期待しよう。

  ちなみに、Stereo誌の付録ユニットと同じと思われるユニットが、FF65BKとしてFosterブランドで売られていた。価格はStereo誌より も高かった。こちらはフレームがヘナヘナの薄板平面で買う気にはならなかった。Stereo誌は、4冊購入したが、本体雑誌一冊を残し、全て差し上げてし まった。やはり、組立の品質を委ねられるのは性に合わない。

2010/11/04

居間のシステムの見直し

  居間のシステムの有効活用を考えてきたのだが、大きな疑問に行き着いた。バランス伝送したい理由は、Crescentの高級プリアンプRA 1501-Aを有効活用しようと思っていたのだが、P-350との組合せが芳しくなかった。ひょっとして、このプリアンプが好みに合わないのか、組合せが 良くないかもしれない。
 そこで、思い立って、Technicsの普及品SU-C1000MK2を使い、切り替えられるようにした。幸いにも StuderのD-730には、平衡、不平衡の2組の出力が付いている。これを使えば、どちらのプリアンプにも接続でき、簡単に切替て比較することが出来 る。
 ゆっくりとは試聴出来なかったが、グレゴリオ聖歌を聴いてみた。不平衡接続のSU-C1000MK2を使った音は、聴きなれた感じの音。悪くない。暫く 聴いてから平衡接続のRA 1501-Aに切替えると何かが違う。決して好きな音ではない。

 RA 1501-Aは真空管アンプなので、暖めるためにもう暫く聴いていたところ少し良くなったが、どうしても好きな音にはならなかった。高級品は、組合せに気 を使うし、高級だからと云って好きな音が出る訳ではないことを実感した。これでは、態々BTLアンプを導入するメリットはないのかもしれない。自分には、 単純なものが最良なのだろうか。しかし、BTLアンプは気になる。不平衡入力のBTLアンプを導入しても、SU-C1000MK2で使えるのでやってみよ うか益々悩んでいる。


2010/11/07

2008年を思い出して

 何でいま2008年かと不思議に思われたと思う。現在、過去の日記の整理をしていて、最新のアーカイブの日記にはインデックスを付けたのだが、ついで に、最初期の日記にもインデックスを付けて みたところである。それで読み返してみて2008年のことをしみじみと思い出したのである。

画像をクリックすると大きくなります
 今年もクリスマス飾り の時期になってきた。日本では、クリスマスの意味を知らない人も結構居るようで、単なる商戦としての意味しか持たない場合もあるようだが、キリスト教国で は、キリスト誕生日を祝って、早々に飾りを始め、正月明けまで飾りを仕舞わないのが普通である。
 左の写真は、何年か前に石丸電気の輸入版の余物をセールで購入したCDである。お馴染みのクリスマス曲がSaxophone Quartetで演奏されたものである。このCDは結構再生が難しく、と歪っぽく聞こえたりする。
  自分の初期の日記を読んでいたら、現在のメインシステムとなるFeastrexのフルレンジとTR130c型箱のことなどが書いてあったので、懐かしく思 い、Feastrex NF5Exiter+TR130cで鳴らしてみた。この組合せだと歪っぽさは全くなくクリアなハイファイ録音(死語か?)に聞こえてクリスマスの気分に なった。

 2008年は、MCAP-CR型の初公開の年だった。ミューズの方舟さんで、公開の場を頂いたことが多自由度バスレフの普及のきっかけとなったと思う。

 その後、標準MCAP-CR型の小改善、CBS-CR型、AICC-CR型の試作があり、多自由度バスレフ型の実用性に確信を持ってきた。標準型は、2 年を経過しても、さほど変更されておらず、2008年のTR130c型を超える作品は出来ていないと思う。
 TR130c を設計しFeastrexのドライバを導入したきっかけは単なる興味本位であった。しかし、このドライバは、良く出来ている。人間国宝の手による最上質の 和紙の振動板、S10Cという不純物の少い鉄による厚みのある球形磁気回路カバーと、更に不純物の少い純鉄による励磁型磁気回路、厚みのあるダイキャスト フレーム等、『こうしたらどうなるだろう?』と思えることを全てやったものである。儲けを度外視したアマチュア的な発想で出来たプロの製品である。音を聴 かなくても、手に持っただけで欲しくなる逸品と思う。これで素晴らしい音を再生できるので、中途半端なものは買わずに居られるようになった。これがあれ ば、ヤフオクで、高値が付いた製品に手を出す必要を感じない。Feasrexのドライバは高価だが、導入してしまうと中途半端な投資をしなくなるので、 トータルでは損な感じは全くない。これがメインの座から降りることはないと思う。しかし、これを設置している部屋がいまひとつ(いま∞位か?)なので、一 度はちゃんとしたところで鳴らしてみたい。

2011/11/13

久しぶりの"CON GIOIA"

 今日、せんむさんが預かっていただいていた"CON GIOIA"を態々お持ちくださった。軽井沢朗読館以来なので久しぶりで ある。聴いてくださっていたということで、音も良くなってきたということである。
 鳴らしてみるとやはり良くなったように感じる。オーディオ製品は不思議とユーザーによって音が変るように感じる。普段は意識していないが何かあるのだろ うか。
  グレゴリオ聖歌や、モンセラート大聖堂の録音等を聴くと音場感は抜群である。低音も結構伸びて聴こえる。ピアノトリオもご機嫌な鳴り方で、当初の目標は達 成できたのではないかと思う。音のチューニングはこれで完成にしようと思う。あとは、ミューズの方舟の本番までに、プレゼンするソフトを決めるだけであ る。特長が良く分るソフトは何だろうか?概ね決めてはいるのだが、共通ソフトを掛けた後は、精々6分位しかないので、イントロくらいしか掛けられないのが 残念ではある。GIOIAを感じさせるソフトを選んでゆきたい。

Thunderbirdを使ってみた

  現在勤めている会社の親会社が、MicrosoftとのHUP(Home User Program)を解消することになったので、今年いっぱいで、自宅のOffice2007が使えなくなる。後は、自分で購入したOffice2000に 戻すかどうかという選択枝はあるのだが、これを機会に自宅ではMicrosoft離れしようと思う。

 問題はメールソフトである。とりあえず、 POP3は使用できるので、考えた末に、Thunderbirdを試すことにした。使ってみると結構悪くない。使い勝手はOutlook2007よりは ずっと良い。これなら何とかなりそうだ。MS Officeは2007以降使い勝手を大幅に変えられてしまったので、使いたくなかった。これからはOpen OfficeとThunderbird、一部MS Office2000を使ってなんとかやっていこうと思う。MSがOffice2007以降使い勝手を全く変えたのは、他社ソフトへの乗り換えを妨害する ためだと思うのだが、これは諸刃の刃でもあるだろう。自分のように、うんざりした人も少くないと思う。OSだって、Vistaの売れ行きが悪かっただけで なく、Sevenの売れ行きも芳しくなかったので、XPを強引に打ち切ってしまった。ユーザー不在の商法には付き合いたくないというのが本音でもある。

読者の方々に御礼

  今月アンプの悩みというか愚痴をつらつらと書いていたら、読者の方々からアドバイスを頂いた。電気には弱いのでこういったアドバイスはとても有難い。これ で少しずつ知識が増えてゆきそうだ。自分の場合、電気の式だって、微分方程式のような基礎式は何とか理解できるが、アプリケーションレベルの話は全く分ら ない。手作りアンプの会でも電気回路の説明を聞くとチンプンカンプンなので、脚が遠のきつつある。電気オンチは辛い...

