MCAP-CR
多自由度バスレフ型スピーカーシステムの研究開発
物理モデルに基くシミュレーションソフトウェア開発




Google このサイト内の検索ツールです。


ホームページ
日記アーカイブ(2009年9- 10月)

09/06
大山さん宅訪問/ダクトマニア
09/21
FE108S
09/22
FE108S調整
09/24
システムの掃除と配置の調整
09/27
狭い部屋での対策
10/03
アキュフェーズ
10/04
人による聴きどころの違い
10/12
大山さんの新作バックロード
10/15
いい音って?/疲れる出張
10/20
ダクトのチューニング
10/25
大山さんのZ1000を聴く

 

お知らせ
研究開発
MCAP-CRとバリエーション
共鳴管システム
技術文書
シミュレーションソフト
製作事例(英語)
設計図例
サポート
オーディオ放言
自 作につ いて
日記アーカイブ
マイナー オー ディオ講座
ブログ
管理人について
旧ページ
リンク
HOME(English)




2009/09/06

大山さん宅訪問



 昨日、このページを読まれている方にはお馴染みの、『究 極の自作 スピーカー追及道』を主宰しておられる大山さん宅を訪問した。大山さんは、スピーカー製作の道を究めるべく木工技術を学 び、更に職人の門を叩き勉強を続けてきた方で、その研究については、同サイトやメルマガで読むことができる。

 大山さんは、ようやく独立に向けての一歩を踏み出されたところで、既に立派な工場を借り、木工機械の到着を待つところだった。夢の実現を目指し、ひたむ きに努力する大山さんには、できるだけの応援をしたいと思う。

 今回聞かせていただいたの は、左の写真にある、長岡先生設計のD-58ES-R、D-101Sと大山さんの試作中のバックロードホーンの3機種だった。

 大山さん試作中の機種は、本当に試作中で、1本しかない(写真中央右側)。その過程については、大山さんのメルマガで示されている。未だ試作中なので、 断定的な評価はできないが、この方向で完成すれば、長岡先生のD-101Sよりも完成度の高い作品に仕上がるだろう。
 大山さんに考えていただきたいのは、作品のデザインで、『音が良い』だけでなく、オーナーの満足度の向上を重視することだ。

  満足度という概念は漠然としているが、音が良ければそれだけで満足度が上がるものではない。作品の音の完成度がどれだけ高くても、満足度が100%のまま 維持されることは少い。満足度は、音の他にも、外観、手触り、ブランド、希少性、材料、価格など様々な要素がある。コストパ フォーマンスの高さというのは、買ったときに一瞬で消えてしまう満足度に過ぎず、むしろ、高価なほうが満足度が長続きする場合が多いと思う。シリ アル番号で、1号機であることが確認できるとか、1品ずつ完成図書が付いているとか、外観に王侯貴族の家具調の装飾が施してあるなどということがあれば、 作品の価値が上がってゆくはずだ。あまり格好いい話ではないが、他に無いものを手に入れたということで他人に自慢できるというのも満足度のひとつである。 大山さんは、1品ずつ手作りの道を選ばれたのだから、是非とも音以外の部分でも満足度を上げるよう頑張って頂きたい。

 試作機以外については、下記のように感じた。

 D -58ES-Rは、綺麗な木目細かい表現が印象的だった。自分が感じている長岡サウンドとはイメージが異っていた。細かな表現力は、Feastrexに近 い感じ だ。勿論、見事な工作と仕上が音の良さに貢献していることは間違いない。この立派な外観と音は、オーディオショーの高級品群と比較しても引けをとらな い。市販品と比較するなら、最低でも1本200万円以上のレンジに入るだろう。

 D-101Sは、聴取位置が近かったこともあり、自分の好みの音にはならなかった。

  強く感じたのは、特定の周波数帯での共鳴、共振音で、エージングでとれるとは思えない。低音もそれなりには出ているが、40Hz以下がばっさりと切れてい るので、オル ガンの低音は中途半端なところで終わってしまう。中高域については、がさがさした感じが耳に付き、音楽に集中できなかった。
 D -101Sスーパースワンは、他のタイプのバックロードホーンとは異り、第一ホーンが正方形に近い矩形断面で、面積が一定のうえに長い。この部分が、バス レ フとして動作しているのではないだろうか。このため、聴感上低音が豊かと感じさせる100Hz付近を強調しているのではないかと想像する。また、空気室が 小さいので、振動板の裏側は背面の音が乱反射を繰返し、それが、がさがさした感じになっているのではないかと思う。但し、上記の仮説が正しいとしても、そ れを矯正すると作品の魅力が無くなるのかもしれない。少くとも、スーパースワンは多くのマニアに支持されている立派な作品であり、完成度の高さは証明され ている。自分がそうでないと感じたからと云って作品の価値が下がるものではない。

