MCAP-CR
多自由度バスレフ型スピーカーシステムの研究開発
物理モデルに基くシミュレーションソフトウェア開発




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2009/03/08
Feastrex愛好者の集い
2009/03/12
低音再生限界
2009/03/16
MCAP-CR型共振周波数簡易計算シートの追加と英語ページの拡充
2009/03/20
仮設台の設置
2009/03/22
パラメータQ0の解明へ
2009/03/23
パラメータQ0の解明へ(2)
2009/03/29
MCAP-CR型海外に普及なるか
引続きQ0の検討

2009/04/09
手作りアンプの会
2009/04/12
来週は関東三土会
2009/04/18
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2009/03/08

Feastrex愛好者の集い


別 にそのような名称の会合があるわけではないのですが、昨日愛好者であるBさんと、Nさんの2名が我家を訪問されました。Feastrex自体、日本のオー ディオメーカーとして認知されている訳ではないため、ユーザーの数は極小と思います。BさんとNさんは、これからユーザーになろうといういわばユーザー予 備軍の方々です。Nさんは予約した製品が昨日丁度出来上がったところだそうです。Bさんは、ようやく購入できそうなところということでした。
Feastrex は、ここでリンクにも紹介している社長さんのブログがありますが、そのブログで気になる書込みがあるとメールなどで話題になります。小さなコミュニティな ので、オーディオマニアには見向いてもらえませんが、音楽家とか音楽愛好者にはFeastrex社の製品は評判が良いのだそうです。昨日もある話題を中心 に3名であれこれと議論しました。詳細は書きませんが、皆、Feastrexの事業が軌道に乗るようサポートしています。自分で何百万円も投資して大ユー ザーになるという人は稀ですが、ここに集まる人は、世間に認知されるよう技術的、広報的な支援を惜しみません。こういうところは、他のオーディオメーカー とは違う同社の強みになっています。

Feastrexのスピーカーユニットは、聞くと病みつきになる音を出します。また、私のような自作 派にとっては、意図した通りに箱を鳴らしてくれるので、とても有難いのです。箱を100%鳴らし切るスピーカーユニットと云ったら良いのでしょうか。上手 に説明できませんが、何故かそのように感じられます。Feastrexの音は、リンクで紹介している『ブログハイエンドスピーカー』のkenbo-さんに よると、『普通の音』、『癖の無い音』、『嫌味の無い音』、『自然な音』だそうです。
私の印象は、『音楽を聴きたくなる音』、『スピーカーを主張 しない音』、そしてkenbo-さんと同様、『癖の無い音』、『自然な音』です。それなのに、オーケストラの底力を感じさせる音を出します。しかし、オー ディオマニア向けの音ではないのです。オーディオマニア向けと違って使いこなしの難しさがあまりありません。勿論、低音域を拡げるためにはしかるべき箱が 必要ですが、適当な箱に入れてもしっかり鳴ってくれます。

Feastrexは、元々オーディオメーカーではないので、決まりごとに捕らわ れることがありません。考えた通り徹底的にやってみて出来たのがこのような製品です。オーディオの常識に捕らわれないという態度は、私の態度とも共通して いるところがあります。そんなこともあるのでしょうか、Feastrexのスピーカーユニットは、MCAP-CR型の箱を存分に鳴らしてくれます。音がい まひと つなので、今迄あまり聞いていなかったCDの音楽も鳴らしてくれるようになりました。オーディオマニア、サウンドマニアとしての自分を別な方向に引っ張っ てきています。

別に私はIBI社に便宜供与を受けている訳ではありません。それは、上記のお二方も同様と思います。宣伝しても見返りはあ りません。勿論、メーカーとしてのお付き合いはあり、それは、他のメーカーと比べると比較にならないくらい深いものです。自分の意見や技術を聞いてもらえ るので、それは便宜供与の一部なのかもしれません。でも、自分と一緒に発展してゆくというのはとても興味深いものです。

昨日、お二人をお 迎えするために、スピーカーを狭い自室から居間に移して聞いていたら音が気になり、吸音材を変えました。以前は、大鋸屑をストッキングに詰めたものだけで したが、これを、100円ショップで購入したスポンジと掃除用のスポンジのような薄いシートに交換したら余分な音がとれて好ましい音になりました。お客様 が来られてからも30分も作業をしてしまいました。メーカー品でないスピーカーは、多かれ少なかれこうした調整が必要になります。面倒ですが、音楽を楽し むためにはこれも楽しみの一部なのでしょうか。