 何はともあれどうもありがとう御座いました。

2010/11/14

ビスの振動対策

 集まれ!塩ビ管スピー カー!オフ会のときに、バスコさんから左の写真にあるビスのカバーを頂戴した。このカバーは、ビスの振動対策として使用している方がおられるようである。
 銅か銅合金と思われる皿状のものに粘着するペーストで取付けて使用する。ビスの振動が音になるのを遮断する効果があると思う。
 自分の駄耳では変ったかどうか良く分らないが音が滑らかになったようにも感じる。
 写真でペーストが少しはみ出ているのが分るように綺麗に、かつペーストを十分な量使うのは結構難しい。


  先週は、過去の日記にインデックスを付ける作業を完了した。まだ読みやすくはないが、自分の記録としては、少し役に立つ改善だったかもしれない。インデッ クスを付けながら記事を斜め読みすると、そう云えば...と思うことが散見された。そうでないと日記を付ける意味はないのだろう。

イタリアから

 とうとうイタリアの方からお問合せを頂いた。待っていました。無類のイタリア好きなので、未だに話せないが、細々と3年くらいイタリア語を勉強してい る。大学に入学したときは、英語とおさらばするつもりだったのが、未だに英語とは縁が切れない。
 細々と勉強をン十年間続けてきたドイツ語も未だに話せるようにならない。今はイタリア語のほうがドイツ語よりも分るような気もする。
 仲良くなればイタリアに行く楽しみも増えるので嬉しい。おまけに、問い合わせくださった方は、英語が苦手なそうなので、そういうところも好きである。
 この方は、Supravoxの135LB 型5インチドライバーをご検討だそうである。Supravoxというメーカーは知らなかったのだが、日 本国内でも入手可能のようである。価格もそんなに高くない。6.5インチの励磁型ドライバもあるので試してみたくなった。

2010/11/21

 QNDR新型製作開始

 先週水曜に MAKIZOUクラフトから、新型用の板材が届いた。

 MAKIZOUクラフトは、いつも正確なカットで、丁寧に梱包されてくる。梱包はやや過剰な感があり、テープを剥がすのが面倒臭い。

  納期はいつも、週末を含んで3週間位である。あまりばらつかないということは、自分のようにカットを不定期に注文する人がそれなりの数になるので、結果と して安定した納期になるのだろうか。スピーカー工作のユーザーがそんなにたくさん居るのだろうか?いるとすれば結構なことである。



 木曜に、出張から帰る と、早速組立を開始した。外部ダクトは、紙が薄いので、差込用のフランジに接着する。

 フランジの穴は、ダクトの外径よりもやや大きく作っている。紙管の寸法を正確に測るのが難しいし、穴開けは外注なので、ぴったりと合わせるのは難しい。

 このため、ダクトには、紙を貼り付けて寸法を調整する。

 今回は、USレターサイズのやや厚手のPPC用紙の長辺2周で適当なサイズになった。

 ダクトに貼り付ける紙には、薄めたボンドを筆でベタベタに塗る。そうすると比較的簡単に綺麗に貼ることができる。

 穴径よりやや小さく、するすると入るようになったら、ボンドをたっぷりつけて差込み、乾燥させれば強力に接着される。但し、左の写真のように、最後はボ ンドを隅肉に盛って駄目押しをする。

 内部ダクトの紙管は、肉厚なので写真後側のように、差込フランジは使わずに直接貼り付ける。

 ダクトはマイターソーで 切ったのだが、紙なので断面は汚らしい。

 接着が完了したら、断面を鋏と紙やすりで仕上る。

 大き目に食み出した部分は、鋏で簡単に切り取れる。

 鋏で粗仕上した後に、240番の紙やすりで丁寧に断面を仕上げてゆく。

 ダクトの紙は剥がれたら、水性ボンドで貼り付ける。

 この作業は、結構時間がかかるが、粉塵を上げないし、騒音が出ないので、夜間でも作業が可能であった。

 マイターソーは、木材には良いが、紙管を切る場合には、刃を細かいものに変えるといった工夫が必要かもしれない(そのような替刃があるかどうかは分らな い)。

 多自由度バスレフの場合、ダクトの数が多いので、紙管と、自分で切断する道具が必需品である。

 最初はダクトを、板で四角く作っていたが、ダクト用の材料を考慮すると板取に無駄が出るし、作るのも面倒なので、やはり、厚手の紙管がベストと思う。

 一般に入手できる紙管は、薄いので、ヤフオク等で購入する。様々なサイズのものが適当な値段で出品されているので入手可能である。

 ダクトは、設計前に入手しておいて、寸法を測り、設計をダクトの寸法に合わせるようにする。

 将来は塩ビ管も導入したいが、接着方法が難しそうだ。
 紙ダクトは、毛羽立つ ので、表面が滑らかさを保ち、また、紙が剥がれて来ないよう、ワシンの水性ニスを塗る。ニスを染込ませておけば、紙内部での剥がれが起きにくくなる。

 水性ニスは、臭くないし、筆を水で洗って何回も使えるので経済的である。

 スピーカーシステムの表面に水性ニスを使うと、他のものにくっ付いたりして困るが、内部の塗装であれば全く問題ない。

 表面に水性ニスを使う場合でも、ビニールやプラスチックのものを付けないように使うのであればあまり問題ないと思う。見栄えは、溶剤を使うタイプよりも 多少劣るが、このような用途には好適である。
 フランジ付のダクト は、ボンドで側板に接着する。今回は、手間を惜しみ、ビスを使って圧着した。その後、ビスは全て抜いてしまう。時間が経過して、ビスが緩むと修正のしよう がないためである。

 ビスをこのような目的で使用する場合は、強力に押しながらねじ込んでいかないと隙間が出来てしまうので注意を要する。

 写真のようにきれいに並べる理由は、組立ミスがないことを確認するためである。

 複雑な構造のものを2組も作ると、混乱して、必ず間違いが起こるので、図面と比較して、確認するには、き れいに並べなければならない。
 以上の準備が出来てし まうと先は早い。

 図面を何度も確認しながら、丁寧に、端金でパーツを接着してゆく。

 2組もあると、一人では大変だし、端金が不足した。

 止むを得ず1組ずつ組立ててゆく。

 左の写真は、一組目である。MCAP-CR型の中ではもっとも単純な構造だが、ダクトの相互干渉を最小限に配置したので、これでもかなり複雑になってい る。
 側板を4面貼り付ける と、最終形に近くなる。

 ここまでくればあと一息という感じなのだが、もう1組あるので、未だ、3合目といったところだろう。

 見掛けはそんなに悪くないと思う。

  この状態で持ってみると、かなり軽い。これは、シナラワン合板のラワン部分が軽量のためと思う。宙吊りに近い形で使用することを想定しているので、軽いほ うが良かったのだが、思いほうが音が良いという矛盾があり、シナアピトン材を使うことも考慮に入れていたのだが、MAKIZOUクラフトでは、12mmの シナアピトン材は、扱っていないということだった。

 端に、檜の三角材を貼 り付けると、仕上の手前まで完成である。

 やってみるまでうまくいくかどうか分らなかったのだが、本体側にボンドをたっぷりつけて、三角材を差し込むと、吸い付くように入っていった。

 これを両側から、端金でクランプする。

 中央もクランプしたいが、良い方法がなかったので、手で押さえてボンドを搾り出すのに留めた。

 三角材の接着剤側は、水分を吸って伸びるので、バイメタルのように変形し、中央は自力で押え付けられるはずである。

 触ってみたら、あまり問題が無さそうだったので、良いことにするが、僅かな隙間はあいているかもしれない。経験上は気にするほどの問題にはならないと思 う。

 今日中に組立が終わると、23日に仕上が出来て、音を鳴らせる状態になるかもしれない。
 午後は、頑張ったの で、3台の組立が完成し、これらは、既に紙やすり掛けまで行った。

 1台は、ご覧の通り、組立が終わった状態である。ここから乾燥させるので、今日はここまでとする。明日は、なるべく早く帰宅して、最後の1台の鉋がけま で終了させたいと思う。そうすれば、23日に塗装して、音を聴ける状態になる。

 突貫工事だったが意外に進んだので音を聴くのが楽しみになった。


Fostexスピーカーコンテスト作品



 今日はQNDR新型の 製作に忙しかったが、接着の乾燥中、食事ついでにFostexのスピーカーコンテストの作品を眺めに行ってきた。

 オーディオイベントの一環ということで、アキバのUDXビル二階に行ってみると、レストランしかない。

 変だと思いながら、ビルの外に出て外からUDXビルを眺めると、オーディオイベントらしきものをやっている。

 外から遠回りしてやっと入ってみた。受付を済ませて中に入ってみたが、Fostexのブースが見付からない。5階でやっているらしいのだが、5階に行く 方法が分らない。係の人に伺ってみると、別なビルだと云う。

