オフ会の様子
第3回発表会レポート
2012年10月7日(木)東京都墨田区 産業技術会館第4会議室にて開催
2012年10月7日(日)今年もスピーカー再生技術研究会の発表会を開催することが出来ました。 会場は、墨田区の産業技術会館第4会議室です。
会場は夕方までしか借りていなかったのですが、片付けのてめ、延長することになりました。 会場は、18時くらいまで貸りられれば、理想なのですが、大抵は 4時半位でそれ以降借りると会場費が2倍近くなるのが普通です。無駄を承知で最初から最後まで借りておけば良かったと反省しました。
会場は、一般会議室だったのですが、両隣に部屋がないので、十分な音量で再生することが出来ました。 また、部屋の音の癖は少なく以外に良い音響だったと思います。ちなみに商用でも使用可能なようです。
今回の来場者数は昨年とほぼ同様で40名前後だったでしょうか。定員65名の会場には丁度良い人数でした。
自分は、会の目的と、進行の説明とを兼ねて最初に登場しました。
9月17日に実施したブラインドテストについて簡単に紹介し、作品の発表に移りました。
各作品の資料は、発表会レポートをご参照ください。資料をダウンロードすることができます。
今回発表したのは、TangbandのスピーカーユニットW5-1611SAFとW5-1880をそれぞれ使用した同じ箱のものです。W5-1880は高級品で、日本には輸入されていませんが、日本で販売すればペアで5万円位のものでしょうか(写真の外側)。 違うユニットを同じ箱に入れて比較するという意味でそれなりに面白く、どちらも結構バランス良く鳴ったようですが、高級品の評価が高いという結果にはならなかったようです。 このほかに、エソテリックのMG-10のユニットを使ったシステムを鳴らしました。オリジナルとの比較をしたかったところですが、オリジナルを借りることができませんでした。 資料1:ブラインドテストレポート 資料2:発表原稿 |
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西尾さんはツインホーンを発表。 フロントホーンと3Dスパイラルホーンの組み合わせです。 丁寧な仕上げで音も綺麗なのが印象でした。ローエンドはそれほど伸びていないのですが、倍音領域が忠実に再生されるようで、太鼓皮がのブルブル震える感じが良く伝わってきました。 ユニット(FostexP-800)の正面に素敵なイコライザーが付いていますが、ご本人によるとあまり効果は感じないとのことです。 全体として素晴らしい出来でした。 発表原稿 |
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高橋さんは、今まで経験して良かったと感じたことを全て織り込んだ、効果実感型スピーカーを発表。
々な要素を全て投入したらどうなるか、興味ある作品です。 左の写真を見て分かるように、今回の作品の中でも特に小さい作品です。 特にピアノの音をピアノらしく再生することを目指したということで、カシュー塗装が施されています。 ピアノのソースを数種類再生したのですが、一般的なものではなかったため、普通のピアノ協奏曲を再生していただくと、 私にも効果を実感できました。 ユニットは、Foster電機のFF80BKでした。 このサイズ、このユニットで、ここまで鳴らせるとは思いませんでした。 発表原稿 本人コメント: 大したスピーカーも作っておらず、今回のオフ会は発表する予定がなかったのですが、結果、発表を行なって良かったです。 発表したおかげで、会場にいらした皆さんと色々話をでき、楽しい時間を過ごせました。 こういった開けた楽しみは、自宅では味わえないオフ会特有のものでしょう。 次回こそ、ユニークなスピーカーを発表できればと思います。 |
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加藤さんは、花火用玉皮を空気室に使用した新型です。 花火用玉皮は、一般には入手が難しいものですが、メーカーの方とお友達になってしまったそうです。 全体が、頭の部分と副空気室に分割されており、通常のバスレフに相当する頭の部分だけでも音を聞くことができます。 左の写真の、左下に大きめの筒を付けると、ダブルバスレフになり、その右のスタンド状の部品を付けると、トリプルバスレフのMCAP-CR型になります。 全ての音を鳴らしました。通常のバスレフは切れがよく、元気のいい音。但し、バスレフの癖で、ある帯域が持ち上がって、その下がストンと切れます。 ダブルバスレフはダブルバスレフの音。トリプル+4副空気室のMCAP-CRは、大人しくて癖のない音でした。スワン型のバックロードホーンとは、対照的な癖のない音でした。 加藤さんの苦労の様子はご本人のブログで紹介されています。 今回の作品の原稿はこちらになります。 本人コメント 本年の作品は紙に拘って作成しました。紙製のエンクロージャーは作成上の自由度が非常に高い利点があります。また、音質的にも、決して悪いものではないと信じています。 わたくしのセッションでは、3つのシステム(シングルバスレフ、ダブルバスレフ、トリプルバスレフMCAP)を発表させていただき、聴き比べをしていただ きました。その結果、鈴木会長の特許技術であるMCAPシステムの有用性を実感することができました。このシステムは本当にお勧めです!! また、球体エンクロージャーの作成において、「玉皮」を一つの選択肢として提案させていただけたと思います。これから玉皮を使おうと考えていらっしゃる方がいましたら、「蒲郡玉皮」をご愛顧くださいませ。 |
