MCAP-CR
多自由度バスレフ型スピーカーシステムの研究開発
物理モデルに基くシミュレーションソフトウェア開発




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07/04
マトリックスのテスト
07/12
スピーカー保護グリルの変更
08/03
WICKED
08/09
教会の録音
08/15
Mal'akhim
08/23
プログラミングの勉強
OpenOfficeの入手方法

08/24
MCAP-CR設計における注意点
08/25
設計用パラメータ(スピーカユニットのスペック)の見直し

 

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2009/07/04

マトリックスのテスト


die Bremseを作ってみてから、アンサンブル型が意外に良く鳴ることが分ったので、これに使っていない2インチの4連MCAS型(中低域が出ない失敗作) をマトリックス接続で繋げてみました。
ア ンプはKenwoodのミニコンポです。バランスアンプでないか心配だったので、取扱い説明書を読んでみましたがどこにも書いてありません。しょうがない ので、音を鳴らしながらスピーカー端子のマイナス側同志の電圧を測ってみるとゼロボルトだったのでやってみるとあっさり鳴りました。



置 き場所に制限があるので、角度を変えたりする実験は面倒なので実施しませんでした。スピーカーユニットが全然違うのでちょっと心配でしたが、同じメーカー のせいか全く問題なく音場を拡げることができました。マトリックスが効果的であることが分ったので、次は、FE108S+FE108Σのマトリックスス ピーカーを作ってみたいと思います。


2009/07/12

スピーカー保護グリルの変更


近く休暇をとることにしているので、いろいろとしておかなければならないことがあり落ち着きません。休暇の準備があり、また、景気の悪い仕事のことでも頭 がいっぱいです。

パソコン用ファンガードの 9cmのものが、10cmスピーカーユニットにぴたりとフィットすることに気付いたのでサンワサプライのTK-FG3というもの を買ってきました。価格はヨドバシアキバで1個210円のものです。TR100aに付いていたFostexの10cm用グリルと交換してみました。

音を出してみると、今迄とは全く違う音になりました。Fostexのものは、細かい網ですが、前面の半分位を塞いでいるように見えます。この安いファン ガードは見たとおり殆ど素通しになっています。

マニアの多くはこのようなガードを付けないことは知っていましたが、音の劣化はあまり気にしたことがありませんでした。

TR100aは、TangbandのW4-927SCを使用しています。麻布オーディオのウェブサイトを見ると、ロットが変わったW4-927SEが入荷 していました。価格は、1個3,980円で、SCのときから変更になっていません。

いくつかのCDをFeastrex Nf5Exを使用したTR130cと聞き比べてみました。

[1] Christmas music from the North, Joulu (ZENCD 2086)

[2] Nidarosdomens Guttekor, Trondheim Cathedral Choir (SONCD 6001)

[1]は、北欧のジャズで、1トラック目の"Rauhaa vain rauhaa"という曲を中心に聞きました。ピアノ、サックス、パーカッションとジャズらしい曲です。クリスマスっぽくないので、季節を問わずに聞くこと ができます。

[2]は、これも北欧の教会での録音で、6トラック目の"Som en brudgom til sin hjertenskjaer"という曲を中心に聴きました。こちらは、パイプオルガンをバックに少年のコーラス、そして大人の男声コーラスが入ります。

どちらも同じCDの中から好きな曲を選んだものです。

先ず、ジャズを聴いてみると...
う 〜ん、正直云ってもうTR100a、130cのどちらを聞いても良いような印象です。音の違いは分りますが、どちらがいいのか...ピアノもサックスもシ ンバルも鳴り方は違いますが、くっきりと明瞭な表現はどちらも見事です。TR130cのほうが、音が滑らかですが、気にしなければ気にならない程度の差し か感じません。100aのほうが僅かに高域寄りで、シンバルを叩いた音がより金属的にきつく聞こえますが、これは、高調波歪の音なのか?

次 に合唱を聞くと、これは差が良く分りました。先ず少年の合唱の透明感が違います。TR100aだけを聞いていると文句はありませんが、TR130cに変え ると、透明感、奥行きが違うのがはっきり分ります。また、男声コーラスが登場したときには、TR100aでは、いつの間にか男声コーラスになっていた、と いう印象ですが、TR130cでは、少年のコーラスとの対比を強く感じることができ、音楽に深く入り込むことができます。

ジャ ズを聴いても私には良し悪しが分りませんでしたが、それは、私の感度が鈍いのであって、オーディオ愛好者の多くはこの差が大きく感じられるのではないで しょうか。私にとっては、生の音に触れようと思えばクラシックしかないので、PAを使ったり、オンマイクで歌うような音楽の生の音は何が本当の音なのか分 りません。だから、クラシック以外のソースを聞いても差が分りにくいのかもしてません。