何週間か先になりますが、TR130d型の箱との組合せがFeastrexの試聴室で聞けるようになるかもしれません。好奇心旺盛な人たち(といっても2 名ですが)なので、しっかり遊んで頂けると思います。自分はとても楽しみです。


2009/03/12

低音再生限界


低音の再生限界をどの周波数に持ってくるかを決めるのは厄介です。

以 前は、20Hzまで頑張ろうと思っていましたが、最近はそこまでしないほうが良いのではないかと思うようになりました。正直云って未だ20Hzの再生に本 格的に取組んだことはありません。お気軽に出そうと思っても出ないのです。勿論低いレベルでは出ていますが、高調波のレベルのほうが高いのでは再生してい るうちに入りません。

ブログハイエンドスピーカーのkenbo-さんによると、25Hzを再生すると聞いている人の気分が悪くなるのだそ うです。20Hzまでやったことはあるものの、聞いている人が、圧迫されるように感じ、評判が悪かったということでした。20Hzは、もう音とは云えない 世界なのだそうです。そこで、kenbo-さんは、もっと高い周波数で切ってしまっているのだそうですが、暖かくなったら、お邪魔して20Hzを聞かせて いただこうと思います。

実際には、高調波を聞いて20Hzを再生していると勘違いしている人もかなり居るそうです。しかし、そういう人に指摘しても喧嘩になるからしないほうが良 いと、kenbo−さんからアドバイスを頂きました。

先 週末にFeastrexユーザーになる方が来られて、私のTR130c/c2を聞いていかれました。ご自身は、10cmドライバーを強化してバックロード ホーンで20Hz位まで再生されているのだということで、27Hzのピアノの音が入っているというCDを持ってきて頂きました。音量を上げていないせいも あるのかもしれませんが、私のシステムでは、27Hzが分りませんでした。再生できるシステムだと、音というより風のように感じるのだそうです。

私 がWaveGeneで作成したサイン波のCDでは、低域チェック用の周波数が、32Hzの下は、24Hzとなっています。100Hz以下を聞いてみると、 40Hzよりも32Hzのほうが高いレベルで再生されましたが、24Hzは盛大な空振りでした。見た目で空振りが確認できたくらいなので、 TR130c/c2型の限界は、32Hz以下24Hz超というどこかなのでしょうが、MCAP-CR型はバスレフと同じ欠点があり、最低共振周波数以下は すっぱ り切れてしまいます。

20Hzを再生する価値がどれだけあるのか、考えてみました。
先のkenbo-さんは、低音再生限界は 40Hzも再生すれば充分だろうということでしたが、私は、32Hzまで再生すべきだろうと考えます。その理由は、自分のTR130b,c,d箱の再生限 界がその付近だということもあるのですが、そうではなく、オーケストラの大太鼓が、32-38Hz位にチューニングされていること、及びオルガンの低音 が、32Hz位まで再生されれば、雰囲気が充分伝わるということです。40Hzまでではちょっと寂しくなる場合が多いのではないかと思います。

い ずれは20Hzにも挑戦してみたいのですが、MCAP-CR型で20Hzを目指すためには、もう1つか2つ空気室を増やすことが必要になりそうです。そう しなけ れば、低音のレベルが中弛みになりそうです。そこまでやると、大きくなりそうなので、挑戦するのはもう少し先になりそうです。

因みに、上記のFeastrexのユーザーになる方のご感想では、私のMCAP-CR型の音は想像通りだったそうです。音造りは、ベテランにはすぐに見抜かれて しまいます。

2009/03/16

MCAP-CR型共振周波数簡易計算シートの追加と英語ページの拡充


3/09に予定より早く、簡 易計算シートを追加しました。
その理由は、思ったよりもMCAP-CR型を試す方が多く、できれば、試される場合には、私の作品のコピーだけでなく、オリジナルの作品も試して頂きたかったた めです。