 確かに、Fostexのサイトではそのビルの名前になっていたが、イベントのサイトでは、UDXビル二階と書いてあったので、ここに来たのだった。しょ うがないので、Fostexのイベントをやっているビルに移動して5階まで行ってみた。

 Fostexの部屋が見付かったのだが、自作コンテストの作品が見えない。係の人に伺うと、奥に展示してあるとのことだった。

 ようやく作品を見ることができた。

 ウェブで情報で知っていた作品は僅かで、殆どは初めて見るものだった。

 どれも個性的な形状で、うまくまとまっている。音が聴けないのは残念だった。

 お馴染みの、たてちゅうさん、kenboさんの作品が目に付いた。

 たてちゅうさんの作品は、Stereo誌では残念だったものの、ここでは入賞になっていた。おめでとう御座います。

 こういうものは審査基準が良く分らない。審査基準は事前に公表したほうがいいのではないだろうか。

 スピーカーユニットは殆どがFostexだったが、Parc Audioのものもひとつあった。Fostexだけでは格好悪いので、非Fostex部門からは1作品だけ入ることにしたのかもしれない。
 kenboさんのシス テムは、優秀賞である。音が良いのは知っていたし、仕上も通常のレベルではないので、今回も大賞だと思っていたが、大賞は別にあったのだった。

 大賞の作品は、地味な黒色だが、形状が際立って目立っている。

 無指向性システムで、スピーカーユニットは一体何台使ったのだろうか?数えれば分るが、数えたいとは思わなかった。

 物凄い力作で、しかも巨大である。この方は、どのような邸宅にお住まいなのだろうか?このシステムの評価を発揮させるのなら、最低30畳、天井高さも 4m位は必要になるのではないだろうか?
 この作品には、ゲテも ん工作実験室の松さんもひれ伏すかもしれない。いや、情熱を更に高ぶらせるか、ご本人でないので分らないが、いずれにしてもインパクトの強い作品である。

 折りしも、自分は、音場型のQNDRを作っているところなのだが、コンセプトがまるで違う。QNDRは、妥協を重ねたコンセプトだが、この作品は、一切 の妥協がない。この作品だったら、東京文化会館でも十分に大きな音で鳴るのではないだろうか。

 それにしても凄い。個人で実験するには、コストが大き過ぎると思うが、裕福な方の作品だろうか?

 これがあるので、kenboさんの作品が大賞にならなかったのだろう。

 審査基準は、『妥協なし、アマチュアだから出来るもの』と云ったところかもしれない。


2010/11/23

Fostexスピーカーコンテスト表彰式

 今日は、Fostex 自作スピーカーコンテストの表彰式があった。

 左から、大賞、優秀賞、優秀賞の3作品が並んでいる。

 表彰式の試聴会では、藤田恵美(?)のボーカル、ジャズのピアノトリオ、オーケストラ(小澤の幻想交響曲)をかいつまんで演奏した。

 一番右の見事な青色の作品は、学生さんの手によるもので、最初は自身の耳で合わせていたが、結局測定で追い込んだというものである。正統的な小型スピー カーの音で、市販できそうなまとまりである。

 中央のトールボーイは、お馴染みkenboさんのメインシステムである。
 kenboさんの音は既に知っているのだが、今更ながらまとまりのよい、素晴らしい出来映えだった。その前の小型システムも単独で聴けば良いのだが比較 すると可哀想だった。

  一番左のシステムは32面体30スピーカーの無指向性システムである。見事な工作は誰にも真似できなそうだ。会場が狭かったので真価は発揮しなかったが、 広い会場で聞くとどのような音になるか楽しみだ。この狭い会場では、反射音が気になって、ティンパニーの音等が、分裂して聴こえるような感じになった。こ れほどの作品を出すならそれなりの会場が必要だろう。

 大賞の作品は、パーツにカットした後、輪ゴムで仮組みしてそれから組立てたそうである。話を聞くだけでも凄い。

  音のほうは会場のしょぼさのために真価を発揮していなかったと思うが、狭い部屋では、無指向性の真価を発揮しなかった。QNDRとは異り、試聴位置を選ぶ 印象だった。自分は、遅く会場に着いたので、左側の端で立って聴いていたが、左側の音しか聞こえない感じがした。これがシステムの特徴なのか、部屋のせい なのか判然とはしなかった。真価を発揮する会場で聞けなかったのはとても残念である。

 表彰式の後、簡単なオフ会があり楽しいひとときを過ごしました。皆さんおめでとう御座います。

QNDR新型塗装

 明日は豊橋まで出張だ というのに昨日パソコンを会社に忘れてしまった。おかげで今日は往復2時間半かけてとりに行かなければならなず、塗装は超高速で実施した。

 いつもと同じく朝6:30に起床し、7時過ぎには、最後の1台の鉋がけと紙やすり掛けを実施、他の3台も再度紙やすり掛けを実施し、ウレタンニスの塗装 を施した。

 最初に、底面をスプレーで塗り、次に、底面を下にして別な面を刷毛塗りした後にスプレーにリした。相変わらずヘタクソなので、後で600番の紙やすりで 修正し、床用ワックスを塗って仕上げようと思っている。

 完成は、次の週末くらいかな。何だか、音が悪そうな気がしてきた...


2010/11/24

QNDR新型の塗装は一旦終了
 昨日突貫工事で塗装し たQNDR型エンクロージャはベランダに放置していた。

 二晩経ちウレタンニスの臭気が弱くなったので、今晩引上げた。

 触った感じでは表面は十分に乾燥している。写真ではそこそこ綺麗に見えるが、表面はざらざらで、ところどころに垂れが見える。これは、後で修正しなけれ ばならない。

 小型に作ったつもりだが、そこそこの大きさになった。軽さは計画通りといえばそうだが、ちょっと軽過ぎるかもしれない。隣り合った2つの穴に指を入れる と片手で軽々持ち上げることができる。

 音は次の週末には聴けそうだ。32面体のウルトラCスピーカーの音を聴いた後なので、超シンプルなQNDR型システムの音場が楽しみである。


2010/11/28

QNDR新作完成

 24日(火)は、 Fostexのイベントに出かけたので、お預けとなっていたQNDR新作は、中断していた。
  昨日朝早めに起きて、ウレタンニスの表面を均す作業から始めた。600番の紙やすりで、調子よく削り、手触りも最高!と思っていたら、問題が発覚した。同 じ600番の耐水ペーパーに変えた途端にウレタンコーティングが削れなくなり固まって鼻糞のようになる。最初に使っていたものは、手持ちが無くなったので 止む無く耐水ペーパーで作業を続けていたが、作業能率が悪いうえに仕上がりが汚いので、最初のものを買いに渋谷まで出かけた。調子よく削れたのは、『空研 ぎ用』という白と灰色の斑の模様のものである。紙やすりを変えた途端に作業が進み、夕方には、ワックス掛けまで完了した。写真では良く分らないが、最初の 状態とは雲泥の差である。
  苦労しながらも配線を終えた。今回は、箱が小さいので、前回のシリパラ&パラシリ接続ではなく、シリパラとした。配線完了後には、乾電池を使用して極性を 確認した。4本もユニットがあると間違いやすいので、音を聴くだけでなく、DC電圧を駆けての極性確認は必須である。極性は間違っていなかったので、ほっ として、順に試聴する。

 2 組あるので、居間に1組運び、比較した。左の写真は、TB社のW2-802SE(麻布オーディオのジャンク品)を使用したものである。もう1組の Foster FF57BKを使用したものとの差は小さい。高域は僅かにW2-802SEのほうが綺麗に聴こえたのに対し、低域は、FF57BKのほうが僅かに豊かだっ た。高域、低域共に差は僅かだった。低域は振動板が大きめで、フェイズプラグのないFF57BKのほうが有利だろうと思っていたのだが、実際は殆ど差を感 じなかった。
 音場感は、 FF80BKを使用した第一作と比較すると、もっと自然で、QNDRの特長と思っていた、響きの多いホールのような音ではなく、自然な響きのホールと表現 したほうが良い音である。