 今回の訪問では、自分の音のリファレンスとして、QU080bを 持ち込んで聞かせて頂いた。この作品は、小型で軽く、その割には低音も良く出るので、何人か製作した方から好意的な感想を頂いている。大山さんは、興味津 々で聞かれてい たが、ご自身の求める方向との違いを感じておられた。そして、私の作品は、私の聞く音楽に合わせてチューニングしているのかと指摘されてしまった。自分で 意識している訳ではないが、確かに結果としてそのような重点を置いて評価している。自分で意識していなくても、聞く人が聞けば分ってしまうものだ。

 長岡作品と、QU080bとの差を書くと、手前味噌になってしまうので避けるが、少くとも8畳程度以下の部屋で聞くのであれば、長岡先生の作品に引けを とることはないと思う。

 その後、大山さんの工場を見せて頂き、自宅まで送って頂いた。ついでに大山さんに我家の作品を聞いて頂いたがそれは、大山さんのメルマガネタになるかも しれない。

 大山さんの新しい門出を応援したいと思う。


ダクトマニア

     MCAP-CR型等の多自由度バス レフ型には、ダクトが不可欠なので、ダクトを集めていたらこんなに集まってしまった。

 今迄は、板で正方形のダクトを作っていたのだが、円形のほうがいろいろな意味で都合が良いので、気になったらどんどん買い集めている。

 この他に、コイズミ無線で購入した70mm径の厚紙のダクトとか、8 月15日の日記に書いたようなビニルホースがあり、出番を待っている。

 下の写真の左奥にある3本は、ロイヤルホームセンターで購入した木製のダクトで、厚みがあり立派であるが、一番太いもので、内径31mmである。その手 前にある6本は、厚紙で、内径が30mmある。これは以前ヤフオクで購入したものだが、未だ使ったことがない。


 中央のちょと太めのものは内径44mmで、先週ヤフオクで購入したらその左側の内径50mmの立派なもの2本をおまけで頂いてしまった。

 右側の長いものは、東急ハンズで購入したもので、内径38mmと48mmのもの。薄くて頼りないが、音圧程度で破壊するほど弱いものでもないのでいずれ 使おうと思う。

 VP管のような塩ビ管も利用可能と思うが、接合が難しそうなので今のところは使用する予定がない。






2009/09/21

FE108S


 Fostex 限定品の草分けとでも云えそうなのがこのFE108Sである。スーパースワンの記事がFM fanに掲載されたときに、第一ロットを1組購入し、あまり使用しないままもう10年以上が過ぎてしまった。今でもFostexは限定品を出しているが、 残念ながら、長岡サウンドとは違う方向に向かっており、もうパルプコーンとフェライトマグネットのSuperは生産しないらしい(HR-Sというのはフェ ライトだが、能率が低く音の傾向が異りそうである)。大山さん宅を訪問したときに、スーパー スワンを聞かせて頂いたので、挑戦したくなり、TR100bを製作してみた。
   TR100bは、副空気室が 3室あり、主空気室と第2副空気室の断面が三角形になっている。ここを三角形にすることにより、他の空気室のレイアウトがしやすくなった。また、振動板背 面の音が、直接跳ね返って来ないので、逆ホーンのような効果も期待できる。

  今回からは、ダクトは全て円形としている。ダクトを円形とすることにより、部品点数が減り、経済的になった。使用したのは、内径44mmと30mmの紙パ イプ、内径31mmのウッドパイプである。前者はヤフオクで購入したもの、後者はロイヤルホームセンターで購入したものである。
 内径31mmと30mmとで は、断面積が結構違うが、実際に組み込んだときにはいろいろな誤差に埋もれてしまうので、実質は同じと考えてよい。

  ダクトに円形断面のパイプを利用すると部品点数が減るため、ホームセンターで売っているサイズのものを上手に利用できる。今回は、300W×600Lを4 枚、200W×600Lを6枚購入し、カットしてもらったのは10箇所だけであった。板は、パイン集成材の18mm厚である。寸法は十分な精度であった。
 三角形の空気室の頂点には、15mm三角形断面の檜棒を利用した。意外に簡単に三角形の空気室を組立てることができた。

  仕上に失敗しながらどうにか製作し、本日完成したので、早速鳴らしてみた。最初は甲高い酷い音で、中高域が歪んでいた。我慢しながら聞いているうちに結構 聞ける音に変身してきた。もう少し聞いてみて、それでも、中高域の歪が気になるようならば、吸音材を使用したいと思う。