私 は、昨年のミューズの方舟のスピーカーコンテストに出品しました。理由は、勝って自慢したかった訳ではなく、MCAP-CR型というシステムの特徴とその 面白さ を知って頂きたかったためです。ウェブにおいて字で書き表すのもひとつですが、その効果は聞かなければ分らないと思います。今迄に、実際に製作されたとい うお便りを頂いたのは3名でそれはいずれもQU080b型ですが、皆様実際に音を聞いてびっくりされたそうです。文学的表現を積み重ねるのは得意ではな く、好きではないので、できるだけ、定量的に表現し、実際に聞いて頂くことによってのみ、その優位性をお伝えできると思います。コンテストの勝ち負けなど 私にとってはどうでも良いことでした。技術の優劣を決められるのは時間だけです。100年後にも残っていられれば、それは本当の意味での価値を示すことに なります。

MCAP-CR型は、アマチュア向きであり、設計の自由度が高く、また、癖も少なくできることがだんだんと分かってきました。あと は、主空気室の容量の決め方と、外部ダクト断面積の決め方のガイドラインがあれば、長岡先生のバックロード設計法並みに標準化されると思います。それに は、TSパラメータをしっかり研究しなければなりませんが、あと数ヶ月の後には何とかしたいと思います。

MCAP-CR型については秘密は一切 無く、全てを公開していますし、不要と判断して公開されていない情報であっても要求があれば公開します。それは、自分が死んだ後にもそのまま生き続け更に 発展して欲しいからです。また、内容に自信が無ければ公開することはできません。公開できないものにはそれなりの事情があると考えても良いでしょう。

3/15には、英語ページの拡充を実施しました。英語ページでのMCAP-CR型の説明は、PDFファイルのみでしたが、HTMLで簡単に読めるようにし まし た。国内で、MCAP-CR型がそこそこ認知されて来たようですので、次は外国に向けて発信したいと思います。従って、簡易計算シートの 英語版も公開しました。英語版と云っても大したものではありませんが、日本語よりは読める人が多いと思います。

更に、英語版には、日本語版にないコンテンツとして、Feastrex ドライバーを使用したアプリケーションに ついて記しました。理由は、良いドライバーに適用することで、その特徴を外国の方にも知って頂きたいためです。そこには、TR130b/c/dの3種類の アプリケーションについて記し、自分の評価を書いています。実際に試せたのは、Nf5 Exciterだけですので、評価は限定的ですが、Nf5 Exciterには、ミューズの方舟で使用したTR130b型がベストマッチだったと書きました。また、D5eを使用すれば違う評価になるだろうとも書き ました。改善したつもりでもそれが必ずしもベストにはならないものだと改めて感じました。

この内容は、日本語にする予定はありませんが、書いてあるのはこの程度のことだけです。英語のページに書かなかったことをひとつだけ書きます。それは、 TR200a型を改造したTR130d型の共振周波数の計算方法を簡易法にした理由です。
今 迄は、設計にあたっては、詳細文書のAppendix-2に示したように、周波数を1Hzごとに、固有値計算の元になる行列式(の定数倍)を逐次計算し、 正負が逆転したところに固有値があるとして、共振周波数を推定してきました。しかし、設計によっては、計算過程で、ゼロ割に近くなるところがあるらしく、 結局は、行列式(の定数倍)を周波数ごとにプロットし、なめらかに繋がっているところだけを固有値として選んできました。しかし、TR130d型では、外 部ダクト側の共振周波数の計算には問題のないものの、内部ダクト側の共振周波数のグラフがずたずたで、どこに共振周波数があるのか選定不能でした。グラフ が綺麗になるよう、内部ダクトを絞ることにしていましたが、内部ダクトをそのままにして実際に音を聞いたところ問題がないばかりか、むしろ好ましい音でし た。このため、内部ダクトはそのままにして外部ダクトだけを改造したものです。こうした事情をいきなり説明しても混乱するだけなので、本文からは省略して います。
アメリカ人等は特に計算好きなので、固有値計算プログラムを提供してくれる人が現れるかもしれません。しかし、次数が高くなるほど計算誤差が増えるので、 結局は簡易計算のほうが実用的で十分なのかもしれません。ということで、簡易計算シートを公開したものです。

MCAP-CR型は発表してから1年ちょっとしか経ていませんが、理論的に開発したこともあり、完成に近付いてきているようです。開発への近道は、理論的に攻め ることであると、つくづく感じます。