以上のように前置きしたうえで、差を云々するのは尚早ですが、感じたことは、Tangbandのコスト/パフォーマンス比の良さでした。クラシックを聞か ないのであれば、こ れで十分だと思うし、クラシックでも無理に欠点を見つけようとしなければ全く問題ありません。
今迄Fostexのグリルを使っていたのは失敗でした。 Fostexのグリルはどちらかと云うと業務用で、絶対に傷付けたくないという用途に作られているのではないかと思います。Fostexのグリルを使って いたときにはつまらない音になってしまっていました。やはり、前面の障害物はなるべく少いほうが良いようです。

Feastrexは、Tangbandとは質的に大きな差がありますが、それはあくまでもソースの好み次第です。Feastrexのパフォーマンスを生か すには、合唱のような再生の難しいソースが向いているのではないかと思います。


2009/08/03

WICKED



7 月の中旬過ぎから10日間休暇でUKに行きました。その間はオーディオはお休みでしたが、最終日の7月24日にロンドンで、Broadwayミュージカル のWICKEDを鑑賞することができました。オペラは良く鑑賞するのですがミュージカルは、米国滞在時代に一回見た限りでした。

今回のWICKEDは、ロンド ンのAPOLLO VICTORIAという劇場で行われました。
席は、ステージに向かって中央右側、W列でまあまあの場所でした。今回のUK旅行では、どちらかというと自然に触れ合うことのほうが多かったので、文化行 事として興味がありました。

演奏が始まって驚いたのは、音響装置の悪さ、こんな歪んだ音を聴いていたら難聴になりそうです。ハイファイオーディオとは無縁のPA装置の音でした。

それと困ったのは内容が分らないこと。自分の場合、仕事で英語に困ることはあまりありませんが、生活英語とか、音楽の英語にはちょっとついていけません。 自分の英語の弱さを思い知らされました。

事前に読んでおいた粗筋を元に、ところどころ分る英語で最後まで聞き(見)ましたが、詳細は全く分りませんでした。
内 容は面白かったので、帰国後調べてみると、劇団四季で同じ演目をやっていることが分り、土曜に聞きに行きました。幸いにも当日券の最後の2枚を買うことが 出来ました。もっとも、最後の2枚だけあって価格に見合わない見辛い"S"席でした。日本の劇場はS席ばかりで、客を馬鹿にしていると思います。これだけ コンピュータが普及しているのだから1席ずつ50円でも100円でも価格を変えるべきで、そうしなければ、価格の公平性が保てません。そう思っている人は 多いのではないでしょうか。ヨーロッパの劇場では、(少い例ですが)知る限り、殆どの席で見やすくなるよう工夫されており、また、価格レンジが大きく、更 に、一番高い席の数も全体から見れば少いので日本のような不満はありません。

そうは云っても、幸運にも入手できた最後の2枚ですから、じっくり鑑賞しました。
最初に気付いたのは、舞台装置がAPOLLO VICTORIAと全く同じということです。オペラの場合は、同じ演目でも劇場毎に舞台装置が違うのは当然ですがミュージカルの場合は、版権を握る元締め がいるのでしょうか。
劇 団四季の場合は、音響装置の質がAPOLLO VICTORIAよりもずっと良く、PAとしては上質でした。日本語だったので内容も良く分りました。なかなかいい話で、盛り上がりました。見栄えは APOLLO VICTORIAに負けますが、劇団四季の演奏、演技は見劣りすることがなく感心しました。

ミュージカルはオペラの民衆化版のような感じで、音楽的、オーディオ的にはあまり面白くありませんでしたが、演劇としては見事なものでした。劇団四季のチ ケットは、入手困難なようですが、結構当日券が買えるようなので、興味のある方は、試してみられたら如何でしょうか。



2009/08/09

教会の録音


先 月は、UKで休暇を過ごしました。私は西ヨーロッパが好きで、旅行のときには必ず教会に立寄ります。それも、必ずローマカトリック教会か、ローマカトリッ クから分かれたプロテスタントの教会や大聖堂です。ギリシャ正教の教会には興味がありません。理由は信仰のためではなく、中にあるオルガンが目的なので す。ギリシャ正教では、オルガンを使わないので、楽しみが減ってしまいます。今回もオルガンのある教会や大聖堂をいくつか訪れました。その中で、 Chester Cathedralで購入したCDが気に入りました。教会そのもの、中の美術品、ステンドグラスなどを鑑賞し、最後に売店でCDを買いました。