 低域は、 MCAP-CRらしく、ローエンドは30Hz近くまで伸びている。今のところエージングが足りないので高域が騒がしく、中低域が少なめに聞こえる。しか し、ここぞというときの瞬発力は流石にFE108Superで、打楽器をクリアに再生する。長岡スピーカーではないが、これぞ長岡サウンドと云っていいと 思う。

 今後、Superは入手できないので、この音を聴こうと思ったら、Tangbandにでも似たものを作ってもらうしかないのだろ うか。或いは、FE126Enあたりで代用できるかもしれないがどうだろうか。Fostexは、どうもユーザーを重視していないように感じる。マニア向け のサウンドを造ってこそFostexなのではないだろうか。



 大山さんのメルマガで紹介頂 いてから、まだ、Googleだけであるが、ようやく、検索時に引越し先のページが先頭に来るようになった。大山さんのページの影響力が如何に大きいか良 く分る。

  左の写真は同メルマガで紹介されたファンガードである。大山さんの記述には、誤解を招く部分があったので写真を載せた。92mm用のファンガードが、 10cmスピーカーにぴったり適合する。また、80mm用は、8cmに使えるが、足を曲げなければならない。120mm用は、13cmの寸法に近いが、 ぴったり合うのはTangbandのW5-1611SAで、その他は、足を曲げて合せ込む必要がある。

  写真の左側はシリコンゴムのワッシャーで、振動を幾らか遮断するのに用いる。オーディオ用のアクセサリは、概して高価だが、パソコン用のものは、安価であ る。ファンガードは写真の通り、T-Zoneで252円である。色は銀色と黒がある。できれば黒のほうが良いと思う。このファンガードは安くて、専用の ものより音に対する影響が少いが、やはり鳴きがある。使わないほうが音が良いが、これが付いているだけで安心できるので、必要悪と考えている。


2009/09/22

FE108S調整



 FE108S の突き抜けるような音は爽快この上なく、正に、自分のイメージする長岡サウンドそのままである。バスレフでは、低音が遅いと云われるが、この音を聴くと まったくそのようには感じられない。低音が遅いといわれる理由は、所謂バスレフ向きというスピーカーユニットを使用するためだろう。バックロードホーン向 きと云われるものを使用すれば、極めて速い低音を痛快に再生するようだ。そもそも、既存の理論には怪しい部分があるので、既存の理論の盲信による思い込み は禁物だろう。
 FE108Superの痛快 な音は良いのだが、高域のキンキンした音は、やはり気になる。それに、歪も感じるので、何らかの対策が必要だ。

 先ず最初は、空気室に入れることにより、反響を散らそうと思い、暫く貯めておいたコルクを使うことにした。これらのコルクは、カッターナイフで縦割りに し、空気室の内壁を波型にするのに使用する。綺麗な波型ではなく、適度に乱雑に並べたほうが良い。
 よくもこれだけ貯めたと思う。これでも1年弱の量である。以前のコルクは飲む都度捨てていた。因みにワインはコルクの栓のもののほうが味がまろやかだと 思う。
      実際に並べてみたところ、作 業が思ったよりも難しく、やはり乱雑になった。

 接着したつもりでもすぐに剥がれてしまうので、ヘアドライヤーで乾燥させながら何とかくっつけた。

 音を聴くと、何も無い状態よりまろやかな音になった。これはなかなかの効果である。

 この状態で、暫くきいてみたところ、ジャズやポップスでは問題が感じられなかったがオーケストラ等では、粗さが感じられた。耳を劈くような高域も、痛快 ではあるが、続けて聞くと疲れてしまった。

 一晩寝て、コルクが接着され ていることを確認してから、スポンジシートと台所用スポンジを壁に貼り付けてみた。写真の上側と両サイドには、林檎の下に敷いてあった厚さ5mm位のスポ ンジシートを貼り付け、下側には、Ampelmann型 のスポンジを敷いた。これは、複雑な形をしているので、吸音には丁度良い。
 この状態で聞いてみると、突き抜けるような高音が大人しくなって、普通っぽい音になった。吸音材の効果は流石で、キンキンした感じが殆ど感じられなくな た。しかし、ここぞというところの強打と踏ん張りはさすがにSuperだけのことがある。
  ずっと連続して鳴らしていたので、エージングの効果とも相俟って、聞きやすい音になってきた。突き抜ける高音は減退し、中低域の厚みが増してきた。バック ロードホーン専用のSuperもMCAP-CRで使用できることが分った。まだ多少高域寄りのバランスだが、広い部屋で聞けば、丁度良いのではないだろう か。大山さんのところで聞いたD-101Sの記憶と比較すると、低域側のレンジはこちらのほうが10Hz位広い。ローエンドの差が10Hzというのは、大 げさ に云えば10倍位の差と思って良い。D-101Sでは再生できないオルガンの低音も十分に再生しているので気持ちが良い。大太鼓がガツンと来た後の、ブル ルル...という震えも良く再生しているし、打楽器の低音は、凄く速い。この速さは、市販品ではなかなかお目にかかれない。高級オーディオショーで聞く音 は、艶があって心地良いものの低音がダブダブしていることが多い。それに対して、Superで駆動した箱の低音は、あっという間に自分の中を突き抜けて 行ってしまう感じである。
 今更ながら、FE108Superの底力には恐れ入る。MG100HR-Sに、この速さは出せるのだろうか。興味はあるが、値段がちょっと...



