MCAP-CR
多自由度バスレフ型スピーカーシステムの研究開発
物理モデルに基くシミュレーションソフトウェア開発




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日記アーカイブ(2009年1- 2月)

2009/01/02
Feastrex D5e TypeII
2009/01/17
Feastrex D5e Type ? - MCAP-CR TR130bのお嫁入り
2009/01/24
新作TR130c
2009/01/26
FEASTREX
2009/02/02
アンプの導入
2009/02/08
Feastrex コイズミ無線から販売開始/TR130d
2009/02/11
TR130d半完成
2009/02/14
TR130dダクト仕上
2009/02/15
やっちゃった!
2009/02/22
ゆったりとした時の流れ
2009/02/25
TSパラメータの勉強
2009/02/28
励磁型ドライバー用MCAP-CRエンクロージャーTR130c完成


 

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2009/01/02

Feastrex D5e TypeII


一昨日、TR130b箱用にFeastrexのD5e Type?(新車が買える位の超々高級品)を持ってMさんが来られました。最初に、同社ローエンド機種(それでも年式の新しい中古の軽自動車が買える位) であるNf5Ex を聴き、低音の出方や音の傾向を確認し、次に、MさんのD5eに交換しようとしました。取付穴は、元々D5e用にしてあったので、何の問題も無く取り付く はずでしたが、励磁用配線を接続してからではどうしても穴に入りませんでした。D5eは、バッフル面に取付けて、裏から配線する仕様になっているというこ とが分りまし た。バッフル前面から取付ける仕様で、裏側から配線するというのも妙ですが、コネクタを介さずに励磁配線を直出しするオプションもあるということ だったので、純正改造することになりました。何も無ければ、今週土曜に改造完了となります。


左からD5e Type?、Nf5Ex

左からD5e Type?、Nf5Ex

D5e Type?は、フェーズプラグが漆塗りになっていますが、Nf5Exはメッキ仕様です。物理的には差がないように思いますが、音は違うのだそうです。正面 から見ると他に差はありませんが、磁気回路は、大きさが全く違います。電磁石部分の材質も違うとのことです。これらの違いは、改造が終わってからのお楽し みです。

ローエンド機種のNF5Exを聞いて、Mさんは、確かな手応えを掴まれたようでした。リファレンスとして、SiemensのEurophonと聞き比 べたところ、Mさんは、好みの差の範疇に入るが、一般的にはEurophonのほうを好む人が多いのではないか、というご感想でした。私は、サウンドマニ アは、Feastrexを好み、音楽ファンは、Europhonのほうを好む傾向になるのではないかと思います。Mさんは、サウンドマニアではないと思い ます。さて、D5eをご自宅で鳴らされたらどう感じられるでしょうか。

Nf5Ex とMCAP-CR型のTR130b箱との組合せでは、ローエンドが素直に力強く伸び、パイプオルガンも実際の音に近く聞こえました。また、Mさんが持って こられ た童謡のCDでは、女声が素直に再生されました。その他オーケストラ等を聴いても、低音と高音が混濁した歪感は全く無く、輪郭がはっきりした音でし た。Europhonも輪郭を鮮明に表現するスピーカーですが、Feastrexは、更に表現が明確になります。これほど明確な表現力は、他では聴いたこ とがありません。

M さんは、ご自分のシステム(ウェスタンのマルチウェイ励磁型)と比較すると、Nf5Ex+MCAPでは、低音がない部分では、全く低音が感じられないの に、低音のあ る部分では、低音が出てくると表現しておられました。ご自分のシステムでは、音楽ソースによらず常に低音感があるのだそうです。確かに、 Europhon もMさんのシステムと同様の傾向があるし、高級オーディオショーで聴く音は、ソースによらず常に重厚感があります が、 Feastrex+MCAPの音は、低音のない部分 では、全く重厚感はありません。一般的な高級オーディオとは全く違う音のようです。別な表現をすると、このシステムは、低音のノイズが少いということにな ります。一般的な高級オーディオとは別な次元にあるので、これは、好みの差と云わざるを得ませんが、忠実再生の観点からするとNf5Ex+ MCAP箱の勝ちでしょうか?

