MCAP-CR
多自由度バスレフ型スピーカーシステムの研究開発
物理モデルに基くシミュレーションソフトウェア開発




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01/05
CBS-CRとAICC-CR
01/07
ギリシャでの音響
01/10-01/31
MCAP-CR/CBS-CR/AICC-CRの製作
02/07
お客様を交えてのMCAP-CR/CBS-CR/AICC-CRの試聴会
02/08
設置台とインシュレータ
02/11
MCAP-CR/CBS-CR/AICC-CRのインピーダンス傾向
MCAP-CRの特許審査

02/13
CBS-CRのインピーダンス傾向
02/21
NDRの実験

 

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2010/01/05

CBS-CRとAICC-CR


遅くなりましたが明けましておめでとうございます。
本年は、CBS-CRとAICC-CRを作ります。

  さて、CBS-CRとAICC-CRは、どちらも自分で考案した方式であり、2008年にPDF文書で発表したものである。しかし、計算が難しく、効果も 不明だし、ましてや音がどうかも分らないので、二の足を踏んでいた。しかし、突然思い立って設計を開始し、昨年板材を発注した。今月半ば過ぎには配達され る予定なので、製作を楽しみながらやってゆきたい。

 今回製作するのは、CBS-CRとAICC-CRの他にMCAP-CRの合計3機種 である。MCAP-CRだけ簡易計算して設計し、それをCBS-CRとAICC-CRとに変更したものである。AICC-CRとCBS-CRは、計算が出 来ていない。3機種とも外見は全く同じで、内部の空気室の接続の仕方が異るだけである。これらを下に記す。

  左側のMCAP-CR型は、基本となる形である。このMCAP-CR型の副空気室通しを接続したのが中央のAICC-CR型、2つの副空気室のみを主空気 室に接続し、もうひとつの空気室を2つの副空気室に繋いだものが一番右のCBS-CR型である。ミューズの方舟2008で発表したTR130b型のような 空気室配置にすると、MCAP-CRを元にAICC-CR、CBS-CRを作ることができる。要は、仕切りの壁に孔を開ければAICC-CRとなり、 AICC-CRの仕切りの孔を2つ減らすとCBS-CRとなる。従って条件の近い3種類のデザインが出来るので、音の比較も容易になる。上の図で、空気室 の大きさやダクトの面積、長さは、実態を反映したものではなく、繋がりを示すだけのものなので、実際は夫々異っている。

 詳細は、夫々のモデルの組 立図に示す。殆ど同じ形なので、図面は共通で、中に注意書きで示している。

 今まで分ってきたことは、多自由度バスレフのうちMCAP-CRは、比較的癖が少く失敗しにくい(失敗した場合には、スピーカーユニットを変更すると か、ダクトを変更すれば修正しやすい)ことである。そこに一捻りを加えた音が吉と出るか、凶と出るか。

2010/01/07

ギリシャでの音響






 年末年始に、ギリシャ旅行に行ってきた。

 ギリシャは、グルメには縁の無い国だと思うが(失礼!)体重を増やしながら観光してきた。

 本当は、イタリアとかフランスのほうが好きなのだが、会社員である自分の日程に合う中で最長の旅がギリシャだったので、今回の選択となった。その中で、 音響に関連するところがいくつかあった。

    
 ミケーネにある、紀元前13世紀の王の墓は、精巧な石積構造で、入り口は左の写真のようになっている。

 発見されたときには既に墓荒しに遭った後で、中には何も無かったそうだ。

 幽霊のように見えるのは、人間をぼかしたものである。

 12月だというのに快晴で暖かかった。


 狭い廊下を通り中に入ると、左の写真のように中は広い空間になっている。

 この空間はドーム型であり、丁度中央で手を叩くと、ピチピチピチピチ...と残響が拡がって聞こえる。これは、ピサの斜塔の2つ隣にある洗礼堂や東照宮 の鳴き竜と同じで、神聖な感じがする。

 この時代には既に音響について知識があったのか、偶然そうなったのか分らないが、古代ギリシャ人は、音響に拘っていたのではないだろうか。

 エピダウロスというところには、ローマ時代に建てられた音楽堂オデオンがある。

 ここは、左の写真の通り、広大でオープンな空間であるが、この空間でも中央で奏でられる音は遠くの席まで届くようになっている。中央の平面部の中心に印 があり、そこで話す声は遠くの客席でも良く聞き取れるようになっている。

 現代でも音の悪いホールがあるのに、古代にこのような音楽堂があったのである。


 今年の初詣は、メテオラの修道院だった。

 メテオラの修道院は、左の写真のように岩の上に建てられており、中は、外部と隔絶された修行の場だったと云う。現在は、そのような修行に耐えられる人が 少いということで、観光用に公開されているため、中に入ることができた。

 ギリシャ正教では、ローマカトリック(及びその流れを汲むプロテスタント)とは違い、肉声以外の楽器を使用しない。このため、教会音楽は少しあっさりし た感じになる。

 ここでCDを2枚購入してきた。

 CDについては、もう少し聴いてからコメントしたい。








2010/01/10

MCAP-CR/CBS-CR/AICC-CRの製作







 1月5日の日記に書いたように、今年最初のプロジェクトは、MCAP-CR、CBS-CR、AICC-CRを各1組製作することである。メインの板材 は、昨年MAKIZOUクラフトに発注しており、今月半ば過ぎに届く予定になっている。

