Project MCAP-CR

多自由度バスレフ型スピーカーシステムの研究開発

物理モデルに基くシミュレーションソフトウェア開発


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はじめに

前回は、微分の定義を見てきました。
微分・積分は、高校で学ぶ数学のなかでも目玉といってよいと思います。
中学までの間にも、変化に注目することはありましたが、微分という一般的な考え方は高校で教わるのがはじめてです。
自分が高校の授業を受けたのは随分と前のことですが、授業では、定義の説明を受けた後は、定理の証明ばかりやっていました。
受験対策は、授業ではほとんどしていないので、他の学校のことはわかりませんが、いま振り返ればそれが正しい方針だったと思います。
いったん先に進んでしまうと、受験対策の暗記はほとんど役に立ちません。
しかし、定義をしっかりと理解し、定理を証明できるようになると、実際に役立てることができるようになります。
前回は、簡単な二次関数の微分形を求めましたが、今回はもう少し複雑です。
しかし、オーディオの根幹を語るには不可欠な知識になると思いますので見てみましょう。

sinθ<θ<tanθ

この表題は意味深長です。
sinθ、θ、tanθの関係を表した下の図を見てみましょう。


青い線分がsinθ、黒い円弧がθ、青い線分がtanθです。 これらの長さを比較してみましょう。
2点間を最短に結ぶ経路は直線(正しくは線分)であることから、これらの関係のうち、
sinθ<θ
sinθ<tanθ
は自明のことでしょう。 問題は、θとtanθとの比較です。 結論は、θ<tanθなのですが、これを証明するのは厄介です。
高校では、これを自明のこととして教わります。
証明は本当に難しいので、ここでは、自明であるとして先に進めます。
このような前提を置くと、sinθ<θ<tanθという関係が成り立つことになります。

上の図を見ると、θがゼロに近づいたときには、sinθとtanθは、同じ値に近付くことが解ります
ここで、sinθ<θ<tanθという関係に着目すると、このなかで、値が最小のsinθと値が最大のtanθが同じ値に近付くことから、その間にあるθも同じ値に近付くことが解ります。
このことから、次式が成り立ちます。

この関係を使わないと、三角関数の微分形を導くことができません。

三角関数の微分形

前回のように三角関数の定義を用いてy=sin x をxについて微分してみましょう。


ここまでは、加法定理を使用して、比較的簡単に導けました。
ここで、すでに見てきた、

という関係を思い出すと、

であることがわかります。
その他の部分では、簡単にΔxをゼロに近付けることができるので、結局、

と、sinの微分係数を導くことができました。
このように、三角関数の微分形を導くのに、一部、証明しないままの定理を自明として使いましたが、なんとか導くことができました。
y=cos x の微分係数も同じように導くことができますので、挑戦してみてくださいね。
ここに書けなかったことや、まとめは、後で、pdfファイルとしてアップロードしようと思いますのでご参照ください。
ここまで来るのに、三角関数の定義を学び、三角関数の加法定理を導くために、行列とベクトルを学び、最後に、微分係数の定義を学ぶ必要がありました。
学校や予備校などでは、このように、定義から出発して学ぶことはすくないのかもしれません。
しかし、定義から出発する癖を付けておかないと、記憶に頼ったアプローチになってしまいます。
高校時代特に落ちこぼれていた自分がいうのも恥ずかしいですが、記憶に頼った学習法は、成績が向上しない原因であると思います。
これからオーディオ界を改革してゆこうという志を持っている貴方は、この程度でへこたれないでください。

すでに書いたように、補則やまとめは、後にPDFファイルをアップロードするので、次からは、もう少し現実的なお話をしてゆきたいと思います。


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