Mさんには、FostexのFE206Σ+FT96Hを使用したTR200aも聞いて頂きました。Mさん は、単独で聴けばこれはこれでいい音ですよ、ということでしたが、私にはNf5Exと比較すると、音の輪郭の表現の差と混濁感の差がはっきりと感じられま した。私は、今までこのような音しか聴いていなかったということです。とは云え、2本で百万円を超えるD9e Type?に交換するというのはコストが掛かりすぎるので、改造はお預けです。

ちょっとがっかりな疲れた週末でしたが、来週が楽しみではあります。

追記

励 磁型ドライバーは発熱するので、断熱の条件にはなりません。また、各空気室での温度も異るので、等温の条件も適用できません。設計条件とは動作が異ってい るはずです。聴いた感じでは、誤差範囲に入りそうではありますが、今のところ解決方法を発見していませんので、今後の研究課題になります。


2009/01/17

Feastrex D5e TypeII - MCAP-CR TR130bのお嫁入り


先 週 MCAP-CRに取付かなかったD5e Type?のケーブル直出し改造が終了し、今朝、Feastrexの社長さんと安曇野のKさんのお二人が態々私の自宅まで届けて下さいました。お二人は改 造したドライバーを私のところに置いて、秋葉原に買出し後、TR130b箱に付けたD5e Type?をピックアップし、一緒にMさん宅まで届けて下さいました。Feastrexは、Fostexのような一般の民生品とは違い、むしろ業務用のよ うな次元の製品を販売していますが、こういうところは、さすがに心配りが行き届いており、まさに、顔の見えるメーカーです。このような気配りが製品の価値 を高めています。

さて、Mさん宅にお伺いし、最初は、Mさんの現用システムを聞かせて頂きました、励磁型のウェスタンのシステムのマルチ アンプ3ウェイで、脳を破壊するかのような鮮明な高音を聞かせています。まさにハイエンドと云うに相応しいもので、このような音は滅多に聴けるものではな いと思いました。質の素晴らしいツィーターがちょっとキャラクターを強めており、ホールのような部屋で聞くにはこれ以上望めない音でした。このような凄い 音を聴きながら、男3人があーでもないこーでもないと勝手なことを云うものですからMさんも大変だったと思います。

いろいろといじくってから次に、D5e Type?+MCAP-CR TR130bの試聴になりました。
最 初に、Vivaldiを聞いたとき、まだ少し音が硬い、という印象を受けましたが、概ね大丈夫そうだと感じました。それから、曲を変え、設定を変え、アン プの電源を変え目まぐるしく変更しながら聞いていきましたが、どうも高音のある音域が歪みます。しかし、これは改造後のほぼ新品状態なので、時間が経てば 歪がなくなります、という社長さんの声に勇気付けながら聞いているとだんだん音が変わってきました。最高の状態になるには1年ほどかかるそうですが、5時 間程でこれだったら問題がないというレベルまで変わってきました。Mさんの育て上げたシステムを追い越すのは未だ先になるとは思いますが、高音のキレは既 に同等に近いレベルになっているし、低音は、壁バッフルの46cmに勝っていると思います。Mさんもさぞかしほっとしたことだと思います。それ以上に、社 長さんと私とはほっとしました。社長さんは、途中からは、『ウェスタンに勝ってる!勝ってる!』と余裕でした。Feastrexドライバーと MCAP-CRとがこれほどの適合を見せるとは思いませんでした。

途中、励磁電源の電圧を下げたとき、音が好ましい方向に変化しました。私は想 像通りの結果でしたが、社長さんは想定していた範囲を超えた設定に驚きを隠せなかったようです。推奨電圧14Vに対し、最終的には5.4Vまで下げたとこ ろきつさがとれ、柔らかく、それでいて十分キレの良い音になりました。熱くなるはずのフレームも冷たいままで、これだったら共振周波数の計算がさほど狂わ ないかもしれません。最終的にはもっと電圧を下げられると思います。

今日は、とうとうシステムが完成し、最後は皆笑顔で終了となりました。Mさんの音が落ち着いたらまた訪問して、Mさんの部屋での特性を測ることになってい ます。益々音が良くなり、ウェスタンにとって代われますように!

