私は、Microsoft Officeを使わないことを薦めているのではありません。
確かに、LibreOfficeのほうが優れている部分は、かなり多く、純粋に比較すれば、
LibreOfficeに軍配が上がる場合も多いでしょう。
しかし、Microsoft Officeは、素晴らしいソフトウェアです。
ですから、資金が豊富にある企業や個人が、Microsoft Officeにお金を使うことは否定しません。
しかし、資金が不足したらどうするのでしょうか?
中小の会社などで、事務所にパソコンが1台しかないなんていう状況は、今でもあると思います。
しかし、WindowsをやめてLinuxにすれば2台置けるかもしれません。
従業員の多くがパソコンに触れる機会を増やせば、仕事の効率が上がって、収益が増えるかもしれません。
会社のパソコンがLinuxなら、皆がLinuxを使うようになります。
Linuxであれば、OSのライセンス料は無料なので、
パソコンは、ハードウェア分と、設定の手間だけで済みます。
それだけでなく、LibreOfficeが使えるので、通常の作業は全てできます。
しかも、従業員のパソコンに触れる機会が増え、効率が上がるのならそんなにいいことはありません。
例えば、Windowsのパソコンを1台所有すると、本体だけで安くても7〜8万円くらいかかります。
それにMS Officeを加えると、10万円を超えます。
そうすると、固定資産になってしまいますね。
しかし、Linuxパソコンであれば、本体だけなら3〜4万円で構成できます。
モニターや周辺機器を加えても10万円にはなりませんね。
従って導入がずっと楽になります。
多分最初は、Linuxの敷居は高いと思いますので、いまあるWindowsパソコンにLibreOfficeを
インストールしてみましょう。
そして、LibreOfficeに慣れたら、次はLinuxに移行すれば、もうコンピュータ環境にお金をかける
必要性はなくなります。
高級パソコンを買うよりも、台数を増やすほうが、効率化に繋がります。
高性能パソコンは、動画編集をするとか、よほどの重いソフトウェアを使わない限り必要ありません。
数百メガバイトのデータを扱い大量に計算する場合でも、
C言語で書いたプログラムをコンパイルして実行するのであれば、
低性能パソコンで(64ビットCPUを推奨)で十分です。
自分でC言語で書いたプログラムの例では、Excelで計算すれば、1週間でも終わらないか、
おそらくフリーズするくらいのデータを扱いますが、
64ビット1GHzの省電力CPU搭載のノートPCでも、Linux上では、見ている間に計算が終わります。
ちなみに、同じPCでWindows7では、コンパイラが32ビットなので、時間は倍以上かかります。
パソコンの動作が重いのは、大抵は、OSの動作が重いためです。
お勧めは、手持ちのパソコンにLibreOfficeから始め、次のステップとして、Linuxに移行することです。
パソコンが贅沢品である時代は、とっくに終わっています。
LibreOfficeのいいところばっかり書いていてもしょうがありませんから、悪い部分についても書きます。
LibreOfficeは、まだシェアが広いとは云えません。
ですから、いまだに、『Microsoft Officeフォーマットのファイルを提出せよ』と指定される場合があります。
LibreOfficeしか持っていない場合には、そこが第一の問題になります。
Microsoftは、営業利益を増やし続けなければなりませんから、なるべく、他のソフトで開いたときに
問題が発生するように工夫するでしょう。
特に、凝ったプレゼンテーションなどでは、図の位置が変わってしまったり、Microsoftの書式を
熟知していなければ対応できないような、ややこしい高機能が入っています。
Officeの話ではありませんが、Windows2000 ServerにActive Directoryという機能を追加したのは、 既に、Windows NT ServerにLinux Sambaが追い付いていたのを退けるだめだろうと想像しています。
Active Directoryは、専門家にも難しく、その機能が浸透するのには時間がかかったようです。
実際には必要ない機能を少しずつ浸透させているのですから、これは、ちょっと問題な気がしますが、
多くのひとが、そのように認識するようにならなければ、独走は止まりません。
以上は、本来は、LibreOfficeの欠点ではありませんが、多くの人が欠点だと思い込んでいるところです。
次は、逆に多くの人が気付いていませんが、本当の欠点と呼べるところです。
LibreOffice Calcの実行速度は、MS Excelと比べるとかなり遅いです。
小さな表しか使っていなければ気付きませんが、データ量を増やすと気になってきます。
特に、VBAで記述した計算プログラムでは、実行速度が一桁位違うと思います。
コンパイルして実行するC言語などのプログラムと比較すれば、どちらも止まっているような違いですが、
科学技術計算をお手軽に実行する場合には、気になる差です。
以上が第二の問題点です。
第三の問題点は、Microsoft Excel VBA/LibreOffice/OpenOffice BASICプログラムの記述方法の差です。
Excel VBAプログラムは、記述方法が簡略化されており、短い記述で済みます。
また、プロパティ部分を省略しても動いたりしますが、
Calc BASICプログラムでは、長ったらしい表記を、正確に記述する必要があります。
ですから、プログラマを職業としない自分のような人には、Excel VBAのほうが敷居が低いと思います。
ただ、Excel VBAを使う人は、自分の周囲では見たことがありませんし、
Calc BASICを使う人も見たことがありません。
ですので、ユーザ数から見れば重要ではなさそうですが、自分は大きな違いだと思っています。
因みに、自分は、『VBAを使わないのならExcelは不要』と思います。
おそらく、『ExcelVBAで構築した資産があるためにExcelを捨てられない』という企業は多いと思います。
Calc BASICがExcel VBAと互換性があれば、良かったですね(CalcでもExcel VBAのファイルのプログラムの実行だけならできます)。
しかし、Excel VBAの言語には知的所有権がありますから、全く同じにする訳には行かなかったでしょう。
その分、Calc BASICは、基本に基いて、堅固に作られていると思います。
自分が感じるLibreOfficeの欠点は以上のようなところです。
他にも何か欠点をご存知でしたら、お便りください。