英国は、ローマカトリックから 分裂した英国国教会の国ですが、教会はローマカトリック教会のものと区別がつかないくらい似ています。
Chester Cathedralには、オルガンが2つあり、これは目立つ位置にあるあるオルガンです。天井が高く、広々とした聖堂の中に神々しく輝いています。

この後ろ側にもうひとつオルガンがあります。左の写真では、中央下側の奥にその一部が見えます。

     もうひとつのオルガンは、見た 目はぱっとしませんが、近くで見ると、太く、長く立派なものです。計測してはいませんが、一番長い管は4m以上あるものと思います。

このオルガンを見て、CDが欲しくなりました。

売店には何枚かCDがあったのでその中から3枚購入しました。
特に気に入ったのが左の1枚で す。

聖歌隊の録音で、少年のコーラスは透明感抜群、男声との対比も見事です。バックグラウンドのオルガンの厚みも立派で、流石に見た通りの音がします。
演奏も曲目も素晴らしく、つい聞き入ってしまいました。

このCDを国内で購入できるのかどうか分りませんが、お勧めできる1枚です。購入金額は、値引になっていて、4.5ポンドでした。値札の下には、 10.99ポンドの値札があったので運が良かったと思います。

普段は、励磁の電気を節約するために遊ばしている、FeastrexのNf5Ex+TR130c1/c2ですが。こういう音楽は電気を余分に使ってでもこ れ位のシステムで聞きたくなります。このCDは、このスピーカーシステムを活かせる音源のひとつです。




2009/08/15

Mal'akhim


今日、石丸電気のレコード館に 行ってみたら、300円の処分品コーナーがありました。これは、
値引処分
→500円均一処分
→300円均一処分
となったようです。以前の処分でも余った在庫の処分でとうとう300円になってしまったようです。
この中に、私の愛聴盤がありましたので紹介します。それは、Mal'khimというもので、トリノの教会での演劇のライブ録音です。この録音は素晴らし く、劇場の雰囲気が良く収録され、また低域から高域まで広いレンジで録音されています。
曲は現代風で、とっつきにくい感じのものですが、聞いているうちにだんだんと気に入ってきました。

このCDの8番目のトラックの スペクトルを解析したのが下のグラフです。
こ のトラックでは最初から36Hzのオルガンがハイレベルで録音されています。スピーカーを作ったときには、この圧迫感を再現できるかどうか、チェックする のに使用しています。36Hzは、超低音というほどではありませんが、これを聞いたときにはもっと低い音なのかと思うほどです。このトラックにわたってこ の音が入っており、これにドラムや男声等が加わり迫力は十分です。


曲が気に入らない場合にはしょうがないのですが、私のお勧めCDです。それが300円で購入できます。在庫はあと2枚なので、騙されたと思ってお試しくだ さい。


今年の盆は、墓参のためにレン タカーを借りたので千葉市の実家近くのホー ムセンターに寄って、VCTFケーブルとホースを買ってきました。VCTFケーブルは、スピーカーの内部配線のためのもので、1.25sqmm×2線のも のを20m、3線のものを10m夫々買いました。また、ホースはテトロンブレードホースの内径15mm、19mm、25mmのもの、透明の軟質塩ビ(推 定)の内径32mmのものを各2mずつ購入してきました。MDOF(多自由度)バスレフのダクトに使用するためですが、眺めているうちに、共鳴管にできな いかと思い始めました。虻型の次は蛇型というのも良さそうです。
今週の平日に少し休みをとった ので、自宅でのんびりしていたときに、スパークリングコーヒーというものを飲みたくなり、作ってみました。
ありそうで見たことの無いスパークリングコーヒーは、想像上のものとして存在していたのでしょうか?

作ってみると結構いけます。

今後普及して行くかもしれません。
スパークリング紅茶も気になっ たので試してみました。

これも結構いけます。

作り方は単純で、濃く淹れたコーヒーまたは紅茶を冷まし、氷の中に注ぎこみ、そこに炭酸水を入れるだけです。

炭酸水には勿論、ゲロルシュタイナーを使います。この炭酸水は本当に美味い!他の炭酸水ではこの味は出ないのかもしれません。




2009/08/23

プログラミングの勉強

 Open Officeを使用したシングルバスレフのシミュレーションは正しい方法だと思うが、計算速度が遅くこれ以上自由度を増やすのは実用的ではないので、計算 プログラム作成の検討を始めた。