2009/01/24

新作 TR130c


TR130b型エンクロージャーがMさんのところへお嫁入りし、その箱で鳴らしていたFeastrex Nf5Exの音を聴くことができなくなってしまいました。
今 は、Fostex FE206Σ+FT96Hを付けたTR200a型で音楽を聴いています。下記1/12のところで書いた通り、TR200aのシステムは確かにいい音です。 しかし、一度Feastrexを聴いてしまうと、なかなかFostexには戻り辛くなるのが弱いところです。
TR200a型は、音のバランスも良 いと思うし、音楽を生き生きと鳴らすことができます。音楽の骨格となる中高域の質も相当に高いと思います。しかし、Feastrexの音は、これを更に上 回ります。音のバランスがどうだとか、低域が厚いとかそのようなことは超越した質の良さがあり、市販のシステムだったら一千万円クラスのシステムに使用さ れる位の質のスピーカーユニットです。中高域の質は、とてもフルレンジとは思えないものです。これにMCAP-CR型のTR130b箱を組合せ、低域を 30Hz まで延ばした音は、今までに自分が体験した音の中では最高と思える程でした。このシステムがあまりに良く出来ていたので、改作のアイディアが中々出てきま せんでした。いくら気に入ったとは云っても同じでは面白くありません。それが、自作マニアの良いところでもあり、悪いところでもあります。

次 はどのような構造にするか、いろいろと考えてみました。最初に考えたのは、折角新しく作るのだから、空気室を更にひとつ増やして、QU130a型とするこ とでした。しかし、サイズがどうしても大きくなるし、板もきりのいい数量になりません。最終的には、TR130bをベースにして、もう少しゆとりのあるサ イズのTR130c型としました。TR130b型は、ミューズの方舟の会場まで運べるサイズとしましたが、今回はそのような制約が無いので、初心に戻って 考えました。今回の新作のポイントは以下の通りです。

    設置面積を増やさずに、高さを大きく取り、空気室容量を拡げる。
    励磁型の放熱を考慮した構造とする。
    最低共振周波数を27Hzとする。
    板は、1本につきサブロク1枚とする。

空 気室容量を広げるのは、低域の音圧を稼ぐためです。また、最低共振周波数を27Hzとしたのは、Feastrexユーザーでもある漆の名工Tさんの共鳴管 が27Hzを再生したという評判を聞いているからです。20Hzに挑戦することも出来ますが、あまり巨大になっては面白くないので、TR130bの最低共 振周波数30Hzからほんの少し下げるだけにしました。実際にTR130bでも十分な感じです。後は図面を最終チェックして見積をとってから、発注す るだけです。板材は、製作を楽にするため、18mm厚のスーパーシナアピトン合板にすることにしました。
今回の変更が改良となるか、大差なしとなるか、改悪となるか出来てからの楽しみです。


2009/01/26

FEASTREX


少 し前の日記に書きました通り、昨年末にとうとうFeastrex Nf5 Exciterというモデルを購入しました。このような高級品を購入するのは半世紀近い生涯で初めてのことです。元々高級品には興味が無く、最低のコスト で最高の音を出したいという野望を持ってシステムの開発を進めてきました。しかし、このスピーカーユニットを使用してみて、自分の野望がもろくも崩れ去り ました。最初は、TR130b型の箱に入れて鳴らしていましたが、この音を聴いてみて、やはりある程度のコストが必要なんだと思い知らされました。
ス ピーカーユニットメーカーで世界的に有名なのはFostexで、長岡先生やそのファンを初めとして多くの人がFostexの音に魅了され、独自のシステム を構築してきました。私もそのうちの一人です。最近は、Tangbandやヨーロッパメーカーのスピーカーユニットに浮気をしていましたが、Fostex は、それでも抜群の音を聞かせるスピーカーユニットだと思っていました。Feastrexを実際に導入するまでは...