2009/09/24

システムの掃除と配置の調整


  連休の最終日に、システム全体の掃除を実施した。掃除と共に、配置を300mm位中央にシフトさせてみた。以前は少しでも部屋を広く使うために、向って右 側に押し付けて使用していたが、それでは聞き辛いので、中央にシフトした次第である。FE108Sの音に浸りたいので、暫くの間Feastrexを休める ことにした。
 システムの掃除はやはり重要で、音がくっきりしてきた(正確に言えば『ような気がする』かもしれない)。また、位置が変わって聞きやすくなった。
 FE108Sを付けたTR100bには、Feastrexで頂戴した水晶の粒を左右各3個敷いている。気のせいかもしれないが、この水晶により、音がくっきりしたように聞こえる。
  長岡先生は、とにかく全体をしっかりさせるセッティングに拘っていたが、Feastrexの社長さんは、どちらかというとスピーカーシステムを台やその他 から分離させたいようで、水晶の粒によって、他からの影響を遮断することに力点を置いている。長岡先生の方法に拘ったきた自分には、最初は奇妙に見えたの だが、このセッティングは、音の粒立ちを際立たせるのに役立っているように感じる。どちらが良いという結論は出せないが、この方法は試してみる価値があ る。
 FE108S とTR100b箱のエージングが進んできて、システム全体の音は聞きやすくなってきたのだが、8/9の日記で紹介したChester大聖堂合唱団を聞く と、FeastrexのNf5Ex+TR130c箱とは、透明感で大きく差をつけられている。エージングで多少は差を詰めることを期待したいが、これだけ 差があると、無理そうだ。

 大山さんのメルマガでは、Tangbandでもソースによっては云々、という記述があったが、もう少し詳しく 書くと、オンマイク録音ものは、Feastrexとその他(TangbandやFostex等)との差が出にくい。合唱団のようなアコースティックな音源 を聞くと、差がありすぎて比較にならない、というのが、自分の評価である。だから、アコースティックな録音の音楽に浸りたいのであれば、Feastrex という選択肢が有効なのだと思う。価格は凄いが、自分には価値があるのでFeastrexのスピーカーユニットに投資した。(自分は、山梨の Feastrex社とは全く違う使いこなしをしているので、興味のある方はメールでご連絡ください。どちらが良いとかいう問題ではなく、ポリシーが違うの で、全く別物に仕上がっています。)

 しかしながら、FE108Sの低音の質は、Nf5Exに負けていないか或いは上回るかもしれない。 10cm(有効径は80mm)の軽い振動板に100mmの強力フェライトマグネットという組合せは、スピード感が圧倒的である。これで、中高域に透明感が 出せれば怖いものなしなのだが...


2009/09/27

狭い部屋での対策


   FE108Super +TR100bの音は、そこそこ落ち着いて来たが、隣に置いたFeastrex Nf5Ex+TR130cの音と比べるとそれでも高域が騒がしく感じる。そこで、部屋の反射を抑えるため、スピーカーの脇に座布団を置いてみた。すると、 高域の騒がしさが押えられて更に落ち着いた音になってきた。防空頭巾を被せたようで格好悪いが、簡単な割に効果がある。
 今まで狭い部屋の壁からの反射音が音を濁らせていたことが確認出来た。しかし、Nf5Exでは、このようなことをしなくても高域の騒がしさは感じられな い。FE108Superのほうが、高域の指向性が広いのだろうか。
 壁までの距離がそれなりにとれるのであれば、このような格好悪いことはしなくても良いだろう。

  スーパースワンをあまり広くない部屋で使用している方が、同じように悩んでいるという相談を雑誌で読んだことがある。ひょっとしたら、同じように頭巾を被 せて外側からの反射を抑えると悩みは解消するのかもしれない。狭い部屋でオーディオシステムを使用する場合には、スピーカー近くの壁からの反射を抑えてみ たらどうだろうか。