  今回は、少し工作に凝って、木口を全て角材で隠すことにした。MAKIZOUクラフトのシナアピトン合板の木口は、そんなに悪い訳ではないが、合板 の木口は好きになれない。このため、角の材料は全て別に用意して、少しでも綺麗に仕上げようという考えである。MAKIZOUクラフトでは、角材は準備 してくれないので、アガチス材を東急ハンズで買っておいた。そしてこれを自分で精密に加工することにした。

 自分で精密に加工するためには、普通の道具では無理なので(絶対に出来ない訳ではないが、時間がかかる)このために特別な鋸を準備した。

     左の写真は、プレシションマイターソーと いうもので、材料にいろいろな角度をつけて切断することができる手動鋸である。

 東急ハンズ新宿店では在庫していなかったが、取り寄せて配達してもらった。価格は3,980円(配送料別)である。この製品は、ウェブでは見付からず、 ホームセンターでも見たことがない。

 何故この鋸が欲しかったかというと、手動だからである。電動鋸であれば同等の機能のものが幾らでも入手できるが、電動鋸は、危険なだけでなく、場所をと り、騒音も大きいので、自分のように集合住宅に住んでいる人には適さない。
     このマイターソーを実際に使ってみたとこ ろ、そのままでは使用しにくいことが分った。

 材料を切断する場合には、左の写真のように、クランプで材料をしっかり押える必要がある。しかし、台座がダイキャスト製で、裏側が凹んでいるため、クラ ンプが上手に固定できない。クランプを固定するためには、台座の裏側を平面にする必要がある。

 この製品の設計者はどのように使うことを想定しているのか分らないが、このままでは使用に支障をきたすので、改造することにした。
     左の写真のように、凹んだ部分に、合板を 接着すると裏面が平らになり、クランプで上手に留められるようになった。

 また、注意しなければならないことは、角度が離散的にしか設定できないことで、90度、45度の他には、60度、54度、67.5度、75度の全部で6 つの角度である。

 角度を変更するためには、ひっくり返してナットを緩め、角度を決めてから締め付けなければならない。この点は、ちょっと面倒臭い。

 また、左上の写真のように簡単な長さの目盛が付いているものの正確ではなく、また、長いものには使えないので注意を要する。
     実際に作業してみると、面倒なのは段取り で、一工程終えるごとに、長さを測って印を付けなければならない。そして、目印と鋸刃の位置を確認し、マイターソーにクランプで固定して、再び物指を当て て確認してから、切断するという作業を繰り返すことになる。

 切断はあっという間だが、この段取り作業が面倒臭い。一回セットしたら次々に同じ寸法のものがカットできるという訳ではない。

 目印を見ながら切断してゆくという作業なので、精度を出すには馴れが必要である。

 マイターソーは、特に静かで粉塵も殆ど出ない優れものである。
     今日は休みだったので、ラジオを聴きなが ら、木口を隠す□15mmのアガチス材を3組分全部と、ダクトの一部を切り終えた。

 アガチス材の長さが900mmなので、材料に半端が出てしまう。勿体無いので、背面や側面の材料の一部は分割式にした。プロだったら絶対にやらないが、 アマチュアなので何でもありである。

 意外に上手に切断できたので、本体板材が、MAKIZOUクラフトから届くのが楽しみになった。

 今回は、木口のない、綺麗な箱が出来るか、修正だらけのキタナイ箱になってしまうか、面白い挑戦になった。



2010/01/17




 今週末は、バスレフダクトの仕上にたっぷりと時間を使ってしまった。
 ダクトのカットまでは、先週のうちに出来ていたので、楽な作業だと思っていたのだが甘くはなかった。
     多自由度バスレフは、ダクトをたくさん使 うのが特徴である。

 今回は3組の多自由度バスレフ(MDOF-CR)を製作する。ダクトは、仕切の板に孔を開けるだけのダクトを除くと全部で、34本必要になった。

 ウッドパイプを切ってダクトにするようにしている。半端な残材が出ると勿体無いので、半端物を組合せて、1本のダクトにする。継接ぎだらけのサイボーグ のようで格好悪いが、アマチュアなので、時間よりもコストを重視してこのような面倒な作業を実施した。

 ウッドパイプは、元の精度が悪いので、外径と内径の芯が合わず、接合には苦労する。
     ウッドパイプは、内部の加工精度が悪く、 ざらざらなうえに波打っている部分もあるので、100番の紙やすりで、丁寧に磨く。

 写真のパイプは内径が21mmである。外径20mmの丸棒に紙やすりを巻くと、ダクトの中に入らないので、適当な素材を探してみた。少し細いものの、 キャブタイヤケーブルVCT-5.5(3線)を使うことができた。

 キャブタイヤに紙やすりを巻いて、内部のざらざらを削り取ってゆく。この作業は、思ったよりも大変で、筋肉痛になった。

 34本のダクトの内部を仕上げるのは骨が折れた。
     内部を仕上げた後は、端面を紙やすりで軽 く仕上げ、ダクトの外側部分(接合面でない側)の内側に、軽くテーパー加工をする。

 FeastrexのTさんは、テーパー加工が音を良くすると仰ったのだが、自分は、共振周波数が設計値からずれるのを気にするので、1mm程度に軽く面 をとった。同時に、接合面以外の角の面も紙やすりで削って何となく丸めた。