2009/03/20

仮設台の設置


TR130cを製作してから、 どうも高域が以前と異るので、簡単な台の上に置いてみました。
台に載せた状態で、スピーカーユニットの高さは、床から約770mmになりました。以前は、約590mmだったので、180mm程高くなりました。
この差は聞く耳とスピーカー軸の角度の差となって大きく影響していることが再確認できました。

以前にkenbo-さんが来られたときに、TR130dを聞いて、体を低くされていたのを思い出しました。
高さの差は思ったよりも大きいのです。

スピーカーユニット軸の高さの最適値は900mm程度だそうです。これは、長岡式のバックロードホーンの研究結果でそのようになっているらしいのですが、 やはり、それ位欲しいと思います。

今回は、180mm高くなってそれでも770mmですが、元の状態と比較して高域のキレが増し、また、関係ないはずの低域も明確になった感じがします。

やはり、今の設計ではスピーカーユニットの高さが足りないようです。

5m離れて聞ける部屋があれば大して関係ないのですが...


2009/03/22

パラメータQ0の解明へ



Q0に対するスピーカーユニッ トのばね定数[N/m]
以前に書いたように、パラメータQ0の物理的意味がどうしても分らないので、Fostexと Tangbandのフルレンジ75機種のパラメータQ0について調べてみました。


   

最初に、スピーカーユニットのばね定数とQ0との関係をプロットしてみました。ばね定数は、カタログには出ていないので、f0とm0とから計算しました。

このプロットを見ると、Q0が大きいほどばね定数が大きいようにも見えるし小さいようにも見えます。相関係数の符号を計算すれば良いという訳ではありませ ん。サンプル数が小さすぎるし、メーカーが2社だけなので、全体を表現できているとは考えられません。

ばねが硬いほど共振の度合いが小さく、全体として右下がりになると考えていましたが、必ずしもそうではないようです。

しかし、これだけで物理的意味を推定するには不十分なデータと云えましょう。

Q0に対する低域周波数応答の 傾き

次 に、Q0と低域の落ち方との関係を調べてみました。低域の落ち方は、メーカー発表の周波数応答曲線から、50Hz、100Hz、200Hzの3点の応答値 を読み、横軸を、周波数の常用対数値、縦軸を読取値[dB/W-m]として最小二乗法で勾配を計算し、その勾配値を縦軸にしました。

勾配の値が大きいほど、低域のレベル落ちが大きいということになります。

これも、Q0が小さいほど共振の度合いが小さいので、低域のレベル落ちが大きく、全体として右下がりの傾向を予測していましたが、グラフを見るとそういう 訳でもないようです。これも、右上がり、右下がりのどちらにも見え、相関は明確ではありません。

これも上記と同様に物理的意味を推定するには不十分なデータと云えましょう。

Q0に対する坪量相当値
   
次に、Q0とm0をa0で割った値(製紙工業の用語では坪量に相当)[kg/m2]との関係をプロットしてみました。

相当坪量が小さいほど軽く共振の度合いが小さくなります。

これも右上がりの傾向を想像していましたが、外れのようです。

同様に、これだけでは不十分と云わざるを得ないサンプル数なのですがどうも釈然としません。



上記はメーカーの発表値に基くもので、恣意的にまとめたものではありません。多数あるパラメータのうち2つだけを取り出して比較したのでは、充分でないの は当然ですが、それにしても、傾向が明確ではありません。
益々謎は深まりました。いつになったら適正容量値の推定に辿り着けることやら...


2009/03/23

パラメータQ0の解明へ(2)


昨日、Q0を基にして他のパラメータの散布図を書いてみましたが、どうしてもしっくりしませんでした。

し ばらく考えているうちに、口径毎に整理したら何か分るかもしれないと思い、公称3インチ(または8cm)のものだけを取り出してプロットしてみました。サ ンプル数は29あります。3インチはそんなに多かったかな?と思いますが、Tangbandは種類が多いので、そこそこのデータ数になりました。

