MCAP-CR
多自由度バスレフ型スピーカーシステムの研究開発
物理モデルに基くシミュレーションソフトウェア開発




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日記アーカイブ(2009年5- 6月)

05/02
自分の好みに忠実に
05/03
明日は関東三土会100 回記念一般お披露目会
シンガポールからのお客様

05/05
関東三土会100回記念
忘れえぬ女

05/10
音の評価
既存の理論に挑戦
ようやく分ったアキュフェーズの凄さ
TR130c3

05/17
三土会第103回
高級オーディオ
雷の録音

05/24
ハイエンドショー東京2009
05/29
スピーカー箱容量の制約
06/01
タモリ倶楽部
06/06
MDIC型試作機
ベイサイドネットのオーディオのど自慢大会

06/08
MDIC型試作機改造
06/09
ゲテもん認定!
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フィールドコイルスピーカー
06/18
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kenbo-さん邸を訪問
06/28
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kenbo-さん宅の音(続き)
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2009/05/02

自分の好みに忠実に


こ のページを読んでいる方は、多分MCAP-CR型を自分のシステムに採り入れてみようか、検討されている方が多いと思います。MCAP-CR型は普及前の 初期段階です が、あと数年後には、私の設計によるもの以外のオリジナル設計のものも含めて世界中に拡がるものと思います。しかし、普及すればするほど、好みに合わない ケースが出てくるでしょう。導入を検討している方は、下記についてご考慮ください。

(1) 中高域の量と質が重要な場合

通 常のバスレフやバックロードホーンを含め、背圧を利用する方式は、全てバックキャビティの容量や吸音材が中高域の聴感に影響します。これは、好みに直結す る要素なので、『吸音材なんか絶対に使わない!』と言い切る人には、MCAP-CRのみならず、バスレフやバックロードホーンなどの方式はどれも好みに合 わない かもしれません。
ま た、スピーカーユニットの中高域の癖は矯正できません。例えば、FE138ES-Rのように中高域にピークがある場合には、どんなに箱の設計を頑張っても 癖をとることはできないので、ユニットの音造りが気に入らな ければ箱はどうすることも出来ません。南アフリカ(?)のDさんは、苦労してTR130bを作られてFE138ES-Rで使用されているとのことですが、 高域のピークが気なるのでエージング中は、BSC(Buffle Step Correction/Compensation)回路を使うそうです。BSCとは、調べてみたら、長岡先生のPSTに並列回路を追加したものでした。D さんによると、システムの低域は問題ないとのことでした。
また、FeastrexのD-5nfはどうかと相談を受けました。想像の話しかできないので、D5-nfは、間違 いなくいいドライバだが、ディストリビュータが地域にない場合には直接問合せるようお勧めしました。また、FE138ES-Rはいいドライバなので使いこ なすこともお勧めしました。

(2) 通常聞いている音楽に概ね50Hz以下の周波数成分が入っていない場合

ポップス系のソフトには、超低音が入っていな い場合が殆どです。クラシック音楽の場合でも、超低音がカットされたものもあります。そもそも超低音が楽音に入っていない場合もあり、環境騒音だけが超低 域の周波数帯にあたるということもあります。
大 太鼓の基音は、30Hz〜40Hzの間にあるようなので、フルオーケストラを聴くには、30Hz程度まで再生することが必要です。また、パイプオルガンで は、32Hzまでは録音されているソフトもそこそこあるので、やはり30Hz以上を再生するということが条件になる場合が多いでしょう。しかし、30Hz 未満の周波数帯域が記録されているソフトでもレベルが他の帯域と同等ということは滅多にないので、30Hz未満を再生する必要があるかどうかは疑問です。
ロー エンドが50Hz止まりのソフトを再生するだけだったら、もっと良い形式はたくさんあります。ローエンドを延ばすよりも活の良さを重視するのだったら、 バックロードホーンのほうが良いでしょう。バックロードホーンでは低域の再生限界は延ばしにくいですが、中低域のレベルは上げやすいので、活きのいい元気 な音造りが得意です。

または、中高域を含めて濁りの少いシステムを構築するのだったら、容量の大きめの密閉型にして、トーンコントロールで低域を持ち上げるという選択肢もあり ます。

50Hz以下を再生する必要がないのであれば、MCAP-CR型のような手の込んだキャビネットは不要で、密閉、シングルバスレフ、バックロードホーン、背面開 放等から選んだほうが良いと思います。

逆に、50Hz以下も再生したいのであれば、MCAP-CR型は有効ですし、その場合には、電流供給能力の高いアンプが必要になってきます。

MCAP-CR型は、バスレフ共振を利用しているので、中小型超バックローホーンでは再生できない超低域まで簡単に延ばすことができます。 しかし、通常低域の音圧は、バックロードホーンに負けることも多いでしょう。MCAP-CR型は、共振を分散させた効果として、バスレフ共振の癖が分りに くいの で、癖のある音造りは苦手です。自作派の多くはある程度の癖があったほうが好みに合うようです。

Audio BASIC誌の付録にオーディオチェックCDが付いていました。面白かったのは、録音したそのままのオルガン曲と、それの60Hz以下をフィルタでカット したものの比較です。3インチドライバーを使用したQU080bでもその差が良く分かりましたが、このような付録があるということは、差の分らないシステ ムが多いということでしょう。また、差の分らないシステムがあるということは、差が分らなくても良いソースが多いということでしょう。
昨年の ミューズの方舟での課題曲になったマーラーの交響曲では、50Hz以下が殆ど入っていなかったので、TR130b型と他のシステムの差が出にくかったと思 います。私の持参したソフトは、上記のチェックCDに使えそうなものばかりで、そういうところに着目してプレゼンテーションをしたのですが、普通のソース を再生するだけであれば、あまり重要ではないことだったのかもしれません。