Feastrex を使ってしまうと、もうFostexには戻りにくくなります。音の差を言葉で説明するのは難しいのですが、Feastrexの音は、遠くまで届くような突 き抜ける音です。それでいて歪感が全く無く、音楽を音楽らしく奏でます。決してサウンドマニア向けの音ではないと思います。そして、MCAP-CR型と組 合せた 音は、自分にとって生涯最高の音になりました。歪感が無く、ノイズもありません。それでいて、低音から高音まで何のストレスもなくすっと伸びてきます。 TR130b型と組合せた測定はしていないのですが、W5-1611SAでは不明確だった30Hz以下の音も分離して聞かせるようになりました。

しかし、TR130b型は、お嫁入りしてしまい寂しいことこのうえありません。そしてとうとうTR130c 型を 作ることにしました。音楽を楽しみたくて箱を設計するのは、意外なことに初めてかもしれません。以前はサウンドを楽しみたいと思っていました。 Feastrexにはやられました。今後は他のスピーカーユニットを殆ど買わなくなりそうです。Feastrexについては、社長さんのブログに詳しく出 ています。

TR130c型の完成は1ヶ月位先になりそうです。


2009/02/02

アンプ の導入


ハイエンドオーディオショーの時に気になっていたIOTA Systemsのパワーアンプキットを買ってきて作ってみました。麻布オーディオで販売されているもので、型式は、IOTA-LM3886と いうようです。4オーム負荷で、最大68Wのモノラルアンプ2つで、電源は、+/-35Vが標準ということです。電源は、2008/12/21のところに 写真が出ている自家製のACアダプタ(+/-36V)が使用できるので、1日で完成しました。


外見はなんの変哲も無い、ただの箱です。前面には入力のボリウムだけを付けました。電源の入り切りはACアダプター側で行うので、本体にはスイッチもラン プも何もありません。

スピーカーの上に置いたのは撮影のためで、今は置き場所が無いので、普段はこういうところに置いておいて、使用するときは床の上に直置きにします。
内部は、この程度のものです。放熱器は、パソコンのCPU用で、 ジャンク品です。Super7時代のものだと思います。当時としては破格のサイズだったと 思います。

IOTAの基板は、放熱面が基板より内側にあるので、上手に付きません。しかし、軽かったので、逆さにし、固定せずにそのまま付けました。

IOTAの基板は小さいので便利ですが、穴が小さすぎてコードが入りません。配線用の穴は、針が通る程度しかありません。上記の配置の問題も含めて改善し て欲しいと思います。

音を鳴らしてみて、最初は、ゲインの低さにびっくりしました。マニュアルを読むと21dBと書いてあります。何か計算が違っているような気もしますが、電 気は得意でないのでこれ以上は追求しません。

ゲインは、マニュアルの値よりもかなり低いのではないかと思います。FE206Σを使用したTR200aを聞いてみると、P-350で使用している普段の ボリウムが9時前なのに対し、12時過ぎまで上げないと同程度の音量になりません。低すぎるような気がします。また、プリアンプを使用せずにREC OUTから直に繋ぐと入力のボリウムを最大にしても、十分な音量になりません。どこか違っているような気がします。

音のほうは、2009/12/21のところで紹介している、ユニエル電子のPA-036のほうが好きですが、なかなかの音です。中高級のパワーアンプより は質が良いのではないでしょうか。アンプ基板2,500円×2であることを考えるとC/Pはかなり良いと思います。
PA-036はゲインが31dBとスペック上は10dBしか違わないのですが、実際はもっと大きそうです。このIOTAのアンプも、プリアンプなしで使用 しようと考えていたので、後でゲインを上げる改造をしなければなりません。

何はともあれ、しばらくは遊べそうです。

読者の方からのお便り

最近ぽつぽつとお便りを頂くようになりました。
嬉しかったのは、QU080bを実 際に作った というお便りでした。長岡先生の著書などを読んで検討した結果、サイズが合わないので、MCAP-CR型に興味を持たれ、実際に製作してみたところ、低音 の出方 にびっくりされたとのことです。わざわざ写真付でメールを下さいました。気に入って頂いて大変光栄です。