 FF80BKでは若干ハイ落ちに聴こえたりしたが、2インチドライバーでは、ハイ落ちの感じはしない、しかも低域は40Hz以下まで伸びており不足感は ない。

 しかし、ソースは選ぶ傾向がある。グラモフォンの復刻廉価CDにある椿姫を聴いたら酷い音だった。グラモフォンの録音は、当時最新鋭のマルチ録音が多 かったようで、シンプルな録音向きのQNDRとは愛称が悪い。
 2組のQNDRを別なユニットで作ってみたが、どちらも良いところがあり、成功だったと思う。

 QNDRに興味のある方は、手軽に入手できるFF57BKで作られると良いと思います。運良くW2-802SEのジャンク品が入手できればそれも良いで しょう。FF57BKを使う場合には、内部配線を相当に細いものにしないと取付が大変ですのでご注意ください。

2010/12/04

Con Gioiaの仕上




この上の写真をクリックすると大きくなりま す
 あまり意識しないうち に今年のミューズの方舟コンテストが近付いてきた。

  今回出品作のCon Gioiaは、プロポーションはまあまあ、音は良いようなそうでもないような、といったところである。任意接続多自由度バスレフ(AICC-CR)型とい う、多分世界で初めての作品である、低音はそれなりに出て、中高域はユニットのキャラクタをそのまま生かすというコンセプトは達成したと思う。これを聴い た方が参考になると思って頂ければそれで成功である。

 折角なので、今日仕上の修正を行った。今迄の仕上は、ウレタンワックススプレー塗 装の凸凹を適当に削ってから床用アクリルワックス『ワンピカ』を適当に塗っただけで、素人仕上にしてはまあまあだが、それほどでもない。今度は、600番 空研ぎ用のペーパーをかけて手触りを良くした後に、ワンピカを2回塗りこんだ。

 上側の写真は、空研ぎ用のペーパーを掛けているところである。この白い粉が出るのが空研ぎ用ペーパーの特長で、普通のペーパーではこうならずに、鼻糞の ような丸まったカスが残り綺麗にならない。

  白い粉を掃除機で丹念に吸い取り、布で拭いてから、ワンピカを古Tシャツのキレ端で塗って拭取る。これを2度繰り返しただけでピカピカになった。写真では 分らないが手触りも抜群である。音が変ったかどうかは自分の耳では分らないが良くなったような気もする。プラシーボ効果だろう。

 Con Gioiaの詳細はこちらを ご参照ください。


2010/12/06

ミューズの方舟大会での曲目選び/QNDRのトラブルシューティング

 昨日"Con Gioia"プレゼンのためのCDを選んでみた。これから変更があるかもしれないが、とりあえず選んだのは、下記の通りである。未だ変更の可能性はある が、大きくは変えないつもりである。

(1) Scriabin: Track#9, Poeme Op.32, No.2 (1'58") - Naxos 8.553580 フルオーケストラ
(2) Campiani: Track#1, Ripieno (1'04") - BONGIOVANNI GB5140-2 オルガン
(3) Von Binden: Track#18, Benedicamus domino (47") - harmonia mundi HMU907200 女声
(4) Tord Gustavsen Trio "The Ground" - ECM 1892 ピアノトリオ(どのトラックにするか未定)

 (1) のフルオーケストラは小口径フルレンジが苦手なものである。これは当然のことで、100人以上が全力で演奏するものをちっぽけな紙の振動板で再生するなん て、風車に立ち向かうドンキホーテのようなものである。『再生できた』というのは、かなり限定的で『条件付で一応音楽が聴ける』という程度である。それを 何故選ぶかと云うと、限界を示すためである。自分は元々、コンテストそのものには興味がなく、オーディオ愛好家の参考情報を提供する、そしてフィードバッ クを貰うのが目的である。そのためには、限界を示さなければならない。

 (2)のオルガンは、最低音が33Hz程度で、それもかなりのハイレベルで記録されている。8cmでは空振が大きく、歪も大きくなるのだが、これも再生 能力の限界を示すには必要である。

 (3) は、アノニマス4の録音で雰囲気抜群である。AICC-CR型の特長である音場感を示すために選んだものである。これも小口径には厳しい部分があるのだ が、(1)、(2)よりはかなりましである。以前にカトリック教会の付属ホールで生で聞いているので、比較してみたい。

 (4)は、上記 の(1)-(3)に比べると最も再生し易いソースである。12畳程度までの部屋だったら殆ど問題なく音楽が楽しめるのではないかと思う。ジャズについては 知識が足りないのだが、買った中で気に入ったCDである。どの曲を選ぶかは決めかねている。音はTrack#4が分りやすいが、曲が好きなのは、 Track#12の"The Ground"である。上記の3曲を掛けると、残りは2〜3分しかないので、時間が来たところで終了になる。システムの限界ばかり示しても面白くないの で、いい音、いい音楽として聴ければ良いと思う。音の聴きどころとしては、ベースの音を分解して聴かせるところだと思う。箱の大きなシステムだと、ベース の音はブンブンして音程が分らなかったりするが、空気室を小分けすることによって、大型バスレフとは一味違った音になっている。

 いずれにしても年に一度のお祭りなので、何とか盛上げたいと思います。興味のある方は是非ともいらしてください。

http://www.phileweb.com/news/audio/201011/19/10467.html によると下記の通りとなっていま す。私も10名のうちの1人になっています。会場でお会いしましょう。

■イベント名:自作スピーカーコンテスト 2010
■日時:12月12日(日) 13:00開始(12:30開場)
■会場:品川区立中小企業センター 3階レクリエーションホール
■交通:京浜東北線・りんかい線「大井町」徒歩10分/東急大井町線「下神明」徒歩2分
■入場料:無料

テーマは「FOSTEX FE83Enを一発を使ったスピーカーシステム」。昨年リニューアルされた新FEシリーズの実力を引き出してみようという企画だという。

出品の申し込みは既に締切っており、今回は10作品がエントリー。コンテストは、1人10分の持ち時間の中で共通ソフト・自由ソフトを鳴らし、 作品の説明を交えながら進行。全作品を試聴した出品者、スタッフ、来場者の投票によって受賞作を決定する。

賞は音質・ルックス・アイデア・総合の4部門。ゲストによる作品の講評の後に表彰及び賞品の授与を行う。




 ミューズの方舟大会での曲目がおおよそ纏まったので、早速梱包してしまった。気が早いという訳ではなく、新しいQNDRのうち1本に ビビリ音があるのを早く直したかったためである。


 ビビリ音は、高域のあ る特定の周波数で発生するようである。既に、取付を変更したり、ユニットを1本変えたりしてみたのがなかなか直らない。

  仕方がないので全てのユニットを外に出して1本ずつ聴いてみた。4本のユニットはシリパラに繋いでいるので、1本だけ取り出して聴くことが出来ず、4本か ら同時に出る音を聞き分けなければならず、難航を極めた。聖徳太子でも10人が同じ事を言っていたら聴き分けるのは難しいかもしれない。

 とりあえず、全部をバッフルから外した状態で、1本ずつ耳を近づけ、ビビリが発生するところを何度も聴く。ユニットは結構振動するので、写真のように、 タオルで振動を吸収した状態で聞いてみたのだが、結局良く分らない。

 1本ずつ観察してもやはり分らない。W2-802SEは、振幅が大きいので、手に持つと振動がぶるぶる伝わってくる。

 どうしようもないので、1本ずつバッフルに取り付けてみる。理由は良く分らないが、ビビリ音は何故か小さくなった。

 QNDRは、入力を大きくできるので、ビビリやすく、ビビリの源を探すのも難しいことが分った。

 とりあえずこの状態で様子を見ようと思う。因みに、もう片方のチャンネルと、FF57BKのほうは問題がない。


2010/12/07

ミューズの方舟コンテスト2010に向けて

 自分はミューズの方舟さんの会員にはなっていないが、随分とお世話になっている。今までに出品したことが2回ある。

 最初は孔開きの共鳴管試作品を持ってお邪魔した。そのときは、10cm未満のユニットを使うことが条件だったので、FE83Eを使用した。他の方々が、 FE88ES-Rか何か凄い限定品を使った作品を持ってこられていた。