3インチだけ並べてみると、どれも多少は右下がりの傾向が見られるようです。しかし、例外もあり、このように少いデータではやはり結論めいたものは見えて きません。

それでも、2インチから8インチまでを並べた下のデータよりは何かを物語っているように見えます。

しかし、一番下の緑色の点で示した、坪量相当値は、見事に想像と反対の傾向を示しています。Q0が小さいほうが、振動系を軽くしてあるという予想は見事に 裏切られました。上の2つのグラフと比べると、最も明確な傾向を示していますが、予想とは反対の傾向でした。


これだけで結論を出すのは早計ですが、これでは、Q0という値の意味が見えてきません。

それにしても、何故このような重要そうなパラメータの物理的な説明が見つからないのでしょうか?分ったような気がしただけでは先がないと思うのですが。


長岡先生は、Q0と いう値をどのように設計に使用したかというとそれは、バックロードホーンのスロートの絞り率を決めるためだけでした。それ以外には、Q0というパラメータ は使用していないようです。

長岡先生は、何となく分ったような理論は使いたくなかったのでしょう。上記のバックロードホーンの絞り率の計算にしても、提案された式からは外れたものが かなりありました。


しかし、何とか、空気室容量の適正値を明快な理屈に基いて決めたいものです。



2009/03/29

MCAP-CR型 海外に普及なるか


昨日、diyAudioの サイトにMCAP-CRが紹介されているのに気付きました。MCAP-CRを最初に発見したのはシンガポールの人らしいのですが、その書込みを読んだ米国 人、英国人も興味を示していたので、少しずつMCAP-CR型を作る人が増えてくると思います。自分の研究結果を役立てて欲しいということは、元々の希望 だった ので、早く普及すればと思います。

英文ページの中に、MCAP-CRの項を独立させ、Feastrex Projectと 題する内容を載せたので、検索に引っ掛るようになったようです。偶然にも、これらは出張中にシンガポールからアップロードしたものでした。これを機に、 Feastrexユーザーが世界中に増えるといいと思うし、MCAP-CR型も認知されてゆけば良いと思います。今までいろいろ作ってきて思うことは、 MCAP 型のメリットを最大限に引き出せるのはFeastrexの励磁型だということ、また、そこまでドライバーにコストを掛けなくとも、Tangbandの3" とか5" でも相当のパフォーマンスを引き出すことができるということです。このような特徴のキャビネットは世界中でかなりの需用があるものと思います。

これを機にdiyAudioに登録しました(実は以前に登録していたのですが、一回も議論に参加しないうちにログイン情報を忘れてしまっていました)。

それにしても、ネイティブの人のくだけた英語は難しいですね。主語が省略されていたりして、脈絡が全く分らない文が多くあります。



引続きQ0の検討

Q0を物理的に理解するために、田中の教科書の記述にある式を図式化してみました。

Q0 を求める前に機械的共振峰先鋭度Qmを求める必要があります。Qmは、インピーダンス曲線のf0の直近の両側のインピーダンスがZnになったところの周波 数f1、f2とf0とを用いて表します。これを図式化したのが左側の図です。幾何学のようですが、数式をそのまま図に書くと左のようになります。

図で、f0でのインピーダンス値を示すa点をb点にまっすぐシフトし、原点を中心にb点を左に90度回転させ、c点に移します。そして直流抵抗値を示すd 点を長辺とする直角二等辺三角形を上側に描き、その頂点eをy軸まで、d点を中心にg点まで回転移動させます。そして直流抵抗値分をマイナス側にシフトし た点hから右向きに半直線を描き、インピーダンス曲線と最初の交点での周波数をf1、次の交点の周波数をf2とし、f2-f1をf0で除した値がQmとな ります。


これでは物理的意味が全く分らないですね。このZnというのは、特に意味もなく適当に決めたように見えてしまいます。このようなパラメータを元に出来てゆく理論とは一体....

