Project MCAP-CR

多自由度バスレフ型研究所

バスレフ研


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スピーカー再生技術(13)-バスレフ型の一般的拡張型『MCAP-CR』(3)

前回は、シングルバスレフ型の低域の質には、問題が発生しやすいことを書きました。
厄介なことに、この問題は、バスレフ動作の効率を上げれば上げるほど顕著になります。
このため、ダクトに工夫をして摩擦損失を増やし、バスレフの欠点を小さくするという工夫が必要になります。

では、よく出来ていないシングルバスレフ型の欠点を実感するには、どうすれば良いのでしょうか。

自分がよく使うソースは、ウッドベースを含んだジャズのピアノトリオなどです。
ベースの音に聞き耳を立て、ベースの音程を聞き取ろうとします。
このときに、ベースの音程が明確に聞き取れれば、低域の質は問題点はありません。
シングルバスレフでも上手に設計されたものはあります。
弓で弾く演奏よりも、指で弾くピッツィカートのほうが差がわかりやすいと思います。
ベースの迫力だけに集中してしまうと、こうした問題には気づきにくいようです。

ご自身のシステムで、この問題が感じられたら、MCAP-CR型を試してみてください。
自分で製作する必要はありますが、私が製作したDie Bremse のような、ペットボトルとホースを使うタイプなら簡単に作れます。
設計の詳細にはこだわらず、接続ホースの長さと組み合わせたボトルの容積を適当に変えるだけで十分です。
空気室も4つあれば十分です。
実験にはこれでも大丈夫です。
ペットボトルの音はあまり(自分には『まったく』)感じられないのでヘンテコなデザインに我慢できれば、 8cmシステムとしては、立派な音になると思います。

ちなみにMCAP-CR型の欠点は下記のとおりです。

MCAP-CR型の欠点

  1. 作例がすくないため、ノウハウが蓄積されていない
  2. メーカーで製造していないため、入手するためには自分でつくるしかない
  3. 方程式モデルは直感的に理解しにくい
  4. シングルバスレフ型よりは製作が困難である
  5. 小型システムにはメリットを出しやすいが、大型ではメリットを出しにくい
  6. 大量生産するには、手間がかかる
  7. バックロードホーン専用のユニットには向かない(いまのところ、こうしたユニットを活かす設計法がみつかっていない)
超感上の欠点については、いまのところよくわかりません。
聴いていて気になる欠点は、私には感じられません。
もちろん、フルレンジユニットとMCAP-CRだけで、全レンジをカバーするのは無理なことです。 このため、MCAP-CRとフルレンジユニットで、物量を投入したシステムと比較するべきではありません。
しかし、設計がよければ、5インチ程度のフルレンジとMCAP-CRとの組合せで、十分なパフォーマンスを発揮します。
設計が悪ければ、メリットが活かしにくいのは他の方式と同等です。

MCAP-CRについては、他のところに詳しく書いてありますので、このへんで、このシリーズは終わりたいと思います。

次からは、全く話題を変えて、数学の基礎についてふれていきたいと思います。
数学といっても、高校で勉強する範囲で書こうと思います。

自分は、数学や物理の専門家ではありませんが、数式で表現することが必要と思います。
多くの方にはあたりまえのことなので、書く必要はないかもしれませんが、 学校で教わることが、こうしたスピーカー開発にどうつながっているのか、若い方に感じて頂ければ嬉しいです。


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注意事項

MCAP-CRは、2012年に特許が成立しています(特許第 5083703号)
契約による以外のMCAP-CRの商用利用は禁じます。
MCAP-CRの商用利用を検討される場合には、 ご連絡ください。
評価のために、実際に製作することは、商用利用とは看做しません。
また、商用以外の使用に制限はありません。

連絡先: mcapspeakers@gmail.com

管理人: 鈴木 茂