このような作業は、道具があれば簡単だが、手作業は楽ではない。

 右側のザルに乗った円板は、脚にするもので、外径20mmの桂材をマイターソーで、10mm弱の厚みに切り揃え、端面を400番の紙やすりで仕上げたも のである。

 今回は、3組まとめて製作することもあり、下準備にも時間がかかっている。
 先週末は、木口を隠す角材の加工とダクトの切断に8時間位、今回は、ダクトの加工に10時間位を要した。これだけ手をかけて音が悪かったらがっかりだ。

とりあえずは音だけでも成功することを期待したい。


2010/01/20

 本日ようやくMAKIZOUクラフトからシナアピトンのカット材が届いた。年末年始休暇があったとは云え、待っている間は随分と永く感じた。
      さすがにMAKIZOUクラフトのカット は見事だった。詳細に測った訳ではないが、間違いは無さそうだった。

  待ちきれずに、ダクトの接合から始めた。ダクトは、既に仕上げてあったので、貼り付けるだけである。しかし、ダクトの接合は100%接着剤に頼ることにな るので、強固に固める必要がある。圧着が弱いと後で外れてしまい、修正のしようがなくなってしまう。外部ダクトは、特に接着面積が小さいのでしっかりした 接合が必要である。

 写真では見難いが、芯を合わせて印を付けた後に、ダクトをボンドで板に貼り付け、ボルトとナットで強固に締め付けた。

  時間と治具の都合により、MCAP-CR用ダクトを全部と、AICC-CR用ダクトの一部を接合したところで本日は終了とした。次は、AICC-CR用の ダクトの残りと、CBS-CR用のダクトを接合することにする。その後は、木口を隠すための桟の貼り付けである。今回は、桟の貼り付けが上手に出来るかど うかが最大の山場となりそうだ。


2010/01/21

 本日も引き続きダクトの接合を行った。昨 日の残となったダクトは全て圧着工程に移った。明日、圧着用のネジを外す予定である。

 また、フロントパネルへの桟の接合も開始した。予想してはいたが、15mmの角棒サイズが15mm厚のスーパーシナアピトン材よりもコンマ何mmか小さ かった。角材のほうが大きい分には削れば良いが、小さいと格好良く仕上げるのが難しい。

 自分でカットした桟のサイズは思ったよりも悪くなく、ちょっとした調整で組立てられそうだった。しかし、片側に端金を6本も使用し、しかも、2辺だけし か接着出来ないので、組立には気が遠くなる位時間がかかりそうだ。



2010/01/23








  本文とは関係ありませんが、お便りとかご質問を頂いたときは、余程のことがない限り、返信しています。若しも、返事がない場合には、Spamボックスを チェックしてください。スパムメールなどしたことはありませんが、稀にスパムフィルターにかかってしまうことがあるようです。


 昨夜まで、木口を隠すための桟を貼り付け る作業をしていた。桟を貼り付ける作業では、埃がたたないし、騒音も発生しないので、夜間の作業に都合が良い。

 今日は朝から、ダクトを研磨する作業をした。

 ダクト単体の研磨は終わっているが、板側は、工具で切ったままなので、ざらざらしている。このざらざらを研磨し、端面の角を軽く取る作業である。これ は、結構面倒だし、紙やすりを多く消費する。

 紙やすりはたくさん持っていたはずだが、100番以下があと1枚しかないことに気付いた。


 ダクトは既に接合済みだったが、これは、 ダクトの位置を合わせるための、小細工の様子である。

 ウッドパイプは、内径と外径の芯が合わないので、内径部分を、板の穴の芯に合わせたら、鉛筆で、3箇所に合わせ目の印を付ける。

 そのうちの1箇所には、基準点の印を付ける。これをやらないと後で分らなくなってしまう。

 木工ボンドを付けてしっかり押えると、ずれにくくなるので、その状態で、クランプする(1/21の写真通り)。

 こうすることで、穴の位置は殆どずれない。


      紙やすりが不足したので予定を変更して、 MCAP-CRの組立に入る。

 右側は、うっかり間違えて、正面と背面に板を接合してしまったので、剥がした木口が汚くなってしまったが、何とか剥がすことができて一安心だ。

 このまま数時間放置して接着強度が十分になった後に、次の工程に入る。


      こちらは、昨夜までに接合しておいた、木 口隠しの桟の様子である。

 素人仕事にも拘らず何とか出来た。これだったら、今迄よりはましな外観に仕上がるだろうか。


2011/01/24



 昨日日記を更新した後、組立作業に入った。

 先ずは、MCAP-CRから作成することにした。ここまでで、大体組立の目処が立った感じである。

 この後、バッフル板と後面の板を付ければ一応鳴らせる状態になる。

  ところが、バッフル板に左右があることを忘れていた!こだわって、左右対称に製作してあるので、一部の部品に左右の違いが出てしまう。この場合、バッフル には長さの異る2本のダクトが付いているのだが、長いほうは第3副空気室、短いほうは第2副空気室に収まるのが元の設計であった。
      しかし、そんなことはすっかり忘れて、適 当に付けてしまった。

 このため、共振周波数が設計と違ってしまった。この違いによって、最低共振周波数を多少上がり、内部ダクトの共振周波数の分布も変わってしまう。

 がっかりしたが、しょうがないので、このまま作ってみようと思う。計算はし直しになるが、大して変わらないのかもしれない。今回は、MCAP-CR、 CBS-CR、AICC-CRの違いを調べるのが目的なので、他の機種も同じように間違える必要がある。