上記のチェックCDでは、QU080bでも32Hzまで再生で きていることが確認できましたが、それでも、TR130c型と比較すると、レベルがずっと低いし、機関車や飛行機の離陸音などはあまりに違いました。こう いう音を聞くためにオー ディオ装置を持っている訳ではないので、どうでも良さそうではありますが、フルオーケストラを再生したいという野望のある人には無視できないことなのかも しれません。

いずれにしても、用途と好みに合わせて箱の形式やアンプを決めなければ、無駄遣いになりそうです。


2009/05/03

明日は関東三土会100回記念一般お披露目会


明 日は、手作りアンプの会の関 東三土会100回記念一般お披露目会があります。私も参加するので、お時間のある方はご来場ください。事務局では折角頑張っても一般 来場者は必ずしも多くないのだそうです。Audio BASICの付録CD他、再生の難しそうなものを持参しようと思います。持参する作品は、QU080bです。

4/18の関東三土会に は、私も参加しましたので、こちらもご参照ください。ちょっとお褒め頂きましたので恥ずかしいです。

シンガポールからのお客様

5月1日には、TR130cを 聞くためにシンガポールのAさんがいらっしゃいました。Aさんは、Feastrex D9e TypeIのオーナーで、9インチ用のMCAPシステムを製作しようか検討中です。
拙宅に来られる前にFeastrexの試聴室で、TR130d型も聞いて来られ、FeastrexのTさんと一緒にいらっしゃいました。

自分のオーディオルーム兼研究室兼工作室は狭いので前日に居間に移動し調整しました。
普段のリスニング環境と少し違うと音が随分変わり、調整が大変でした。

まず、CDプレーヤーが違います。普段使用している日立の最低価格品の音にに慣れている耳に、Studerでは良くなったのかどうか分りません。正直云っ て悪くなったように聞こえました。

また違うのが、アンプです。自室のアキュフェーズC-2000+P350ではなくユニエル電子のPA036+安物のボリウムという構成になりました。この アンプは、粒立ちの良い音で綺麗な鳴り方をするのですが、今回は線が細いように感じました。
(自室で使用しているアキュフェーズは、アンプメーカーの中では最も気に入っていますが、P-350の音は好きではありませんでした。しかし改めて別な環 境に 移して聞いてみるとこのアンプは中々のものだったと思うようになりました。出力150W×2(8Ω)というのはだてではありません。同社のP-350以降 の同クラスのアンプは出力が下げられていますのでひょっとしてこのモデルは当たりだったのかもしれません。)

カバレリア・ルスチカーナを 聞いてみるとどうも音像が不自然でした。逆相になっているかを疑いましたが逆相ではありません。Audio BasicのテストCDを聞いてみると、左右が違っていることが分りました。接続を確認してみましたが、見た目は正しいようにしか見えません。理由は分り ませんがCDプレーヤーの出力のL/Rを逆に接続したら正しくなりました(何故だろう???)。
しかし、部屋が違うせいか、アンプが違うせいか、CDプレーヤーが違うせいか、どうしても普段の音になりません。結局は、その状態でAさんをお迎えするこ とになりました。

Aさんは、Feastrexには度々来られる方ということで、日本には慣れているのですが、私はAさんのことは良く分らないし、どういう音楽がお好みなの かも知らない状態でした。

A さんのお好みジャズということでした。私はジャズのことが良く分りません。ジャズとして購入したCDは1枚しか所有していません。その他に、石丸電気のク ラシックCD処分品の中に紛れていたのを知らずに購入したCDが何枚かあるだけです。私のCDライブラリにあるジャズは、クラシックほど周波数レンジが広 くなく、ローエンドが40Hzのシステムでも30Hzのシステムでもあまり差が出ません。ということは、MCAP-CRのような大掛かりなシステムは必要 ないのかもしれません。とりあえず実験機として作ってみようかということにはなりましたが、さてどうなのでしょうか?MCAP-CRはクラシック向きのよ うな気がしてきました。

一 緒に来られたFeastrexのTさんからお土産を頂きました。何百ドルもする効果不明のブロックではお客様にお勧めできないので、現在試作しているのだ そうです。頂いたのは右の写真のようなピラミッド状のもので、ブビンガ材に漆を含浸させたものです。これを片チャンネルにつき3個使用するものです。
東急ハンズで購入した数十個で数百円の木っ端のブロックから交換してみると音が僅かに変わりました。
製品版では、黒檀材になるようですがそれでも、通常のオーディオアクセサリのような価格にはならないようです。
この形状は設置が楽で使いやすいです。また、喰い込むので、安定度が増します。

高価なほど有難がる向きもあるようですが、そんなことは決してないのだと思います。    

自分のオーディオライフは、メーカーも含めて色々な方々に支えられていると思います。支えてくださっている方々に感謝しなければなりません。お返しできる ことは、自分の研究結果を、公開して役立てて頂けるようにすることでしょうか。





関東三土会100回記念


昨日は、今年のGWの自分のメインのイベントである関東三土会100回記念に参加しました。
実は、手作りアンプの会の会員ではないのに、間違ってエントリーしてしまい、慌てて入会したものでした。皆様大変暖かく迎えて頂き感謝しています。

会の内容の詳細は省略しますが、メインは、アンプの発表で、今までの三土会に発表された作品が中心のものでした。スピーカーはダイヤトーンのDS-97C というやや大型のもので、綺麗な力強い音を聞かせていました。
アンプの発表を聞いていて思ったのは、『アンプの評価は難しい』ということです。同時にスピーカーの評価も難しいのですが、スピーカーのほうは、まだ分り やすいと思います。
発表者ごとに使用する音楽ソースもばらばらなので、夫々の差は分らないといったほうが良いかもしれません。
ダ イヤトーンのスピーカーを聞いていて考えたのは、真空管アンプが好まれる理由です。半導体アンプでDS-97Cを鳴らすと、大型バスレフ特有の(超高級ス ピーカーも含めて)ブンブンした響きが気になります。ところが、真空管アンプで聞いているとこの響きが感じられずに適当に押えられて、減衰も速いように感 じられます。
私は、これは、半導体アンプのほうが、効率が良いため、瞬発的な低音の増加に対する反応が速いため、スピーカーの固有の響きを力強く 再生してしまうのではないかと考えました。それに対して真空管アンプは、持続的な負荷に対しては強いものの、瞬間的に増加する負荷には電流の供給が追いつ かない傾向があるのではないかと思います。この欠点によって、スピーカー固有の欠点が抑えられ、結果として良い音を再生する...正しいのかどうか分りま せんが、こんなことを考えながら発表を聞いていました。勿論、どの作品も文句なしの良い音でした。