やはり既存の理論をそのまま使って開発してゆくのは無理があるのかもしれません。自分は、誰にでも納得できるような物理学のアプローチを継続するほうが良さそうです。


2009/04/09

手作りアンプの会


手作りアンプの会で、三土会100回記念のイベ ントを実施するということなのでエントリーしました。エントリーついでに入会も申し込みました。このような会に入るのは初めてです。
イベントの詳細は分りませんが、次の三土会には参加の予定です。電気回路は苦手なので手作りアンプの会というのも場違いな感じもしますが、さてどうでしょ うか。

手作りアンプの会は、毎月秋葉原で関東地区の会合が実施されていて、様々なものを発表されているようです。最もアクティブな会かもしれません。

4月の三土会にはQU080a、100回記念のイベントには、QU080bを 持参しようと思います。会の趣旨は、皆で役に立つ情報を共有しようということのように思うので、副空気室が4つのほうが面白いと思います。




2009/04/12

来週は関東三土会


来週の関東三土会に参加するこ とにしたので、持参するQU080a型を引っ張り出しました。一番上の小型のものです。
床 置きでは高さが足りないので、4段重ねにしました。QU080a型は、MCAP-CR型の2作目になるもので、ドライバーにはW3-517SBを使用して いま す。このキャビネットは、副空気室が4つのタイプです。計算を間違えていたので、ローエンドが90Hz止まりになっていました。結局2つのポートを塞ぎ、 6自由度型として使用しています。その結果ローエンドは35〜36Hz位まで下がりました。
久しぶりに聞いたその音は、決して悪くありません。むしろ、何の不満も無いような音でした。普段使用しているTR130c型と比較するとローエンドが高 く、高域の明瞭度も落ちますが、通常はこれで十分と思えるものです。
塞いだポートは開けることもできるので、動作の違いが分りやすいのが特徴です。
来週が楽しみです。

下の矢倉は、TR130c型用に作っているものです。強度はそこそこありますが、□24mmの角材では、ちょっと弱々しい感じがします。見た目が悪いです ね。

今 日、三越本店の向側にあるにいがた館の前を通りがかったら、ハセヒロのデモをやっていました。食事に行く途中だったのでゆっくりは聞けませんでしたが、曲 面構成のバックロードホーンは、さすがに音が滑らかでした。さほど高額商品ではないのですが、いい品質だと思います。しかし、ポップス系のソースでは評価 が難しいです。
今日は、ゆっくり出来ませんでしたが、いずれはちゃんと聞いてみたい音でした。


2009/04/18

海外からの問合せ


3/29 の日記で海外で『MCAP-CR海外に普及なるか』と書きました。その後、海外から6件の問い合わせを頂きました。今のところ南半球の方からの問い合わせ が多 く、シンガポール2件、オーストラリア2件、南アフリカ1件、ロシア1件といったところです。日本語のページでは図面の詳細が見やすくなっているので、日 本の方は問合せる前に作ってしまう方が結構いらっしゃるようですが、外国の方は、入手できる板の規格が異っているとかの事情があるため、ちょっとギャップ があるようです。
お問合せ頂いた内容は、FE138ES-R用にいい箱が見付からないのでMCAP-CRはどうか、とか、SEASやMark Audioのユニットは使用できるか、とか、Feastrexの9インチ用の箱にどうかといったところです。
MCAP-CRを実際に製作された方は既にお気付きだと思いますが、普通のコーン型スピーカーユニットには殆ど適合する箱を作ることが可能ですので、その ように回答しています。

今 のところ設計法で出来上がっていない部分は、適切な容量の推定方法ですので現在はこれに取組んでいます。このところTSパラメータを使用した設計法を勉強 しているのですが、最近は、この従来の設計法がかなり怪しいように感じてきました。確かに、TSパラメータを使用して設計しても全然合わない、といった意 見をウェブで見るし、そもそも長岡先生は、パラメータを参考程度にしか使用していません。私の設計のTR130c等も、空気室の容量は、田中の教科書にあ る許容値を大きく超えていますが、無限大バッフルのような音にはならず、MCAP-CR型の共振を実現しています。実際には、TSパラメータを使う設計は ごく限 られた範囲でしか使用できないのではないでしょうか。

お便りを頂いたロシアの方は、物理学者ということですが、私が従来の設計法には疑問がある(questionable)、とコメントしたところ、『全くそ の通りだ』と書いてこられました。