 2 度目は一昨年で、MCAP-CR型の初公開の場として参加させて頂いた。このときは前回よりは多少要領が分っていたものの、持参したCDの選択は良くな かった。13cm〜16cmのユニットを使うという規定だったが、FE138ES-Rは高価だったので買わなかった。代わりにドイツから3種類のユニット を輸入し、その中で一番気に入ったTB社のW5-1611SAを使って結構まとまりの良い作品を作ることができた。ユニット代をケチったものの、輸入諸経 費が嵩み結果としてFE138ES-Rを買うくらいの費用がかかった。良かったことは、MCAP-CR型が方式として認知されるようになったこと、そし て、一番は、いろいろな方と知り合えたことである。いくらウェブで情報公開していても、直接会って話すのとは大違いである。この後、縁あって、スピーカー再生技術研究会ま で結成することになってしまった。この研究会は、『できちゃった』会であるが、いろいろな方々に支えられている。いずれは、ミューズの方舟さんにも恩返し が出来るような会にしたいと思う。

  今回は、初心に返ってFE83Enを使うという規定である。こういう難しいユニットをどう使いこなすか、ベテランには腕のみせどころだろう。自分は、音造 りまでの腕がないので、面白さに重点を置いた。ウェブを見ていると、自分を含め、半分位の参加者の方が、何らかの情報を公開しているようだ。自分のように 図面から何から公開している人は見付からないが、皆夫々に工夫を凝らしているので、面白いイベントになりそうだ。

 自分の興味は、専ら バックロードホーンである。バックロードホーンを嫌ったり蔑んだりする人もいるが、長岡先生が、死にかけていた方式を蘇生させて発展させたものである。中 域に近い低域まで負荷を掛けた音は、密度が詰まっている。かつて自分が欲しかったタンノイに通じる音がすると思う。自分もバックロードを聞いたからこそ多 自由度バスレフをつくることが出来た。

 3自由度以上の多自由度バスレフは、多分自分一人だと思う。多自由度バスレフは無理して低音を稼 ぐ方式だと誤解している人もいるが、本当の価値は、箱を小分けしたことによる癖の軽減である。Stereo誌のコンテストで、先生方の大型の作品を聞いて いて気付いたのだが、大型の箱は、癖が耳に付く。自由度を増やすことは、デジタルで云えば、細密度を上げるような感じである。食事に例えると、美味い物を 一種類たっぷり食べることから、いろいろな種類のもの食する習慣に変化させるようなものでもある。多自由度型への拡張は、結構いいことずくめではないかと 思う。勿論、仕上がりは、個々の作品で違うので、方式の優劣を決めることは出来ないのだが、聴いて頂ければ何となくこのように感じられる方もおられるかも しれない。

 作品を聴くという意味では、バックロードとの比較が面白い。やはり、バックロードは自作の王道で、誰でも作ってみたいものだ と思う。バックロードの最大の欠点は、大きくなることだと思うが、自分の部屋に持ち込むのでなければ、欠点ではない。大きな会場では真価を発揮すると思 う。バックロードはバスレフと違って、幅広い周波数帯域に負荷を掛ける仕組であり、多自由度バスレフがデジタル的なアプローチなのに対し、アナログ的なア プローチと云って良い。デジタルとアナログとは相反する訳ではないので、好みで使い分けるのが良いのだと思う。

 本当は、全部自分の持参 したソフトで比較したいと思っているのだが、残念ながらそうはいかない。皆さんどのようなソフトを持参されるのだろうか。自分の作品の良いところを強調す るソフトを持参するのが普通だと思う。態々粗を出すようにプレゼンするのは狂っているのかもしれない。

 いずれにしても、12月12日(日)品川区立中小企業センターでお会いしましょう。

2010/12/11

明日はいよいよ発表

 明日はとうとうミューズの方舟自作スピーカーコンテストである。出品作のCon GIoiaは、一旦箱にしまったのを、最終チェックのために出して多少広めの居間で聞いてみた。

  そこで、使用するソフトについていろいろと気付くことがあった。まず、最初に鳴らす予定のScriabinは、結構音の厚みがある割には、全体にレベルが 低い。ヴォリウムは少し上げ気味にしても大丈夫だろう。最初から最大レベルで録音されているので、スピーカーを壊す心配は無さそうだ。

  次に、オルガンのレベルを上げて聞いてみると、空振が大きくて、振幅が数ミリもある。これを大きな会場で鳴らしたら壊しそうなので、同じCDの別のトラッ クに変更した。低域は多少抑え気味だが雰囲気は良く分る。因みに、Feastrexの励磁型を使ったTR130cで再生すると振動板の空振は感じられず、 圧迫感過剰になった。箱の大きさも違うし振動板サイズも違うのでしょうがないが、比較すると相当の差でがっかりした。

 アノニマス4は雰囲気抜群で特に問題無さそうだった。これは変更不要である。

 Tord Gustavsen Trioはどのトラックでも結構上手に鳴っている。とりあえず、トラック7を鳴らそうと思う。ピアノトリオを気持ちよく再生することを目標にしただけあっ て、これが一番安心して聞ける。最初の2曲は目標から対象外の妥協の産物である。それでも、低域のレベルは十分にあるし、音域の重なるベースとドラムを分 解して聞かせるところはなかなか良いと思う。

 さて、聞きに来られる方をがっかりさせずに済むかどうか。

2010/12/13

やっと終わったミューズの方舟コンテスト

  あ〜疲れた...というのが正直な感想だった。今年のミューズの方舟コンテストが終了した。いろいろと反省材料もあるし、意外な発見もあった。結果の講評 はさておいて、自分の感想を書いてみた。但し、この感想は『当たらない』ので信じてはいけない(後述)。と云いながらも、自分の記録として残すことにし た。

 北海道から持参された 金子さんの作品である。黄金比率に製作した密閉型である。PST(BSC)回路で高域を落としている。リュックサックに入れて背負うことができる、飛行機 内に持ち込める、といった、自分と同じような発想に共感が持てる。
  事前の音出しのときに聞いてあっと驚いた。実にいい音だ。特定の音域の強調感とか癖のない音造りで見事である。FE83Enの最大の欠点であるフレームの 音を上手に消している。手作りアンプの会の方々が採点すれば全作品の中でベストに評価されると思う。事前の音出しとは異り、本番では、聴衆に吸音され、ま た、遠くの客席では相当に高域が減衰してしまったのではないかと思う。実際に使用する環境で最高のパフォーマンスを出すと思うが、このような会場向きでは なかった。また、最も印象が薄らぐ一番手というのも残念だった。10番手に登場すれば結果はかなり違ったと思う。
  自分のCon Gioiaは2番手に登場した。設置できないというトラブルがあり、音出しにまごついたが、何とか音は出た。本番では、そこそこ綺麗に鳴っていたと思う。 しかし、バランスが低域寄りで、後方の席の人にはもごもごと聞こえたのではないだろうか。自宅で聴くと派手な音なのだが、広くて人の多い会場では全く地味 な音に聞こえる。準備したソフトのScriabinは、まあまあの鳴り方だったが次のオルガンは無理しすぎで歪んでいた。アノニマス4は、綺麗に響いた し、ピアノトリオは、かなり上手に鳴っていた。このあたりは、わりと多くの人が評価したようで意外だった。作った本人は、面白さを重視し、音は二の次だっ たのだが、残念なことに面白さは全く評価して頂けなかった。理由のひとつはくだらないが、資料の字が小さすぎて読めなかったためだそうである。
  内野さんの作品は、積層構造で滑らかな曲線のCW型バックロードホーンである。誰もが考えるが、普通ここまでは出来ない。見事、脱帽である。そして、音も とびきり良い。音出しの時に聞いてビックリ。こんな凄い音を聴いたらCon Gioiaなんて恥ずかしくて並べられないと思った。バックロードホーンの良さがストレートに出ている。

 本番では、聴衆に吸音されて、思い切り の良さが減退してしまった。自分は、向かって右側の端で比較的近いところで聴いていたので、この良さを聞き取ることが出来たが、客席の殆どは離れており、 音離れの良さを感じることが出来なかったかもしれない。しかも、この後が、割と派手な音造りの前田さんだったし、印象が薄らぐ3番手ということで気の毒 だった。
 4番手は、会長前田さ んの作品。資料に図面はないが、拡がり率の小さいバックロードホーン『ウィングロード(Wing Load)』である。