2009/10/03

アキュフェーズ


 FE108S+TR100bの試聴にLPレコードを使用している。CDよりLPのほうが何ともいえないアナログ的な艶があるので耳に心地良い。
  カートリッジには、MC型のオーディオテクニカのAT33ML/OCCを使っている。本当は、MM型のSHUREのV15 Type IVを使いたかったのだが、アキュフェーズのC-2000とAD-9を購入したときに、MC型しか使えないのだと思い込んでいたので、 AT33ML/OCCを使用していた。それでもSHUREを使いたいと思い、AD-9の基板を外して見たところ、中にジャンパースイッチが付いており、 MM型でも使えそうなことに気付いた。ところが、マニュアルを紛失しており、設定方法が分らなかった。そこで、同社のウェブサイトを通して問合せたとこ ろ、翌日には電話を頂き、親切に教えて頂いた。また、マニュアルも送って頂いた。
 MM型に切り替えて、SHURE V15 Type IVを鳴らしてみたところ、片側しか音が出ない。反対側はノイズだけで、かすかに音楽信号が聞こえる程度だった。ピンケーブルの左右を入換えると聞こえる チャンネルが入れ替わるので、アンプ側の問題ではなさそうだ。カートリッジを外し、シェルの配線端子をひとつずつアルコールで掃除してみても変わらないの で、とうとう諦めてしまった。折角アキュフェーズに使い方を教えて頂いたのに申し訳ないことをしてしまった。
 折角なので、手元にあった、EMTのXSD-15(MC型)を使ってみたがこちらは音が全く出ない。カートリッジは使わなくても断線したりするのだろう か。どうしようもないので、結局AT33ML/OCCを使うことにした。

  今回苦労して思ったのは、やはりアキュフェーズはサポートが良いということだった。自分の満足度もオーディオメーカーの中で一番高い。品質、信頼性、サ ポートのどこを取っても文句なしである。負荷の大きなMCAP-CRでもアキュフェーズのアンプは楽々鳴らすことができる。こんなに良いメーカーがあるの だから、アンプは自作する必要はないのだと思う。....と云いながら手作りアンプの会に入っている自分は何だろう?

2009/10/04

人による聴きどころの違い


 今日は、ゲテもん工作実 験室の 松さんが来訪され、Feastrex Nf5Ex+TR130cとFostex FE108S+TR100bを聞いて行かれた。松さんは、実際に管楽器を演奏されるということで、さすがに聴きどころを心得ておられ、いろいろと教えて頂 いた。最初にストラヴィンスキーのペトルーシュカを、録音の古いユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団のLPレコード (SOCT25)を聴くと、音が素晴ら しく良いという評価だった。

 私がオーディオ趣味を継続してきたのは、オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団のLPレコードを聴くためであった。それも、RCAに移籍した後の録 音では駄目で、古いほうのCBS盤でなければならない。録音が違いすぎて話にならな いのである。貴重な円熟期をRCAの下手な録音によって駄目にしている。お聞き頂いたのはCBS盤で、1960年代の初頭の録音だと思う。この録音が素晴 らしく、楽器のひとつひとつが手にとるように分るというのは、驚異的である。

 比較のため、CDの音も聞いて頂いた。こちらは、チャール ズ・マッケラス指揮ロンドン交響楽団(Brilliant 6243)のものである。松さんは、こちらを聴いてちょっと驚かれた。音が悪いうえに、演奏の表現方法が他の多くの録音とは違っていて、違和感があるとい う。確かに、上記のLPレコードとは同じ曲に聞こえない。

注: マッケラスやロンドン交響楽団の演奏が下手だとか、間違っているという意味ではありません。好き嫌いの分れる演奏なのだと思います。40年位前の録音と比 べて音が悪いのもマイナス要因になっていると思います。

 2組のスピーカーシステムを切り替えて聞いたものの、ソースの音がこれだけ違うと、何を比較しているか分らなくなってしまう。
 その後、繰返し聞いたのは、 左の2枚のピアノ協奏曲で、どちらも最初の曲である。上は、グリーグの有名なピアノ協奏曲、下は、リストのピアノ協奏曲第1番である。

 松さんは、上のグリーグの録音が特に良いと言う。松さんがピアノの音を評価するときは、打弦と胴の共鳴の入り混じった、必ずしも美しいとは云えない響を 聞くのだと云う。

 そういう視点で聞くと、Feastrexは素晴らしく立ち上がりが良いうえに、ピアノの共鳴のような共振のようなどぎつい音を鳴らし分けるのだと仰っ た。

  自分は、あまりピアノの音を気にしないほうなので、教えて頂いた観点から聞いてみると確かにそのような音が聞こえる。そして、Feastrexと Fostexとでは、表現力に相当な差があることが確認できた。箱の違いがあることは確かだがそれだけでは説明できない差があった。