私のMCAP-CRも発表しました。上 記のような自説があるので、私は、手作りアンプの会の標準アンプではなく、宇田さんの半導体アンプを拝借して発表しました。宇田さんのアンプは、目をつけ た通り、力強い音を聞かせました。宇田さん、有難う御座いました。前回の102回の発表を聞いていない方の中には、ちょっとびっくりされた方もいらして、 聞いて見なければ分らないものだ、と言って頂きました。QU080bは、小さいだけでなく、軽いのにも驚かれたとのことでした。あまり意識していませんで したが、確かに軽く出来ています。

手作りアンプの会は、某先生のファンクラブ的なものではなく、専門知識を持ったアマチュアが集まった不思議な会です。私はアンプの回路が分らないので、 ちょっと場違いなのですが、力学好きは少いようなので、意外と貴重な存在になれるかもしれません。

いずれ、三土会で、多自由度バスレフについて発表したいと思いますが、未だ、資料が完全ではありません。発表するとすれば、相当に微妙な内容になりそうな ので、内部での発表のときに間違いの指摘等をお願いしようと思います。

忘れえぬ女

いま、渋谷の文化村で、トレチャコフ美術館所蔵作品の忘 れえぬロシアという展示会をしています。
上 記のリンクを開くと目に飛び込むのがタイトルの『忘れえぬ女』という作品です。私はこの作品が見たくて5月2日に文化村に出かけました。 1800〜1900年代のロシアの絵画は日本でさほど人気がないようですが、どの作品も自分にとっては新鮮なものでした。題材が日常的で分りやすく、ま た、多くの作品が、克明な描写をしています。題記の『忘れえぬ女』というのは、本当は、『見知らぬ女』だそうです。フレームにはロシア語で、 『НЕИЗВЕСТНАЯ』と書いてありました。『女』の部分は省略されていますが、語尾が女性名詞を修飾する形になっているので、『有名でない女』とい う意味のようです。
この絵は、誰がモデルなのか謎に満ちているそうですが、それよりも先ず気付くのが、主題を中央に克明な描写で描いていること、 そして、背景は白っぽく薄く描写し、主題を引き立てているもののやはり克明に描かれていることでした。女のマフラーの毛の1本1本まで見事な描写になって います。絵の前で釘付けになりました。
こ の絵を見て思い出したのは、Feastrexのフルレンジドライバーの表現力です。Feastrexの音を表現するのにぴったりなのがこの『見知らぬ女』 の描写です。その他のメーカーのドライバーの表現力は比較すると印象派のような感じです。印象派が悪い訳ではないのですが、自分は、印象派より、克明な描 写が好きです。

2009/05/10

音の評価

最近、手作りアンプの会に入ったこともありお付き合いの幅が増えました。それまでは、オーディオ仲間は非常に少く、完全にオーディオアウトローでしたが、 今後はもう少し幅を拡げられると思います。

5/3 に書いているように、自分と音楽またはオーディオの趣味が異る人とでは評価の着眼点が全く異り、音の評価が難しいことを実感しました。低域限界を何ヘルツ にするかは、趣向により変えるべきであることが良く分りました。私は、フルオーケストラをなるべく妥協しないで再生したいタイプなのでできれば20Hzを 再生したしたいし、少くとも30Hzまでは再生できなければ、我慢の限界を超えることがあります。しかし、オーケストラやパイプオルガンをあまり聴かない 人には30Hzは必要なさそうです。40Hzも出れば余裕で、50Hzで十分な場合が多そうです。確かに、クラシック曲の一部のソースを除いては、 30Hzまで記録されていることは稀ですので、殆どの人にとっては、精々40Hzが再生できれば十分で、50Hzでも問題ない場合が多いのかもしれませ ん。

そういう人と、私のような特殊派が同じように音を評価しようとしても無理なことが分りました。長岡先生は、何々向きというようなジャ ンルを限定した音作りには否定的だったと思いますが、私もそのように実感してきました。私はクラシックが十分に再生できる装置であればどのようなジャンル でも問題ないと思いますが、主流派はそのようには考えていないようです。この議論は平行線になりそうです。

低音再生下限が30Hz前後と いうのは、13cmまでの口径のMCAP-CR型エンクロージャーを作ってきて感じた一応の限界です。これより下まで頑張ろうとしても、どうも別なダクト から音 圧が逃げてしまうようです。20Hzを再生する代わりに中低域が痩せても良いのであれば、簡単なのですが、それでは音楽再生に重要なところを犠牲にしてし まいます。そこを両立すべく頑張ったところが13cmで30Hz前後までというところが目下の下限になっています。振動板は、10Hzでも20Hzでも振 動するし、何か音は出ているので、高調波を聞いて勘違いする人が主流派のようですが、小口径で20Hzは到達が難しい課題だと思います。私は、オルガン曲 を好んで聞くので、32Hzが十分なレベルで再生できなければオーディオ装置で聞いた気がしません。32Hzでも音というより圧迫感という雰囲気なので、 20Hzとか16Hzはさぞかし凄いだろうなと想像はしますが、未だオーディオ装置で聞いたことはありません。

しかし、私のような限界挑 戦派は少数派だと思うので、今度40Hzまでで諦めたモデルを作ってみたいと思います。40Hzでいいことにするのであれば、副空気室が2つで良いため結 構な小型化が可能で、費用も節約できます。それでも、置き場所を考えるとこれ以上増やすのはどうかと悩んでいます。

既存の理論に挑戦

私は、オーディオの専門知識抜きで、エンジニアリングだけで悪戦苦闘してきましたが、改めて既存の理論を研究してみると、どうも納得し難い点が目に付きま す。本当にこんな理論で設計が可能なのか?と思いながらオーディオの本を読んでいますが、欲求不満に陥ってしまいます。
ということで、次回の三土会で、今までの研究結果のまとめを発表して諸先輩方のアドバイスを頂こうと思います。手作りアンプの会の方々は大人なので大丈夫 だと思いますが、専門家には殺されそうなきわどい内容を含みます。
止めておこうかな...