MCAP-CR型が気になる方がおられましたら、是非とも一度製作してみてください。或いは、メールを頂ければ、お聞かせできるかもしれません。


2009/02/08

Feastrex コイズミ無線から販売開始


Feastrexが秋葉原のコイズミ無線から販売を開始しました。Feastrex社長さんのブログで見てから実際にコイズミ無線を尋ねたところ本当に 売っていました。値段表もありましたので、民生用の本格販売開始なのでしょう。
これからは、その名前も広く知れ渡ることになりますが、このような超高級品の場合は販売促進効果どうなのでしょうか?自作派は、私も含めてコスト重視派が 多いように思います。さて、超高級ドライバーが、DIYオーディオに切込んでいけるかどうか。


TR130d

第3 作目のTR130cも完成していないのに気が早いですが、もう第4作目の板を注文してしまいました。とは云っても、TR130d型は、TR200a型の改 造です。Feastrex D5e用にサブバッフルを付け、ダクトサイズを小さくします。たったそれだけですが、板代は加工費と送料を合わせて東急ハンズで7千円を超えました。 TR130c型の板代が、加工費と送料を合わせて、MAKIZOUクラフトで4万円をちょっと超える位なので、TR130d型は結構高価な気がします。

2作同時に製作というのは初めてですが、楽しみです。

と ころで、何故TR200aを諦めたかというと、FostexのFE206Σの音がどうしても気に入らないためです。最初はいい音だと思っていましたが、 Feastrexは元より、欧州の5インチドライバーの音と比べてもどうしても好みに合いません。TR130の新型が完成するまでの間は、Cantare 5FR MK?を使用したTR130a型で楽しんでいます。


2009/02/11

TR130d 半完成


Feastrexドライバーのための新作TR130cを製作する前 に、20cm用のTR200aを13cm用に改造してみました。

改造とは云っても、改造点は下記の通りです。

    Feastrexドライバーが取り付くサブバッフルを付ける
    ダクトの面積と長さを13cmドライバー用に変更する
    Feastrex用に、破損防止のガードを付ける
    スーパーツィータFT96Hは切り離す

ダクトの改造は完全には終了していませんが、大気開放のダクトには、更にダクトを詰め込んでサイズを小さくしています。

スーパーツィータは、取り外して何か付けようかと思いましたが、格好の良いものが思いつかなかったので、配線を切っただけで、飾りとしてそのまま付けてあ ります。
Feastrexの5インチドライバーは、取付穴が6つ、ピッチ径 が151.5mmとなっており、丁度良いものがありません。このため、ファンガードの大 き目のものから取付用の部分を切り取り、ただの網にしました。

ガードを浮かせるために、プラスチックのスペーサーを付けています。

取付用には六角穴付ボルトを使用したかったのですが、東急ハンズに売っていなかったので、やむを得ず六角ボルトにしました。また、丁度良い長さのものは極 端に高かったので、少し短めのものになっています。危険なことはないのでこれでも良いとは思いますが。

写真では良く分りませんが、鉄仮面のようで意外に格好悪くありません。

吸音材は、変更せずにそのまま使用しました。
大き目のスポンジが3つと、鉋の削り屑をストッキングに詰めたものが吸音材です。これらの働きが良いのかどうかは分りませんが、安いし、危険ではないの で、特に考えずにそのままにしました。
上の線は、スーパーツィータ用のもので、外すのが面倒なので、線を 切断しただけです。

残作業は、ダクトをしっかりと取付けることだけですが、暫くはこのまま聞いていても良さそうです。

久しぶりに聞いたFeastrex Nf 5 Exciterの音ですが、驚きのあまり仰け反りました。ここまで鳴るならTR130cを作る必要は無いようです。しかし、板は既に注文済みで、今週には 届くので、計画は決行します。

い つも聞くオルガンを聞くと33Hzは、かなり強力に再生されています。24Hzと21Hzの入ったバッハのオルガンでは、今迄あまり意識しなかった低音が 再生されています。恐らく24Hzの音なのでしょう。この音は、TR130b型に同じドライバーを付けたときにも感じましたが、容積の増加によって更に明 確になった感じがします。

オルガンの再生中に、箱の後ろ側のダクトに新しいダクトを詰め込んでいたら、ダクトから風が吹いていました。ダクトに手をかざすと風のようでしたが、実は オルガン再生音の圧力波でした。

Feastrexの中高音は、さすがに素晴らしく、最近聞いていたFostexとは、ぐんと差が付きます。もうFostexに戻ることは出来ません。

Feastrexを使用して思うのは、箱を最大限生かしているように感じることです。今までは、ドライバーを活かすために箱を作ると思っていましたが、 Feastrexのドライバーを付けると、箱が最大限に活かされて鳴っているように感じます。

最近、Feastrexドライバーのスペックが一部公表されましたが、スペックだけでは想像の付かない鳴り方です。

こういう音を聴いてしまうと...