 前田さんの作品らしい粒立ちの良い音。低域にも少しアクセントを持たせて思い切りの良さが際立った。

  この作品の凄いところは、大きな音が出せることである。ソフトの選び方にもよるかもしれないが、Con Gioiaの倍くらいの音は出せる。前田さんの凄いところは、フォルテシモで始まらない曲の最初の部分を聞いて、フォルテシモの部分でも歪まないぎりぎり のボリウムに調整できることである。まさしく達人の業。ミューズの方舟の結成以来30年間会を率いてきただけある。しかも、毎年作品を出品し、評価されて きている。この作品も、その中の一つである。

 最初の4作品グループの中の最後で、印象は薄れやすかったのかもしれない。結果を見るとそのような感じを受けた。
 次の3作品のグループ の最初、全体では5番目が白須さんの『JODEN(除電)7』である。

  今大会の中で最大、最重量のモンスター作品。ダブルバスレフ構造だが、ローカットフィルタを入れると、ディスコのような大音響を出すことが出来る。除電が テーマなので、あらゆるところに除電対策を施している。振動板が黒いのは、塗料を塗って質量を増しているのではなく、導電性の墨を塗ることで除電対策をし ているのである。

 徹底した拘りで、音もモンスター級。凄くいい音である。参った。こういう拘りの徹底した作品には、平伏すしかない。

 参りました。
 6番手は岡田さんの 『ラジアン』である。曲げたバッフル板の円弧の中心角が1ラジアンだそうである。

  弱点のフレームの音が出ないように裏面から取り付けている。これは、金子さんと同じだが、そこに更に、吸音性の素材を付けて嫌な音を消している。また、軸 上正面で聴くことを避けている。FE83Enの音が好きな人には向かないかもしれないが、こうすることによって、このユニットの癖を軽減することを目指し たのだろうか。

 この作品の凄いところは、音場感である。あまり高くない会場の天井を反射した音を聴くと、生の臨場感のようである。天井吹き抜けのホールで生演奏をした り、大道芸をやったりする音響に似ている。これは、まさしく、音場再生の新しいカタチである。

 バッフルが大きいので、鳴りがあるのかと思ったが、音を聴くとそういう感じではない。曲げることによって、剛性が増すという効果だろうか。
 第2グループの最後、 全体で7番目の作品が、カノン5Dの鈴木さんの作品、『ヘキサロード』である。5作の試作を重ね、ようやく納得行く形に落ち着いたという。鈴木さんのよう に、若く、かつ、情熱がある方は頼もしい。

 音出しのときに、すでにこれは只者ではないことが分った。内野さんの作品と形状は違うが共通する押し出しのよさ、音離れの良さ、音の豊かさがある。この 音を聴いて、やはり、自分の作品を出すのが恥ずかしくなった。

 特長は、ヘッドの構造で、振動板背面の音が、振動板を突き抜けてもろに出てこないように工夫されている。これは、素晴らしい効果を上げていて、嫌な音が 出ない。長岡先生のオリジナルをようやく超えたスワン型バックロードホーンではないかと思う。

 本番では、やはり、吸音されて音離れの良さが減退した。それでもバックロードホーンの特長は良く感じられて、スカッとした音。抜群の音である。
 第3グループの最初を 飾るのは、井形さんのトリプルバスレフである。自分の諦めたMCAS-CR型(これは、鈴木の命名で一般的な名称ではないが、MCAP-CRのParallelに対し てSeriesとなるのでMCAS-CR)である。

 自分がMCAS-CR型を諦めた理由は、空気室と接続ダクトがローパスフィルターになって、中低域が痩せてしまうためである。ところが井形さんは、ダクトを直 接繋がるように一直線に並べることによって、ハイカット特性を克服した。MCAS-CR型の可能性を引き出すことに成功した。

 第1空気室の容量にゆとりがあるので、嫌な音が出ない。また、トリプルバスレフなので、ゆったりとした鳴り方である。本番ではこのゆったりした鳴り方は 不利になったかもしれない。それでも、高い評価を得たのは、この作品の質が高かったからだろう。

 形状は少し違和感があるかもしれない。ちょっとジョークのようでもある。しかし、音は本格派の一級品。これを聴いただけでも、この大会に参加した価値が あった。
 続いて最後から2番目 となる久保田さんの作品。バスレフに、僅かに拡がる音響迷路型ダクトを付けたオリジナル構造である。 ネットワークを付け、大人しい音造りに成功してい る。これも金子さんの作品と同様、自室に置いて使うのに向いている。

 広い会場で、聴衆が多いのは、このような作品には不利だが、それでも、評判が良く、多くの支持を集めていたのは、本質的に優れている証拠だろう。

 自室に置いて判定するという評価があれば、金子さんと1、2位を争う傑作と思う。
  最後は、河辺さんの『Renaissance』である。空気室の小さなバスレフで、ダクトに漏斗を使っている。見た通りの小型バスレフのような息抜きを付 けた密閉のような音。空気室が小さいので、振動板背面の音がコーンを突き破って強烈に出てくる。自分だったら吸音材を使うだろうが、敢えてこれを音造りに 使って成功している。ローエンドは100Hz位か。全作品の中では最もハイ上がりで、ローは少い。課題曲の『POMP&PIPES』にあ るオルガ ンの下のほうの音は聞こえなかった。これ位ハイを強調するのなら、ローはこのように切ったほうが良いということだろう。実際に評価が高かった。
 フレームの音を抑えるためのゴージャスな円板が華を添えている。

 さて評価はというと、かなりバラバラに分かれた。結果として音質賞が白須さん、その他3賞が河辺さんだった。おめでとう御座います。

  各作品に対する自分の印象は、上記の通りだが、自分の評価と会場の人々の評価は一致しなかった。特に、内野さんとカノン5Dの鈴木さんバックロードホーン の音には、『参りました。降参。比較されると恥ずかしいので自分のは引っ込めます。』と思ったのだが、音質賞では、内野さんがたったの2票、カノン5Dの 鈴木さんでも13票止まり。Con Gioiaの15票より少いとは、正直云ってあり得ないと思った。バックロードホーンは、最高の前田さんでも17票で2位(井形さんと同票)。バックロー ドホーンの音は、あまり好まれないということだろうか。一体何故だろう?

 とは云っても、票はかなりばらけて、全く票が集まらないという作品は無かった。標本数が多い訳ではないので、有為差は無かったと思う。場所を変えて客層 を変えて評価すれば夫々に順位が入れ替わる程度の差だろう。

  実は、このコンテストの評価には、ある大物も疑問を感じていて、その方はこのところ出品されていない。その方が仰るには、会場の聴衆にいい音を吸われてし まうので、この会場用の音を造ってこなければならないのだそうだ。そういう音を造るのは出来るのだがポリシーには反するのだそうだ。自分もそのことは分る ので、面白さ、興味を目標に頑張ってきたのだが、残念ながら、そういうところでは評価が低かった。自分の作品の形状も好きなのだが、ルックスはたった6票 と全然評判が良くなかった。

 因みに、今回は、参加賞としてFostexから全員にFE83Enを1組ずつ贈呈された。Fostexさん有難う御座います!また、自分は近藤さんから 近藤賞として、2.8mHの立派な空芯コイル1組を頂戴した。近藤さん、どうも有難う御座いました。

