Project MCAP-CR

多自由度バスレフ型スピーカーシステムの研究開発

物理モデルに基くシミュレーションソフトウェア開発


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はじめに

前回は、ベクトルと行列について速足で概要を見てきました。
高校では、こんなに速足で進むことはないかもしれませんが、大学の教養課程では、もっとはやく進むと思います。
大学では、高校と比べて学ぶ量が圧倒的に多くなるのに、試験が毎年同じだったり、事前に試験内容と解答を配布したるすることもあるようなので、 実際には、高校時代より勉強時間を減らす人がいるようです。
普通に勉強すれば、高校とは比較にならないほど知識が身につくのですが、必ずしもそうなっていないのは残念ですね。
高校では、代数学、幾何学、微分方程式など、多くの基礎を教わります。
こうした基礎をしっかり理解していれば、大学の過程にもしっかり付いてゆけるはずです。
いちばん良くないのは、読んだだけで分かった気になることです。
実際に計算して確かめれば、筋が見えてくるし、すべてがつながってくるので、しっかり身に付きます。
このオーディオ基礎講座は、実用的な使い方までの道のりを理解するお手伝いしているので、少し速過ぎるかもしれません。
しかし、何度も読み返せば無駄なく進めていることがお分かりいただけると思います。
暮らしてゆくだけだったら、行列を使うことはすくないと思いますが、知っておくだけで生活が豊かになるはずです。
『それは学校で教わっていません』という人は、教わったものに対してもそういうものです。
高校までで教わる知識は、相当なものです。
『受験にしか使わない』と考える人は、多くの楽しみを捨てていると思います。

行列の掛け算

行列は、数値を縦横に配置したものです。
それぞれの数字だけでなく、縦横のどこにあるかで、全く違う行列になってしまいます。
大切なのは、個々の数値だけでなく、その数値がどこに配置されているか、ということです。

前回は2行2列の行列の掛け算について書きました。
学校で教わる、または、試験に出る行列の問題で、多くの場合は2行2列までで十分で、3行3列までを理解すればほぼ十分でしょう。
3行3列の行列の掛け算は、以下のように定義されます。
右下に付けた添字は、何番目の行と列であるかを表したものです。添字がijであれば、i行目でj列目ということです。


ちょっと面倒ですが、上記のように書くと、掛け算のルールが見えてきますね。
このルールは定義ですから、残念ながら覚えないわけにはいきません。
演習を繰り返して覚えましょう。
式を丸暗記してもうまく覚えることはできません。実践あるのみです。
ちなみに、左側の行列の列数と右側の行列の行数が等しい場合には、正方行列でなくても掛け算が可能で、 3行3列の行列に3行1列の行列を掛けると下記のようになります。

上の式は、行列の各要素に行番号と列番号をあらわす添字を付けています。
たとえば添字が"12"とあれば、『じゅうに』ではなく『いちに』と読み、1行2列を表します。
2桁以上の場合は、文字を使って"ij"のように書きます。
このように表記すると、計算の規則性が明確になりとても見やすくなります。

そして、その組合せによって、多くの計算ステップを簡潔に表現することができます。
行列表現は、この優位性のために、様々に利用されます。
たとえば、以下のような多自由度バスレフ型の連立運動方程式があったとします。

この複数の連立方程式を行列表現すると下記のようになります。

これをさらに以下のように書きなおしてみましょう。

こうすると、1自由度の運動方程式

と同じ形になりました。
こうすることによって、方程式の意味を表現しやすくすると同時に解くのも容易になります。

少し脱線してしまいましたが、次回から、三角関数の加法定理と三角関数の微分を見ていきます。
加法定理そのものは、あまりおもしろくないのですが、加法定理を使わなければ、導関数(微分)を導くのが大変です。
前回と今回は、加法定理を導くために、行列について書いたのでした。

ひととおり勉強すると、高校で学ぶ数学の復習に役立つと思いますので、次回以降もお楽しみください。


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管理人: 鈴木 茂