 今日は、MCAP-CRが大体組み上げた他に、他の2機種の組立て準備を大体終えた。

 この箱は、スーパーシナアピトンの15mmのものを使っているため、持ってみるとずっしりと重い。TR080aが9mmのメルクシパイン材を使用し、軽 かったのに比べると、随分高級な感じがする。

 FE83Eでも取付けて、MCAP-CRの音だけでも聞こうかと思ったが来週以降のお楽しみにした。

  スピーカーユニットの候補は、いずれもTangbandで、W3-1364SA(3,700円)、W3-881SJ(2,480円)、W3-1231SN (5,500円)であった。しかし、6本も購入すると結構な額になるため、考えた末一番安いW3-881SJに決めた。それでも、送料と振り込み手数料を 加算すると、16,000円をちょっと超えてしまう。

 今回の実験は、結構コストが掛かっている。


2011/01/27














 昨日檜の薄板を貼り付けて修正した MCAP-CRの荒削りを行った。

 鉋を使って、アガチスの角材と檜の薄板を削ってゆく。1時間ほど削るとまあまあの形になってきた。


















     貼り付けた檜の板の形は分らない位に上手 に誤魔化すことが出来た。素人ながらまあまあの出来になってきた。

 ここから先は、紙やすりで仕上げてゆくので、週末の作業になる。

















     今度の失敗は大きかった。

 AICC-CRのうち片側の組立を間違ってしまった!間違いの詳細は後から検証することにするが、どうしようもないので、間違ったまま組立てて音を聴い てみることにする。

 スピーカーユニットをどこに取り付けるのか悩むが、どうせ間違っているのだから深く考えてもしょうがない。間違ったほうが特性が良いことだって有り得る のである。

 ミクセルからスピーカーユニットが届いたので、週末にはMCAP-CRだけでも鳴らせそうである。W3-881SJ(2,480円)は、思いの外軽くて びっくりした。音のほうは心配していないのだが、もう少し高級感を期待していた。







      一昨日は、一応組立てたMCAP-CRの 角材の寸法の誤差(公称15mmより小さいこと)と作業の未熟さによる誤差を修正するために、寸法の小さな部分に、2mm厚×10mm幅の檜の板を貼り付 けた。

 木工ボンドを塗ってから貼って押えるだけで上手に付けることができた。勿論このままでは余計に汚いので、この部分は、鉋と紙やすりでアールをとって仕上 げるようになる。

 MCAP-CRの仕上は、次の週末になりそうだ。こうしている間に、CBS-CRとAICC-CRの組立を進めてゆく。












     一昨日に接合しておいた、CBS-CR (写真左)とAICC-CR(写真右)の様子である。

 CBS-CRは、主空気室から、第1空気室に抜けるダクトがない。小さな孔は、配線用の孔である。

 CBS-CRもAICC-CRも第1副空気室−第3副空気室、及び、第1副空気室−第2副空気室との間にダクト(板に穴を開けただけ)がある。これらの 穴は、MCAP-CRにはないものであり、これが動作に影響を与えるはずである。











      角度を変えて見ると、右側のAICC- CRは、第2副空気室−第3副空気室を繋ぐダクト(穴)が見える。

 これらの副空気室同士を繋ぐ穴が動作にどのような影響を与えるのか、解析は出来ていないので、音を聴き、インピーダンスの傾向を分析してから結論した い。















      本日(日が明けてしまったので正確に云う と昨日)は、更に、側面の板を接合した。

 MAKIZOUクラフトのカット精度は、コンマ1mmの狂いもないものなので、上手に接合すれば、接合部の段差は指先で感じることもできないほどであ る。誤差は恐らく10μm程度ではないだろうか。

 この状態で乾燥した後に、次は上下の板の接合を行う。

 この調子でいけば、週末には全機種の塗装までいけるかもしれない。

  スピーカーユニットW3-881SJは、本日ミクセルを出荷されたそうなので、明日到着しそうだ。小型ではあるがネオジウムマグネットを使った(比較的) ローコストスピーカーユニットの音も楽しみである。FE83Enより安いが、ダイキャストフレームである。ダイキャクトフレームのモデルを使うと、プレス フレームモデルには戻れない。



2010/01/31

MCAP-CR/CBS-CR/AICC-CR完成






     昨日までで、面取りと紙やすりでの仕上を 完了した。

 本当は早く音が聴きたくて塗装まで行いたかったのだが、暗くなったので作業を断念した。

 今朝からアクリルラッカー塗装を開始した。

 最初に2〜3倍に薄めたラッカーを底面と背面に塗った。これらの面は1回塗りである。

 次に、同じく薄めたラッカーを各面に刷毛で重ね塗りした。何回塗ったか覚えていないが、3〜4回位だろうと思う。

 最後にスプレーで3回位塗って塗装は完了である。

     スピーカーユニット取付用の爪付ナットを ボルトでねじ込んで装着し、端子板用木ネジの下穴を開けて機械部分は完成。

 VCTF0.75SQで配線して音が出せる状態になった。

 最初にMCAP-CRを仕上げ、メンデルスゾーンの交響曲第2番を聞きながらCBS-CRの配線を行う。

 MCAP-CRの音が最初に出た時点で感動だった。メンデルスゾーンが心にしみた。

 Tangbandの音は、期待を裏切ったことがない。今回の、W3-881SJも例外ではない。3インチ2,480円でこんな音を出してしまうとは、い つもながら驚きである。