 最後には打上げでいろいろな方々と楽しく会話することが出来、充実した一日となった。

 ミューズの方舟の皆様どうも有難う御座いました。

 あ、そう。結果を撮影してくるのを忘れました。興味ある方は。たてちゅ うさんのブログをご覧ください。

2010/12/14

最近購入したCD

  大山さんのメルマガでグラモフォンの安価なシリーズが発売されたことを知り、黄箱とバーンスタインの交響曲集をアマゾンで購入した。写真後ろのバーンスタ インは、間違ってLPを買ったのかと思ったが、CDである。グラモフォンのシリーズは、名曲・名演で素晴らしいのだが、音は好きでない。
 同じく アマゾンで、ミシェル・プラッソンの37枚の箱があることを知って興味を持った。アマゾンでは曲目が分らなかったので調べていたら、タワーレコードに少し 出ていて、しかも、期間限定で安かったので、衝動買いしてしまった(前面右から2番目)。こちらは、録音の良いものが多い。
 その左側は、北欧のジャズのCDで、女房が新聞のサイトで見付けたものである。お馴染みの曲目もあり中々良い。
 左から2つは、自分がオーディオに嵌るきっかけとなった。ユージン。オーマンディ先生のものである。弟子ではないが、呼び捨てにするのが憚られるので、 先生と呼んでいる。
  これらは、唯一国内盤であった。買ってみて初めて気付いた。このところ国内盤から遠ざかっていた。特筆すべきは、ブラームスの交響曲が全曲収録されている ことである。オーマンディ先生のブラームスは特に好きである。今まで、残念ながら1番と4番しか販売されていなかったが、全曲聴きたいと思っていた。そこ に3番と2番が加わったので躊躇なく飛びついた。国内盤なので、音が心配だったが、あまり悪くはなかった。勿論LPに比べると音が悪く感じるが、上記のグ ラモフォンの録音と比べるとずっと良い。但し、3番だけは録音の状態が酷く悪い。1940年代の録音かと思ったが、1967年の録音ということである。た まにはこういう失敗もあるのだろうか。いずれにしても、こういうCDが安価に購入できるのは嬉しいことである。しかし、元の値段は何だったんだろう?コ ピー文化が生まれてしまったのは、オリジナルが高価過ぎることが原因ではないのだろうか。今の価格は低すぎるかもしれないが、新盤は1枚千円だったら成り 立たないのだろうか?それでもコピーしたがる人が多いだろうか?三千円も四千円するからコピーする人が出てくるのではないだろうか。本当にマーケットを調 査して、最適化されているのだろうか?疑問が残る。

 オーマンディ先生は自分にとって特別な存在なので、一般性が低いと思うが、上記の中 で、それ以外に最もお勧めなのがミッシェル・プラッソンの37枚組である。送料込みで6,682円である。フランス人作曲家の作品の演奏で、新しい録音が 多い。個人的には、録音が良いと感じるのは、CBSソニーで販売されているOdyssey盤とEMI盤が多い。オーマンディ先生が移籍した先のRCA盤は 音が悪く感じるので、買うことがない。グラモフォン盤も音が好きになれない。LP時代には、グラモフォン盤の埃の着きやすさ、しぶとさには辟易した。 CBSソニー盤やEMI盤のLPは、埃を取らなくても困ることが無かった。それでも、千葉のオーディオユニオンのおじさんは、『グラモフォンの盤質、録音 が最高』なんて云っていた。確かに雑誌では、エラいセンセイ方がそのような評をしていたのだが、自分で確かめない決め付けは困ったものだと思う。自分が中 学生のころのことなので、もう三十数年も前のことである。

  その頃のオーディオ装置は、グラモフォンの音を良く聞こえるように最適化されていたように思う。グラモフォンと云えばカラヤンだった。カラヤンの功績で最 も大きかったのは、録音によるクラシック音楽の大衆化だったのだという説を聴いたことがある。今思えば確かにカラヤンのお陰で自分の家にもレコードプレー ヤーがあったのだと思う。

 カラヤンは、オーディオマニアで、モニタールームに入り込んで音のチェックをしていたそうである。カラヤンの 感性が良い音の基準になったのだろうか。そんなことを考えながら、様々なレーベルの様々な時代の録音を聞いてゆくのが面白い。CDが無くならないでくれれ ば嬉しいのだが、いずれはダウンロード販売になっていくのかな。自分は、やっぱり、実体があったほうがいい。

2010/12/19

今年の総括

 2010年は自分にとって変化のある年だった。

 正月はメテオラで向かえ、修道院には今年の一番乗りグループに居た。だからと云ってどういうわけでもないのだが、何かを感じさせる年明けだったのだろう か。

 今年は、まず、AICC-CRとCBS-CRに挑戦。これらの方式には疑問が多かったのだが、作ってみるとそんなに悪くは無かった。むしろ、標準型の MCAP-CRよりも好ましい面があった。

 1 月には、パリで『ファウスト』を演奏することを知り、急遽チケットを購入。3月には本当にパリに行ってしまった。ところがこの『ファウスト』は、聴きた かったグノーの作品ではなく、フェネロンの作品だった。混乱のうちに1回目を聴いたが、2回目には気を取り直して同じ作品を聴くとフェネロンも好きになっ た。パリ滞在中は、ルーブル美術館まで毎日足を運び、絵画にどっぷり浸かることが出来た。しかも、British AirwaysのストでJALに大勢流れてきたお陰でシートがアップグレードされて往復ビジネスクラスの旅になったというおまけ付。ついでながら書くと、 JAL破産のお陰で2千株がパーになってしまいました。

 後半は、スピーカー再生技術研究会の発足へと突き進んだ。

 AICC -CRとCBS-CRを松さんに聴いて頂くと、一気に盛り上がり、音場型のNDRを含めて発表しようということになった。会場探しには苦戦したものの、9 月にはスピーカー再生技術研究会が立ち上がり、オフ会を開くことが出来た。この研究会を発足させるにあたって、いろいろな皆様のご協力を頂いた。そして、 アウトローでやっていた自分のオーディオ趣味のお付き合いが一気に拡がった。

 研究会でお知り合いになることができた、せんむさんのご紹介で、軽井沢朗読館の館長さんともお知り会いになることが出来た。そして、部屋の音響について 深く実感することができた。

 さて、肝心のスピーカーシステムはというと、実際に作った多自由度バスレフの種類に、AICC-CR型とCBS-CR型が加わった。どちらも特長があっ て、悪くなかった。頭の中だけで考えていると分らないが、こういうバリエーションを増やしていくのは楽しい。

  今年のスピーカーシステムで、最も大きな収穫は、音場型のQNDR型システムである。松さんが、NDR型を推進され、多自由度バスレフとの組合わせを提唱 されたのは全く正しかったことを実感した。QNDR型の第1号試作機は、FosterのFF80BKを片チャンネル4本使って製作し、不思議な音場感を実 現した。オリジナルのNDR型とは効果が違うが、聞く場所を選ばないという優れた特長があった。普通の部屋で聴くと音像が多少ぼやける感じもあったが、軽 井沢朗読館という立派なホールで聴くと、音像もぼやけず、かつ、聞く場所を選ばないという効果も変らなかった。しかも、片チャンネルにユニットを4本使っ たお陰で、パワーが入り、低音再生も十分以上になった。11月になって、更に小型のQNDR型を製作し、そのメリットを実感している。ただ、5cmユニッ トを使った2号機と8cmユニットを使った1号機とでは、音場に微妙な差があるので、再び軽井沢で確かめたいと思っている。

 12月に は、ミューズの方舟コンテストがあり、ここにAICC-CR型の"Con Gioia"を出品したが、予備知識のない人に説明するのは難しいと感じた。音については結構評価を頂いたが、面白さについては、分って頂けなかった。し かし、バックロードホーンの凄いシステムを聴くことが出来たし、自分が諦めていたMCAS-CR型の可能性を見ることが出来たのは収穫だった。

 今年もあと1週間とちょっと残っているので総括するにはちょっと早いが締めくくってみた。

 皆さん来年もよろしくお願い致します。

2010/12/23

技術の進歩?