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中田さんは、スピーカーシステムや部屋の癖を補正するソフトのデモです。 自分で試す前にこういう機会に聞かせて頂いて、ソフトの効果が良く分かりました。 スピーカーシステムには、上記加藤さんのシステムを使用しました。スピーカーシステムの特性に対し、補正をかけると随分音と雰囲気が変わります。 部屋の補正をかけると更に変わりました。アコースティックな録音の女性ボーカルがふくよかになる差を感じました。 会場では、オリジナルのほうが良いという声もあり、好みの差が支配的なのかと感じました。 左の写真は、右が中田さんで、石田さんのサポートの様子です。 発表原稿 デモの結果(本人レポート) | |||
中山さんが紹介したのは、電磁スピーカー。 写真では良く分かりませんが。銀色の網のような不思議なものです。 エンクロージャなしなので、低音は出ませんが、近くで聞くと不思議な雰囲気です。 可能性を感じさせる音でした。出来たらシステムとして聞かせて頂きたいと思いました。 また、同じ動作のツィータも持参されました。こちらは、もう完成品の出来栄えで、最初のデモであまり評判の良くなかった、TBのW5-1880の高域がすっきりと補正されました。 発表原稿 本人コメント 初めて発表させて頂き有難う御座いました。 この薄型平面駆動SPは薄型に固執する余りエンクロージャー無しで検討して来ました。 が、フルレンジ狙いで音をまともに出すにはバッフルとかエンクロージャーが必須と再確認しました。 今後も色々とコメントなりアドバイスなり頂ければ幸甚です。 又、スーパーツイターの方は来月にも改良版が仕上がる予定です。 その際は試用の機会を設けて頂ければと思います。 |
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石田さんは、PARC Audioの17cmコアキシャルユニットを使った作品を、バイアンプで鳴らしました。シングルアンプとは音が違うというデモもありました。流石に手作りアンプの会のメンバーだけあります。 見た目は普通のシステムですが、内部の定在波をなるべく外に出さないように工夫しています。 すっきりとした音で、市販品のような出来栄えでした。 発表原稿 |
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大沢さんの作品は、すっかりお馴染みの多重共鳴管です。 昨年は、異様な概観の塩ビ+紙管システムに圧倒されましたが、今年は、木箱の多重共鳴管システムで、普通の形です。 しかし、音は昨年に負けず素晴らしい。低音まで詰まらずすっきりと伸びます。 スピーカーユニットは、今年のStere誌の付録ですが、ユニットには、ダンプ用のテープやアルミ箔が積層されており、造り込みの巧みさを感じます。 大沢さんは、オーディオマニアというより音楽愛好家で、楽器の音をその楽器の音らしく再生することを目指しています。 そのような意味でとても参考になりました。 発表原稿 本人コメント: 今回も参加させていただき、また手伝っていただいた皆さんに感謝です。 オーディオ的な話はあまりしませんでしたがどうだったでしょうか。 みんなと似たようなもの聞いて同じような話をしてもつまらないと思ったらこのようになりました。 私事でしたが簡単に友人の追悼をさせていただきありがとうございました。 きっと会場のどこかで聞いてくれていたと思います。 |
後記(記者:鈴木)
上記のレポートの通り、2012年のオフ会も楽しむことができました。
今年は会場がなかなか確保できず、初めての会議室を使用したのが意外に良かったと思いました。
今年の会場は、利便性が良く、かつ、音響も悪くないところでした。ブラインドテストにも使用できそうです。借りるのは意外に簡単でした。反省点は、終わり の時間が守れなかったこと。結局、夜の分まで借りることになってしまいました。今後は、無駄でも片付けの時間も含めて借りておくようにしたいと思います。
このような会を体験するとスピーカー再生というのは、未知のことが多くそれゆえに面白いということが実感できます。普通のオーディオ趣味とは一味違った楽しみ方を味わえたオフ会になりました。
ご参加の皆様、ご来場の皆様、どうも有難うございました。