2009/02/14

TR130d ダクト仕上


FeastrexのTさんから、ダクトの出入口にはテーパーをつけ た方が音が良くなるとのアドバイスを頂きましたので、今日はダクトの加工をしてみまし た。

ダクトは左側の写真のように、木製のアングルになっています。長さは計算で決めてあります。

Tさんのアドバイス通りにすると、相当長さが短くなってしまい、ローエンドが上がってしまう可能性が捨て切れませんでしたが、とりあえずやってみることに しました。
空気の出入り口にはおよそ、6mmのテーパーを付け、ずっと以前に 購入して使いきれていなかった、水性のウレタン塗料を塗りました。

作業は思っていたよりも簡単でした。加工面は汚いですが、素人作業なのでしょうがありません。
これらのアングルを、TR130dの裏側から差し込んで接着しまし た。

これで、大気開放側ダクトの縮小完了です。

以前より良くなったか、と問われると良く分りませんが、低域の量感は変わらないので悪影響は無かったようです。良くなったと云えば良くなったようにも聞こ えるので、きっと効果があったのでしょう。

これから作るTR130c型も同じように細工することにしました。

先程、TR130c用の板が届きました。18mm厚のスーパーシナアピトン合板2枚は、さすがに重かったです。

これから忙しくなります。


2009/02/15

やっ ちゃった!


昨日、 MAKIZOUクラフトから待っていたTR130c型用の板が届きました。

あまり影響の無いマイナーな間違いがありましたが、さすがMAKIZOUさん、早速フォローの電話を頂きました。間違いの有無よりも、何かあったときの フォローのほうが顧客満足度を上げます。そういうものだと私も思いました。

そ れはそれとして、調子よく組立ていたら、最後に近いところで自分の組立ミスに気付きました。それが右の写真です。どこが違うのかは、設計した本人でさえ気 付かないのですから、ちょっと見ただけでは分りませんが、間違っているのは右側です。主空気室と第1副空気室が繋がっていません。代わりに、第3副空気室 と第1副空気室が繋がってしまいました。また。一番上の第2副空気室以外、容量が設計と違っています。自分で定義したMCAP-CR型の要件は一応満たし ている ものの、どのような動作をするのか検討が付きません。


しかし、面白いので、そのまま使ってみることにしました。とりあえず片方だけは設計通にできている訳ですし、中高域の差が無ければとりあえずそのまま使え そうだし、ひょっとしてもっと良い動作にならないとも云えません。

完成は2週間位先になりますが、たまにはこういうミスもしょうがありませんか...

さて、本日は、リンクで紹介している、ブロ グハイエンド自作スピーカーのkenbo -さんがいらっしゃいました。自作派の方が来られるのは初めてです。Feastrexの励磁型ドライバーを付けたTR130d型を興味深そうに聞いていか れました。どのようなコメントを書かれるでしょうか。自作派にとって、ン十万円のドライバーを使った自作システムは興味あるところだと思います。ン十万円 かけてくないから自作する、その代わり手間暇は惜しまないというのが自作の多数派でしょうから。
その後、kenbo-さんにご案内いただいて、ミューズの方舟の会合を初めて訪問しました。皆さん熱気に溢れていて、発言するのが大変でしたが、今後、時 々訪問したいと思います。
kenbo-さん、ミューズの方舟のみなさん、どうも有難う御座いました。

2009/02/22

ゆった りとした時の流れ


世 の中の進歩は速いのにオーディオだけはどうしてこのように時の流れが遅いのだろうか。

ここ20年位の間、オーディオ 装置に何か進歩はあったのでしょうか。ここ30年位の間で進歩と呼べるものは、CDが登場したこと位でしょうか。そのCDにしたって、未だに、LPを超え ていないと考える人も居るくらいです。