  自宅の古いPCにWindows2000(W2K)とOffice2000を入れてみた。自分の働いている会社の親会社が今年いっぱいで MicrosoftろのHUP(Home User Program)を解消するので、Office 2007をアンインストールしたためである。代わりにライセンス購入済みのOffice2000を入れようとしたのだがエラーになりインストール出来な い。どうやら、Windowsのセキュリティ更新か何かに引っ掛っているらしいので、XPの再インストールから始めようかとも思ったが面倒なので、W2K のシステムを再構築することにした。

 使用したPCは、MSIのK8MM-Vというメインボードで、CPUにはAMD Turion64、メモリは1GBである。このCPUは、ノート用の省電力タイプで、このPCにはWindows系列のOSをインストールしたことがな く、Mandriva Linux2009 32bit版を使っていたが少し不具合があった。今回は、Linuxとのデュアルブートで使うことを前提とり、openSUSE10.3 64bitをインストールしても使えることを確認したので、openSUSE11.3 64bitをインストールしたところ極端に遅くなった。結局またMandrivaに戻り、2010 Spring 64bit版を使うとすこぶる良かったので、Windows2000とMandriva Linux free Spring x86-64とのデュアルブート環境とした。

 Windows2000は、既にサポート中止になっているので最新の機器には対応していない。しかし、今回使ったものは何年も前のものなので問題無かっ た。Office2000も全く問題なく使うことが出来た。

 Windows2000+Office2000 Professionalを使用して気付いたことは、圧倒的な速さである。現在、WindowsXP, PentiumM, 1.25GB RAMという環境で使用している会社のノートPCと比較すると、渋滞路を走るバスと新幹線位の差がある。会社のPCは、アプリケーションが多いことは差し 引いて考えることにしても、起動してログインした後、マウス操作に反応するようになるまで5分位かかるのに対して、このWindows2000のPCは、 10秒位で使えるようになる。また、Excelを開くと初回は0.5秒位かかるが、2回目以降は瞬時に立ち上がる。メモリの使用量もExcelを起動した 状態で200MB程度と少い。これは、快適そのものである。XPがどれだけPCに負担を掛けているのかが良く分る。XPはロゴが出るまでは速いがその後は 物凄く遅いのである。XPの売りは、2000に比べて起動時間が短いということだったが、使える状態になるまでを比較すると、2000のほうが圧倒的に速 い。この後のバージョンは更に酷く、Vistaの出始めたときに、メモリ1GBのマシン(新品)を使ったら、操作しても全く反応しないかのような速度にギ ブアップした。こんなパフォーマンスなので、人気はなかったようだ。Windows7も使ってみると、Vistaと大差ない感じがした。

 このPCで2000とデュアルブートで使っているMandriva x86-64も快適である。2000よりは遅いが、『フリーズしたか?』と感じさせることはない。安定性も良いし、64bitで使うと得した気分にもな る。

  オーディオ製品と比較してみると、少し違うが、似たようなところがある。例えば、アナログを知らない人が、しっかりした装置でLPレコードの音を聴くとそ の良さにびっくりする。スピーカーシステムも状態さえ良ければ30年前のもののほうが良かったりする。一体どこが進歩しているのだろうか?確かに、数千円 のDVDプレーヤーで十分な音質が実現できたり、デジタルアンプの質が上がったりしてはいるものの、全体的に見ると30年前より良くなったのかどうかは疑 問である。良くなったのは、価格の安いCDソフトが増えたことだろう。これは、技術とは関係ない前進である。

 こんな状態だから、スピーカー再生技術研究会の存在価値があるのだろう。果たして技術は進歩しているのだろうか?

2010/12/25

Stereo誌1月号の付録CD

  今日はクリスマスだ。キリストの生誕を祝う日である。自分はキリスト教徒ではないが、家内がカトリックなので、我家もささやかに飾りをしている。朝日新聞 のサイトを見ていたら、『3人に1人は興味なし?=贈り物予算は1万円超―クリスマス調査・民間気象会社』なんていう記事があった。中身を読んでみると、 クリスマスプレゼントの話しか書いていない。Yahoo!の記事にも『あなたはクリスマス誰と過ごす?』なんていうのがあった。こんな質問内容では、キリ スト教徒は『興味ない』と答えるだろうか?オーディオと同じでクリスマスも本来のあり方とは違う変な方向に行っている。

  たてちゅうさんのブログを読んでStereo誌1月号にチェック用CDが付いていることを知った。kenboさんのブログには試聴結果が書いてあったの で、つい買ってしまった。昨日の夜、早速居間のシステムで聞いてみた。CDプレーヤーはStuderのD730、プリアンプはCrescentのRA 1501-Aという高級品。パワーアンプはアキュフェーズのP-350という普及品で、QNDR型のDU050x4を鳴らしてみた。ユニットには FosterのFF57BKを片側4本使っている。
 kenbo さんの記事では、マーラーの交響曲にあるハープは良く分らないということだったので、これを聴いてみると、やっぱり良く分らない。他のソースは特に問題な さそうだった。聴いているうちにどうももやもやした感じがしたので、試しにCDプレーヤーを東芝のHDD/DVDレコーダーRD-XS36に換えてみた。 するともやもや感は全くなく、音の輪郭が締っている。D730がくたびれてしまったか、音は値段じゃないのか..昔は、ある程度価格に比例していたなあ。 今は正直云ってよく分らない。
 それで、ハープが聴き取れたかと云うとやっぱり分らなかった。そこで、同じ曲が入っているTelarcのCD- 80444を聴いてみた。音はこちらのほうが抜群に良く聞こえるのだが、肝心の部分にたどり着かない。楽譜を見ながら(読めないが)聴いている訳ではない ので探すのに難航し、眠くて時間切れになってしまった。 
 朝起床してから、自室の装置でも同じよ うに聴いてみた。こちらは、CDプレーヤーが日立のDVL-P900、プリアンプがアキュフェーズのC-2000、パワーアンプがユニエルのPA-036 で同じくQNDR型のDU050x4を鳴らす。こちらのユニットはFosterではなく、TBのW2-802SE(ジャンク品)が付いている。やはりハー プは聞こえない。メインのFeastrexを使って聴いてみても聞こえそうで分らない。一体どんな装置で聴いたら分るのだろうか?スコアを見ながら『ここ だ!』と身構えていると聞こえるのかもしれない。装置差よりも個人の能力差のほうが大きいのかもしれない。

 結局、他のCDのマーラーでもハープの音は聞こえているのか聞こえていないのか分らなかった。しかし、聞こえたような気もするのである。思い込みか気の せいか。聞こえるはずだと云えば聞こえるのが義務のようになってしまう。

  このCDをじっくり聴いて良かったのは部屋の欠点が良く分ったことである。自室は狭くオーディオ環境に良いとは云えないし、更に左右の条件が全く違う。ス ピーカーシステムに向かって右側は吸音性のカーテンがあるが、左側は反射性の棚がある。モノラルで聴いても高音域は左に寄ってしまう。厚手のカーテンを開 けると音像は多少中央に戻るがレースのカーテンまで開けたくない。部屋は北向きで寒いのである。エアコンの音も気になる。この部屋の悪特性の影響は、 QNDR型に比べてFeastrexを1発使ったTR130cのほうが強く受けた。QNDR型は部屋の影響も受けにくいのだろうか?

 雑誌の本文のほうは、読みたい記事がある訳ではないのだが少し目を通してみると、『?』と思うところがいくつかあった。

  ひとつは付録の冊子にあった某先生のリファレンスCDの解説で、『低域可聴限界がCDより低いSACD....』という記述。可聴限界は、人間に依存し ソースには依存しないはずだが...『再生限界』と書くなら分らなくないが、仮にそういう意味だと解釈しても、問題がある。CDは可聴限界の20Hz以下 でも問題なく記録できるし、現にそういうCDもある。原理的にもサンプリング周波数の約半分以下の周波数まで再生でき るので、CDで10Hz位も問題ないのである。敢えて云えば、音圧方向の分解能(ビット数)が大きいほうが、低域の振幅(結果として音圧)を大きくとれる ので、そういう意味で使われているのだろうか?一応そういう意味だということにしておこう。

  それと、FF105WKを使った製作記事も気になった。記事には『(FF105WKの)高音域はナチュラルに25kHz以上まで伸びている』と書かれてい るが、製作したシステムでは何故か高域をネットワークで切って2ウェイにしている。勿論そういうシステムを作るのは構わないのだが、それだったら態々折角 伸びている高域を切って使う理由を明確にすべきだろう。こういう作品の製作記事を読んでもこの新しいスピーカーユニットの魅力は伝わらないのである。 Fostexの開発者の方はこの記事を読んで有難いと思うのだろうか。長岡先生は、設計の理由を明確にしたうえで色々な作品を作られていたのだが...

 今年の日記は最後です。良いお年をお迎えください。


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