何年かかるか分りませんが、いろいろな方と協力しながら、新しい設計法を開発してゆきたいと思います。


2009/04/19

手作りアンプの会(関東三土会)初めて参加しました


昨日は、手作りアンプの会があり、初めて参加しました。
名 前の通りアンプが中心です。電気回路に弱い自分としては、回路図を見せられてもちんぷんかんぷんでちょっと困りました。いずれは話についてゆけるようにし たいとは思います。皆様、各自の工夫を発表され楽しみが良く伝わりました。楽しむのが目的の情報交換会というのは気持ちが良いです。
スピーカーに ついては、私が持参したMCAP-CR型試作品(失敗品というか...)のQU080aの他にも勿論ありました。QU080a型は、初期段階のもので、共 振周波 数の計算を間違っていたので、計画よりも共振周波数が高くなってしまったものです。しかし、4つある外部ダクトが全て円形断面で、ゴム脚を使って簡単に塞 ぐことができるので、ダクトの効果を確認するのが容易です。ダクトに手をかざしながら、栓を付けたり外したり、効果を見て頂きました。三土会100回記念 では、もう少し設計のこなれたQU080bを持参する予定ですが、効果を確認するのは、このような試作品のほうが面白いと思います。

びっ くりしたのは、Uさんのスピーカーです。発泡スチロールを振動板とし、箱だけでなくフレームやコイルを含めた完全自作品です。詳細は、三土会の議事録に アップロードされると思いますが、驚いたのはその音の良さです!磁気歪が極小になるように工夫し、また、ボイスコイルから振動板に力を伝達する部分に紙を 使う、箱は基本的には後面ですが、穴開きフェルトを間隔を置いて並べるなどの工夫が随所にあります。リファレンス用のFostexのスピーカーは、これに 比べると...でした。この音は、Feastrexのドライバーの音に似ています。磁気歪を減らすというコンセプトは同じ、考えられるところはやってみよ うというところも同じです。周波数特性がどうだとか細かいことは抜きにして、完全自作でこういう音を出されてしまうと...完全に脱帽です。

最初の参加で緊張しましたが、次からは、もう少し気楽に参加しようと思います。皆様有難う御座いました。


2009/04/23

読者の方との情報交換


先日、海外からの問合せを頂くようになったことを書きました。その中で、案外見落とされていることについて議論があったので紹介します。

質問を頂いたのは、ロシアのBさんからです。Bさんは、実験物理学者ということですが、自作マニアで、佐久間式アンプを作られているそうです。佐久間さん とも交流があるようですが、詳細は確認していません。

B さんの質問は、『箱によって低域を持ち上げるとその見返りとして中高域の良さが失われるのではないか?』ということです。Bさんは、エネルギ保存則からす ると、系に入り込む(時間あたりの)エネルギが一定の場合は、低域の再生にエネルギを消費すれば、中高域に割り当てられるエネルギが減ってしまうのではな いかとの指摘です。

私は、この指摘については正しいがそれが全てではないと考えています。私は、以下のようにBさんに回答し、Bさんも同意されました。

  1. 低域で消費するパワーに比べると、中高域で消費するエネルギは小さいので影響は少いのではないか。
  2. スピーカーの能率は低く、殆どのパワーは捨てられているので、低域用に増える負荷は、捨てられるエネルギを回収する ことになり、中高域への影響は小さいのではないか。
  3. 低 域でパワーを消費する場合にも、アンプが理想的であれば、必要なパワーを供給できるはずなので、中高域の損失は、アンプの能力によるはずである。長岡先生 がアンプのテストにスーパースワンを使用されていたのは、バックロードホーンは、箱によって低域の負荷をかける方式であり、この差が分りやすかったのでは ないか。
  4. 低域の音圧を持ち上げると、相対的に中高域の音圧が下がっておとなしい音に感じるのではないか。


また、Bさんがスワンのことを詳しくご存知なかったので、図解のあるウェブサイトを紹介しました。日本語ですが、仲間に翻訳してもらうそうです。

B さんと、私とはとても気が合うようで、ほぼ毎日メールで通信しています。ソヴィエト時代は閉鎖されていたので、外国語を勉強することがなく、Bさんは、最 近英語を勉強し始めたのだそうです。ネイティブの英語とは、感じが違い、最初は戸惑いましたが、日本語に置き換えると妙に分りやすい表現であることに気付 きました。ひょっとしたら、ロシア人の思考パターンと日本人の思考パターンには共通性があるのかもしれません。