自分の物心が付いた頃から、オーディオ業界では新製品が出るたびに、以前の何倍も良くなった、と大騒ぎし ていました。しかし、最近は、こういうことを聞いても『ああ、そう』位にしか思わなくなりました。本当に何倍も良くなったということが繰り返されてきた ならば、控えめに見ても、20年前の100倍位は良くなっているはずです。しかし、実際は、20年前のオーディオ製品を未だに追い越すことができないでい ると思います。 だからこそ、数十年前の高級機を大切に使っている人がいるので、そうでなければビンテージ製品なんて成り立たないのです。

13cmMCAP-CR 型の新作TR130c 型は、あとは仕上を待つばかりです。組立を終え、目止めを済ませたところです。今日はここまでで終了です。来週は、これに仕上を施して、完成の予定です。 片側は組立を間違えましたが、結局は、オーソドックスなMCAP-CR型になるように修正しました。当初の設計通りのほうが、TR130cに対し、間違っ たもの はTR130c2と呼ぶことにします。c型とc2型とでは、空気室の容積の配分は違いますが、ダクトは同等になっており、共振周波数が多 少違う程度です。オリジナルc型が良いのか、間違いを修正したほうのc2型が良いのかは分りません。結果はどちらも大差 ないのかもしれません。

TR130シ リーズは、既にaから始まって、dまでになっています。しかし、dがベストとかcがベストということはありません。aだって素晴らしいところ があるし、bにいたっては、欠点らしい欠点があるわけではありません。改良のつもりでいろいろやってみても結局はオリジナルと比べて良くなっているのかど う か分らないものです。

そもそも、MCAP-CR型なんて40年前に完成されていたって何の不思議も無いものです。むしろ、21世紀になって、やっと出てきたこと自体が不自然で す。 メーカーやオーディオの専門家は一体何をしてきたのでしょうか。何十年も進歩しないオーディオって一体何だろう?

TR130c型及び TR130c2型の仕上前の状態


2009/02/25

TSパ ラメータの勉強


大山さんのページで 紹介されているオーディオ関連の書籍から2冊を購入してみました。購入したのは今年の初めで、下記の2冊です。

新井 悠一 『高品位スピーカーシステム』 誠文堂新光社
田中 和成 『位相反転型エンクロージャの設計法』 誠文堂新光社

前者は大山さん特選の書なので期待しましたが内容は、ソフトウェアを使用したシミュレーションが中心で、自分の目的からは外れていましたので、目を通した だけでした。

後者は、普段使用していないTSパラメータなどの説明があったので少し興味を持って読んでいるところです。しかし...
読んでみたところ、自分にとって大きな問題をすぐに発見しました。私が問題点と感じたのは以下の点です。
(1) 著者の紹介がない!
 著者がどのような経歴で研究してきたのか読み手にとって重要な情報です。しかし、それが無い...
(2) 用語が英語で出ていない!
 技術的な情報を読み解くためには、日本語の情報だけでは不足です。足りない部分は、英文でも調べるしかありません。それが無いとは...

それでも、今まではこのようなちゃんとした本が見つからなかったので、頑張って読み解こうとしているところです。

私 が一番知りたかったのは、"Q"というパラメータです。これは。『共振峰先鋭度』という言葉で表現されていますが、物理的な意味が殆ど説明されていませ ん。このパラメータは、多くの人が当然のように使っているものなのですが、今まで、調べてみてもどうも内容が理解できませんでした。この本を読んでもやは り理解できないのです。この本では、インピーダンスを測定するときのミリボルトの読み値がVnになったときの周波数f1とf2を使用して計算する計算式が 出ています。しかし、Vnの物理的な意味が説明されていないので、これを使って定義されるQというパラメータの意味が分らないのです。