ようやく分ったアキュ フェーズの凄さ

正確な購入時期は覚えていませんが、私は、アキュフェーズのP-350というメインアンプを10年位使用しています。このアンプの音色についてはあまり気 に 入っておらず、アキュフェーズ製品は信頼性を重点評価してきました。このアンプは、人気商品ではなさそうですが、一度もトラブルの発生がなく、いつも同じ 音を聞かせてくれます。
低音再生限界を30Hz前後まで伸ばしたMCAP-CR型を使用するようになって、このP-350というアンプが只者ではないこ とが分ってきました。自宅には、故伊藤喜多男氏作成の真空管アンプがあり、そのアンプの音色のほうが良いと思っていましたが、最近は評価が全く入れ替わり ました。伊藤氏の真空管アンプは20年位経ったもので、オーバーホールが必要ですが、それだけとは思えないくらい瞬発的な音の再生力に差があります。P- 350は、突然の出力増にも余裕を持って対応でき、低音を瞬発的に出した位で、中音域が崩れることはありません。こういう差は、ジャズを聴いても分らない のだと思います。しかし、高級オーディオショーでは、再生の楽なソフトで誤魔化していることが多いように感じます。

今更ながら、アキュフェースは凄い...

TR130c3

私 のメインスピーカーは、Feastrex Nf5Ex + TR130c(MCAP-CR型の自作箱)で、音には満足していますが、製作時に自分が間違えたほどややこしい構造なので、同じ設計で構造を単純化した TR130c3型の設計図を描いてみました。英語のページに、実際は製作していないが、設計だけしてみた図面がありますので、ここを覗いてみてくださ い。主に外国の方からのご要望に応じて描いたものです。満足度は保証できませんが、変な音はしないと思います。


2009/05/17


三土会第103回

昨日は、手作りアンプの会の関東三土会がありました。100回記念の直後でもあり発表作が少なそうだったので、私は、多自由度バスレフ型についての研究発 表をさせて頂きました。色々な意見を頂いてとても勉強になりました。私の内容はこちらをご参照ください。

高級オーディオ

某 専門家のサイトの主張として、何百万円もの価格設定は怪しからんという内容が載っていました。このサイトは有名なので読んでいる方も多いと思います。私個 人としては、その方の主張内容に、いかがなものか、と思うところがあり、リンクでも紹介していません。その方が、私のページを読むとも思えないし、読んで 理解されるとも思わないので、別な世界のお話しと考えています。
それは、さておいて、何百万円の価格設定がそんなに悪いことかなと思います。具体的な製品名やメーカー名は挙げられていませんでしたので、私も知る由があ りませんが、そこで例として挙げられているのは、片チャンネル600万円のスピーカーだそうです。
日 本では、従来からコスト積上型の販売価格決定が多かったと思います。米国では、価値に対して価格をつける傾向が多く、また、某ソフトウェアメーカーのよう に独占的地位を利用して他を排斥し、価値に釣合わない価格設定をする場合もあり、こういうのは如何なものかと思います。
しかし、オーディオの場合 は、ソフトウェアのフォーマット以外は自由の世界であり、だからこそいろいろなことができます。その中で、実際にお金を払う個々人が自分の考える価値に対 して値段を決めることになります。この値段の決め方に対して他人がとやかく云うことではなく、カネを払う側が決めればいいことだと思います。
思うに、オーディオの世界は丁度いいところが手薄で、超低級低品質が99%、超高級が0.1%、その間は0.9%位でしょうか?丁度いいところが市場に無 いので、コスト積上型の価格設定は無理でしょう。本当は一番美味しいところのはずでしょうが。
限 度なしに出費する人は、恐らく、良し悪し、満足・不満足について自分の評価基準がない人たちではないでしょうか?ナントカ先生がこう云ったとか、ナントカ エレクトリックの美音が忘れられないとか、そういう評価になると、基準が分らないのでどんどん注ぎ込んでしまうことになりがちです。
自分だったら、生の音楽を聴くことに殆どを費やし、オーディオには我慢できる程度の性能にほどほどの金額を注ぎ込みますが。

雷の録音

三土会と懇親会に参加し、ある方から、自主録音のCDを頂きました。内容は、雷の音、花火の音、自衛隊の演習の音で夫々を編集してディスクに入れたもので す。こういうものは私のようにサウンドを追及する者にはとても有難く、聞いていました。
スピーカーを跳ばす可能性があるからメインスピーカーではしないほうがいいと助言を頂いていましたので、いくつかのシステムで再生してみました。

TR130a

Cantareの5FR IIを使用した13cmのシステムです。雰囲気は良く分りますが、低音はあまり出ません。小さ過ぎる箱で頑張っており、ポップス系には十分な低音が出ます が、花火や雷のような瞬発的な音はやはり無理でした。

TR100a

Tangband のW4-927SCを使用した10cm用システムで、外形寸法は概ね1cftで上記のTR130aと同じです。これのオリジナルは、ダクトの断面積が 30mm×30mmの9cm2です。この状態では、TR130aと同じ傾向の音でしたが、断面積を19mm×19mmとし、長さも変えられる補助ダクトを 詰め込むと空振りが減って重心が下がってきました。そんなに悪くありません。

