Project MCAP-CR

多自由度バスレフ型研究所

Audio Engineering Laboratory


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スピーカー再生技術(10)-バスレフ型の直列拡張型

前回考察したダブルバスレフが普及しない理由をまとめます。

  1. 低域の再生限界を必要としている人が少ない。
  2. 高価そうに見えない。
  3. 低域の質より量を問題にする人が多い。
  4. 良い作例が少なかった。
以上を克服すれば、ダブルバスレフ型は普及するでしょうか?

  1. については、多分今後も変わらないのではないかと思います。
  2. については、高級ダブルバスレフを登場させるしかなさそうです。チャレンジするメーカーが現れれば変わる可能性があります。
  3. については、現在の評論家諸先生の作例を見る限りは、絶望に近いと思います。
  4. については、徐々に変わってきているようなので様子を見ましょう。
さて、トリプル以上の直列バスレフ型(MCAS-CR型)はダブルバスレフ型の弱点を克服できるのでしょうか


Fig.21 MCAS-CR型の構成

左にトリプルバスレフ型の構成を再掲しました。ダブルバスレフの場合は"2"のダクトが大気開放側になります。
この図を見て明確なように、トリプルバス レフ型はダブルバスレフ型よりもさらに複雑な構造になります。
従って、ダブルバスレフ型の問題点2の解決策にはなりません。

トリプルバスレフ型は、ダブルバスレフ型よりも共振周波数をひとつ増やすことができるので、低域の再生限界を伸ばすには有利です。
また、私自身、トリプ ル以上の運動方程式を一般式としてまとめているので、今後は、シミュレーションもできるようになります。
しかし、ダブルバスレフの問題点1の解決策にはなりません。必要としない人に必要とさせるのは、優れた方式であっても不可能といえます。

問題点4.については、解決できる可能性があります。

ただし、直列接続のバスレフ型には大きな欠点があります。 それは、前々回に説明したように、バスレフ構造そのものに、ハイカットフィルターの要素があることです。
すなわち、ダクト1、Sub1、ダクト2、Sub2、ダクト3を通過するうちに高域が減衰してしまうのです。
このため、振動板前面からの低域放 射がすくない小口径の場合には、ふつうに設計すれば、ダクトからの音は、カドが取れて、 振動板前面からの音とのマッチングがわるくなる可能性があります。

この問題点を解決するには、ダクトを同じ軸上に繋ぐのが良いようです。 こうした作例は実際に聞き、効果を確認できました。 とはいえ、実用的にはトリプルバスレフが限界でしょう。 自分は、実際にクオドラプルバスレフを製作しましたが、結局は諦めて、並列接続のMCAP-CR型にたどり着きました。

次回からは、ようやくMCAP-CR型について、考えたいと思います。  


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注意事項

MCAP-CRは、2012年に特許が成立しています(特許第 5083703号)
契約による以外のMCAP-CRの商用利用は禁じます。
MCAP-CRの商用利用を検討される場合には、 ご連絡ください。
評価のために、実際に製作することは、商用利用とは看做しません。
また、商用以外の使用に制限はありません。

連絡先: mcapspeakers@gmail.com

管理人: 鈴木 茂