     CBS-CRの配線が終わると、MCAP -CRから入換えて曲の続きを聞く。この曲を聴いても音がどう変わったのか良く分らなかった。

 続いて、AICC-CRの配線を完了し、同じ曲の続きを聴く。やはり違いは良く分らなかった。

 メンデルスゾーンが終わってから、曲を変えていろいろと聞いてみた。

 AICC-CRで、鬼太鼓座の『弓ヶ浜』を聴くと、結構大きなスケールで鳴っていた。ダクトからの風圧は恐ろしい位で、音というよりも風と表現したくな る。風を手で確かめていると、夫々のダクトの動作の違いが良く分った。ローエンドは意外に伸びているようだ。

  本当は、同じ曲をじっくりと聴いて各方式の音の違いを確かめたかったのだが、時間がないので、スピーカーをとっかえひっかえいろいろな曲を聴いた。オルガ ンはAICC-CRで聴いてみたところ、低音部でのダクトの風圧はすごいが、音は意外に控えめだった。とは云っても、普通の3インチのシステムと比較すれ ばかなり出ているほうだと思う。ローエンドは、40Hz前後ではないかと思う。

 ドイツのオーディオ雑誌で録音・演奏とも最高評価だった Bobo Stenson Trio(ジャズ)のCantandoをMCAP-CRで聴くと、低音も十分であった。このような曲であれば、大型のスピーカーで聞くよりも寧ろ良いかも しれない。同じ曲をCBS-CRでも聴いてみたが、やはり違うような違わないような感じだった。ローエンドはCBS-CRのほうが伸びているようにも感じ るが、自信はない。

 聞き比べるだけでも大仕事だが、じっくりと時間をかけて聴いていきたい。測定を行って動作の違いも検証したいのだが、もう少し先のことになりそうだ。

2010/02/07

お客様を交えてのMCAP/CBS/AICC比較試聴会



 今日は、ゲテもん工作実 験室の松さんが、3機種を聞きに来られた。松さんは、上記ブログで特集している MCAP-CR型のバンビーノを調整中であり、3機種の違いに興味がおありである。
  自分のリスニングルームは狭いので、リビングルームにシステムを持ち込んでお聞き頂いた。リスニングルームで使用している機材を全て使うと大変なので、今 日は、StuderのD730、ユニエル電子のPA-036を使ったパワーアンプと、テクニクスのSU-C1000MK2という懐かしいプリアンプとの組 合せで聴いていただいた。
 試聴ソースは、松さんがお持ちになったCDで、クラシック、ジャズ、女性ヴォーカル、環境音と様々であった。
  最初に、夫々のスピーカーシステムの素性を隠し、ブラインドに近い形で聴いて頂いた。外観は共通なので、黙っていれば、ブラインドに近くなる。AICC- CR、CBS-CR、MCAP-CRの順に聴いて頂いた。ヴィヴァルディの室内楽の同じ部分を聴いた後の感想は、AICC-CRが『奥行きがあって良い』 ということだった。勿論AICC-CRだとご存知の訳ではない。AICC-CRは、MCAP-CRとほぼ同じだが、各副空気室間の仕切に穴が開いているこ とだけが違っている。しかも、片側(今日は右側)は、間違えて別な構造になっている(一応AICC-CRにはなっている)。
  最初に、夫々のスピーカーシステムの素性を隠し、ブラインドに近い形で聴いて頂いた。外観は共通なので、黙っていれば、ブラインドに近くなる。AICC- CR、CBS-CR、MCAP-CRの順に聴いて頂いた。ヴィヴァルディの室内楽の同じ部分を聴いた後の感想は、AICC-CRが『奥行きがあって良い』 ということだった。勿論AICC-CRだとご存知の訳ではない。AICC-CRは、MCAP-CRとほぼ同じだが、各副空気室間の仕切に穴が開いているこ とだけが違っている。しかも、片側(今日は右側)は、間違えて別な構造になっている(一応AICC-CRにはなっている)。

 松さんが来られる前に、オーディオベーシックの付録CDで、左右の接続と、正相・逆相をチェックしていた。最初にAICC-CRを聞いていたが、正相と 逆相の違いが分りにくかったので、左右共通のCBS-CRでチェックしたら正相と逆相の違いが良く分ったのだった。

  ところが、音楽ソースを使うと、確かに、他の2機種よりもAICC-CRのほうが奥行きが勝っていた。理由は良く分らないが、今日のところは、AICC- CRが良いという結論になった。ひょっとしたら、AICC-CRのエージングが一番進んでいたのかもしれないが、今後の興味が一層深まった。