TR130c

Feastrexの5"励磁型を使用した高級システムで、箱のサイズにもゆとりがあります。さすがに上記の2作品よりは重心が下がってゆとりが出ますが、 雷のような瞬発的な音を受止めるにはまだまだ力が足りません。課題が残ります。
びっ くりしたのは、上記の2作品よりも、音場が拡がり、花火の高さや距離感などがずっと明確になったことです。10cmよりも音場感が良いのは意外でした。上 記の2作品は、このスピーカーの上に置いてあり設置の差があり、また容積の大きさに違いがあったのは事実ですがそれにしても大きな差です。価格の差(W4 -927SCの60倍弱)というのはこんな意外なところに現れるのかもしれません。

この後、他のソースで聴き比べていました が、普通の音楽ソースを聞く限りがは、これらの差がそんなに大きいものではないと感じました。この差の大きさをどう感じるかは人それぞれですが、大抵の人 には大した差に感じないのかもしれません。Tangbandのスピーカーユニットももう少しゆとりのある箱に入れたらもっと差が縮まると思うし、そうであ れば嬉しいと思わない訳ではありません。こういうところが自作派の拘りなのでしょう。
お金をかければそれで大満足というのではあまりにも寂しい気がします。次は、手持ちのスピーカーユニット(FostexのFE108SかOmnes AudioのL5)を活かす設計をしてみたいと思います。



2009/05/24

ハイエンドショー東京2009


今年もハイエンドショー東京に 行ってきました。
今年は昨年よりも更に規模が縮小されていて、ブースはたったの4つ、交通会館の1階には表示もありませんでした。
来場者はそこそこの数ですが、ハイエンド機器の購入層は何人位だったでしょうか。もう来年には無くなるような気がしてきました。
私は、元々ハイエンドオーディオには懐疑的で、限られたコストで最大限のパフォーマンスを指向しているので、冷めた目で見てきました。
左のブースでは、大勢の人が集まり、高級オーディオのオーラに包まれた音を聞いていました。高級オーディオの音は、どの場所から聴いても高級オーディオの 音で、生の音とは方向性が違います。

このブースの音も一聴して高級品であることが分る音です。残念ながらかかっていた音楽はアコースティックなものではなく、ジャズライブのようでした。大音 量再生可能なことは良く分りましたが、これを家庭に持ち込んだらどうなるのか余計な心配をしてしまいました。
別なブースでもやはり、高級 オーディオの音が響いていました。
こ ちらも残念ながらアコースティックなソースではなく、PA満載のソースでした。PAが混じった音を聴いて何か分るのだろうかと思いながら、聴いていたら、 また、例によって『ホテルカリフォルニア』のライブ録音が掛かっていました。前奏が一段落したところでの拍手とかを聞くと、またか...とうんざりしてい る自分に気付きました。

目を留めたのはダイヤトーンのところで、展示のみでしたが、さすがにダイヤトーンは、儲けなしの価格設定だと思い ました。別に欲しい訳ではありませんが、輸入品と比較すると随分と安価です(決して安いわけではありません)。他人事ながら、大丈夫かなと心配してしまい ました。

やっぱりハイエンドの世界は自分が指向する世界とは違うなあ...と改めて感じた数十分でした。


2009/05/29

スピーカー箱容量の制約


先の三土会では、既存の設計法でのスピーカー箱容量の制約条件に疑問があることを発表しました。
それまでも、どうやって制約条件を決めたら良いのか考えていましたが、ようやく纏まってきました。箱の寸法の上限には少くとも2つの制約があります。

制約条件(1)-箱の寸法の制約

 バ スレフ箱は、Helmholtzの共鳴箱の計算式によって共振周波数を計算するので、箱自体がひとつのばねとして動作する必要があります。よって、箱の中 に粗密が複数あるような周波数を取り扱うことができません。たとえば、100Hzの動作を期待する場合には、波長の1/4程度(凡そ0.85m)が限界と なります。従って、これより大きな寸法の箱では、100Hzの音波は、ダクトを駆動することなく拡散してゆきます。これが、第一の寸法制約です。これは、 振動板の大きさとは無関係に、取扱う周波数の大小だけで決まります。
先に紹介した田中の文献には、このような説明はありません。

制約条件(2)−内部の気圧変化による制約

 バ スレフの場合には、箱の内部の空気が外に繋がっているため、振動板をゆっくりと変位させても中の気圧は変わりませんが、密閉箱と同様にダクトを塞いだ状態 で考えます。振動板が、単位量だけ変位したときに、中の気圧の変化量が、感知できる最低の音圧である20μPaよりも十分に大きな量であることが必要で す。そうでなければ、背面を囲った意味がありません。これが第2の寸法制約となります。これは、振動板の寸法に応じた制約となります。
さて、十分に大きな量というのをどの程度とするかは簡単に決められるものではありませんが、とりあえず最低音圧の10倍である200μPa位ではないかと 思います。
先に紹介した田中の文献では、箱のばね定数がスピーカーユニットのばね定数の1/2倍になるところが理論的な限界と書いてありましたが、私はこの説とは全 く異る観点から制約を論じています。

制約条件(1)は、特に見過ごされやすい点だと思います。この制約を考えると、建物のような大きな箱は、成り立たないことになります。すなわち、そのよう な大きな箱では、超低音でなければHelmholtzの共鳴箱として動作しないので、実用性がありません。

このあたりの内容を整理したら、アップロードしようと思います。


2009/06/01

タモリ倶楽部


先週の金曜深夜のタモリ倶楽部に、『集まれ塩ビ管スピーカー』の方々が出演されるというので、録画しておいたものを見ました。『集まれ塩ビ管スピーカー』 というサークルの存在はウェブで知っていましたが、実際に拝見するのは初めてでした。

番組の冒頭で、タモリが、『JBLの...』と切り出したのでJBLとの比較になるのかと思っていたら比較試聴の『普通のスピーカー』は、普通の小型でし た。もうちょっとましなスピーカーをリファレンスにしても、塩ビ管スピーカーの良さは伝わるはずで、残念でした。