  自分の年代の人の多くは、FORTRANのプログラミングを学校で教わった以外は自分で勉強しただけではないかと思う。自分の場合もFORTRANでは何 とかプログラムを組んでゆけるが、その他はあまり知らない。しかし、無償のコンパイラを入手出来て いないので、C++を使うことにした。

 最初は、無償配布されているVisual C++の使用を検討したが、書籍に説明してあるのは、みてくれの部分ばかりで、肝心の計算部分についての解説が殆どない。このため、格好いいプログラムは 諦めて、計算プログラムの部分だけをC++で作成しようと思っている。Visual C++で計算式だけのコンパイルができるのか試してみたが、良く分らないので、Borland C++ Compiler ver. 5.5(BCC55)を使用している。BCC55でGUIを作るのは大変だが、計算式部分だけであればこれで何とかできそうだ。計算結果はASCIIファ イルに出力し、OpenOfficeで開くという形になるだろう。

 C++のプログラミングが自在に出来る訳ではなく、余暇しか使えないので、何ヶ月(年?)かかるかわからない中長期的計画であるが、何事も『千里の道も 一歩から』。

注:2013/05/02

Borlandの無償コンパイラは、その後、更新されておらず、また、GNU C Compiler(GCC)のWindows移植版であるMinGWが無償で使用できるため、Windows環境では、MinGWを使用しています。もち ろん、LinuxではGCCを使用しています。
また、GCC、MinGWではFortranコンパイラも使用出来ます。便利な世の中になりましたね。


OpenOfficeの入手方法

  読者の方から、MCAP-CR型の簡易計算シートを使ってみたいがMicrosoft Excelを持っていないが購入したほうが良いか、というお問合せを頂いた。ご存知ない方も多いと思うが、Microsoft Excelで出来ることのうち実用的な殆どの機能は、無償で配布されているOpenOffice Calcに含まれている。VBAでプログラムを組むという必要がないのであれば、OpenOfficeで困ることは殆どないと云って良い。簡易計算シート は、勿論、OpenOffice Calcで開いて使用することができる。Excelファイル形式にしたのは、Excelのほうが使っている人が多いし、Calcで開くことに何の問題もな いからという理由である。

 固有値計算のプログラムは、開発が簡単なMicrosoft Excel VBAで作成している。配布の予定はないが、C++のプログラム化を行い、大きなバグが無くなったら配布しようと考えている。但し、完成の目処はたってお らず、何年先になるか分らない。

 OpenOfficeは、下記のサイトから入手する。

Open Office入手先    http://www.openoffice.org/

  上記のページを開いたら、"I want to download OpenOffice.org"をクリックし、"Download now!"をクリックすれば、Windows版のインストールファイルを入手できる。実行ファイルの形式で配布されているので、ダウンロードしたファイル をダブルクリックし、ナビゲーション通りにすればそれだけでインストールされて使用できる状態になる。WindowsではなくLinuxを使用している場 合は、殆どのディストリビューションパッケージに 最初から含まれているので、何もしなくても使用できる状態になっている。使用方法は、Microsoft Officeと似たようなものなので、仕事でMicrosoft Officeを使用している人ならあまり困ることはないと思う。現在の最新版は、バージョンが3.1になっている。

 上記の説明は英語版の場合であるが、日本語も文字化けせずに使えるので、外国のソフトに慣れている人はそのまま使えばいいし、どうしても日本語版が良い 人は、窓 の杜等を利用すれば良い。私のように外国語化の過程でのバグを気にする人は英語版のほうが良い。

  雑誌の付録のCD-ROMに含まれている場合もあるので、インターネット環境が整っていない場合は、そのような雑誌を買えば良い。Linuxの雑誌には、 Linuxのディストリビューションが付録になっている場合が多く、その場合には間違いなくOpenOffice(勿論Linux版)が含まれている。 Windowsが高価なので使いたくないという人はLinuxをお勧めする。

注:2013/05/02

OpenOfficeの系列に、LibreOfficeがあります。LibreOfficeは、開発速度が速く、現在ではこちらのほうがお勧めです。

LibreOffice入手先   http://www.libreoffice.org/

スピーカー再生技術研究会の文書には、OpenOfficeまたはLibreOfficeで採用している、Open Documentフォーマットを使用して下さい。通常の使用においては、Microsoft Officeより劣ることはないと思います。


2009/08/24

MCAP-CR設計における注意点


 MCAP -CRの設計方法について、ご質問を頂くことがあるのだが、現在のところ、最適設計法は確立されていない。しかし、『何も分らない』では、設計は暗中模索 になってしまうので、現状までに得られているメモを記すことにした。新しい発見があれば、日記に随時更新してゆき、ある程度纏まったところで設計法のペー ジを書き足したいと思う。以下が、現段階での設計法である。