 お昼過ぎの短い時間だったので、十分な試聴は出来なかったが、聴きどころをいろいろと教えて頂いた。どうも有難う御座いました。

 実は、松さんから、ハセヒロ製のバック ロードホーンをお借りしている。写真の中央左右にある黒くて美しいものである。

 小型だが、ずっしりと重く、丁寧な造りで、カシュー仕上を施してある高級品である。スピーカー端子も左右独立の高級仕様である。
 松さんのご感想では癖が強いということだったが、素直ないい音だ。低音も思ったより伸びている。低域には多少ディップがあるようだが、それも音造りに なっている。バスレフとは趣が大分違うが、やはりバックロードは悪くない。
 今回、松さんが来られるので、スピーカ台を突貫工事で製作した。サイコロ型のスピーカには、是非とも台が欲しいところなので、製作を予定しており、材料 もそろえていたのだが、本当はゆっくり作るつもりだった。上記のバックロードホーンを載せているのがその台である。
  台は、30mm□の栂の角材と、18mmのパイン集成材で製作している。栂の接着は結構面倒で時間がかかった。また、紙やすりをかけるのは一苦労であっ た。4本脚のタイプだが、1点だけは、ネジで高さの調整が出来るようになっているので、床が多少凸凹していてもがたが出にくいように作ってある。これを昨 日ウレタンニスで塗装し、今日からようやく使えるようになった。作ってみると結構便利である。早く作っておけば良かった。


2010/02/08

設置台とインシュレータ





 昨日の試聴会は面白かったが、どれもエー ジングが不十分だったし、慌てて準備したこともあるので完璧とは云えなかった。

 また、吸音材も入っていない状態だったので、中高音の差に意識が集中し、多自由度バスレフ型の特徴である低音の表現能力が分りにくかったのも事実だと思 う。

 松さんは、楽器にも詳しく、シビアな聴き方をされるので、自分のようなナガラの聞き方では分らない差を聞き分けることができた。

 自分の場合は、機械的な調整をするのが限度であった。左の写真の台は、桂の丸棒3点+調整用ネジ1点の4支点で、ぐらつきがない。




     これは、セッティングの不十分さによる曖 昧さを嫌ったためのデザインで、結構上手に出来たと思う。

 昨日は、この他にインシュレータを準備していた。左の写真のように、スピーカシステムの脚の下に、水晶の粒を置き、聴いて頂いた。この方法は Feastrexの社長さんから教えて頂いたもので、音の粒立ちが良くなるものである。

 何も無い状態(桂の20mm径丸棒を底面に接着してあるので一応3点支持)を基準とし、各脚の下に水晶粒を置いた状態、ピラミッド型ブビンガ材に漆を含 浸させたものを置いた状態の3通りを比較して頂いた。

  松さんは、水晶の粒をインシュレータにしたのは初めての経験だったとのことだったが、この状態が一番好ましく聞こえたとのことだった。写真の水晶粒は、 Feastrexから頂戴したものではなく、松さんを御徒町の駅まで迎えに行った途中で見つけたガード下の石屋(?)さんで一杯525円で購入したもので ある。粒の大きさがバラバラなので、サイズの近いものを適当に選んで置いてみたのだが、これが一番好ましかったというのが面白かった。次は水晶粒が一番良 かった理由を考えてみたい。



2010/02/11

MCAP-CR/CBS-CR/AICC-CRのインピーダンス傾向


  本日は、新モデル3作のインピーダンスの傾向を調べてみた。本当のインピーダンスの測定は大変なので、長岡先生と類似の方法を用いて傾向だけを調査した。 方法は、スピーカーシステムと直列に100Ωの抵抗を接続して定電流駆動に近い形とし、そこにリニアスィープ信号を加え、スピーカー端子間の電圧をFFT にかけてピークホールドしたというものである。長岡先生はピンクノイズを使用しておられたが、ピンクノイズでは大雑把過ぎて細かいところが見えないし、見 たい部分が変動ノイズに埋もれてしまうためである。いずれにしても、インピーダンスの正しい値が分る訳ではなく、相対的な大小が確認できるだけである。

 グラフのコピーを下に示すが、見にくいので、原寸大のグラフは、こ こに置いた。



  上の4枚のグラフは、左上、右上、左下、右下の順に、MCAP-CR(型番TR080b)、AICC-CR(型番AIT080a)、CBS-CR(型番 CBT080a)、そして最後はAICC-CRの組立を間違ったもの(型番AITW080a)である。表示範囲は、20Hz-200Hzであるが、スィー プ信号が10Hzからしか始まっていないので、20Hz付近は低くなっている。

 インピーダンスの値が低くなっているところが、MCAP -CRの負荷がかかっている部分である。簡易に計算されたMCAP-CRの共振周波数は、ピンク色の縦線(A,B,C,D,E,F)で示した通りである。 その他は簡易計算さえも出来ていないので良く分らない。この結果を見ると、B以外は一応ローカルディップに近い値になっているので、計算の信用性がそこそ こありそうな感じがしないでもない。しかし。よく分らないのは、いずれの場合も、36-50Hz位(黄色の楕円で囲んだ部分)にディップがあることであ る。この帯域には大きな負荷がかかっているようだ。この帯域は、簡易計算で示された帯域よりもかなり下であるため、現在の簡易推定法では、これが何の負荷 なのか良く分らない。

 夫々を良く観察すると黄色で囲んだ帯域はいずれも負荷がかかっているが、負荷のかかり方が異っている。MCAP- CRは、鋭いディップがあるが、その他はなだらかである。最もなだらかなのが、製作を間違えなかったAICC-CRである。偶然なのか当然なのか、 AICC-CR(右上と右下)は、正しいほうも間違ったほうも良く似ている。AICC-CRは、MCAP-CRの副空気室間に穴を開けて繋いだだけである が、100Hz以上の帯域の負荷分散がMCAP-CRよりも平滑化されている。松さんが、AICC-CRを選ばれたのは、偶然ではなさそうだ。