塩 ビ管で製作することには、私もその存在を知る前から興味はありました。しかしながら、都心に住んでいるとホームセンターが近所に無いため、塩ビ管の入手は 意外に困難です。以前地方に住んでいたときは、仕事で塩ビを使うことが多く、入手し放題でしたがそのときには塩ビ管でスピーカーを作ろうとは考えていな かったので作らないでそのまま二十年が経過してしまいました。

塩ビ管を使用すると、多自由度バスレフの試作にはとても便利です。塩ビ管に は様々なサイズがあり、大きいものでは300mmのものもあるので、容積もそこそことることができます。また、エルボー、径違いソケット、キャップ、チー ズ、径違いチーズなど何でもありなので、チャンバーと同時にダクトも作ることができます。こんなに理想的な素材があるのに何と勿体無いことかと思います。

番組の解説は云ってしまえば素人のお話しで、聞くに堪えませんでした。それに、何も分らないものだから、『ユニット』のような専門用語を解説抜きで使って いました。一般の人に分らない用語はしっかり説明すべきでしょう。

作品の音を直接聴けないのは残念でしたが、相当好ましい音で鳴っていたのではないかと思います。というのは、塩ビ管スピーカーの音がいい(聞いたことはあ りませんが)のには理由があります。

他にも色々と理由はあると思いますが、塩ビ管スピーカーは音が良いはずです。見た目が良くないといえば良くないですが、オブジェのようなものを作るには良 いと思います。
そのうち挑戦してみようかと思います。


200906/06

MDIC型試作機


MCAP -CR型は、そこそこの出来になっていますが、未だ、完成された訳ではありません。MCAP-CR型は、今のところ30Hz前後までは十分なレベルで再生 できますが、 それ以下は不十分なレベルに留まっています。その理由は、チューニングの高いほうの開放ダクトから超低音の音圧が逃げてしまうためであると考えています。
こ れとは別に、サッポロビールで販売している炭酸水のゲロルシュタイナーのボトルを弾くといい音がすることが気になっていました。炭酸水は内部の圧力が高い ので、普通のボトルより多少丈夫に出来ているようです。また、断面が円形なので、理想的な形状だと思います。これを利用できないかと考えているうちに、 MDIC型の構想が出来ました。MDIC型は、Multiple-Duct Inside Chamberの頭文字をとったもので、MCAP-CR型の外部ダクトを全て塞いだ形になります。単に塞いだだけでは、低音が 振動板を 通して洩れてくるだけなので面白くありませんので、ペットボトルのチャンバーの壁を通して音圧を逃がそうと考えました。



結果として出来上がったのが上記のようなものです。2本作るのが面倒なので、アンサンブル型にしました。背面に8つの穴を開け、ビニルホースのダクトを通 してペットボトルに繋がっています。
共 振周波数は、MCAP-CR型の簡易計算式を使って推定してみましたが、1Lのペットボトルでは、ローエンドを伸ばすためにホースを数百ミリにしなければ なりま せん。実際にやってみたところ、共振が弱かったので、ローエンドを諦め、ホースは短くしました。ペットボトルは、1Lを4本、0.5Lを4本使いました。

音を実際に聴いたところ、小型にしては低音が出ているほうかな?という程度で、QU080bと比べると豊かさが足りません。Uudio Basicの付属CDのオルガンを再生してみると、63Hzから40Hzは同じような音圧で、それ以下は低めになっていました。

みてくれも悪いですが、音も大したものではありません。未だ結論を出すのは尚早ですが、まだまだ課題がありそうです。ゆっくりと取組むことにしよう。

時 間がたってしまいましたが、5月31日に、横浜のベイサイドネットというところのオーディオのど自慢大会というのを聞きに行きました。このイベントを知っ たのは、QU080bを作られたSさんという方が、QU080bを持って参加されるということでしたので、Sさんにお会いする目的で参加しました。

試 聴会は上記のような環境で、広さは20〜30畳程度でしょうか。中央の丸いのが評論家の高橋和正さんの作品で、その外側にSさんのQU080bがありま す。Sさんの作品は、サブバッフル付でMDFを使って丁寧に作られています。Sさんは、低域を欲張ってドライバーを選択されたそうですが、BSNの店長さ んは高域が気に入らなかったそうです。このような試聴会では、多少ハイ上がりのほうが好ましく聞こえることが多いようです。

幸運だったのは、Sさんとお話しできたこと以外に、Stereo誌などでお馴染みの、ゲテもん工作実験室の 松さんの作品を聞きお話しできたことです。

松さんの作品の説明は、ゲ テもん工作実験室に 説明されていますが、正面を平板、背面を半球体にした見事な作品です。写真右側が背面で、ドロンコーンを放射状に並べています。ドロンコーンには、背面の 音を逃がす目的もあるということで、伸びやかで自然な音を聞かせていました。仕上も見事、高く売れそうなものです。個人的な好みからすれば、背面のほうが 正面であって欲しかった...といいたいところですがそれでは松さんの意図が生きません。こうでなければ駄目なのです。

普段オーディオショップとはお付き合いがありませんが、たまにはこのような会もいいものですね。


2009/06/08

MDIC型試作機改造


昨日MDICの試作機について書いたところ、本家ゲ テもん工作実験室の松さんから、『どこからどうみてもゲテもんですね、いいですねー(^‐^)』というコメントを頂きました。それ と、ボトルにドロンコーンを付けたらどうかという提案を頂きました。
ドロンコーンを付けると、MCAP-CR型と同じ動作になってしまうのですが、松さんのご提案を考えていたところ、穴を開けて薄膜で塞いだらどうだろうかという アイディアを思いつきました。
薄膜で塞げば振動板としての効果ではなく、音圧を適度に逃がすがしかし、完全には逃がさないといった動作になるのではないかという考えです。
先 ず最初にペットボトルの横に穴を開け、ポリエチレンラップで塞いでみたところ、低音域でジジジ〜と鳴きます。これでは見た通り、蜂のようなので面白くはあ るものの一旦諦めました。丸穴を上手に開けられれば鳴きは小さくなりそうですが、カッターナイフでは四角い穴しか開けられませんでした。
次に、底を輪切りにしてとってみたところ、真直ぐは切れませんでしたが、一応ラップで塞ぐことができました。