(1) 設計諸元の目安

公称口径 副 空気室の数 内 部ダクト断面積の総和 外 部ダクト断面積の総和 主 空気室の容量 副 空気室の容量 最 低共振周波数
8cm以下 2 実効振動板面積の0.5〜1倍

各ダクトの断面積は同一にするのが原則であり、同一にしない場合でも、平均値の+/-10%を超えないようにする。
実効振動板面積の0.3〜0.6倍

各ダクトの断面積は同一にするのが原則であり、同一にしない場合でも、平均値の+/-10%を超えないようにする。
1〜2[L] 主空気室の0.5〜2倍

共振周波数の低いダクトを配置する空気室は大きめに設定する
60〜70Hz
3 50〜60Hz
4 40〜50Hz
10〜12cm 2 3〜6[L] 50〜60Hz
3 40〜50Hz
4 30〜40Hz
13〜16cm 2 8〜16[L] 40〜50Hz
3 30〜40Hz
4 20〜30Hz
20〜22cm 2〜4 実 効振動板面積の0.2〜0.6倍 15〜30 [L] 20〜40Hz

(2) 注意事項
 設計に当たっては、下記の点を考慮する。



設計諸元は下記の順番に決めてゆく。

  1. 最低共振周波数と最高共振周波数の目標値を、カタログの周波数特性を見て決める。これは、最終的に計算して妥協、修 正する。
  2. 全体のサイズと副空気室の数を決める。これから各空気室のサイズを割り振る。
  3. 共振周波数が目標値に近くなるようにダクトの断面積と長さを決める。
  4. 設計の板取を決め、製作が容易かつ無駄が少くなるように設計諸元を修正する。

板の材質
 MCAP-CR型は、空気室の仕切りが補強を兼ね るため、構造強度は十分であるが、それでも板の振動が発生し、板の音が固有の響となって音色に影響を与える。このため、板の響を積極的に利用したほうが好 ましい場合がある。

2009/08/25

設計用パラメータ(スピーカーユニットのスペック)の見直し


設計用パラメータ(スピーカユニットのスペック)の見直し

 スピーカユニットのTSパラメータに物理的にはどの程度の意味があるかは不明であることを以前から主張している。しかし、設計に使用できるパラメータは 必要で、何も無い訳にはいかない。私の研究は些か不十分ではあるが、スピーカユニットのパラメータをまとめてみた(フルレンジスピーカユニットのパ ラメータ一覧)。このファイルは、OpenOffice Calc形式なので、閲覧するには、フリーウェアのOpenOfficeバージョン3.0以降が必要である。

  この表は、FostexとTangbandで発表されているスペックをまとめたものである。機械的特性に焦点をあてているので、電気的特性は省略してあ る。また、スペックにないものとして、下記の指標を読取り、または、計算して付記してあるので設計には役立てられると考える。

指標 記 号または名称 定 義 備 考
200Hzでの音圧 - メー カー発表の周波数特性グラフから読取った音圧値[dB] 低 域の傾きの計算に使用する。
100Hzでの音圧 - メー カー発表の周波数特性グラフから読取った音圧値[dB] 低 域の傾きの計算に使用する。
50Hzでの音圧 - メー カー発表の周波数特性グラフから読取った音圧値[dB] 低 域の傾きの計算に使用する。
等価容量 Veq ス ピーカーユニットのばね定数と同等になる空気室の容量[L] Tangband のスペックにあるVasがこれに相当すると考えるが計算値とは不一致が見られる。
ばね定数 ku 裸 のスピーカーユニットの振動板を単位量変位させたときの反力[N/m] f0 とm0とから計算することができる。
坪量相当値 basis weight 振 動板の単位面積あたりの振動系の質量[kg/m2] m0 とa0とから計算することができる。
低域の傾き gradient 低 音域での単位周波数あたりの勾配 上 記の200Hz,100Hz,50Hzでの音圧値から単位周波数(対数値)あたりの勾配量を最小二乗法で計算したもの。

 特定の設計に上記の表のパラメータをそのまま使用する方法は確立できていないが、今後は、設計の指標として使用する方法を確立してゆきたい。

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注意事項

MCAP-CRは、2012年に特許が 成立しています(特許第 5083703号)
契約による以外のMCAP-CRの商 用利用は禁じます。
MCAP-CRの商用利用を検討され る場合には、 ご連絡ください。
評価のために、実際に製作することは、商用利用とは看做しません。
また、商用以外の使用に制限はありません。

連絡先: mcapspeakers@gmail.com

管理人: 鈴木 茂