も う少し先を読んでいくと、自分が物理学の知識から手探りでやってきたのとほぼ同様の内容が専門的に纏められています。しかし、上記の部分が分らないまま読 んでも納得がいきません。それにその後の部分も物理的意味の説明がほとんどないのです。例えば共振周波数を計算するときには、音速を使用した共振周波数の 式が出ていますが、式の説明はありません。私は、物理学の本を手がかりにして、状態方程式から導いた式を使用しており、内容は同じなのですが、求める過程 が分らなければ単なる公式になってしまいます。私は、実験結果から、等温条件を使用したほうが実際に近いと書きましたが、この本では、説明も無く断熱条件 の式を使用しながら、等温での説明をしているところなど理解に苦しみます。結局は自分で考えるしかないのでしょうか。

この本を読んで強く感じたのは、専門用語を丸暗記してもクリエイティブな発想は出ないだろうということです。発想するには、基礎学習が最も有効なのだと改 めて感じました。

一応、TSパラメータが設計に使用されるには学問的な裏付けがあるらしいことは分ったのですが、理解できないのではどうしようもありません。
この先どうやって勉強しようか、困ったなあ...



2009/02/28

励磁型 ドライバー用MCAP-CR型エンクロージャーTR130c完成


Feastrex Nf5 Ex用に特別に設計したエンクロージャーTR130c(片側はTR130c2型)が完成しました。

励 磁型のローエンドモデルであるNf5Ex型は、発熱が多めです。励磁コイルの抵抗値は、常温で約11Ωあります。これに14Vの励磁電圧を掛けた状態で は、約18Wの発熱をすることになります。この18Wというのは、小さめの白熱電球に相当しますので、これだけ熱を持つと、放熱しなければなりません。励 磁電圧は10Vでも使用でき、その場合は、発熱が約9Wとなりますが、それでも放熱を考慮したほうが良いに決まっています。
Feastrexの上級機であるD5e型は、コイルの巻数が多いらしく、もっと低い電圧でも使用できるようなので、放熱量は小さくなります。しかし、Nf 型では、上記のように発熱が多いので、何らかの対策が必要です。

よって、今回は、放熱を考慮したデザインになっています。

空気室は、片側につき全部で4つ、上から2つ目が主空気室で、その他は副空気室です。熱は、主空気室の上側のダクトを通って最上階の第2副空気室に逃げま す。そして第2副空気室の上側のダクトを通って外に放熱するようになっています。    

最 上階の第2副空気室の上側には右の図のようにダクトが付いています。今までは、空気室の床面にダクトを付けていましたが、今回は初の試みとして、天井にダ クトを付けています。これにより、放熱が多少効率的になったと思います。

しかし、最上階のダクトが床面に付いていたTR130d型でも、放熱の問題は無かったので、気休め程度の差かもしれません。いずれにしても、発熱の多い励 磁型では、このような工夫をしなければ、板が割れたり、発熱によってコイルが焼損するということにもなりかねません。
MCAP-CR型は、励磁型のためのエンクロージャーなのかもしれません。

TR130c (TR130c2)型の音は、TR130d型と同様の傾向ですが、TR130d型と比べると多少空気室が小さめなので、Nf5Ex型にはちょうどいい感じ です。TR130d型は、c型よりも振動板への負荷が大きいので、NfよりもD5e型のほうがマッチングが良いと想像します。

いつものよ うに、パイプオルガンのCDを聴くと、32Hzは中音と同等以上に出ているように聞こえます。正弦波を聞くと、32Hz以上は同じような音の大きさに聞こ えましたが、24Hz以下は盛大に空振りしている感じでした。これは設計通りなのでしょうがありません。24Hz以下も再生しようと思えば、もう少し大き く作り、また、中低域の落込みがないよう、副空気室を増やすなどの対策が必要になります。そこまで大きなエンクロージャーを作るのもどうかと思い、ここま でにしています。


因みに、20Hzで振動板を駆動したときの高調波歪を聞いて、20Hzを再生していると勘違いしている人は意外に多く、 自称20Hzを再生すると云っても実は、40Hzも怪しいなんていうこともあるようです。30Hzを聞くと20Hzがどれだけ恐ろしい音か想像できるので すが。

今回は、アクリルラッカーではなく、ウレタン二ス仕上にしてみました。素人の仕上ですが、さほど悪い訳でもなく暫くはこのまま使ってみることにします。

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