 自分は、上のグリーグよりも下のリストの録音のほうが好きである。リストのピアノは、重々しさが録音されている。多分楽器のブランドが違うのではないか と思う。残念ながら、演奏にどのブランドを使っているのかは、書いていないので分らなかった。

 松さんは、FostexとFeastrexとを比べて、『Fostexは、何かが多く、何かが少い』と表現された。それが何なのかはうまく表現できな い。自分もそのように感じた。

 補足すると、アコースティックな録音でなければ、どちらが良いとも云い難い程度の差であることを認めた上での差である。

 自分は、松さんの仰るように、両者の差があるとは思うが、低域のスピード感はFostexのほうが上回ると思う。しかし、それは箱の違いのせいかもしれ ないので断定的な表現は避けたいと思う。

 今日はここで終了、ということはなく、続いて、二人で究 極の自作 スピーカー追及道の大山さんのところへ向かった。

 大山さんのところでは、新作バックロードホーンを聞かせて頂くことにしていた。残念ながら、未完成のため音を聴くことはっできなかったが、代わりに、D -101S、D-58ES-R、モアイの3機種を聞かせて頂いた。
  前回お伺いしたときには、D-101SのユニットはエージングされていないFE108Sで、また、アンプはDENONの普及品だったが、今回は、使い込 んだユニットとサンスイの907の組合せで聞いたところ、滑らかで、低域も豊かな音を聞くことができた。やはり、スーパースワンは、アンプを鳴らすスピー カーである。松さんは、スーパースワンは初めてということであったが、素晴らしい音に驚かれていた。

 試聴ソースには、上記の2枚の他、8月9日の日記で紹介した、Chester CathedralのSing for Joy 2を用いた。

 その後、モアイ、D-58ES-Rの2機種を聞き感想を語り合った。皆、聞きどころが違うので、評価はバラバラだった。

 松さんは、スーパースワンが特に気に入られ、次に、D-58ES-Rがお気に入りだったが、モアイは音像が粗くなるように感じられたようだった。スー パースワンで聞くピアノはリアルだと云う。

  私は、松さんの評価とは違い、モアイが一番音が滑らかで奥行きも実在感も感じられた。スーパースワンでは、Sing for Joyを聞いてもオルガンの音程が分らないが、モアイでは良く分った。また、スーパースワンでは、オルガンが下から聞こえるが、モアイではやや 上から聞こえるようになる。実際のオルガンは上から聞こえるので、この違いは気になった。モアイは、素晴らしいスピーカーシステムである。

 大山さんは、夫々に思い入れがありどれもお好きだが、やはり、バックロードのほうがお好みだそうである。

  自分のTR100bでは、オルガンの音程が明確に分るし、スーパースワンよりもオルガンはもっと拡がっているように聞こえる。これに対し、松さんは、 100Hz付近が豊かに再生されるスーパースワンのほうが、良いと感じられている。このあたりは、聞き方が違うので、どうしようもないというのが三者一致 した見解だった。

  私のように、40Hzで切れては絶対に駄目、という聞き方をする人は多くないと思うので、大抵の人はスーパースワンのほうを、TR100bよりも好まれる と思う。しかし、自分には、オルガンの音程が分らないようでは受容れられない。これはポリシーの差と云うしかなく永遠に埋まらない差である。

 今日は楽しく充実した試聴会になった。来週には大山さんの新作を今度こそ聞かせて頂けるのを楽しみにしている。

2009/10/12

大山さんの新作バックロード


 大山さんのメールマガジンを購読している方はご存知のことであるが、究極の自作 スピーカー追及道の 大山さんのバックロードの最終ドラフトが完成した。そして、今日、ブ ログハイエンド自作スピーカーのkenbo-さんのところで聞かせて頂いた。以下に私の印象を記す。
 スーパースワンとの大きな違いは、長い頸がないことだと考えている。長い頸は、スワンのトレードマークだが、自分にはデメリットに思える。長い頸が音に 癖を付けているのでないかと思っている。

  気になるのは、発売時期と価格だが、発売にはもう少し時間がかかりそうだ。ひょっとしたら、現状のもので、板材だけは、販売になるかもしれないが、完成品 のデザインは微妙に(見た目は大きく?)変わるのではないかと思う。勿論、音の評価だけだったら今のもので文句なしである。

