密閉型−グループ(A)
前回に引き続き、密閉型の計算公式について書きます。
密閉型は低音が出ないシステムだと勘違いしている方もおられるかもしれませんが、そんなことはありません。
高忠実度を実現するためには、密閉型は、最も優れた方式の最右翼にあると思います。
大きなウーファーを使えば密閉型でも十分な低音を再生することが可能です。
大型システムには、最も適した方式なのかもしれません。
さて、前回の公式では、スピーカーユニットの公称能率によって、同じ公式でも使うパラメータを分ける必要がありました。
今回はグループ(A)なので、分かりやすいパラメータだけを使います。
Fostexのハンドブックでは、f0c/f0の範囲を下記の間にすることを推奨しています。
この範囲で設計すれば、そんなに悪くないパフォーマンスを得られる推奨値だと理解しましょう。
ここで、公式がどのよううな意味を検証しましょう。
以下はこのサイトにある技術文書集からとった式です。
公に使われているものではありませんが、理論に基いてまとめたものですので、公式に準じるものだと考えてもよいでしょう。
順にスピーカーユニットのばね定数を算定する式、密閉箱にスピーカーユニットを取付たときの空気ばねのばね定数を算定する式です。
但し、
k
0を、実効振動板半径を使って書き直すと以下のようになります。
但し、
つぎに、スピーカーユニットを密閉箱に取付たときの共振周波数を計算します。
スピーカーユニットを密閉箱に取付た場合の、振動板のばね定数は、k
uとk
0を加算したものになります。
このため。f
0cは、次式で求められます。
Fostexの公式にならって、f
0c/f
0を計算してみます。
ここでは、定数の部分をβと置いています。
すると次式のようになります。
βを計算すると次式のようになります。
さらに上の式をVについて解きます。
ここで、Fostexの公式と同じ形に変形します。
この単位をFostexの公式に合わせると、全く同じ式になります。
Fostexのハンドブックの公式は、このサイトで使用している式と全く同じであることが確かめられました。
これで、この公式は安心して使って良いということですね。
今週は、数式が多かったので、次回は、実際に公式を使ってみましょう。