これで鳴きが多少収まり結構聞けるようになりました。音楽はまだまだですが、ジェット機の音などは結構な実在感があります。これは、上手にやればいけるか も、と思える位変わりました。

松さん、アドバイス有難う御座いました。

2009/06/09



本家ゲテもん工作実験室の 松さんから、下記のMDIC型の試作品に正式にゲテもん認定を頂きました。
ゲテもんに認定されるには厳しい条件があります。松さんの要求するその条件とは

「へんてこやけど、あくまでもマジ。そして目指すはハイクオリティ」という要件を満たす

ということです。
ハ イクオリティはあくまでも『目指す』というのが条件なので、ちょっと甘い部分もありますが、いずれはこの方式も実用化しようと思います。現在の課題は、 ペットボトルの加工だ難しいということです。加工技術が上がれば間違いなくハイクオリティのゲテもんになると信じています。

現在の形状は、虻のような感じで、しかも低音をいれるとジジジジとなるものですから、音も虻です。しかし、解決すれば凄い音になると思います。

考 えてみれば長岡先生のスワンだって最初はゲテもんでした。それが、本人と、ユーザーの努力によって、ハイファイのメインストリームになってきています。 MCAP-CR型もゲテもんだと思う人もおられると思いますが、そう遠くない将来には自作のメインストリームになってくると思います。

ゲテもん万歳!


2009/06/13

フィールドコイルスピーカー


今 日三越本店に行ったら山形展の鉄器のコーナーのところにフィールドコイルスピーカーが置いてありました。特に売りたい風でもなく、とりあえず展示してある という感じでした。音が鳴っていましたが、小さな音だし、鉄器の一部に置いてあるだけだったので、どんな音かは分りませんでした。
置いてあったの は、民芸風の箱に入った20cmのシステムと40cm位の裸のスピーカーユニットでした。民芸風の箱に入ったほうが、1本かペアかは分りませんが五十何万 円(忘れました)で、大きなほうは金額が分りませんでした。写真は撮りませんでしたが、見た目は古典的な振動板で、購入意欲の沸くものではありませんでし た。

よく、フィールドコイルスピーカーは音がいい、とか単純に考える人がいますが、私はそのようには考えていません。既に何度も書いてい るFeastrexは、フィールドコイルであるだけでなく、振動板に人間国宝の手作りの和紙を使い、磁気回路のカバーには、機械加工の部品を使っていま す。また、部品の材質も吟味し、1つずつ手作りで品質管理されたものなので、音が良いのには、フィールドコイル型であるだけでなく、総合的な要素によって 音が良くなっていると考えるべきでしょう。

今回見てきたものは、音の良し悪しは分りませんが、そこまで気を使って製作したものには見えませんでした。Feastrexの価格は他より高いですが、 ローエンド機種については、上記の山形展にあったものと比較するとかなり安く感じます。

Feastrexのスピーカーユニットは、自作でベストを目指すのなら一度は使ってみるべきだと思います。


2009/06/18

愛称はBremse


6 月6日に製作したMDIC型の試作機は、結局は一部のサブチャンバーにもダクトを付け、MCAP-CR型になってしまいました。下の写真は現在の様子で、 サブ チャンバー8部屋のうち4部屋分のボトルに別のボトルを接合してダクトを付けました。これによって、低域が量感豊かな滑らかな音になりました。




ボトルは、途中で切断し、嵌め合わせてからビニールテープで付けただけの状態です。実験用としては十分な成果で、クラシックを欲張らなければかなり満足に 近い状態になりました。



愛 称は、『虻』ですが、ちょっと洒落っ気がないので、英語にしようかと思いましたが、"horsefly"(馬蠅?)では今ひとつなのでドイツ語で、 "Bremse"としてみました。このBremseは超低コストとゲテもんそのものの形状にもかかわらず良く鳴るので、もう少しチューニングを進め、ま た、仕上もしてゆきたいと思います。

左右一体型が思いの他良くできたので、次はマトリックススピーカーにしようと思います。


2009/06/22

Kenbo-邸訪問


昨日は、ブログハイエンドスピーカーでお馴染みのkenbo-さん邸を訪問しました。
狭い我家とは違い、3階建てのお屋敷です。最上階のオーディオルームは、kenbo-さんご本人の手が入っています。壁にはコンサートホール同様の反射板 が付けられており、力の入れ方が分ります。



今回の目的は、ダブルウーファーの新作を聞くことでした。



細部に亘って見事に加工が施されています。これは、全て手作り。合板の箱に、タモ材を貼ったものだということです。


ネットワークは単純な2ウェイではなく、ウーファーのチューニングを夫々変えています。下側のウーファーは、ソースによっては殆ど聞こえない帯域をカバー しています。


ソースによっては、ここに隠れているサブウーファーを使用します。このサブウーファーは、高出力アンプ2台で左右を別に駆動するようになっています。


メインのアンプはアキュフェーズのA級、サブウーファーはヤマハの高出力のものを左右別々に駆動するようになっています。



天井の仕上も見事。これだけやれば、コンサートホールそのものです。

試聴には、聞き慣れたソフトを持参しました。
2008/11/30 の日記に記したバッハのオルガンは、21Hzまで録音されているものですが、低域のペダルはかなりの圧迫感で迫ってきます。自分のメインシステムよりも一 回り下まで再生されているようです。Heiderbergで聞いた本物を思い出しながら聞き入ってしまいました。

ライブ録音の、 FolkSongs & Dances (AGORA Musica AG 156)も見事で、オーケストラに向かって左側手前のソプラノを上方からワンポイントに近く収録していることが分ります、ただ定位が良いというだけでな く、実際の劇場のように、反響音で歌手の位置が時々分らなくなる様子も見事に再現されました。これは、劇場のように作ったパネルの効果もあるのでしょう か。