上記の議論のように、再生音の質は、箱の負荷により変るので、好みにあった方式を選択しなければなりません。私のように、低音がなければ音 楽の骨格が分らないと考える場合には箱の工夫で低域を持ち上げることが良いのですが、中高域の透明感重視の場合は、箱の容量により、振動板の動作が変るの で低域を犠牲にして、バッフル式を選択するほうが良いでしょう。 箱の工夫によって低域を持ち上げる場合には、箱の中の吸音処理などのチューニングが当然必要になりますし、また、アンプの選択も重要な課題となってきま す。低域の再生にはそれなりのパワーが必要なので、出力の小さな真空管アンプを使用すると、当然のことながら中高域が失われます。特に瞬発的な低音を再生 する場合には、効率や電源の電流供給能力がものを云うので、アンプの選択が重要になります。ポップス系の音楽ソースはダイナミックレンジの狭いものが多 く、こういうものは再生が楽ですが、クラシック系は、バロックから現代音楽までどのジャンルでも概してダイナミックレンジが大きいので、アンプの負担が大 きくなります。ですから、聞く音楽を想定せずにシステムを組むことはナンセンスだし、自分の好みを考慮せずに箱の形式を決めるのもナンセンスです。

上記のことは、スピーカーシステムの設計法や、システムの構築法に役立つ研究課題なので、今後検討してゆきたいと思います。


2009/04/26


Uenoさんのスピー カー

昨日はUenoさん宅を訪問し、凄いスピーカーを聞かせて頂きました。
凄いスピーカーというのは、発泡スチロールの振動板、コイル、箱全てをご自分で製作されたものです。しかも、アンプ、CDプレーヤーも自作というオール自 作システムです。
Ueno さんのスピーカーは、振動板背面の音を外に出さないよう配慮したものです。厚めの発泡スチロール振動板の効果もあって背面からの音による濁りが感じられま せん。私の機材を持ち込んでチェックしたところ低音も50Hz以上はしっかりと確保されており高域も16kHzまで十分に再生されています。低域は部屋の 特性が出るので正確なところは分りませんが、中高域は見事にフラットな特性でした。市販するとすれば様々な用途に対応しなければならず結果としてつまらな い音になるのかもしれませんが、今のままで大変素晴らしいものです。市販の予定はないそうです。
この素晴らしいシステムの詳細は、リンクをご参 照ください。→リンク切れでした

Feastrex試聴会

Ueno さんのスピーカの試聴と特性チェックを終え、二人でコイズミ無線に向かいました。目当てはFeastrexの試聴会でした。勿論Feastrexの音は素 晴らしいのですが、Uenoさん宅で試聴したCDと同じものを聞き、比較することができました。私は、Uenoさんに、Feastrexの音はUenoさ んの音に似ていると申し上げましたが、Uenoさんもそのような面を感じられたとのこと、また、朝には特性を確認できたのでご自分のシステムが立派なもの であることが分り安心されたそうです。

コイズミ無線での試聴会は、予定の時間を越えて18時頃までありました。雨の中、熱心なマニアの方 が来ておられました。初めての方は、他のフルレンジとの質の違いにびっくりされたようです。試聴会で使用したNf5 Exは、私が使用しているものと同じモデルで、もう少しうまく鳴らせるはずと思いました。更に高級なD5e TypeIIIとの比較があり、初めての方は、相当な差を感じられたかもしれませんが、Nf5 Exの実力はあんなものではありません。
試聴会の後、Feastrexと関係者の方々が、拙宅まで来られ、Nf 5Ex+TR130cの音を聴いていかれました。そして、TR130d箱を持っていかれましたので、近々韮崎で、TR130d箱との組合わせで聞けるよう になると思います。

TR130b+FE166E

今 日、どこの国の方か分かりませんが、TR130b+FE166Eのシステムを作ったという方からお便りを頂きました。6.5"のFE166Eでも相性が良 かったそうで、次は未製作のTR120b2を製作されるとのことでした。TR120b2は、ロシアのBさんから、F120Aを使用してシステムを作ってみ たいとの問い合わせで設計したものです。Bさんもこれから製作されるそうですので、2台のシステムが誕生しそうです。MCAP-CRは悪くないシステムの ようです。

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注意事項

MCAP-CRは、2012年に特許が 成立しています(特許第 5083703号)
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MCAP-CRの商用利用を検討され る場合には、 ご連絡ください。
評価のために、実際に製作することは、商用利用とは看做しません。
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管理人: 鈴木 茂