 CBS-CRは、MCAP-CRやAICC-CRよりも50Hz以下の負荷のかかり方が小さいが、57Hz位に大きな負荷がかかっているのと、中低域に 広く負荷がかかっているようだ。これだけでは良く分らないが、研究を進めれば実用性が出そうである。

  いずれのモデルも、低域には負荷がかかる構造となっているので、低域の再生限界が延びていることが裏付けられた格好である。このように低域のインピーダン スが低いシステムは、アンプを選ぶ傾向がある。ダンピングファクターが高く、電源のしっかりしたアンプでなければ真価は発揮されないと考えたほうが良い。 真空管アンプでは真価を発揮できない場合が多いのではないかと思う。

 今日は、MCAP-CR特許の審査請求を提 出した。

 実際に自分で手続きを行った方はお分かりと思うのだが、特許の手続きは、決して難しくないのに、特許庁のページは、全く理解できない。『こういう仕事の 仕方はやめなさい』という典型例のようなものである。

  特許庁のページを見ると、根幹となる情報と例外中の例外のような情報とが渾然と入り混じっている。むしろ例外中の例外情報のほうがトップにあると云って良 いと思う。それなので、自分の知りたい情報にたどり着くことが出来ない。しかも、それらしい説明も、自分の知りたいこと(多分殆どの人が最初に知りたいこ と)が明示的に説明されていない。暗示的に想像するというのも正しくないので、結局自分のやったことが正しい手続きなのかどうか、特許庁から書面で来るま で分らないのである。こんなページを見て理解できる人が居るのだろうか?どうして典型例を載せてくれないのだろうか?

 もうひとつ文句を 云いたいのは、高過ぎる手数料と、手数料の無意味な減免制度である。自分の場合、請求項の数が4なので、出願審査のために、184,600円もかかる。 『資力に乏しい個人』のための減免制度というのがあるにはあるのだが、真面目に生活して納税している人は対象外になっている。


2010/02/13

CBS-CRのインピーダンス傾向


 一昨日は、全機種のインピーダンス傾向を調査した。しかし、気に入らない部分があった。
1.MCAP-CR以外はウォーミングアップしていなかった
2.同じモデルの左右を比較していなかった。
3.裸の状態のインピーダンス傾向を調査しなかった。
また、これとは別に、CBS-CRのグラフ右側170-195Hzにある2つの山が気になっていた。測定方法の問題なのか、あるいは、個別のばらつきなの か。そこで、今日は、CBS-CRを2時間弱ウィーミングアップした後に左右を比較してみた。

 以下が左右の比較である。どちらも同じ場所、同じ基準で調べてあるので、公正な比較だと思う。



 170-190Hzのふたつの山は、どちらにもあった(水色の矩形で囲んだ部分)。即ち、これは、CBS-CRの箱によって、スピーカユニットに何らか の負荷をかけていることの証拠である。今のところ思い付く理由は無いが、ゆっくり考えていきたい。

 左右をもう少し比較すると、2つの間に微妙な違いがあった。上側の#1では、ディップの部分が鋭く落ちる傾向がある。それに対して下側の#2では、 ディップの落ち方がなだらかで、値も大きくなっている(黄色の楕円で囲んだ部分)。

 また、理由の良く分らない36-50Hz位の谷の部分の形はかなり異っている。これはばらつきの範囲なのだろうか。

 比較のために、裸の状態で同じ測定をしようとしたのだが、スピーカユニットのフランジがバッフル面に固着していて外れなかった。いずれは吸音処理等をし ようと思っていたがこれでは出来ない。これは困った。

 CBS -CRは、先日の松さんとの試聴会のときは全く注目されなかったものである。しかし、自分は、CBS-CRに対しては可能性を感じている。2009年11 月29日の日記に書いたように、CBS-CRは設計上レイアウトし易い形式なのだ。音は期待しないで作るだけ作ってみたのだが、なかなか捨てたものではな い。他の2機種と比べても低音の出方は自然で(他が不自然という訳ではない)、鬼太鼓座の太鼓の後を引く響きも自然に再生する。Audio Basicのオルガンによるドシラソファミレドも聴感上では最もフラットでローエンドも延びているように聞こえる。主空気室に繋がっていない副空気室のダ クトからの低音は他よりも一拍遅れる(ダクトに手をかざすと分る)が、これが音の味付けにもなっている。CBS-CRの設計方法が確立できれば、多自由度 バスレフの中で最も作りやすく、効果を上げられるのである。

2010/02/21

NDRの実験





      ゲテもん工作実験室の 松さんから教えて頂いた、NDRの実験を行ってみた。

  松さんからは、後ろ向きのスピーカユニットへの入力は多少抑えたほうが音が引っ込まないということで、接続方法のアドバイスを頂いていたのだが、時間がか かったため試すことは出来ず、結局全てのスピーカユニットに同じ入力を加える方法となった。結論から云うと、この方法でも音が引っ込むことはなかった。

 今朝6:40頃から準備を始めたが、8:00になっても仕上がらず、その後朝食を採った。結局開始できたのは9時頃になった。この程度の準備でも結構面 倒なのである。

      NDR システムとしての設置方法はいろいろ検討してみたのだが、結局は、この置き方しか出来なかった。下段が正面に対して中央向き135度、中断が正面向き、上 段が正面に対して外向き135度となった。本当は、正面以外は120度にしたかったのだが、不安定だったので、この置き方しか出来なかった。