 価格は、私が想像したよりは随分お安くなるようだ。ン十万(百万?)以上の既製品と比較しても音は上回っていると思うので、お買い得になるのは間違いな い。


  今回聞かせて頂いた、kenbo-さんのオーディオルームは、人も羨む立派な部屋である。今日、私のTR100b+FE108Σも聞かせて頂いたのだが、 酷い音だった。ウサギ小屋以下の自室で調整してもこのような立派な部屋ではちゃんと鳴らないのだろうか?それにしても酷すぎた。何か間違っていたのだろう か。いつも聞いているゲルギエフの『春の祭典』の低音が全く出ないし、高音が甲高く薄汚い。ひょっとした ら、何か間違っていたのかもしれないが、ショックでチェックするだけの心のゆとりを失ってしまった。
 その後wさんが来られて、お聞きになりたいと仰ったので、恥ずかしいのを我慢して聞いて頂いた。wさんの持って来られたソースでは上記のときほど酷くは 感じなかった。『
結 構聞けるかも?』 という範囲に収まっていた。何か違ったのだろうか?今思えば左右逆相に繫いでいたのかもしれない。今となっては、酷い音の記憶があるのみである。

 kenbo -さんのメインのシステムと、5.1チャンネル(サブウーファーなし)のVAシステムも聞かせて頂いた。メインのシステムの音が、一般家庭で挑戦すべきレ ベルでない(比較しても無駄なハイレベル)のは確かだが、VAシステムも見事だった。37インチのVは、Aに完全に負けている。FF85Kを全部で6個 使ったバックロードの音が全身を包み込む。完成度だけで単純に値段を付けるのだったら、100万円以上だろう。というか、100万円以上の市販品を持って きてもこんな凄い音は出せないだろう。ここに来ると、現実離れしたパフォーマンスの音に打ちのめされて何だか分らなくなってしまう。

 今日は、良い勉強になった。大山さん、kenbo-さん、wさん、どうも有難う御座いました。

2009/10/15

いい音って?


 自分は最近までオーディオ仲間が居なかったので、独自路線を地道に歩んできた。このところ、お付き合い頂ける方が徐々に増えてきたので、独自路線以外も 少しずつ見えるようになってきた。

 しかし、自分が昔から疑問に感じており、今でも答えが見えないのが『いい音』という概念である。

 勿論自分にも『いい音』と感じる音がある。しかし、その『いい音』が一般的に『いい音』であるとは思えない。何故なら、オーディオ製品の価格と自分の評 価とが一致しないからである。

 オーディオショーに訪問していつも感じるのは、高級オーディオの音には、高級然としたオーラがあるということである。再生音に独特の艶が乗っている。生 の音とは明らかに違う。高級オーディオで聞くオーケストラは、どれも独特の『いい音』に感じる。

 しかし、生のオーケストラは、上等な席で聴いてもさほど良い音である訳ではない。ホールによって全く違う音になる。音響効果の好ましくないホールで聴く と、弦楽器がギスギスした響になってしまう。

 録音エンジニアは、良い音で記録したいと考えるのが当然だから、工夫して録音しているだろうと思う。高級オーディオは、その『工夫』を余すことなく再生 しているのかもしれないが、どうしても不自然に感じるのである。

 自分が生に近いと感じるのはフルレンジシステムの音である。フルレンジには欠点もあるので、完璧という訳ではないが、自分の住環境では十分なパフォーマ ンスを示すことができると考えている。

 上記の理由で、バックロードホーンやMCAP-CRが好みなのである。将来マルチウェイに戻る可能性もない訳ではないが、フルレンジに不満を感じなけれ ばマルチに戻る理由もなさそうだ。

疲れる出張


 10/12のkenbo-さん宅の試聴会の後、岡山への出張のため、大阪に移動した。翌日には帰宅できるはずだったのが、終電に間に合わず、岡山に宿泊す る羽目になった。そして、また夜行で出張になってしまった。

 今では珍しくなった夜行の急行『能登』。23:32に上野を出発し、翌日の6:29に金沢に到着する。自分は更にそこから福井に向うことになっている。

 東京からだと、始発に乗っても福井には昼前にしか着かない。夜行バスか夜行列車の選択になるのだが、夜行列車が多少マシだろうと考えてこちらを選択し た。急行だと、グリーンにを使っても新幹線料金と大差ないので、まあ許せる範囲か。