メンデルスゾーンの交響曲第2番"LOBGESANG"では、マルチウェイの弱点が感じられる部分がありました。kenbo-さんに よると、クロスオーバーのチューニングが未完了で、ソースによってどこが良いのかが違うので、決めきれないでいるそうです。3ウェイのほうがクロスの決め 方がずっと楽なのだそうです。
私はネットワークが苦手でフルレンジ1発にしています。とてもこのような技術は持てそうにありません。

kenbo -さんの音は、ありきたりの高級オーディオの音とは異り、高価格オーディオの不自然なオーラがありませんでした。自然で、生に近い再生音です。今まで投資 された金額はハイエンド価格かもしれませんが、現在のシステムはそこまでは行きません。それでも、高価格オーディオを遥かに凌ぐパフォーマンスなものでし た。

この他に、長岡先生やコンテストなどの裏話もお聞かせ頂きとても勉強になりました。

どうも有難う御座いました。


2009/06/28

kenbo-さん宅の音(続き)


先 週訪問したkenbo-さんの音を聴いた興奮冷めやらぬなか、拝借してきたCDを聞いていましたが、夜中にこっそり聞いても良く分りませんでした。ようや く週末で明るいうちに音を鳴らせるようになったので、kenbo-さん宅で聞いた音を思い出しながら、同じCDを聞いてみました。
最 も興味のあったのはカウボーイジャンキースのトリニティセッションです。kenbo-さん宅では、本来ノイズとしてカットするはずだったであろう足を踏み 鳴らす音がはっきりと聞こえました。これを帰宅後に夜分遅く聞いたときは良く分らなかったものが、昼間に少し音量を上げると自分のTR130c+ Feastrex Nf5Exでもはっきりと再生できることが分りました。但し、足を踏み鳴らす音の輪郭は、kenbo-さんのシステムほどははっきりと聞こえません。基音 は分るものの、倍音領域のどたどたした感じはあまり明確ではありませんでした。高い音のほうが再生が簡単なはずで、何故こうなるのかの理由は良く分りませ ん。しかし、自分のシステムもなんとか難関ソフトを再生できることを確認して少し安心しました。

kenbo-さんのシステムの音で、 ちょっと分りにくい表現があったので補足します。"LOBGESANG"でマルチウェイの弱点が感じられたというのは、クロス付近の周波数帯で、音像が上 下に散る部分があったことです。これは、ボーカルの帯域にクロスを設定せざるを得ない2ウェイの弱点とも云えます。クロスの周波数は、どのように料理する かは、設計者の腕のみせどころかつ悩むところです。殆どの場合、このままで全く問題ないばかりか、最高の表現ができるであろうと思います。しかし、ソース によっては、気になるという程度の弱点でした。全体としては、商用ハイエンドの音を遥かに凌ぐ高忠実度の音で、不自然な艶を付加した高価格オーディオなど 糞食らえという程の完成度でした。見事という他ありません。

die Bremseのチューニング

最 新作Bremse(虻)のチューニングを実施しました。チューニングとは、ペットボトルの外側のダクトにブレードホースを詰め込んで、断面積を小さく(内 部ダクトと同じ)し、長さを多少増しただけのことです。しかし、この改造によって、何と上記のカウボーイジャンキースの足踏みまで聞こえるようになってし まいました。



専 用台に付けた様子はこのようになっています。非常に小型、箱のコストも数千円でありながら、この音を出してしまうとは予想していなかっただけに嬉しくなり ました。やはりMCAP-CR型は、可能性のあるシステムだということです。Bremseは、製作が簡単でコストも低いので、後日図面を公開しようと思います。 但し、自由度が現状でも14もあるため、固有振動の計算は未だ実施していません。そのうち挑戦するつもりではありますが、これだけ自由度が増えると誤差が 大きくなります。
左右一体型にしたうえに自由度が高いので、中低域の痩せも感じられません。コストパフォーマンス比はいいところをいっていると思います。

吸音材には、Anpelmannのスポンジが入っています。これは、ドイツで購入したものですが、台所では使いにくいので、使用せずに置いてあったもので す。


空洞にむらがあり、複雑な形をしているので、吸音性能は良いのではないかと思います。

die Bremseは、MCAP-CR型の原点のような格好で、コストの割には性能が良いので、いずれどこかで発表したいと思います。

die Bremse完成近し

昨日から、die Bremseの調整を実施しています。ペットボトルを吊り上げてバランスをとるための触角を取付け、電線で吊りました。恥ずかしいので顔は隠しまし た...


おおよそ仕上がりに近い状態です。だんだんBremseという感じになってきました。昨日までは羽が垂れ下がって死に掛けていましたがこれでようやく命を 吹き返した感じです。



音は昨日と変わりませんが、心なしか良くなったような感じです。カウボーイジャンキーズの足踏みは、場所によって聞こえたり聞こえなかったりでした。この サイズでこの足踏みをはっきり再生してしまったらちょっと恐ろしい気がします。

コ ストは、スピーカーユニットを含めて7,000〜8,000円位でした。下の板は、本体の板の余りです。板代は、高価な東急ハンズでも1,000円足ら ず、カット代が高いので2,000円を超えました(カットを間違いましたが)が、郊外とか地方のホームセンターだったら500円〜1,000円位でできる はずです。ホースは、この程度だったら500円位、台は郊外のホームセンターで購入した栂の45mm角材と、アガチスの小さな板で合計700円程度、ペッ トボトルは捨てるものの利用なので無償です。決してこのためにゲロルシュタイナーを買い込んだ訳ではありません。最近炭酸水に凝っているため、大量に買い 込んでいました。このゲロルシュタイナーという水はとても美味いのでお勧めです。

へんてこな形ですが理屈通りで、松さんの定義によるゲテもんに相応しい快作でした。


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