  接続は、3ユニットを並列に接続し、アンプの+側には、3.9Ωの抵抗をシリーズに繋いである。スピーカユニットが公称8Ω(直列抵抗6Ω)しかないの で、そのままパラに繋いだのでは、8/3Ωしかなく、アンプが心配だったため、ここに3.9Ωをシリーズに繋いで、約6.6Ωである。アンプの効率は下が るが、実験には十分だった。

 正面向きがMCAP-CR、中央向きがCBS-CR、外向きがAICC-CRとした。特に意味は無く、置いていったらたまたまこうなっただけである。あ ちらこちらを向いているので、組合せを変えても差は殆ど無いだろうと思う。

  最初に、スメタナの『我が祖国』(ORFEO C 115 841A; Rafael Kubelic/Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks)、カトリック教会の録音(DM 848 02; VESPRES A MONTSERRAT)、ギリシャ正教会の録音(I.M.A.C101; HOLY METEORA)、Audio Basic 50号の付録CD、プロテスタント教会(英国国教会)の録音(ICCD43430; Sing for Joy 2)と、NDRの状態、MCAP-CRだけの状態を切替ながら聴いていった。


 最初に『我が祖国』をNDRで聴いてみると、体全体が音に 包まれて、スピーカー全体が大型化したように感じた。体の位置を変えても立ったり座ったり姿勢を変えても音像は不自然にならない。同じ曲をMCAP-CR だけで聴いてみると、これも決して悪くない。音像はシャープで、オーケストラの質感も悪くない。

 次に、NDRでカトリック教会の録音を 聞いてみると、体全体が音に包まれる感じは上記と同様だが、天井の形状や教会の形状が分るというほどでもない。MCAP-CR単独で聴くと、音像のフォー カスが良くなり教会の雰囲気は良く分るが、包まれる感じにはならない。いずれにしても、教会内部の形状が分るほどにはならなかった。モンセラート教会は、 実際に訪れてそこのオルガンを聴いたことがあるので、思い出しながら聴いていたが、狭い部屋(12畳)で聴いているせいか、教会内部の空間の再現は無理な 感じがした。

 ギリシャ正教会の録音はオルガンがなく、女声だけである。これは、上記のカトリック教会の録音よりも生々しく、合唱隊の並び方が良く分った。こちらは、 NDRの再現力が、MCAP-CR一発よりも優れているように感じた。

 Audio Basic 50号の付属CDは、低音チェックから環境音の再現性まで様々な音源が収録されている。この中から、環境音の部分である、トラック12、14−17を聞き 比べた。

 最 初にトラック15−17の奄美大島の浜辺、水の流れ、森の調べを聞いた。NDRシステムでは、流石に音に包まれて情景を良く再生する。波で足が濡れそうに なるような感じも見事である。ところが、MCAP-CR一発で聴いても波のしぶきの音や、泡が潰れてゆく様子、波が足元に打ち寄せてくる様子は明確に再現 出来る。これはどちらが良いか決めかねる見事な再現性であった。

 トラック12に収録されている飛行機の騒音は、NDRのほうが体全体を包むのが得意だが、どちらで聞いても定位は明確、上下を鳴らし分ける能力には差が 感じられなかった。もっと差が付くと思っていたのが意外な結果だった。

  最も差が良く分ったのは、トラック14にある日光山輪王寺の除夜の鐘の様子であった。NDRは、鐘の音、お経の声の奥行きの再現性が見事で、MCAP- CRに差を付けた。但し、MCAP-CR単独で聴けば、これも恐ろしい位にリアルである。但し、MCAP-CRがオーディオ的に音場を外から観察する感じ なのに対し、NDRは、その場に入り込んだ感じになる。

 上記の試聴において、ヴォリウム位置はMCAP-CR一発でもNDRでも共通 だったので、NDRのほうがパワーが約9.5%(スピーカーユニットのインピーダンスを公称の8Ωとして計算した場合の計算値)多く入っていたことになる が、 音量差はあまり感じられなかった。スピーカーに直列に固定抵抗を入れるのは、音に良いことはないのだが、結構聴けるものだ。

 今回は、 MCAP-CRを中心としたシステムで組合せのNDRと一発との差を聞き比べた。NDRにしなくても音場感は十分に再現できていた。MCAP-CRの TR080b型は、ダクトが前に2本、後ろに1本出ている。ダクトからの放射も音場感の創製に貢献しているのではないだろうか。そう考えると、AICC- CR型のほうが奥行きの再現性が良いという理由も納得できる。短時間の試聴では断定できないが、今後、自分以外の人の力を借りて試聴してゆけば、興味深い 結論が出るのではないか。また、いずれにしても、NDRシステムは、音場感の再現に有利であり、研究の価値がある。16Ωのスピーカーユニットが入手でき れば作りやすいのだが、残念ながら16ΩはFeastrex位で、殆どが4〜8Ωの低インピーダンス型になっている。松さんの説明のように、正面にパワー を多めに入れるのであれば、正面を2発とし、シリパラで接続すれば、8Ωとなり使えるのだが、いきなりそのようにするのは危険が大きい。松さんの実験レ ポートも読んで検討したい。


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注意事項

MCAP-CRは、2012年に特許が 成立しています(特許第 5083703号)
契約による以外のMCAP-CRの商 用利用は禁じます。
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評価のために、実際に製作することは、商用利用とは看做しません。
また、商用以外の使用に制限はありません。

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管理人: 鈴木 茂