 夜行で行くくらいだから当然トラブルでの出張である。それにしても、連続の出張は疲れる。

 自宅と違って好きな音楽も聴けないし、楽しむほどの旅でもないしなあ。


2009/10/20

ダクトのチューニング


  現在、自宅に7組のMCAP-CRがある。どれも夫々にいいところがあり、気に入らないところもある。その中に、2008年のミューズの方舟のコンテンス トに出品する前の試作品として12cm用を改造したTR130aがある。この作品は、イタリア製のCantare 5FR MK IIというフルレンジドライバーを使用している。このドライバーは、高価な割に樹脂製のチャチなフレームで、音もちょっと木目細かさが足りない。しかし、 TR100bのチューニングの過程で吸音材の効果を実感したので、もっと好みの音に近付けたいと思い、チューニングを実施した。

 まず最初に吸音材を追加して みた。元々吸音材としてスポンジが入っていたので、今回の追加によって中高域の粗さが多少押えられた程度であったが、暫く鳴 らしているうちに少しずつ改善されてきた。吸音材はかなり入っているので、これ以上の追加は悪影響が出そうだ。もう少しエージングを続けることにする。

 BOBO Stenson Trioのジャズを聴いてみると、ベースのブンブンした感じが気になった。以前の記述を読み返してみると、やはり同様のことが書いてあった。ウェブに記録 しておくというのはそれなりに役立つことが分った。
 そこで、次にダクトをチューニングすることにした。

 ベースのブンブンした感じ は、市販品に感じることの多い現象であるが、100〜200Hz位の中低音に癖がある場合に起こりやすい。そこで、ダクトのチューニング周波数を下げるた めに、ダクトの断面積を減らしてみることにした。

 簡単に出来る方法はないかと周囲を見渡していたら、厚さ5mmのスポンジ状のゴムが目に付いたので、これを適当なサイズに切ってから丸めてダクトに詰め 込んでみた。勿論、あてずっぽうではなく、簡易計算は実施している。
 差し込んだダクトは隙間たっぷりで、ダクトの修正後の有効断面積は良く分らないが、□36mmから□26mmに変更したことになる。ついでに長さも変更 した。

 この結果、ベースのブンブン感は無くなった。それと同時に余分な音が減ったようである。もう少し様子を見て、好みの音に追い込んでいきたい。
 スポンジゴムは格好悪いが、ダクト内の反射を抑える効果がありそうで、意外に使えるテクニックなのかもしれない。



2009/10/25

大山さんのZ1000を聴く


今日は、大山さんの試聴室を訪問し、新作Z1000を聴かせて頂いた。
 Z1000 は、10/12に聴かせて頂いた作品が上下2分割になっていたのに対し、通常の一体型で、オーソドックスな長岡式に似ている。デジカメを持参するのを忘れ たが、大山さんのカメラで撮影して頂いた。Z1000は、長岡先生のD-100を一回り大きくした感じのものであった。隣の拙作品TR100bのサイズ は、600H×236W×300Dなので、比較すると堂々たるサイズである。

       前回聴いた作品が、後面開放だったのに対し、こちらは前面開放で、開口面は丁寧な曲面構成であった。

 音は前回の作品と同様、癖がなく、クラシック向きの素 晴らしい出来だった。オーケストラの質感は見事、バックロードであることを意識しないで聴くことの出来る、これぞオーディオ趣味の極みとでも云う自然な音 だった。

 使用しているFE108EΣは、往年の長岡サウンドとは趣向が違うが、木目が細かく癖のない優しい音である。それでいながら、ここぞと云うところ では瞬発的に反応するダイナミックレンジの広い音だ。自分のTR100bとは異り低域の癖もない。
 ローエンドは恐らく40Hz位と推測するが、 通常はこれで十分、ジャズやポップス系の音域は全てカバーしている。パイプオルガンを聴きたければMCAP-CRのTR100bが良いかもしれないが、そ れ以外で は、Z1000が圧倒的に良い。
 Z1000のサイズは、TR100bの2倍くらいであるが、低域をフラットに延ばすには、こうしたサイズになるのは止むを得 ないことなのかもそれない。

 ピアノの筐体の響も自然で生に近く、オーケストラの弦も素直に奏でる。やはり、バックロードには大きなメリットがある。既に書いた通り、バックロードに は大きなメ リットがあり、そのメリットを活かすシステムを聴くことができた。もう既に大山サウンドが完成したということだろう。

 発表は、あと2週間位先になるようだ。これを聴いて自分もバックロードを作ってみたくなった。 


前の日記アーカイブ目次次の日記

注意事項

MCAP-CRは、2012年に特許が 成立しています(特許第 5083703号)
契約による以外のMCAP-CRの商 用利用は禁じます。
MCAP-CRの商用利用を検討され る場合には、 ご連絡ください。
評価のために、実際に製作することは、商用利用とは看做しません。
また、商用以外の使用に制限はありません。

連絡先: mcapspeakers@gmail.com

管理人: 鈴木 茂